石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年5月31日

(平成28年5月31日(火) 9:59~10:15  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 先ほどの閣議におきまして、先週27日に成立をいたしました「国家戦略特区法の一部を改正する法律」の公布について、閣議決定を行ったものであります。今週6月3日金曜日に公布をいたします。施行につきましては、公布の日から3か月以内に政令で定める日となっております。
 今回の改正内容は御案内のとおりでありますが、集中取組期間の成果として、「企業の農地取得の特例」、農地法の特例ですね。「過疎地等での自家用自動車の活用拡大」、道路運送法の特例など、7項目の規制改革事項を盛り込んだものでありまして、施行に向けた準備を着実に進めるとともに、速やかに制度が活用されるよう、周知に努めてまいりたいということであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)消費税率の引上げについてお尋ねします。
 来年4月の消費税率引上げについて、安倍総理大臣は2年半再延期した上で、衆議院の解散も行わないという方針で今、調整を進めています。社会保障の充実ですとか、財政の再建に影響が出るのではないかという懸念もありますし、解散総選挙をするべきではないかという意見も出ていますけれども、この件についての大臣の考え方をお願いできますでしょうか。
(答)経済が失速してはならない。社会保障というものは、持続可能なものでなければならない。財政規律というものは保たなければならない。この三つの課題を満足させるというために、政府与党として、国民に向けて御説明をするということは、当然の責務だと思っています。
 本日、自由民主党において、政調全体会議ということで、党内からいろんな議論がなされ、集約がなされるということだと思っております。党内で、これから総理の発言について、いろんな議論があり、先ほど申し上げた3点、すなわち、経済が失速してはならない。社会保障は持続可能なものでなければならない。財政規律は保たねばならない。この三つは、当然我々に課された責任ですので、そこに向けた意見集約がなされるということだと承知をしております。その前に、閣僚として、発言をすべきことではございません。
(問)総理の増税先送りの方針に対して、野党がアベノミクスの失敗だと批判を強めています。今日午後には、内閣不信任案を提出する予定ということですが、これに関しての大臣の受け止めをお願いします。
(答)これは、先般の岡田代表と安倍総理との党首討論を聞く限りにおいて、では、消費税を上げないんだが、その不足分をどうするのという議論の中で、それは赤字国債だと、こう言ったわけですね。そのようなことは断じて認められないということだと、私は思っています。
 アベノミクスについては、それは総理が国内的には着実な成果を上げつつあると。しかし、新興国の経済というものが、原油の下落によって投資が落ちていると。そのことによってどうなるか等、対外的な不安要因があり、そのことによって、アベノミクスは国内では成果を上げているが、対外的な要因で、そういうような世界全体の、その対外的、新興国の経済がこれから先、投資の減退によって先行きが不透明だというのは、これは日本だけの問題ではなく、世界全体の問題ですが、その中において日本がどういう責任を果たすのかという観点で、総理はああいうような考えを表明したものと承知をいたしております。
 そうだとするならば、どうするかということについて、それは赤字国債でしょう、というような考え方には、それは私は断固として異を唱えたいものであります。ですから、不信任ということであるならば、それはアベノミクスの失敗だ、けしからんというだけでは、それは理由にならないのであって、それは単にやめてしまえということだけではなくて、そういうような先ほど申し上げた三つの問題についてどう考えるのか。答えは赤字国債だということであれば、とてもとても私はそれに賛同することはできないということでございます。
(問)まだ決定事項ではありませんけれども、2年半の仮に延期となった場合、自民党の総裁としての安倍総裁の任期は超えてしまうと。19年4月の統一地方選などあり、7月の参院選などあり、これは選挙目当てじゃないかとか、総裁の任期を超えてなお、2年半という期間を設定したことに対して、与党内でも幾つか批判があるようですけれども、この仮に2年半となった場合、この期間について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)それは、日本国にとってどうなのだという判断をするのが、政治の責任というものであって、それは総裁の任期とか何とか、そういうようないろんなカレンダーをめぐっての議論はありますが、要は国民にとってどうなのか、日本国にとってどうなのかということが、常に判断のベースにあるものだと思っています。ですから、総理が任期の延長とか何とかいう話ではなくて、これが日本国にとって一番良いのだというふうに御判断になったということではないかと推測をするものであって、邪推とは言いませんが、いろんなお考えは、それはあるでしょう。しかし、それは国家、国民のためを思って判断をした。それは結果が示すことでありますし、国民が判断をされることであって、そういうような判断を総理はしているというふうに、私は推測をするものであります。
(問)まだ正式ではないと思うんですが、消費税増税の先送りということになっていった場合に、地方創生の交付金であるとか、昨年の予算編成過程などで、一応地方側といろいろな議論があったかと思うんですけれども、この先、そういった地方創生の交付金など、地方創生関連の財源に対する影響というのは、どのように御覧になっているか。現時点でのお考えを教えてください。
(答)それはまだ決まっていないから、まだ概算要求もなされていない段階で、財源をどうするか等、言及するのは時期尚早だと私は思いますが、要は、日本全体の経済を考えたときに、8割は製造業以外が占めているわけですね。その8割が占めている製造業以外、その多くが中小零細企業であり、その多くが地方に立地をしているということを考えた場合に、また、私どもはトリクルダウンという理論を使っておりませんので、そういたしますと、それぞれの地方に立地する製造業以外の産業の生産性というものを、いかに高めていくかということが、極めて重要なことだと思っております。
 地方創生の中で、確かに交付金というものが、一定の役割を果たすのですけれども、それはそれぞれの地域が、官民連携というふうに申しますが、官民が連携し、地域間が連携し、政策が連携する。政策がというのは、それは政府の側から見てそう見えるという意味ですが、それが連携する。そのことによって、いかにして生産性を上げるか。人口が減少する中において、生産性を上げ、雇用を安定をさせ、そして単に雇用が安定するだけではなくて、それがグッドジョブと言われるような、給与が高く、社会保障の環境が安定するというのを、どう作り出していくかということですから、限られた財源の中で、どうやってそういう政策効果を上げていくかということが、極めて重要なことだと思っております。
 それは、この1年8か月ぐらい全国を歩いていて、交付金があったのでというような、そういうものもあります。しかし、そのベースは、官民連携や地域間連携があって初めて生きるものだと思っています。ですから、そういうようなベースとなる政策連携であり、官民連携というものが、今後更に進んでいくべきものだ。お金は多ければ多いほどそれは良いんでしょう。ですけれども、そこに受けるベースの発想というものに、今までと違うものがなければ、お金をどんなに出しても、それは生きないということだと私は思います。
 ですから、金額ありき、もちろん金額は多い方が良い。安定した継続的なものが良い。しかし、そこのベースになるような考え方を引き出していくという努力を、随分としてきたつもりであります。ですから、そこが更に問われていくのではないかと私は思っております。
(問)すみません。ちょっと話戻って、2年半の部分の先送りのことなんですけれども、外形的に見ますと、2年半を延ばすということは、例えばプライマリーバランスの黒字化目標であるとか、社会保障費の財源に充てる、充当するという面で見れば、影響は必ず出てくると思うんですけれども、それはいわゆる、ツケの将来世代への先回しにもつながると思うんですが、そうしたことは大臣は常々避けなければならないとおっしゃってきたと思うんですけれども、もし、そういう2年半を、本当に総理が決断されて、そういうことをするときには、当然その辺についての説明も必要であるというような認識でしょうか。
(答)それは当然のことです。ですから、社会保障の、私は充実という言葉を余り使わない。もちろん充実するのが良いに決まっている。しかし、もっと重要なのは、それは今さえ良ければ良いということではないでしょう。それが持続可能な制度として、サステーナブルなものとして、機能するかどうかということであります。
 そういたしますと、社会保障の考え方、私がかねてから申し上げているように、医療にしても、介護にしても、あるいは年金にしても、それは基本的に保険なのであって、贈与ではないと。本当にいかに困難な立場にある方に、手厚い手当てを行うかということについての、見直しはそれは必要なのであって、それが持続可能ということなのだと思います。そのときは、みんなハッピーなように見えて、次の時代は制度そのものが立ち行かなくなったと。そんな無責任なことをしてはいけません。それは、この予算委員会においても、そういうことをするとはけしからんと。全くそういうことをやらないとここで言えというような、そういうような御質問も、随分総理に対して寄せられたものでありますが、重要なのは、持続可能性ということだと思っています。そこにおいては、徹底的な検証が必要であり、例えば医療というものを考えたときに、今の医療保険制度というものが設計をされたときは、制度を適用される方々の原因を分析すると、急性疾患が多かったわけですね。それが今は、もちろん病気でありますから、急性疾患に対して適切な対応はなされなければなりませんが、慢性疾患が主体となってきている。そこで、この医療保険制度というものをどのように考えていくのか。これは厚労大臣の所管ですから、どう考えていくのかという私の問題意識だけ申し上げておきますが、そういうことがございましょう。
 あるいは、そういう慢性疾患にならない、あるいは急性疾患においても、それを止めるような、そういうような手だてというもの。つまり、そういう医療保険というものによらずして、自らの健康というものを維持するための方策等、いろんなものがあるのだと思っています。
 また、財政を考えたときにも、これから先の社会保障の在り方というものが、徹底して論ぜられなければならない。そのときに、本当に何が持続可能なのかということを、正面から有権者の方々にこれから先訴える、そういうような真摯さと努力、熱情というものが我々には求められているのだと思っております。
(問)大臣、以前に出ていたら申しわけないんですが、先日20日に、まち・ひと・しごとの創生本部の会議がありまして、このときの基本方針というのは、今日閣議決定されたんですか。
(答)いえ。今日はそのようなことはいたしておりません。また、いつ行うのかということは、可能な限り早くということですが、今日行われたということはございません。

(以上)