石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年5月13日

(平成28年5月13日(金) 9:15~9:26  於:中央合同庁舎第8号館1階s106会見室)

1.質疑応答

(問)地方創生のインターンシップについてお尋ねします。
 東京一極集中の緩和の一環として、インターンシップの導入を検討されているとのことですけれども、この狙いについてお願いできますでしょうか。
(答)これはなるべく早く実現したいと思って、今、部内で検討し成案を得るべく鋭意作業をしているということですが、東京一極集中というのはなぜ起こっているかというと、つとに申し上げておりますとおり、高等学校を修了して大学等に進学する際に、一回東京に人口流入の波が起こる。
 もう一つは、大学教育等を了して社会に出るときに、そのまま東京にとどまっている。別にそれは人口増を招くものではありませんが、そのままとどまっている。そして、そこで他の地域で大学等の教育を了した者が東京へやってくる。
 そういう二つの波があるわけで、そうすると、地方においていろいろな職場があるのですけれども、それを体験し、そこのいろいろな良さを知るということは極めて重要なことなのであって、これは4年次にやっても仕方のない話で、2年次ないしは3年次、3年次でも遅いのかもしれませんが、これは我々の頃と就職の状況は変わっているので、そこは一番効果的な時期を選んでいかなければなりませんが、その時期に地方のいろいろな職場において、インターンというものを体験する。そこにおいては、企業のみならず、商工会議所等、あるいは当然のことながら、自治体に果たしていただかなければならない役割がたくさんあると思っております。
 また、そこでインターンというものを受けることが、ここは文科省等とよく協議しなければいけないところでありますが、単位が取得できるというような形がとれることが望ましいと考えております。
 実際、地方に職場がないかというとそんなことはない。よく広島の方々がお話しになることですが、広島には世界でナンバーワンとか、オンリーワンとか、そういう企業がたくさんあります。しかし、人は来てくれません。それは検討した上で、待遇が自分の望むものと合致しないので、ということもあるけれども、そもそも知らないということもあるわけで、広島出身の学生さんが、広島にこんなすてきな企業があるということをそもそも知らない。知っていてもどのようなところなのか見たことも聞いたこともないということが、一つの原因となっているのではないだろうか。広島に限らず全国そうだと思います。
 とにかくそこにおいて、どういう企業があるかを知る。そしてまた、そこにおいて、地元へ帰ろうかというような意欲を喚起する。そのためにインターンシップ制度というものが使えないかということで、今、鋭意作業をしておるというのは、冒頭申し上げたとおりであります。大意、そんなことだと思います。
(問)なるべく早く実現ということですけれども、導入のめどについては、いつ頃お考えでしょうか。
(答)ここは、文科省とよくお話をしなければいけないので、うちが断定的にこうだということは言えません。ですから、なるべく早いうちにということで、早ければ来年ぐらいからでも出来ないかなと。今年はもう既にそういうような状況は、今から作るわけにもいかないので、最速でいつ出来るかと。来年ということは本当に可能なのか。
 スタートしたは良いけれども、全然活用されませんでしたということになっては元も子もないので、やるからにはそれがきちんと機能するようにしたいと思っております。なるべく早くこの制度が十分に機能するような、そういうような状況を作るべく努力していくということでございます。
(問)ちょっと日が空いてしまったのですけれども、アメリカのオバマ大統領の広島の訪問が決定しました。このことについて石破大臣、訪問についての御感想と、あと、オバマ大統領は「核なき世界」というメッセージをずっと発信されていらっしゃいますけれども、このことについて所感を伺えますでしょうか。
(答)これ、担当ではございませんので、そのことをお断りした上で申し上げます。
 これは合衆国大統領、原子爆弾を広島・長崎に投下した合衆国の大統領が被爆地を訪問されるということは、極めて画期的なことで、大きな意義を有するものだと思っております。
 総理、あるいは岸田外務大臣、あるいはいろいろな関係の方々のたゆまぬ努力の成果だと率直に思っておるところであります。
 ここは、報道でしか存じませんので、この意義について合衆国政府、あるいは大統領がどのようにお考えかそこは分かりません。しかし、報道で知る限りにおいて、これは謝罪を意味するものではないと言われておりますが、それを強調するよりも、やはり訪問されることに大きな意義があるということだと私は承知いたしております。
 核なき世界というのは、オバマ氏が大統領就任前、あるいは就任時直後よりおっしゃっておられることであって、それは唯一の被爆国たる我が国として、核なき世界の実現に向けて、今後とも努力するということで、大統領の思いと一致したものだと考えております。
 ではどうすれば核のない世界が作れるのかということで、これは非人道的であるので、使うことは許されないと、こういう話になるのですけれども、では、通常兵器は非人道的ではないのかということになる。人を殺傷するという意味においては、核兵器も通常兵器もどこが違うのだという話になる。
 それは、核兵器は核兵器でありますがゆえに、人体に対して相当の長期間にわたって、あるいは次の世代にわたっても影響を及ぼすものであるという点が違うのだという議論なのか。そこは当局において真摯な、精緻な議論がなされるということだと思っております。
 他方、実際に核というのは、広島・長崎で使用されました後に、使えない兵器として使ったらおしまいということで、その抑止力というものを発揮してきたものでありますが、これを使える兵器だと考える、そういう国又は国に準ずる組織、あるいはそれにもならないテロリストとかテロ集団とか、そういうものがそういうような意識を持ったときに、今までの理論というのは根底から再考を余儀なくされるものではないかと私自身は考えておって、仮にそういう組織又は主体が出てきたときにどうなるのだという話は、これは全く所管外ですので、私は個人的にどういうふうに突き詰めて考えるかということだと思っております。
 そうしますと、これに対して拒否的抑止力、即ち、そういうものを使っても何ら企図する結果は発現しませんという意味での、ミサイルディフェンスなんていうのは正しくそうで、それを撃っても必ず撃ち落としますということになれば、それは企図した結果は発現しないわけですよね。
 あるいは北欧の国々、特にスウェーデンが営々と努力してきたように一定以上の大きさの建物の下には必ずシェルターを作るということが義務付けられているわけであって、もしスウェーデンに対して核攻撃を加えようとしても、スウェーデン国民は一人も傷付かないもだということによって、企図する結果が発現しないという意味での拒否的抑止力、そういうものを作ってきたということもございますでしょう。仮に使える兵器だと思った者がいたとしても、拒否的抑止力が発現されていれば、それは意味がなくなるということであって、あらゆる角度から核なき世界というものを作るために、それぞれの国において、あるいはそれぞれの立場にある方において、真剣な議論がなされるものであり、これは個人的に私としても従来から研究してきたテーマなのであって、これは全く政府の一員としての発言ではないことを重々お断りの上で申し上げますが、そういうような議論が更に高まっていく。そういう要素として今回の大統領訪問を、私個人としては受け止めておるもので、極めて大きな意義があるものだと認識いたしております。

(以上)