石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年4月8日

(平成28年4月8日(金) 8:51~9:03  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 平成27年度昨年度の補正予算に盛り込まれました地方創生加速化交付金、この2次募集につきまして、本日より受付を開始するものであります。
 この加速化交付金には1,000億円準備をしておったわけでありますが、3月29日に第1次交付分として906億円交付決定をいたしたものであります。
 残余の94億円につきまして、こういう自治体を対象として2次募集を行います。すなわち、1つ目は全ての事業が不採択となった市区町村、2つ目は広域連携事業のみが採択をされて交付決定額が3,000万円以下の市区町村、3つ目は申請をしなかった市区町村ということであります。この3つのカテゴリーを対象として、残余の94億円について、6月17日を受付期限として2次募集を行うものであります。
 以上が予算関係。
 次は、もし国会の状況が許せばという話でありますが、来週月曜日、神奈川県鶴巻温泉にございます旅館「陣屋」を訪問し、知見を得たいと思っております。
 これはあちこちで申し上げていることでありますが、アメリカ合衆国のサービス業の生産性、これを100といたしますと、我が国のサービス産業は53.9ということになっております。飲食、宿泊につきましては、これが25とか26とか確か4分の1ぐらいの数字になっておるはずでございます。
 地域経済の7割は飲食、宿泊、医療、福祉等々、これは金融とか建設とかそういうものも入りますが、地域経済の7割はサービス業が支えておるわけであります。この生産性が、合衆国のみならず他の先進諸国と比べても低い水準にあります。
 なぜ陣屋かといいますと、ここは本当にかなり経営が厳しかった。リーマンショックを受けて赤字が続いていましたが、ITを活用して、これを4年間で売上げを60%改善し黒字経営に転じたという、この種の経営の中ではトップランナー的な役割を果たしているものだということで、その筋では有名なお話でございます。
 これから先、先般の観光についての2020年を目途とした数字が発表になっておることでもございますが、実際にどのようにして生産性を上げていくか、どのようにして顧客に対する利便性というものを向上するとともに、そういう宿泊を増やしていくか等、ここから学ぶべき点は多いというふうに考えておるものであります。
 今月中には、昨年来、地域で開催をしてまいりました「地域しごと創生会議」の中間取りまとめを行う予定でございまして、その観点からも非常に参考になるものではないかと。何せ行ってみないと分からないことは一杯ありますので、もし国会の状況が許せばということでありますが、こういう計画をしておるということであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今御発言のありました陣屋についてですけれども、ITを活用して効率化を図って、その経営を改革していったという話だと思うんですけれども、国としてこういった分野で今後出来る支援というのはどういったことが出来るのかということを考えていらっしゃるのかということと、あと、この陣屋は社長が確かエンジニアの方で、その知識を活かして立て直されたということだったと思うんですが、この地方創生に関する人材ですね、そこについての必要性というのはどうお考えでしょうか。
(答)民間の経営のお話ですから、国としての支援として、こういうものだということを断定的に申し上げることは難しいというふうに思っております。
 ただ、陣屋モデルといいまして、どのようにしてITを活用し、どのようにして従業員の方々の動線というんですかね、それを全部ITを使ってやってみると非常に効率化する部分が多い。お客様へのサービスというものを維持・向上させつつ生産性を上げるにはどうすれば良いか。あるいはお客様のいろいろな情報というものを、もちろん個人情報には十分に配意をしつつ、情報を、言葉の使い方は難しいんですが、管理をし、リピート率を高めていくか等、そういうモデル、陣屋モデルと言われているんだそうですが、そういうものがあるんだそうです。それを広く、地方に限りませんが、そういう宿泊業に応用して生産性を高め、顧客の利便性を上げ、そしてリピート率を上げていくというようなことの展開が図れるのではないか。そのために国として情報提供すべき点があるのではないか。
 また、これは主に観光庁の領域のお話になりますが、インバウンドの数を増やす場合に、どうしても東京、大阪、京都、ここにおいてもちろん民泊は活用してまいりますが、なかなか急にホテルを増やすということにもならないだろうということであります。そうすると、地方において稼働率の低い、そういうような旅館というものの稼働率を上げていかないと数字の達成は難しかろうというふうに思っております。
 これは私どもの領域ではございませんが、そういうものがかなり老朽化をし、耐震化これあり、改修の要があるということでありまして、そういう地方の旅館をどのようにして活用していくかという観点から、私どもとして観光庁、観光庁のみならず他の省庁も関係すると思いますが、そこにおいて国の支援のやり方というものは考えていかないといけないことが多いだろうと、漠然とした話ですが、そのように思っておるところであります。
 また、この方は自動車会社にお勤めの方であったと承知をいたしております。そのいろいろなノウハウというものを旅館経営に活かしていくということですね。
 これはほかにも幾つか例があって、自動車経営とかそういう話ではありませんが、星野リゾートなんかの場合にも、ここの社長さんは老舗の長野県軽井沢であったと思いますが、旅館の跡取りでありました。合衆国で学んでいろんな新しい経営のやり方というものを習得して、そういう旅館経営の在り方に新たなモデルをもたらしたというふうに理解をいたしておるところであります。
 ですので、そういう他業界、生産性を上げてきた他業界、あるいは海外と競争してきた他業界のノウハウで応用出来る部分というのはたくさんあるのではないだろうか。例えば、農業において製造業のそういうノウハウを入れると相当に変わるわけですね、林業でもそうです。ですから、他業界、なかんずく製造業のいろんなノウハウというものはサービス業に使える部分が非常に多いだろうというふうに思っております。
 それから、人材の活用において、先般、広島で御紹介したような事例もありますが、つまり、あそこはマツダでかなり高い地位までいかれた方が、そのノウハウを活かして広島における人材の確保・育成にいろんな努力をしていただいているわけです。
 ですから、これから先、今年は「地方創生カレッジ」というものも創設をすることにいたしておりますが、そういういろんな人材の活用方法というのを積極的に考えていかないといけないと思っております。そういうことによってサービス業の生産性を上げ、地方における雇用と所得というものを創出し、人の流れというものを地方にもたらしたいという具体的な手法として人材活用は最も重要な部分を占めるものだと思っております。

(以上)