石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年4月5日

(平成28年4月5日(火) 8:43~8:56  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 本日、総理及び財務大臣から、平成27年度補正予算及び平成28年度当初予算について、早期執行につき発言がありました。27年度補正予算につきましては、大きな金額を占めた地方創生加速化交付金については、先般、その大宗について交付決定を行ったところであります。1,000億のうち906億円であります。また、平成28年度当初予算の地方創生推進交付金1,000億円につきましては、安定的・継続的な制度とするため、地域再生法に位置付けるべく、改正法案を国会に提出しており、現在、参議院で御審議をいただいておるところであります。総理、財務大臣の発言の趣旨を踏まえまして、まずは地域再生法改正法案の早期成立・施行を目指してまいりたいと考えております。
 もう一つは、地方創生人材支援制度の平成28年度派遣であります。先日この場で申し上げましたが、新年度となりまして、44名の派遣者が4月1日より各市町村に着任をいたしております。内訳は、お配りをしておるとおりでありまして、国家公務員29名、大学研究者3名、民間人材12名ということであります。派遣市町村において地方創生関連施策の推進の中核を担い、市町村長、役場の職員、住民の皆様とともに、当該市町村における地方創生を推進すべく、御尽力をいただきたいと考えておるところであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭御発言がありました予算の早期執行の件なんですけれども、政府は、公共工事、公共事業などを早く執行してということのようですけれども、これは、地方創生の交付金なんかは、市町村が計画を作って、それを選んでとかというような作業なので、若干なじまないような印象も受けるんですけれども、これはどのように対応されるんでしょうか。
(答)補正において加速化交付金、正しくその名のとおり加速化でありますので、今行っている事業というものを加速すべく、これは早期執行が当然可能なものだというふうに思っておるところであります。
 当初予算につきましては、現在、この制度設計について法案を出しておるところで、まず、この成立を見なければどうにもならないということなのであります。これもそれぞれの地域において、いかに早く効果を発現するかということも重要な要素ですから、それは自治体においてお考えいただいていることだと思います。もちろん公共事業とはその質を異にするものですから、何でも良いから早期に執行して早期に効果を上げてくれというようなものではありません。性格は違いますけれども、それぞれの地域において、この時点において、さあどうしようなどということがあるはずはないのであって、それは決められたことを決められたルールに基づいてやっていただきたいし、その効果が発現をするということによって、また次年度へつなげていくということになるものだと思っています。
(問)関連ですけれども、そことの、市町村などの自治体に、できるものはなるべく早く執行するように、働きかけを行うということになるでしょうか。
(答)それぞれの市町村がいろんな事情をお持ちですから、これは政府として一律に早くやってくれというようなものではない。そこは公共事業とは異なるところだと思っています。
 ただ、市町村においても、やはりその効果の発現の早かるべく、努力はされるというふうに承知をいたしておりますので、各自治体の進捗状況というのを見ながら、必要であればそういう慫慂(しょうよう)のようなことを行う必要が生ずる場合が、ないとは言えません。
(問)所管外で恐縮ですけれども、野党の安保関連法廃止法案についてなんですけれども、3日のNHKの番組で自民党の高村副総裁が、自民党国対によると、一部の民進党議員から審議しないでくれと言われていると暴露した発言が波紋を呼んでいます。民進党の岡田さんや蓮舫さんは事実と違うと抗議をしてるんですけれども、一方で谷垣幹事長が、我々の社会には建前と本音があると擁護しているんですけれども、安保政策通として、大臣、何か所見があれば。
(答)これは、事実関係は知りません。全く、そんなことがあったかも、なかったかも知りません。民進党の中でそういう御発言があったかどうかも知りません。
 でも、出したからには早期審議をしてくれというのが当たり前のことであって、本音と建前っていうことが世の中にはあることなのですけれども、余りにそれが際立つと、一体何なんだ、これはということになるのではないだろうかということです。
 我々が昨年、安保法制というのを出しました。その裏返しになるわけですから、集団的自衛権なるものが国連憲章の中にわざわざ、加盟国固有の権利として位置付けられたのはなぜなのかと。それは、常任理事国の拒否権というものがあって、侵略を受けた国連加盟国が、国連の決定があるまでの間、すなわち、常任理事国が反対して国連の行動が起こせなかったという場合に備えて、その行動が起こるまでの間、個別的自衛権、集団的自衛権の行使はこれを妨げないと書いてあるのですが、そのことをどうお考えなのでしょうかというそもそも論ですよね。
 あるいは、憲法違反だと、こうおっしゃるわけですが、何々大学の何々先生はこう言っているよというのは、それはもうみんな知っています。ジュリストの「憲法判例百選」の執筆者のうちの何割が反対しているぞと。では、あなたはどう考えるのですかということですよね。創憲議会においては、個別的自衛権すら明確に政府は否定をしたわけです。それが個別的自衛権の行使というものに、これを憲法違反だと言う人は、私は寡聞(かぶん)にして存じません。では、そのときも立憲主義に反するという議論があったのだろうか。今回も立憲主義に反するとすれば、個別的自衛権も、あのときも立憲主義に反していたのだというふうにお考えなのですかとか、そういう素朴な疑問が私どもには、少なくとも私にはあるわけです。
 それは閣僚として申し上げることではなく、防衛大臣や自民党の安全保障調査会長をやった人間個人として思っているので、念のため。
 かてて加えて、領域警備法ということであれば、それはその趣旨には多くの人が賛同するのでしょうけれども、それが海上警備行動とか治安出動を核にするものであるとするならば、その領域警備たるゆえんは一体何ですかとかですね。
 そういう難しいテクニカルな話はともかくとして、そもそも戦争法制であるとか、立憲主義に反するとか、そういうことをおっしゃるとするならば、それは何ででしょうというスタートのところの議論は、やはり国民の多くが、どっちの言っていることが正しいのだろうねと。それが、こと憲法という国家の最上位法に関わるものですから、これも政党のスタンスをはっきり分けるものだと思っていますし、今の変容する社会情勢、国際安全保障情勢の中で、どう考えるかというのは極めて重要なことだと思っております。本音と建前などという、そういういいかげんなことを民進党が考えておられるとは私は夢思わないところでありますから、それはもう早期審議だということの環境醸成というものを、国会において民進党の方々が努力をされる。それを国会全体の中で判断するのは国会のお仕事ですので、政府の一員たる私があれこれ申し上げることでは全くございません。
(問)最初の質問に関わるんですが、地方創生推進交付金の件で、本来、公共事業とかとは性質を異にするというのはこれまで説明いただいているんですが、ハード事業について、1月に示された案、取扱案では、50%以上を超えると、それは対象外というふうな取扱案があったんですけれども、そういった予算の前倒し執行と絡みまして、そういった中身について、ちょっとハード事業の枠を広げるとか、これから成立に向けて、そういうお考えというのはお持ちなんでしょうか。
(答)現在のところ、そのような考えは持っておりません。やはりハードというものが中心になってしまうということは、この地方創生に必ずしもなじむものではないと。
 しかし、ハードは全然駄目ということにはなりませんので、ハードとソフトというものがストーリーとして一貫している、そのソフトの効果を発現するためにはこのハードがどうしても必要であるということで、50という数字を持っておるわけでございます。ですので、公共事業というか、ハードの部分も含んでおりますから、それは当然、早期執行をお願いしたいのですけれども、それによって企図しているソフトというものがちゃんと効果を生んでくれなければ困るわけであります。
 ですから、その部分は当然、効果の発現の早かるべく実施していただきたいということですけれども、その目的は飽くまでそこの政策が実現されるということであって、ハードそれ自体が自己目的化しているものではありません。それはもう自治体において適切に判断がなされるということでございます。

(以上)