石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年3月18日

(平成28年3月18日(金) 9:27~9:40  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 お待たせいたしました。
 地方創生加速化交付金につきまして、お手元に資料をお配りいたしております。平成27年度補正予算に盛り込まれているものであります。
 交付対象事業を決定いたしました。対象となりました事業数は、都道府県分291事業、市区町村も1,635事業、合計1,926事業を交付対象事業として決定いたしました。
 交付予定額は都道府県分296億円、市区町村も610億円、合計906億円であります。以前の地方創生先行型交付金の先駆的事業タイプは236億円、709事業でありましたので、これと比較いたしまして、地方創生の裾野が広がっていると考えております。
 また、地方創生先行型交付金の継続事業におきまして、一層の工夫が併せて見られておるところでありまして、交付金の名称のとおり、地方創生の加速化に寄与すると考えているものであります。
 大まかな傾向としてしごと創生、地方への人の流れ、働き方改革、まちづくりなど、地方創生の各分野から広く申請がなされておるものでありますが、今回の加速化交付金は、一億総活躍の緊急対策において、しごと創生に重点を置いているものでありまして、しごと創生の分野が6割と多くなっておるものであります。補正予算の性格になじむものと考えております。
 本日、地方公共団体に交付対象事業を連絡いたしました後、3月下旬の交付決定へと手続を進めます。
 今回、交付決定となります団体におかれましては、補正予算の趣旨を踏まえ、早期執行に努めていただきたいと思っております。
 残りの94億円についてでありますが、今後改めて全ての事業が不採択となった市区町村、広域連携事業のみの採択で、交付予定額が3,000万円以下の市区町村、未申請の市区町村を対象に、二次募集を行いたいと考えておるものでございます。
 本交付金によりまして、各地方公共団体において、地方版総合戦略の取組の先駆性を高め、レベルアップを図っていただくことを期待いたしております。
 後ほど事務方から説明いたします。詳細については、その場でお問い合わせいただきたいと存じます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)交付金の事業決定についてなんですけれども、26年度の地方創生先行型の補正の分と、今回27年度の加速化の分で、2回目ぐらいに市町村から募集されていると思うのですけれども、2回されて、市町村の方にどういう傾向が出てきたとお感じなのかということが1点と、あと、委員会などでも度々答弁されていますけれども、自治体側から提案を募って、その事業に対してお金を付ける意義については大臣、どのようにお考えでしょうか。
(答)傾向として、今回、地域間連携、官民協働、政策間連携等々、趣旨をよく把握していただいて、工夫していただいたところが増えてきましたという感じであって、なるほどこういうことであるのかということで御理解いただいているところが増えましたという感じは持っておるところであります。
 また、新型交付金もあるわけですし、また二次募集もあるわけで、更にこの流れが広がっていくと良いなと思っています。
 このやり方は、最初の頃はいろいろな御意見もあったし、今なおあるとは思いますが、私は委員会で何度かこの言葉を使ったのですが、共同作業だという認識を持っておりまして、そういう意識が醸成されると良いなと思っています。
 だから我々の側も、こんな面白いことが、面白いというか、意義深いというか、そういうのがありますねというふうに教えられることも多いですし、地方の側も、国が意図しているものが何なのかということを認識していただくことも多いので、お互いに教え教えられというか、そういう上・下とか、中央・地方とかいうのではなくて、一緒にやりましょうというのがこの事業の意義ではないかというふうに、私は思っています。
 今後ともこういう取組が続き、やがてはこれが稼ぐ地方というものが実現出来て、委員会で緒方林太郎さんがえらく大胆な提案をしていて、全部地方負担は交付税措置を、地財措置を伴わないようにしたら良いではないかみたいなお話もありましたが、それは一つの考え方だと思いますけれども、そういう方向へ向かっていくのかもしれない。ただその始動期というか、そういうのにあるような気はします。
(問)政府機関の移転の件でお尋ねします。
 今後、多分というか、来週にでも正式に決定する流れだと思うのですけれども、例えば省庁とか移転を決めた際に、その後、大臣、今まで国全体のためになるかどうかということが重要だとおっしゃっていました。では、国全体のために実際なっていくのかどうかというのは、移転後に何か検証とか、その後していく考えというのはあるのでしょうか。
(答)どうやって検証するのかということになりますが、それは、半年とか1年で「はい、国全体のためになりました」などという評価はなかなか難しいのだと思いますが、例えば実際どうなるかは別として、消費者庁とか文化庁とか言われていますよね。
 そうすると、そこが課題として抱えていることというのはあるわけです。消費者庁でいえば、やはりこれが毒ギョーザ事件なるものから、これはいけないということで、危機管理ということがきっかけとなって出来たものですけれども、そういう危機管理体制というものが遜色なく、あるいは更に充実したものになったか。あるいは消費者行政というもの、何も東京だけが消費者ではないので、消費者行政なるものが、より緻密なものになっていったかどうかとか、それはユーザーの側の実感だと思います。国民の側がどう認識するかということであります。
 地方に移ったので不便になってしまいましたとか、そんなことになっては大変なので、評価というのは、プラスもマイナスもあるでしょうが、要は国民生活に良い影響が及んだかどうかということでしょうし、文化庁でいえば、これはデービッド・アトキンソンさんがよくおっしゃることですが、日本の場合には文化財は保護の対象であって、活用の対象ではないよねという御意見もあるわけです。
 今まで、ともすれば日本の文化財行政というのは大事に大事に保護しましょう、寄るな触るなみたいなところがあって、それは、保護は大事です。しかし、同時に、それが広く活用される、その文化財の持っている価値、意義というものを、多くの人が知り、それを今に生きる一つの糧にするような、そういう文化財行政というのもあるかもしれない。
 これは例であって、文化庁とか消費者庁が移転することを前提に申し上げているわけではないのですが、そういうふうに、国民の利便性というか、そういうものが高まるかどうかというのは、ある程度の時間をおくと見えてくるものだと思います。
 こういう形で検証という、そういうような検証手法まで確立しているわけではないのですが、そういうようなものではないだろうかと思います。
(問)もう一点。国全体のためというのは、具体的に例えばどういうことを想定して、国全体のためというようなお言葉を使っているのかというのを教えてください。
(答)それは、中央省庁ですから、当然、国全体のために存在しているわけです。そしてそれぞれの所管があるわけで、その所管の対象は広く国民全体ですから、だから、国民一人一人にとって、例えば消費者行政などというものは、正しく国民一人一人が消費者なわけですから、そういうユーザーの利便性というものが上がったかどうか。それは広く国民を対象とするものでございます。
 また、危機管理ということで言えば、これまた国全体のためであって、文化財行政というものも国全体のためで、例えば文化庁が京都としますと、それは、京都は「良かった、良かった」という話なのでしょう。だけど、京都だけが「良かった、良かった」ではない。そこへ移ることによって、国全体の文化行政なるもののレベルが上がる。やはりそういうことが国のため、国のためというか国民のためと言った方がいいかもしれません。そういうものだと思っています。
(問)例えばですけれども、文化庁、京都に移したとしてですけれども、それは東京にあるより京都に行った方が、例えば北海道、九州、軒並み日本全国に対して良い影響が出るということを想定して、国全体のためと言っているということですか。
(答)私はそう思います。仮に文化庁だとすれば。文化庁でそういう立論をしようと思えば、そういうことなのでしょう。
 だから、もちろん東京にも文化はたくさんあります。そうだけれども、やはり日本の長い歴史の中で、文化財も含めた文化というものの一定の集積を持っているのは関西地方ではないだろうか。そういうものが近くにあった方が、よりリアルに捉えられるのではないだろうか。例えばこの霞が関、永田町周辺の文化財って何がありますか。
 ぱっと思い浮かばないですよね。仮に京都だとして、どこでも良いのですけれども、日々、文化財の近くで執務をする。通勤の途上で、あるいはお休みの日に、そういう環境の中で、いろいろな気付きも発見もあるのかもしれない。仮に文化庁だとすれば。
 それは広く日本全体が裨益(ひえき)することになるというようなことも、仮に文化庁を例として挙げれば、考えられるのではないでしょうか。

(以上)