石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年3月1日

(平成28年3月1日(火) 8:27~8:37  於:官邸3階エントランスホール)

1.発言要旨


 今日夕方17時15分から8号館におきまして、「地域の課題解決のための地域運営組織に関する有識者会議」の第1回会合が開催されます。地域運営組織の在り方、法人格の取得等の課題解決、全国での地域運営組織が設立や展開、活動の質的向上をいかに進めるかということについて、具体的な提言をいただくようお願いをしております。明治大学の小田切教授など10名の有識者で構成をし、6月ごろまでに基本的な考え方、夏ごろに中間報告を作っていただくようなスケジュール感を予定いたしております。
 先般の所信というか、委員会での発言でもこのことには触れましたが、地域において、自治会・協議会的な新しいそういう組織の活動というものを深めていかねばならないと思っています。小さな拠点というのを前回の地域再生法の改正にも盛り込みましたが、そのハード、医療とか教育とか介護とか買物とか、そういうものを小さな拠点に集約し、集落をネットワークで結ぶと。言わばハード的なものが内容なのですが、ハードだけでは意味がなくて、町村合併によって合併されてしまった側の町村において、相当行政の能力が落ちている。そして、そこにおいて急激な人口減少が進んでいるというのは否めない事実であって、町村合併を元に戻すわけにもいきませんので、そこにおいて新たな自治組織的なものを、全国にいろいろと活動はありますが、それに法人格を付与するか否か。付与するとせば、どのようなものなのか。今、NPOとか株式会社等、いろんな形態で運用されておりますが、それを国としてどのように位置付けるべきか等の議論をいただき、結論を出したいと思っています。
 私が農林水産大臣当時に、地域マネジメント法人というものを構想して、法律案を書き始めたのですけれども、政権交代によって雲散霧消(うんさんむしょう)してしまったところなので、もう一度その総括というか、見直しというか、それをやりたいと思っています。
 以上です。

2.質疑応答

(問)この有識者会議ですけれども、先週末の地方創生フェスでも、ある移住者の方から、パネリストの移住者の方からも、地域の組織リーダーの存在が移住の決め手になったと。自治体としてよりも、そっちの方が決め手だったと。自治体と地域運営組織の役割分担について、そういった関係から、どのようなお考えですか。
(答)これは全国いろんな例があって、あるところはミニ役場的なものを目指すんだと。要するに、合併されたところは町役場とか村役場とかなくなったので、ミニ役場的な機能を目指すんだと言っているところもあれば、それにとどまることなく、先般の津山市でもあった例ですが、JAが撤退したガソリンスタンドを運営したり、あるいは、買い物するのに非常に困難がある高齢者の方々に、スーパーに置いてあるものを、事前にカタログを高齢者の方々にお配りする形で届けて、手数料をいただく形で、そこから収入を上げるとか。これは合同会社という形態をとっていますが、いろんな形態があるわけで、これでなければいけないというつもりはないんですけれども、どういう形態が一番良いんだろうか、フレキシブルに使えるんだろうか、ということは国として早く方針を示さないと、そういうことに全く気付かないまま、どんどんと衰退していく地区もありますので、やはりカリスマリーダーがいればそれで良いというものでもないだろうと思っております。どういう形で全国にこれが早く広がっていくかということが一つの狙いだと思います。
(問)話題変わりまして、先週金曜日ですが、簡易の国勢調査出まして、初の人口減少、東京の一極集中が改めて浮き彫りになりました。今、選挙制度の議論進んでいますけれども、地方の声を国政に反映させるという観点からの、この選挙制度の議論、どのように期待されますでしょうか。
(答)国政ですから、憲法によって国会議員は国民全体の代表者として位置付けられているので、そこからすると、1票に格差がある、少なくとも2倍以上あるべきではないというのが憲法論ですが、現状を見てみると、やはり国会議員の数が多いということが地域のいろいろな思いをかなえる。我田引鉄的な話ではなくて、かなえているということも事実であります。
 憲法上の要請というものは何よりも優先されなければならないが、地域の声をどう届けるかということを考えたときに、やはり憲法上どう考えるんだという議論のやり方と、国会議員は国の利益のみを語るのであって、地域の利益はもう分権をもっと徹底させることにより、国会議員が多いから地域が繁栄し、国会議員は少ないから地域が衰退したなどということがないように、地方分権を更に徹底するというやり方と、非常に荒っぽく整理すれば、この二つのやり方なんだろうと思っています。ですから、我々として、そのどっちを取るのだということ。やはり議論をあっち行ったりこっち行ったりでは仕方がなくて、足して2で割るという形のものでも、これ多分ないだろうと思っていて、そこの突き詰めた議論というのは、この機会に行うべきではないかと思っています。
 ですから、地方の発展のため地方の議員は必要だということで、どんどん増やすのは、それはもう一地方の議員とすれば、それはあるべきだという話なんですけれども、では、それと憲法の整合をどう考えるのかというのは、やはり避けて通れない課題だと思っています。
(問)1点よろしいでしょうか。3月に入りまして、地方版総合戦略の策定、いよいよ今月末で、ほぼ全自治体出揃う見通しになっております。
 それで、改めましてなんですけれども、一言でも、どういった方向で各自治体、市町村、戦略を作ってほしいか。そういった大臣としての思いを、もう一度改めてお聞かせいただきたいと思います。
(答)これはもう千回ぐらい言った話ですけれども、いわゆる市役所が作れば良いとか、町役場が作れば良いとかいう話ではなくて、産業界、学問に携わる方、金融に携わる方、労働に携わる、労働問題に携わる方、言論に携わる方、いわゆる「産官学金労言」ということですね、そういう方々が全て参加する形で作られるもの。そして、きちんとした目標設定をし、企画立案、実施、検証、そして改善、そういうものがサイクルとしてワークすること。これはもう形式要件として当然のことだと思っていて、それを経て、それを具備してなされたものであるかどうかということは、もうマストの話だと思っています。
 その上で、一つの政策だけを実現するのではない、政策間の連携があること。そして、官民の連携があること。一つの自治体のみならず、広域の自治体においてのシナジー効果みたいなものが期待されること等。正しく、そこの町でなければ出来ないもの。日本全国同じような町ができ、日本国中同じように衰退していったということを教訓としてやっているわけですから、ここの町でなければ出来ないねというものを期待したいし、お願いしたいと思っています。
(問)今日、予算が衆議院通過の見通しですけれども、これまでの審議通じて、例えば地方創生に関連して、手応えがあったのかどうか。野党からの質問とか、全体に対してどのようなお考えをお持ちなのかお願いします。
(答)これは与野党対決物ではないのです。ですから、予算委員会の性格上、これはどうなんだと言って、対立点というものをクローズアップして議論するということにはならなかったと思っています。
 ただ、いろんな議論の中で、例えば、余りメインの議論ではなかったが、省庁の地方移転について海外の例を御紹介いただいた議員がおられました。あるいは、省庁の地方移転についての基本的な考え方についての御発言もあったと記憶をいたしております。ですから、地方創生全般についてはおおむね御理解をいただいたものであり、国会でそう取り上げられることもなかったのですが、各論において注目すべき議論は幾つかあったかなというふうには思っております。
(問)ちょっと具体的には、どこら辺が注目されたのですか。各論だと、どの辺りが。
(答)文化庁はどうするんだとか、統計局はどうするんだと、徳島県とか和歌山県とか、いろんなことが、地名が挙がったりしています。実際にまだ何も決まっていないけれども。では、何でそこなのと。それが何で地方創生という。その地域の利益にはなるかもしれないが、全体の利益にどうしてなるのか。海外ではどんな例があったのか等ですね。イギリスの例の紹介は非常に面白かったですね。

(以上)