石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年2月12日

(平成28年2月12日(金) 8:56~9:11  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 昨日2月11日から13日土曜日まで、福岡県におきまして第2回日本ジビエサミットが開催をされております。昨年の第1回は鳥取県で開催されたのでありますが、第2回は福岡県ということであります。明日、13日土曜日、10時10分より、私が「ジビエへの期待と地方創生」という題で講演をする予定であります。
 近年、そういう害獣によりますところの農産物、農作物への被害が急増しておるわけで、今、捕獲をした鳥獣というものが活用されることなく埋却処分になっているのが非常に多いわけであります。経済という観点から考えたときに、その昔、ケインズが、穴を掘って穴を埋めても、それは立派な雇用だとかいうことを言ったとか言わないとかいう話ですが、経済を回すという観点からすれば、これをジビエとして有効に活用することが極めて意義のあることであると考えております。
 この鳥獣が激増しておりますのは、ハンターが高齢化をしたとか少なくなったとかいうことより、捕獲圧力が弱まったからだという説があるが、そんなことはない。捕獲頭数は飛躍的に増えているので、そんなことは私はないんだろうと思いますし、また、天敵であるオオカミが絶滅したからだという説もあるのですが、オオカミが絶滅したのは最近のことではないのであって、それは謬説(びょうせつ)ではないかということであります等、ジビエ議連の会長でもございますので、このジビエへの期待と地方創生という講演は、よく構想を練ってやりたいなというふうに思っておるところであります。
 以上。

2.質疑応答

(問)今のジビエの話なんですけれども、肉として有効に活用するためには、獲らえた獣を速やかに肉に加工するということが必要かと思いますけれども、そこにはいろいろな制約なり、場所をどう確保するかという問題も難しい問題があると思うんですが、そのあたりはどのように今後対応していかれるでしょうか。
(答)これは、御指摘のとおりどういうふうにして獲るかということの獲り方があり、これは銃で撃つ場合には肉の劣化を来すので頭とか首とかを狙って撃たないといけない。また、獲り方として近年罠が増えているというのはそういうことにもよるものであります。
 それから、御指摘の加工ですね。捕獲してから解体をし、肉にし、多くのところで行われているところですが、冷凍までいかに短時間で行うか、そして、そこにおいてマニュアルにのっとった信頼性の高い処理がなされるか。早ければ良いというものではないので、そこにおいていかに衛生的な処理がなされるかということ、そして、それをどのように売るか。売れませんと、結局そういう肉が冷凍で保管庫に積み上がるだけになってしまいますが、日本において、いわゆるジビエというものを1年間に1回も食べたことがないという人も結構いるはずなのでありまして、1人当たりの消費量というのは本当にごく僅かであります。例えばフランスの何キロという単位に比べれば全然違うということがあります。これをどうやって消費者に安定的に供給するかということ。
 ですから、捕獲の段階、加工処理の段階、販売の段階、この3つにそれぞれ問題があるので、なかなか普及をしないということですが、近年、政府としても、また自治体としても、その3つの段階において何が隘路(あいろ)であり、何を改善すればいいかということについて大分知見も高まってきたと承知をいたしております。また、いわゆる先行型の交付金等、そういうものを活用して、これをいかにして地域の活性化につなげていくかということが、ここ数年というか、ここ一、二年というか、急速に議論の熟度が高まり、実行が全国で行われているというふうに承知をいたしております。全国1,718、もちろん都市部の自治体もあるわけですが、そこにおいて先駆的な取り組みというものをいかにして我が物にしていくかということ、このような取組を通じて普及するということが必要であって、今、大体被害総額が200億円ぐらいあるわけです。若い方々が狩猟免許を取る、特に女性の方が免許を取るのが最近増えているのですが、しかし、それよりもはるかに高齢の方々がリタイヤするというのが多いわけで、ハンターの数というのは増えておりません。そういう点も合わせて取組を強化したいというふうに考えておるところであります。
(問)昨日のふるさと知事ネットワークとの会合で、大臣が、政府機関の移転について2月、3月が勝負だというふうにおっしゃっておられました。推進するお立場の大臣として、この2月、3月にどういう姿勢で移転の問題、要するに霞が関を動かすのにどういう姿勢で臨まれるのか。
 あと、昨日ちょっと触れられていらっしゃいましたが、自治体に対してどんな期待を持たれていらっしゃるのか、お願いします。
(答)先般の予算委員会の質問で民主党の議員から、彼の表現を借りれば「しょぼいではないか」とか、「なんちゃって移転ではないか」みたいな御指摘がありました。それはいろいろな御批判、御指摘があるのは当然のことでありますが、実際、今までやったこともないお話でございます。そうであるだけに、いろいろな軋轢(あつれき)というのか、批判というのか、あるいは抵抗という言葉が良いかどうかは別として、そういうものがあることも当然のことであります。
 ですから、国の行政機関であります以上は、最低限今と同じ行政機能は維持しなければならない。出来れば、移すことによって更に国民に対する行政機能が高まるということであれば、それは移転を拒む理由はないのだと思っております。ですから、移すことに意義があるというよりも、移していかに国民の利便というものが向上するかということを考えていかなければなりません。そうでなければ、今と一緒だったら今で良いでしょうということになってしまいかねないのであって、他方、そんなことを言ったって、地方に中央のそういうものを移すということで、東京よりも利便が高まるはずがないではないかと、そうであれば一つも駄目ではないかという御批判がありますが、私は必ずしもそうは思っていない。やはりそこへ移すことによって、より行政の質が向上するということも合わせて考えていきたいので、反対のための反対とか、あるいは移転のための移転とか、そういうことは余り説得力がないお話だというふうに思っております。
 地方に対しましては、なぜそこなのだということ、今申し上げたことの文脈で言えば、なぜそこなのだ、なぜそこへ移すことが国民全体に対する行政の質の向上につながるのかということをぜひ言っていただきたいということ。
 もう一つは、地方にこのことに対する負担ということを求めるかどうかということも議論になるところですが、自主的に環境を整えたいということまで排除するものではございません。それは、お金のあるところが得して、そうじゃないところが劣後するということを意味するわけではありませんが、例えば教育とか、あるいは通勤の利便性でありますとか、あるいは居住環境でありますとか、そういうものに対してきちんと整っていますよというような、そういう地方側のお気持ちというのもぜひお願いしたいと思っております。
(問)すみません。所管外だと思うんですが、ちょっと世紀の大発見というか、重力波が観測されたというニュースが飛び込んできましたけれども、大臣、これの率直な受けとめをお願いします。
(答)これは、アインシュタインの仮説から100年経って、世界中の科学者がこのことの立証に向けて努力をしてきたということであります。では、この理論について説明しろと言われると、説明するだけの能力を私は持ちませんが、日本もそれに向けて努力をしてきたわけで、今回それが更に実証される、そういうことにおいて日本がそれなりのふさわしい役割を果たし、世界全体の科学の進展に寄与すれば良いなというふうに思っておるところであります。何にしても、科学者の方々というのはすごいものだねというのが私の実感でございます。
(問)今度は話が変わって、育児休暇の取得を宣言していた宮崎議員が、一部報道で不倫していたと報じられています。本人は今日にも会見するようなんですが、国会議員が育児休暇の取得を宣言したことで、男性の働き方について考える機会を与えたという貢献の形はあったと思うんですけれども、ただ、御本人がこういうことをされたということで、マイナスのイメージ、要は育児休暇に対して悪影響の見方も出てくるんではないかという考えもあるようです。もちろん参院選への影響とかを不安視する声も党内にあるんですけれども、大臣、改めてちょっと、もしお考えがあればお聞かせください。
(答)本件に関して言えば、宮崎議員が今日会見をするというふうに聞いております。これは本人がどのように考えるか、本人でなければ分からないことなので、それを聞かないままにあれこれ申し上げることは余り適切ではないというふうに考えておるところであります。
 それはそれとして、男性が働き方を変えていかないと、女性活躍と言うのだけれども、これもいつも申し上げておることですが、十数年、数十年かな、前は、女性の30歳といえば3人目のお子さんを出産されるのが30歳であったと。今は30歳といえば、1人目のお子さんを出産されるのが30歳だということでありますからして、女性の社会進出、社会活躍が広まっている中において、30歳という一つの節目で、我々でもそうでしたけれども、30歳になってくると、企業とか組織とか地域とか、そういうところにおける責任は重くなりますねと。御両親とか、あるいはおじいさん、おばあさんとか、そういう方々が高齢になられて、そのお世話も必要になってきますよね。そして、お子さんが生まれたばかりですよねということになると、場合によっては三重の負担が生じるわけであって、それを減殺していかないと、女性活躍社会というのか、そういう女性の能力を更に社会のために引き出すことにはなりませんねと。さすれば男性の働き方が変わらなければいけませんねと、こういう論理なわけですね。
 ですから、男性の方が時間をどう使うかということについて、男性は男性で考えなければいかんことだと思っております。男性が多くおられますので、みんなよく一緒に考えましょう。

(以上)