石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年12月24日

(平成27年12月24日(木) 10:26~10:51  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 本日の臨時閣議におきまして、「まち・ひと・しごと創生総合戦略改定2015」の決定を見たところであります。昨年末に「総合戦略」を閣議決定いたしまして以来、6月に同様に閣議決定をいたしました、「まち・ひと・しごと創生基本方針」を経まして、地方創生の取組を深化させてきた成果を今回、改定という形で反映をさせたものであります。当然のことでありますが、基本的な内容は維持をいたしておりますが、2020年度に達成を目指す基本目標KPI-重要業績評価指標というんですが-について、直近の値を盛り込みまして、PDCAサイクルが回るように心がけております。
 また、一億総活躍社会の実現と、TPPを踏まえた対応など、情勢の変化に即して政策パッケージを具体化、充実化させたものであります。さらに地方創生に向けた財政支援、情報支援、人材支援を地方創生版3本の矢として位置付けております。地方創生は計画策定の段階から、事業の本格的実施の段階に入っております。平成28年度は、各地方公共団体においても、それぞれの「地方版総合戦略」に沿った取組が始まることになるわけであります。国といたしましても、今回の「まち・ひと・しごと創生総合戦略改定2015」に基づき、地方創生の取組をさらに深化・前進させてまいります。ということでございますね。
 同じく、臨時閣議におきまして、平成28年度当初予算の政府案が決定されました。このうち、まち・ひと・しごと創生に関する予算といたしまして、約2.6兆円が盛り込まれておるところであります。先に申し上げましたとおり、「まち・ひと・しごと創生総合戦略改定2015」においても、地方創生版3本の矢を、明確に記載をしておるところでありますが、今回の予算は「まち・ひと・しごと創生総合戦略改定2015」に盛り込んでおります政策パッケージ推進そのものに加え、この地方創生版3本の矢を裏づけるものになります。特に、国費1,000億円、事業費2,000億円の新型交付金を計上しておりまして、「地方版総合戦略」に基づく地方公共団体の先駆的な取組を支援する体制が整えられております。
 国会でこの予算を成立させていただきましたらば、先日、閣議決定をいたしました27年度補正予算と合わせ、地方創生に向けた、地方の具体的な事業を支援してまいりたいということであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)地方からも非常に注目されていた、創生推進交付金ですけれども、4桁に乗ったということですが、特に、このお金を使って地方にはどういった取組を期待されていくんでしょうか。
(答)これは、まさしく、いかにして加速をしていくかということだと思っております。このお金の趣旨どおりなのですが、それが満額付くところもあれば、そうでないところもあります。まさしく、その地域の知恵、力、というものが問われるということだと思っております。私、あるところから聞いたのですが、こういうのを作るのは非常に容易でしたというところがあって、非常に意外の感を持ったのですけれども、それは今までも、うちはそのようにしてやってきましたと。きちんとした目標を定め、そしてまた多くの人の参加により、そして検証の仕組みも盛り込みということで、それが今回の交付金によって、更に連携、他の団体との連携が深まる。あるいは官民の連携が深まる。そして、地方の金融機関等々がそのネットワークを使って、積極的にそれに参画をしてくれるというようなことであります。今まで自分たちがやってきたことが、さらにやりやすくなるというところが幾つかございました。逆に、そんなこと言ったってと、時間が足りない、人が足りない、金が足りないという、いつものようなことをおっしゃっておられるところもなかったとは言いません。ですが、この4桁というものが、その趣旨に合った使い方がなされるということ。まさしく地域における意識改革だと思っております。
 RESASというものを稼働させることによって、先般の政策コンテストもそうですが、一般の市民の方々が、数字に基づいた、行政に対するいろんな意見というものを言うことが出来るというのも、画期的なことだと思っておりまして、まさしく今までのやり方を大きく変えるものだという意味合いを込めて、これだけの額というお願いを国会に対してするものでございます。
(問)まち・ひと・しごと総合戦略関連でお伺いしたいと思います。企業版ふるさと納税が盛り込まれたと伺っておりますけれども、大臣はこれ、どのような成果を期待されますでしょうか。
(答)これは前回も申し上げたかもしれませんが、この趣旨は何かと言えば、それぞれの自治体において、どのようなKPIに基づく、どのような総合戦略を策定し、それにどのような事業というものが盛り込まれているか。何でもいいから、この税制優遇の付く寄附をくださいということではなくて、例えばその地域において、森林を再生したいのだと。そこにおいて森林の持っている持続性というものを取り戻し、そしてまたバイオマスというものも活用し、そういう資源循環型の森を再生したいのだというようなことを総合戦略の中に盛り込み、KPIを設定したといたします。それに賛同してくださる企業というものに対して、自治体のほうからお願いをすることになると。企業の側も、その趣旨に賛同する形で寄附を行い、それによって税制優遇が得られるということでございます。
 ですから、何でもいいからお金下さいという話ではなくて、総合戦略というものにきちんと沿った形での、いわゆる企業版ふるさと納税 が行われる。企業がそれによって、例えば、それをしたから指名をもらえるとか、そこの会社のものをいっぱい使ってもらえるとか、そういうことではない。それによって企業がその地域の新しい事業に、お金の出損という意味で参画をする。そしてイメージアップが図られるということを基としているものでございまして、これは単にお金を頂戴と、税制優遇はなされますよということではなく、いかなる総合戦略を考えるかということによって、その成果に差が出るというものだというふうに考えております。
(問)2点ありまして、1点は総合戦略の改定につきまして、改定という意味では初めてになられたと思うんですが、策定からの1年を振り返って、どのようにその達成状況を見ていらっしゃるかという点が1点と、2点目は予算案の件で、補正予算と合わせて2,000億円の交付金という規模になったんですけれども、財政状況がなかなか厳しい中でこれだけの金額を配るということに対する御所感と、あと、なかなか重複事業なんかも一部指摘されていたようなんですけれども、それに対する御所感をお聞かせいただけますか。
(答)今回の改定は先程申しましたように、基本的な内容は当然のことながら維持をしておるわけでございますが、2020年度というものを一つの区切りとしておりますので、そこを目指すKPIについて、一番新しい値というものを盛り込んだということでございます。ですので、数字が去年に比べてやや具体のものになっているということがございます。これによって当然のことでありますけれども、地方にPDCAだとか言っておきながら、国は一体何なんだということがございますので、PDCAサイクルの機能というものを心がけております。
 また、去年と比べて一億総活躍という新しい政策が入ってきたわけでありますので、この一億総活躍の相当部分は、この地方創生が担っていくものでございます。
 また、新たな事象としてTPPというものが入っておるわけでございますので、そのような情勢の変化に則した形での政策パッケージという形を作っておるものでございます。
 また、何でもかんでも三本の矢だというのも何となくはやりに便乗したようなところがあると言われたら困ってしまうんですけども、これは当初から財政支援、そして情報支援、人材支援ということを申してまいりました。それを地方創生版三本の矢として位置付けておるわけでございまして、それぞれの総合戦略に沿って、自治体がやっていくことを支援をするという施政を打ち出しているものだというふうに考えておるところでございます。
 また、この金額というものは、1つそのキーワードとして、地域の稼ぐ力という、稼ぐという言葉に抵抗がある方もあるかもしれませんが、それぞれの自治体がどのようにして生産性を上げ、経済を活性化をし、ひいては納税というものにさらに寄与することになるかということに使っていただきたいと思っておるものでございます。
 先進的なところは、それぞれの自治体がどういう産業構造になっており、どのようにして稼いでおり、それを上げるとしたらどういうような手法があるであろうかということを分析をしておられるものでございます。
 例えば、北海道のある地域において、いわゆる原材料というものを生産して、加工をする地域にそれを送るということで、相当の収入を得ているものだと。しかしながら、それをその地域で加工したらば、一体どれぐらいの収入が上がっていくだろうかというものを試算をして、そうすると所得ももっと上がるよねと。そうすると、当然結果としてですが、所得税であるとか法人税であるとか、そういうものにつながるよねと。もちろんその大前提として、その地域における企業の業績が向上し、そこにおいて働く人々の所得が上がるということがあるわけですが、今回の交付金というものは、それぞれの地域のそのような取組というものを支援をするためのものでございます。
 ですから、それを使って何らの経済効果も誘発をしないということであれば、それはKPIの設定としていかがなものかと。そして、PDCAのCの場面において、一体これは何であったのかということは問われることになるというふうに思っております。
 これは、大勢の方々の尽力によって確保をし、国会の審議をお願いすることになるわけでございますが、そこにおいて生産性を上げる、人々の所得が向上する、それによって稼ぐ力というものが増嵩するということを考えておるものでございます。
 重複につきましては、これは去年の国会でも随分と指摘をされたことでございまして、これがこのようにして重複というものが解消されましたということがきちんと国会で申し上げることができるように、今準備を鋭意進めているところでございます。
 そこにおいて、これとこれは似たような事業ではないかと。それがA省、B省、C省にまたがっておるではないかというものが、全部なくなったかといえば、それはそうではない。それは、政策目的が少しずつ違いますので。ただ、そこにおいて、ワンストップ化が図られているか、ユーザーフレンドリーというものになっているか、そういう点に着目をして、国会できちんとした御説明ができるようにしていきたいというふうに考えておるところでございます。
(問)この前、地方創生に関する交付金は、昨年度も補正予算で対応されて、今回も補正予算は1,000億円なんですけども、この当初予算に盛り込まれることの意義ですね。1,000億円が来年度の当初予算に盛り込まれることの意義について、お聞かせください。
(答)これは当初予算ですから、総合戦略というものが5年というものを区切りにしております以上は、切れ目のないものということでやっていかねばなりませんし、これを法律にきちんと位置付けることによって、もちろん国会の御審議を賜るわけでございますが、これが安定的・継続的になされるという意味合いにおきまして、当初予算に盛り込む意義というものは極めて大きなものがあるし、なければ安定性・継続性が損なわれるということだというふうに認識をいたしております。
 補正と当初というものが切れ間なく続くことによって、この地方創生の取組が加速・深化するということにならなければいけない。そのような予算の使い方をお願いしたいと考えております。
(問)新型交付金についてなんですが、大臣先程、自治体への配分というのは満額になるかもしれないし、ちょっと少なくなるかもしれないというようなことをおっしゃられたと思うんですが、仕組みとして、国が地方の要望を査定して配分枠を決めるということになると思うんですけれども、ともすると、地方の自主性というよりもDMOとかCCRCなんていった国の掲げた施策に集中して、地方が自主的に進めたい施策とは違う場合も想定されると思います。
 配分に当たっては非常に神経を使うと思うんですけれども、どんな形で客観性であるとか公平性を担保していくのか聞かせてください。
(答)それは、DMOとかCCRCとか、それは例示として出しているものであって、それでなければいけないということを申し上げているものでは決してございません。
 ただ、CCRCにしても、DMOにしても、今までなかった考え方でございますので、特にDMOなんかそうなのですね。CCRCがどこにも受け入れられるかというと、それはそうでもないところもございますが、新しい観光の取組でありますDMOについては、それを入れていかないで、どうしてその地域における誘客が可能なのかということは、自治体においてお考えをいただきたいことだと思っております。
 ともすればそこにおいて、行政の経験がある方、あるいは地域の観光に携わっておられた方々のみでそういう観光事業が行われ、予算の使い方も、単発のイベントであるとかそういうことに終わっていたのではないか。時代が変わりました以上は、やはりこのDMOの概念というものを咀嚼(そしゃく)をした上で取り入れるということは、有意義なことだと思います。
 このようなものでなくても、その地域におけるまさしくすばらしい取組であるというものが当然ございます。ですから、自治体においては、いやDMOもCCRCも良いけれど、何か新しい取組がないだろうか、今までの系列的な補助金の隘路(あいろ)となっているようなもの、すき間となっているようなものはないだろうかということは、まさしくその地域でなければ分かりません。霞が関でそんなことが分かったらば苦労はしない。苦労はしないというか、このようなことにならないし、このような交付金の意義はないものでございます。
 ですから、どんなに小さな自治体であっても、まず基本にうちの自治体の産業構造はどうなっているのかと。一体何が問題なのか、それを転換するためにはどうすれば良いかという侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論の末に出てきたものが、国の評価によって没になるとか、そんなことはございません。
 ですが、全くそういう取組がありませんと。旧態依然のものが相変わらず同じように出てきましたということであれば、そこにおいてどのような取組はなさってこられたのでしょうかということは、当然、決定するときの考慮の対象にはなるものでございます。
 ですから、国が決まったものを決めて、それでなければ駄目というのはむしろ逆で、それは例示であって、地域、地域で何をお考えになるのか。すばらしいものがいっぱい出てくると思います。それは、国が査定するとかそういうものではなくて、地方の自主性を最大限取り入れていくものだというふうな考え方でなければ意味がないと思っています。
(問)ちょっと先の話になるんですけれども、同様の趣旨の交付金というのは、平成29年度以降も設けるべきだという大臣はお考えですか。
 要は単年度だけではなくて、それ以降も継続するお考えがあるかどうかと。
(答)ですから、それを法律に位置付けるというふうに申しました。それによって、安定性・継続性を確保するということが必要なことだと考えております。
(問)次に参院選が夏にありますけれども、参院選で例えば地方創生の進捗度合い、要は中間審査的な位置付けで争点化すべきだというように大臣はお考えですか。
(答)それは政府として申し上げることではございません。選挙は党が主体となって取り組むものでございます。
 ですが、それぞれの地域に参議院議員がおり、全県的な立場でそれぞれの地域の地方創生というものを俯瞰(ふかん)しておるわけでございますから、そこにおいて、地方創生というのは、今までのように俺が顔をきかせて予算を取ってくるぞとか、そういう話ではなくて、いやそういう話をしてはいけないとは言いませんが、それぞれの地方創生の取組に対して、我が党所属の、我が党で申し上げれば、議員たちがどれほど深く関わり、そしてどれほどこの趣旨を伝達をし、自治体と一緒になってそれを進めていくかということは、当然、有権者の方々の評価に資することになるだろうと思っております。
(問)育休についてお伺いしたいと思います。自民党の宮崎謙介議員が育休をとると宣言されたことで、党内には賛否があるようでございます。石破大臣はこれ、国会議員、男性国会議員の育児休養についてどのように思われますでしょうか。
(答)いわゆるワーク・ライフ・バランスというものを考えるときに、男性も育児のみならず家事に参画をするということは必要なことだというふうに考えておるところでございます。
 ですから、国会議員だから駄目とか、それはその議員以外の方にお願いすべきだとか、そういう考え方を私自身はとりません。
 しかしその、宮崎さんであれ、ほかの議員さんであれ、選挙によって選ばれた、その地域の主権者たる国民に対して責任を負わねばならないということでございますから、当然、宮崎議員においても、そういうことはよくよく考えた上で、有権者に対する責任を果たすということもきちんと認識をしながら、育休をとるという発言をしているものだというふうに考えております。
 ですから、議員の方とそれ以外の方々を分けて考える必要は全くないのですけれども、選挙によってその地域の主権者の権利というものを体現しているのが国会議員でございますから、そういうものに支障がないようにということは、これはもうどの党がどうとかそんな話ではなくて、国会議員というのはどういうものだということを認識した上で、宮崎さんは当然責任感のある方ですから、そういうことを承知の上であのような発言をしている。
 そうである限りは、国民の権利の体現というものに支障がない限り、育休というものは積極的に評価をされる。この両立をどうするかということは、党全体でやっていかねばならないことではないかと。
 これは党が答えることですので、閣僚として申し上げることでもありません。一個人として申し上げておるものでございます。

(以上)