石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年12月15日

(平成27年12月15日(火) 11:08~11:33  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 お待たせしました。
 国家戦略特区諮問会議についてであります。本日は、区域計画の認定、第一次指定6区域の評価、国家戦略特区の3指定が議題でありました。今回は改正特区法の追加メニューで、今回初めて活用いたします神奈川県の「外国人家事支援人材の受入れ」、及び大阪府の「旅館業法の特例」、この2つの区域計画について、ともに認定することとなった次第であります。年度末に行うこととしております一次指定の6区域の評価につきまして、現在先行して作業を進めているところ、民間有識者各位からご意見を頂いたところであります。
 国家戦略特区の三次指定についてでありますが、広島県と今治市は、観光、教育、創業などの国際交流、ビッグデータ活用。千葉市は、幕張新都心を中核とした近未来技術実証多文化都市の構築。北九州市につきましては、高年齢者の活躍や介護サービスの充実、人口減少、高齢化社会への対応ということであります。
 総理からの発言はお聞き及びのとおりでございます。
 次に、13日にRESASを活用しました「地方創生☆政策アイデアコンテスト2015」の最終審査会及び表彰式を開催いたしました。取材をしていただいた皆様、誠にありがとうございました。
 授賞者と授賞理由につきましては、お手元のプレスリリースを御覧をいただきたいと思います。私も全てのプレゼンを拝見をしたところであります。これは御覧になった方はお分かりかと思いますが、本当に907件という応募の数の多さもさることながら、最終審査に残りました10件というのは、地域の人、一人一人が地域の将来を考えていくという前向きな動きが着実に広まりつつあるということを実感いたしました。
 最後の講評でも申し上げたことですが、要はお任せ民主主義から脱却していくのはこういうことなのだということでありまして、そういうデータというものがなければ、市民自らが提案するということに相成らない。情報、行政だけが独占をしておったらば、それはお任せ民主主義から脱却することは出来ないという意味で、極めて画期的なものであり、そしてまた中学生や高校生の皆さん方があのような発表をしていただけるということは、まさしく地域をどうするのかということを市民みんなが考えていただけるということで、極めて有益なものであったと思っておりますが、このRESASにつきましては、第二次開発の二次リリースとして、新たなマップの追加と機能拡充を行うものであります。これに当たりましては、環境省、農水省及び民間でデータをお持ちの方々にご協力を頂いたところであります。これも先般ご説明をお聞きになった方はお分かりかと思いますが、今週の金曜日から一般公開をいたします。広くご活用をいただきたいと考えておりますが、詳細につきましては、また事務方のほうにお尋ねをいただいて、皆様方もよくご了知を賜りたいと存じます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)国家戦略特区の三次指定についてお尋ねしますが、これまでになかったドローンの宅配など、新しいメニューも念頭に置かれているようですけれども、この4つの自治体を指定された意義についてお願いできますでしょうか。
(答)これは先ほど申し上げたとおりでありまして、広島県及び今治市につきましては、これを連携して指定するという形をとっております。これは雇用のルールの明確化、グローバル企業や家事支援人材を積極的に受け入れる、あるいはビッグデータを活用し、観光、教育、創業の分野での地域活性化を図るというところが、この指定に至りました内容でございます。
 繰り返しになって恐縮ですが、千葉市につきましては、幕張新都心におきまして、医薬品など、宅配の実証をドローンによって行う。国内外から多様な人材の集積を図るため、民泊を実施する。地域限定保育士制度を導入するというところが、指定のポイントであります。
 北九州市につきましては、シニア・ハローワーク、これは高齢化社会に対応するためのものでございます。また介護施設へのロボット導入のための各種制度の改正等々が内容でございまして、今まで行われなかったもの、あるいはその地域に実にふさわしいもの、特区になじむもの、そういうようなものを地方創生特区という形で行うものであります。
(問)あと、今治市の獣医師系の国際教育拠点の整備についてお尋ねしたいんですけれども、これは6月の日本再興戦略の閣議決定の中に、獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり、かつ現在の大学・学部で対応が困難な場合など、4つぐらい項目を挙げられて、その制限をかけるというか、これがそろった場合にはやってもいいという話になったと思うんですけれども、この要件が緩和されるというふうに理解すればよろしいんでしょうか。
(答)これはそういうものではございません。獣医学部の新設は、今治市がご提案なさいました内容の一つではございますが、今回の指定によって新設が決定されたものではございません。ご指摘のように、本年の6月30日に日本再興―再び興すと書くほうですが―再興戦略を閣議決定をしておるわけでございます。「日本再興戦略改訂2015」というものでございますが、獣医学部の新設につきましては、近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行うというふうに書かれておるところでございます。その検討とは何かと言えば、現在の提案主体による、この場合には今治市でございましょうか。現在の提案主体による既存の獣医師養成ではない構想が具体化するということが一つ。どういうように獣医師さんを養成していきますか、既存のものとは違いますよという構想が具体化するということが一つ。
 2番目はライフサイエンスなどの獣医師の皆様方が新たに対応すべき分野における具体的な需要というものが明らかになること。かつ、既存の大学・学部では、対応が困難な場合、近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行うということになっておるわけでございます。これは閣議決定でございますので、当然今回の指定ということの前に、閣議決定というものがあるものでございます。
 ですから、従来の獣医師さんの養成ではない構想というものは、具体的にどういうことなんだと。そして、そういうものに対して、具体的に需要がありますよということ。そして今、獣医学部、あるいは獣医学科というものが全国にあるわけでございますが、それでは対応が困難でありますということ。また、獣医師さんの需要というのが、これが医師の場合には、やれ足りないとか、いやそうではない、偏在しておるのだとか、いろいろな議論があるわけでございますが、獣医師の皆様方の場合には、一体どれぐらいの需要があり、どれだけの供給がなされているのかということが、きちんと解析されたかと言えば、そうではないわけであります。獣医師のライセンスをお持ちであっても、牛でありますとか、馬でありますとか、そういう産業用動物の対応に従事をされる方々と、いわゆるペットの需要に対応される方々と、二通りあるわけでございますが、そういうようなあえて言えば、需要の動向というもの、余り需給という言葉がふさわしいとは思いませんので、需要の動向っていうのは、いま一つ不分明なところがございます。そういう解析もきちんと行うということでありまして、今検討を行っておるところでございます。
 それは全国的見地からなされるものでありまして、その日本再興戦略改訂の2015というものが大前提であることは、全く変わっておりません。
(問)外国人家事支援人材の活用についてお伺いしますけれども、家事負担を軽減して女性の活躍を促すということで、神奈川県のほうではかなり意欲的に取り組んでいますけれども、大臣としてはこの神奈川でどのような成果を期待されていますでしょうか。
(答)それによって家事労働の負担というものが軽減をされる。今までは外交官と一緒に来られる、そういうような家事支援の方々というものに限定をされておったわけでございますが、そういうものに限定することなく、外国人の方々、もちろんその待遇というもの、あるいはいろいろなトラブルの防止等々には、これはいろいろな議論を経てトラブルが起こることのないように、外国人の方々を不当な条件で酷使することがないようにということに万全の配慮を払いつつ、家事負担というものの軽減がなされるということをありとすれば、それはそれで女性の活躍というものにも大きな助けとなるのではないかというふうに思っておるところでございます。
(問)千葉市のドローンを活用した宅配についてお伺いします。これ実現すれば世界で初めてということになりますけれども、その受け止めと、あと具体的な時期などは検討されましたでしょうか。
(答)これはこれから先、その指定を受けて所要の手続を踏み、そしてそれが地方創生特区として動くことになります。これは、おっしゃるように世界初なのですが、ドローンで薬が来るというのは、それはもう幕張もよろしいんでしょうが、むしろ過疎地、中山間地において、薬というものを求めるに当たって、高齢者の方々が移動困難であるにもかかわらず、大変な思いをしながら薬を手に入れなければならないというようなことに対する、一つの解決方法を示すものでもないかというふうに考えております。
 もちろん、何でもかんでもドローンが飛んで、空じゅうドローンだらけなんていう世の中は、ちょっと想像しにくいことでございますけれども、そういうようなこのドローンの技術の活用というものが、この幕張において行われる。そしてそれが広くあまねく、そういうものを必要としている方々がその恩恵に浴するような形になることを、私自身は期待をしているものでありまして、これは何も薬に限らず、いろいろなものがそういうことになっていくのかもしれません。そこにおいて物流というのは変わっていくものなのかもしれません。ただ、何でもかんでもドローンという話ではなくて、選択肢の一つとしてそういうものがあるということは一つの光明になり得るものだと考えております。
(問)話が変わって恐縮なんですけど、政府機関の移転についてお伺いします。先日、消費者庁担当大臣が徳島県の視察に行って、大分前向きな、要は移転について前向きな発言をされました。実際1週間ぐらいお試し同庁幹部を働かせるというお話もあるんですけれども、石破大臣自体は消費者庁の徳島県移転については、現実可能性を含めてどのようにお考えですか。
(答)これは消費者庁に特定して申し上げることではありません。そこへ移ることによって、それがその地域のみならず日本全体にとってどれほど良いのかということであります。徳島県の場合には、光ファイバーというものの施設が他県に先駆けて行われておるということでございます。ですから、サテライトオフィス等々、前任の小泉政務官が実際にその現場に行って、そういう要請というものを確認し、そういうものを拡大すべきではないかという提案をされているわけでございます。ですから、実際に行ってみないで何の支障があるのないのといってみても始まらないだろうと。そこは河野大臣らしい非常に実践的、実証的なことの運ばれ方だというふうに思っております。
 消費者庁というものが消費者の方々の利益とか権利とか、そういうものをきちんと守るんだということを主眼として発足している官庁でございますから、その消費者の保護、あるいは消費者に対する適切な情報の提供、また、そのことによって供給者の側もきちんとした情報提供、あるいはクオリティーの維持というものに努めなければならないという政策目標というものが、では本当に地方に行ったらば果たせませんかということ。実際に消費者庁長官なり幹部の方々が地方に移ったとしたならば、業務に支障が出ますかということ。そして、光ファイバー等々が非常に進んでいる。あるいはそういうようなテレワークというようなものの先進地である徳島県において、そういうことが行われるということに全国の消費者が裨益(ひえき)をする、そういうようなものがありますかということは消費者庁に限ることなく論ぜられるものだと思います。
 大体そうすると国会答弁に支障を来すとか、あるいは官庁間の連携に支障を来すとかという話は、本当にそうなのかいということをきちんと実証しようというのは、河野大臣らしい卓見だと思っております。
(問)そうすると、例えばお試しで1週間働いてみると、幹部が。そういうその結果も踏まえて、例えば今後、石破大臣は移転の可否とかを検討されるということなんですかね。影響を与えるんですか、河野大臣の試みというのは。
(答)それは全く影響を与えないんだったらば、そんなことをやる意味はどこにもないでしょう。実際に消費者庁というものの担当は河野大臣でいらっしゃるわけです。消費者庁が、あるいはその関連する方々が、いや、移転反対だというふうなことをおっしゃったとして、消費者庁を実際に担当しておられる大臣がどう思うのかということは、この言葉は余り軽々に使うべきではないけれど、国民に対して責任を負い得るものが決定するということが政治主導だと思います。国民に対して直接責任を負わない、すなわち選挙の洗礼を経ないというものは、それはいかに優秀であったとしても直接責任を負う立場にはございません。責任を負うものが決定をする、これは省庁の移転というものは、あるいは政府関係機関の移転というものは、政府全体が責任を持って行うものでございます。消費者庁につきましては、それを負い得る立場にいるのは主管大臣たる河野大臣であるということであり、その決定は政府として行うものであり、それは責任を負い得るということにおいて正当性を持つものだと考えております。
(問)大臣の所管ではない話で恐縮なんですけれども、明日夫婦別姓を認めない民法の規定が違憲であるかどうかの訴訟をめぐって最高裁で判決が出るんですけれども、この夫婦別姓について大臣の考えをお願いします。
(答)それは法的にどうなのかということは裁判所において判断がなされることであり、そのことについて行政の責任がある立場にあります私があれこれ申し上げるべきことだとは思っておりません。
 私自身はいろんな考え方を持っておりますが、それは夫婦別姓というものを選択される、そういうような余地というものがあっても良いのではないかということで、夫婦別姓でなければならないとか、そういうものではございません。ただ、そういうときに、じゃ、表札は一体どうなるんだと、非常にややこしいではないかと。サイトウタロウ君とヤマダハナコちゃんは実は兄弟なのだが、実に表札は一杯出てややこしくてたまらんとか、夫婦別姓になると、家族がそういう一体性というものが損なわれるとか、これは長い間、随分いろんな議論があったことでございます。ですが、私はそういうような選択というものがあるということを個人的には否定をするものではございません。
 繰り返しになりますが、裁判所の判断に行政の責任ある立場にある者があれこれ申し上げるべきではありませんが、夫婦別姓になったとして、そのメリット・デメリットはいろいろあるのだと思っております。それは選択された方が負うべきものであって、その選択というものをディスターブするということの正当性は何なんだろうなということについて、私自身、更によく考えるべきものだと思います。
(問)国家戦略特区の北九州市の件でお伺いいたします。介護ロボットの開発とかアシストツールの活用、シニア・ハローワークを実施しておりますが、北九州市はCCRCの設立にも熱心に取り組んでいるんですけど、そことの関連性みたいなのは大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)CCRCの特性というものは、それがコミュニティーであるということが一番の特性だというふうに思っております。「生涯活躍のまち」には、「田園地域型」と「まちなか型」といろんなものがありますが、北九州市の場合はひょっとしたら「まちなか型」になるのかもしれません。アクティブシニアの方々がその他の方々とそこにおいてコミュニティーを形成する場合に、ロボットでありますとか、シニア・ハローワークでありますとか、そういうものが有効であるということは当然あり得ることだと思っております。アクティブシニアの方々が移住される。その中には手に職を持っており、おれは仕事を作りに北九州市に行くんだという方々もおられましょうけれど、私は北九州市で生まれ育って第2の人生は北九州で送りたいなというふうに思っている方もいる。しかし、その中で、手に職はないというような方々に対してシニア・ハローワークというのは有用なものでございましょう。また、シニアの方々のみならず、多くの世代の方々がコミュニティーを形成する場合に、そういうようなロボットの技術というものが活用されるということは、また新たな可能性を開くものだというふうに考えております。
(問)こういう場にそぐわない質問かもしれないんですけれども、今日、今年の漢字1文字が発表になるんですけれども、大臣にとっての今年の漢字1文字、もし表せるものがあれば伺えればと思うんですけれども。すみません。
(答)突然の御質問で、ぱっと浮かばないですね。私個人的に言えば、忙しいの「忙」だと思います。これに尽きますね。それは私の個人的な話ですけれども、やはり今年1年終わってみて、国民の皆様方も一番年の始まりには、いわゆるISによる日本人の方々の殺害というものから始まったように思っております。そして、フランスにおけるああいうようなテロがあった。国内的には安全保障法制の審議、あるいは年末においては消費税が税率変更に伴うに当たって、どのような対応をとるか等々、極めていろんなことが起こった年であったというふうに思っております。災害も多発をいたしました。私は今まで戦後70年、日本人がいろんなことを築き上げてきた。しかし、それを全て見直す1年だったと思います。したがって、政策担当者としては「忙」の一語に尽きますが、これは忙殺という言葉であってはならないのであって、何をするために自分は忙しくしているのか、何のためにということはよく考えていかないと本質を見失うのだと思っております。
 私の言っている「忙」というのは国民一般にシェアされるとは全く思っておりませんので、念のため。

(以上)