石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年12月4日

(平成27年12月4日(金) 10:29~10:43  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 来週火曜日の12月8日に北海道千歳市で「地域しごと創生会議」第2回を開催いたします。テーマは「地域の魅力のブランド化」ということであります。これは、先般、まち・ひと・しごと創生会議において、総理の指示により設置が決まった地域しごと創生会議の2回目の会合ということであって、私どもとして極めてこの会議は重視をしておるところであります。
 北海道が「地域の魅力のブランド化」ということをテーマとして選ばれましたのは、北海道がもともと農林水産品の輸出、外国人観光消費の拡大をリードする地域だからでございまして、今回の会合におきましても、十勝をアウトドアの聖地にしようと取り組んでおるDMOの事例、海外市場の拡大で物流能力の不足に悩む旭川の地域商社、千歳の物流拠点の事例等々、既に積極的に動き始めている事例について御紹介をいただき、それを基に議論を進めてまいります。
 内閣府のみならず、農水省、経産省、国交省、そのほか地方創生に共に取り組んでいただいておる経済団体の代表も含めまして、地方創生に造詣と関心の深い14名の有識者や取組事例の代表者にお越しをいただくものであります。この検討を通じまして、地域自身がDMO、地域商社の組成を通じまして、地域の魅力のブランド化に向けて本格的に動き出すために、国はどのような支援をすれば良いのか、明確な目標値の設定も含め議論をし、前に進めたいというふうに思っております。
 会議をやること自体が目的ではないのであって、これをやることによって、DMOといっても、それは一体何ですかみたいなところがまだないわけではない。地域商社といっても、どのように作り、どのように運営していいのか、それが分からなければしょうがないということであります。ここにおいて、地産地消だけでは、地域の人口は当面減るわけですから、地産地消だけでは経済の縮小というのは避けられない。地産他消、そういうことをこういうようなDMOであるとか地域商社によって、よそからどうやって人とお金を呼び込むかということについての具体的な取組について、まだ模索段階のところも多いわけですが、加速化をしていかなければなりません。この会議が終わって、ああそうなんだと、こうすればいいんだということの納得、そして取組に向けての意欲、そういうものが高まるような会議にしなければならないというふうに心がけたいと思っております。
 是非ともお取上げをいただければ幸甚に存じます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)政府関係機関の地方移転についてお尋ねしますけれども、馳文科大臣も京都を視察されるなど動きも出てきていますが、報道では、かなり難航しているというようなトーンになっていますけれども、調整状況についてお願いいたします。
(答)馳大臣が、それがメインで行かれたかどうかは存じませんが、京都も視察をされたということであります。そこにおいて実際に、そういうような移転希望が出ている省庁の長であるところの大臣が実際に行って御覧になるということは、大きな意義のあることだというふうに思っております。京都でどのようなことがあったのか、そこは某新聞の記事がどのようなものなのか、そこは私が知る範囲ではございません。この時間に行くからねということで対応が不十分であったのか、あるいは突如の御訪問であったのか、あるいは、そこで車を降りるということを事前に京都も了知をしておったかどうか、その辺は私どもがあずかり知るところではございません。
 今後とも、移転を希望する受入れの地域というものが、その地域へ移転することによって、これはいつも申し上げていることでありますけれども、その地域のみならず、国の機関でありますから、それが日本全体のプラスになるものであるということをきちんとお示しいただくということ、そして、移転をするからには、どこへ移転をするのか、そのためにどのような整備が必要なのか等々、それは地域によってよくお考えをいただいて、これから先も議論を進めていくということになろうかと思います。
 政府機関の地方移転は、冒頭から申し上げておりますように、民間の方々に本社機能の移転というものをお願いしているわけでございます。東京一極集中ということを、今の過度な状況から是正をしていくために、交通網の発達、あるいは通信網の発達という状況を踏まえて、どのように考えるか。民間にお願いをするからには、もちろん政府が行っております仕事と民間が行っております仕事は違うということは百も万も承知の上で、しかしながら、国は一切、政府の機関は移転をしませんと、民間の皆さん頑張ってくださいということだけでいいんでしょうかということを申し上げておるわけでございます。
 これは政府全体として取り組んでおることでございますので、政府全体として、その一員としての文科大臣の今回の京都の御訪問かというふうに承知をいたしておりますが、このことを政府全体としてどのように考えるか。東京一極集中の是正ということは、掛け声だけかけてもどうにもならないお話であって、具体的に取り組む、政府としてもそこに責任を持って取り組んでいく。地方と政府との間で真摯な議論がなされ、それを御判断になるのは有権者たる国民であるということだと思っております。
(問)関連ですけれども、政府全体の取り組むべき課題だということですが、今後も所管するそれぞれの大臣に対して、石破大臣のほうから積極的に視察を促したりとか、そういった働きかけはされるんでしょうか。
(答)それは所管の大臣の御判断ですから、そういうようなことがあるということで、所管の大臣が所管の大臣の責任において見てみようという御判断をいただくというのはありがたいことだと思っております。やはり実際に現場に行って御覧になるというのは重要なことでありまして、それぞれの大臣がそういうような行動をなさるということは極めて有意義なことだと思っております。
(問)冒頭御発言でも言及がありましたが、DMOなんですけれども、自治体の観光課ですとか、あるいは観光協会とか、そういったものとの違い、あるいは、なぜDMOが必要なのかについて、改めて大臣のお考えをお聞かせください。
(答)今まで、それぞれの地域の観光協会、あるいは行政の観光課、そういうような幾つも組織がありますが、その連携の基に効果的な情報発信、あるいは誘客活動、あるいは観光地のネットワーク、連携等の整備に取り組んできたかというと、必ずしもそうではない面があったと思っております。観光協会は観光協会で、行政は行政でという形で、ばらばらに取り組んできた。観光協会として何かこういうことをやりたいんだけど補助金ないかなということで、単発的なイベントを打つとかそういうことであって、その地域の魅力を十分に発信し、そしてまた、その発信力を高め、魅力を高めということが十分に有機的に取り組まれてきたかというと、必ずしもそうでもないところが多いのではないだろうかというふうに考えております。
 そして、そこにおける人材というものも、観光というものについて、やっぱり日本の国は観光学科というのがあちこちありますが、まだ海外に比べて、数あるいはその内容というものに更に改善の余地があると思っておりまして、海外において観光カリスマというんでしょうか、ツェルマットの例などもございますが、そういう例というものをよくみんな認識しながら、DMOとして地域全体で取り組む。そして新たな知見というものを得て、ああ、こういうやり方があるんだ、こうすればいいんだというようなことが、行政というものの枠を超えてDMOという形で誘客活動に取り組むというような、そういうような形態を作りたいというふうに思っております。
 観光の分野が、インバウンドの数というのを考えたときに、諸外国に比べて極めて低い水準にあるというのは、そういうような点にも問題があるというふうに考えておりまして、その地域のいろんな魅力というものを最大限に生かしていくための取組がDMOであるというふうに認識をいたしております。
(問)ちょっと話戻って、政府機関の移転の件なんですけれども、ちょっと2点あって、まず1点目が、所管の大臣と今後どのように連携していくか。例えば馳大臣から視察結果などを受け、話聞く機会というのはまずあるんでしょうか。
(答)それは、まだ馳大臣からお申出がありません。聞くような機会というものがあれば、積極的に承りたいと思っております。
(問)あともう1点だけ。国全体、日本全体のプラスになることをお示しいただくこととあったが、例えば京都に文化庁が行ったらという話だと、例にすれば、例えば京都に文化庁が行ったら、群馬県とか埼玉県とかにどういう影響とかあるのか。ちょっと私分からなくて、どういうことをなんだろうなという、日本全体のプラスというのは。もしお考えがあったら。
(答)そこは、文化庁の行政は多岐にわたっておりますので、それぞれ一つずつについて私自身が通暁しているわけではございません。
 ただ、京都がそういうようなことを御提案になっておられるのは、国宝でありますとか文化財でありますとか、そういうものの多くが京都、あるいは奈良、あるいは滋賀という京都の近隣に多く存在をいたしております。この文化財というものが、日本の場合には文化財保護ということが強調されます。決してその予算が他国に比べて十分だとは思っておりませんが、文化財というものをいかに維持・補修し、そしてまた、欧米の方々が日本を御訪問になる、その一番の動機は文化あるいは伝統ということだと承知をいたしております。そういうものが多く立地をする地域であるがゆえに、いかにしてこの文化財を保護し、そしてまた活用していくのか。国宝とか重要文化財とか、そういうものはそれなりの手当てがなされますが、実際問題、今そういうものを維持・補修するスキルというものを持った企業、あるいは人材というものが極めて少なくなっているという深刻な問題は、京都が地元であるがゆえに一番よく知悉(ちしつ)をしているものでございます。どうやってそのような人材やスキルを維持していくかということについても、実際にその場所にそういうものが多くあり、実際その場所に多くの外国人が来て、どうすれば良いのかということを一番知っていると仮にするならば、京都の御提案はそういうような趣旨もあったと思います。
 例えば栃木県であれば日光東照宮というのがあるのでしょう。あるいは全国に、いろんなそういうような伝統的なもの、文化の体現したものがございます。それは必ず、そこにおいて得られたいろんな知見というものが横展開というか、していくのに資するのではないかというような御主張かというふうに承知をいたしております。
 ですから、日本全体に資するということは、行政が現場から離れたところにあって、それで良いということが全てではございません。現場に近いところでいろんな判断ができ、それが更に国全体のためになるということは、私は可能性として十分あり得ることだと思っております。

(以上)