石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年12月1日

(平成27年12月1日(火) 10:43~11:17  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。お待たせをいたしました。
 「地域再生法」という名前は聞いたことはあるが、一体それは何だみたいなことでありますので、私から御紹介をさせていただきたいと思います。
 この「地域再生法」というのは既存の法律でありますが、昨年の臨時国会あるいは今年の通常国会において一部改正をいたしたものであります。このスキームを初めて活用した取組というのがございました。これをきちんと周知徹底をしていきませんと、地域再生法という法律はあるのだが、どうやってやったらいいのかねみたいな話になると、これは具合が悪いわけでありますので、御紹介をさせていただきたいと思っております。
 お手元に資料がございますが、一つ目は、中山間地域は恐ろしく人口減少が進んでいるわけで、小さな拠点というものを設けて、かつて旧村の役場などがあったところに生活サービスの集約化を行いたいと思っております。そうすると、それぞれの人口減少が著しく進んで、2軒とか3軒しかない集落はどうしてくれるのかということに相なるわけで、生活サービスの集約化は行うが、それとともに交通ネットワークを確保するということでございます。この二つによりまして小さな拠点を形成するということが法律にも書いてあるわけでございますが、実際にそれをどうやるのかという例が二つほど出てまいりました。一つは、茨城県美浦村、もう一つは、岡山県新庄村でございます。
 資料の2ページ目になりますが、「小さな拠点の形成の推進」ということでございます。生活サービスの集約と周辺集落との交通ネットワークの確保を図りたいということであります。
 これは全てに共通したことでございますが、その地域再生計画というものは、内閣府に提出をいたしまして、内閣総理大臣の認定を受けるものでございます。そこにおきましては、一体これによって何を達成するのかというキー・パフォーマンス・インジケーター、KPIと申しますが、これを伴って提出をいただくということになっております。
 美浦村は人口が約1万6,000人でありまして、村の中には商業拠点がございません。村の方々の多くは、近隣の土浦市あるいはつくば市にございます大規模商業施設を御利用でありますし、人口につきましても、龍ケ崎市、牛久市など利便性の高い近隣の地域への流出が続いておるということでございます。村民の方々の意識として、買い物や生活環境の不便さというものが指摘をされておるわけでございます。
 したがいまして、この美浦村が出してまいりましたのは、人口動態が今平成25年で201人の減少ということになっており、このままいきますと平成31年で360人減少するということになっているのですが、これを300人で止めるということが一つの指標。もう一つは、地元で買い物をされる率というものが、本当に日常、喫緊必要なものというのだけは村の中で買うけれど、それ以外は外で買うのだよということでありまして、今20.6%なのでありますが、これを平成31年度までには、急には上がりませんが、減少を止め21.4%まで引き上げたいというようなKPIが出てきておるわけでございます。それをどうするかということで地域再生計画を作ったわけでありまして、これによりまして、地域交流拠点の整備とアクセスの確保を行いたいというものであります。
 具体的に何をするかというと、地域交流拠点を整備をする。事業費は約4億円でありますが、うち1億円につきましては国の補助金等の充当を想定しているということであります。一時預かり等の子育て支援機能は厚労省の事業において、農産物直売機能というのは農水省の事業において行いますが、それとともに、高齢者の方々が交流していただくような機能を地域再生戦略交付金事業で実施をするということであります。今年度は運営計画の策定費用等として約680万円を支援をする予定にいたしております。そういうような交流拠点ができますということ。そして、既に基本合意は締結済みでございますが、民間小売施設をその地域に誘致・整備をするということ、これが拠点づくりであります。
 そして村の単独事業といたしまして、デマンドタクシーの運行拡充を行うというものでございまして、小売施設が誘致・整備されます。交流施設が出来ます。子育て支援機能、農産物直売機能が出来ます。デマンドタクシーが運行されますということで、これが一つの地域再生における小さな拠点のモデルだというふうに考えております。
 2番目の岡山県新庄村は、そこに書いてあるようなことでございまして、バスは1日6便しかございませんが、真庭市に生活機能の多くを依存しているということでございますし、雇用の形態も限定的であるということで、地域再生計画に基づきまして高齢者向け生活支援施設などを整備をする、道の駅の機能を拡充するということで雇用も創出をしたいというふうに意図するものでございます。これも一つのタイプ。
 二つ目は、3ページ目をご覧いただきたいのですが、皆様方も地方に行かれますと農工団地を目にされると思います。すなわち「農村地域工業等導入促進法」という古い法律がございまして、これに基づいて農村に雇用の場を創出しようということでやってきているものでありますが、農工団地の遊休化というものがかなり目立ってきておるものでございます。
 工場用地は全国43道府県733市町村に約2万4,000ヘクタール存在しておりますが、そのうちの約1,400ヘクタール、6%が遊休化しております。山形県は特に遊休の状況が顕著でありますが、山形県、北海道、新潟県、秋田県、岩手県というふうに続いてまいります。
 今までは製造業、道路貨物運送業、倉庫業、梱包業、卸売業、これでなければ駄目ですよということなのですが、地域再生計画を策定することによりまして、情報通信業でありますとか電気・ガス・水道・熱供給業、学術研究、専門技術サービス業等々、雇用を創出するのに有効なものがこの地域再生計画を策定することによって追加されるものでございます。
 山形県の状況を今そこに書いてございますが、この計画を策定することによりまして、新たなそういうものの導入を図りたい。
 酒田市というまちがございますが、酒田港に工業団地が隣接しております。そこも遊休化というものが指摘をされておるところでございますが、バイオマス発電施設などというものは、今までは導入ができなかったものでございます。そういうものを導入することによって新たな雇用の創出を図りたいということでございまして、この地域再生計画というのは山形県として提出してきているので、これを認定することによりまして、山形県の遊休化した農工団地の活用を図りたいということでございます。
 最後に、これがもう一つのタイプでございますが、農業の6次産業化ということは指摘をされておるところでございますが、地域再生計画を策定することによりまして、農林水産物の生産・加工・販売、いわゆる6次産業化のための施設を整備する場合には、農地転用に関する特例が適用されるということになるものでございます。
 世の中、農地転用が何とか出来ないかなというところはたくさんあるわけでございます。1ページ目の一番下の「6次産業化に係る農地転用」というところをご覧いただきたいのですが、この地域再生計画というものを策定することによりまして、農地転用の規定は緩和をされます。6次産業化に資する施設整備の可能性が広がるというものでございまして、通常、農地転用許可の方針は、質が高い第1種農地は、これは農地転用を認めないということになっておるわけでございます。しかしながら、この地域再生計画に記載されることによりまして、今までは原則不許可、農地転用は認めないとされておったものが、他に立地が難しい場合には、これを可とするというものでございます。他に適地がないというような場合には、この農地転用を認めるということになるものでございます。
 実際にどうなるかというと、これは別にえこひいきしたわけでも何でもないのですが、鳥取県八頭町というのは私の地元でございます。耕作放棄地が急増している。直近2年間で27%も増えてしまいましたということでございます。
 そこに農産品加工をやっておる事業者がございまして、そこは、平成23年には53人であったものが平成26年には84人ということで非常に雇用も増えているわけでございますが、これを更に伸ばすことは出来ないだろうかということで、地域再生計画を使いまして、農産物加工施設、販売所、農家レストランなどが入った複合施設を新設する、あるいは既存のカフェを拡張する、駐車場の拡充を行うということを、農地転用の特例を使うことによりまして実施するということが4ページの下に書いてあるものでございます。
 というようなお話でございまして、この地域再生法に基づきます地域再生計画を、それぞれの自治体においてきちんと御認識をいただくということが必要だと思っております。
 今回手が挙がって、こういうものが認定をされるということは、それはそれで喜ばしいことなのですが、この制度を一体どれだけの自治体が知っているだろうか。よく困ったなという御相談をいただくわけでございますが、この地域再生計画を作ることによって農地転用が行われ、雇用の場が創出される。それは何でもかんでもいいというわけではありませんので、農地転用で申し上げれば、6次産業化というものに乗って、そこで出来た農産品が加工され、販売されるということで、農家の手取り収入はこれによって増えるものでございます。ここにおいて遊休農地というものをいかにして活用するかということもまた図られるものでございまして、こういう制度をよく周知をしなければいけないということを私自身痛感をいたしておるところでございます。
 冒頭申し上げました、拠点を作りネットワーク化を行うとともに、いろいろな販売施設を作り、そしてまた交流施設を作り、デマンドタクシーを作るというようなことで、この「小さな拠点」というものを強力に推進をしていかなければ、全体が衰微していくことになりかねませんし、農工団地も遊休化したままではどうにもならないものでございます。こういうものを用意はしているのですが、これから先この周知徹底を図りまして、もっともっと手が挙がるようにしていかなければならない。制度は作りましたが、知らないあなた方が悪いんですみたいなことを言っても仕方がなくて、制度を作ったのは国でございますから、これの有効活用というものを図りたい、これは図らねばならないと思っております。
 そのような観点で、お手元にピンク色のきれいなチラシがございますが、このフォーラムを来年、平成28年1月20日水曜日、日本消防会館において行うものでございます。
 先般の知事会でも私申し上げたことですが、こういうところへ来て、なるほど、そうなんだ、こういうことなんだということを、それぞれの自治体に帰って、企画部は企画部、商工部は商工部、地域創生本部は地域創生本部みたいなことで、いわゆる縦割りで、たまたま相談に来た町村の方が農林部に来たとして、例えば、そこの農林部はそれを知りませんでしたということで、出来ませんというようなことは容易に想像されることでございます。こういうような地方創生に向けた国の取組というのを作るだけでは意味がないのであって、どうやって周知徹底をせしめ、これを実効あるものにするかということは大きな課題だというふうに認識をいたしております。その一環としてこのフォーラムを行うものでございまして、そこに来ていただいた方が、ああ、そうなんだと、小さな拠点づくりというのはこういうものなのだと、地域再生法というのはこういう法律なのだと、こういうふうにしてやれば、あそこは良くなるかもしれない、ここが良くなるかもしれない、そういうことを具体的に動かすことが地方創生に弾みをつける上で極めて肝要なことだというふうに認識をしておるわけで、あえて御紹介をした次第でございます。
 ぜひとも、皆様方のいろいろなネットワークの中で、こんなところもあるではないか、あんなこともあるのではないか、そういうところはこういうものによって再生するのではないかというような例がございましたら、御教授を賜りたいと思っております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)このコンパクトビレッジについてですけど、法律が成立してから半年で2件というのが少な過ぎるという、大臣の問題意識だと思うんですが、このフォーラムで周知徹底するというのは非常によく理解できるんですけど、国がこうしたらどうだということを直接自治体に働きかけたりすることについてはどういうふうに思われるかという質問なんですけど。ともすれば、ここに集約しなさいというようなことを国がやり始めると、それは、その地域づくりへの干渉になったりとか、国策としてそういう集約をしていくということになるといろいろな問題も生じてくると思うんですけど、一方で、フォーラムをやって、どうぞ、皆さん、使ってくださいねというだけでは、なかなか手が挙がってこないのかなという気もするんですが、そのあたりはいかがお考えでしょうか。
(答)それは、国として制度を整備をいたしましたと、それを活用するかしないかというのは、当然、それぞれの自治体の御判断であり、それぞれの住民の方々の御意思によるわけでございます。ただ、こういう制度があることを知っていますかということが問題で、知らなければ、選ぶも選ばないもございません。ただただ困ったなということで、どんどんと衰微が続いていくわけでございます。
 これは、こういうような「小さな拠点」という制度を作るときに随分と内部でも議論をしたことなのですが、集約を図っていかなければ、どんどんと村の外、町の外へ出ていくだけなのだと、先ほどの牛久市とか土浦市とかの例にあるようにですね。それで、どんどん外へ出ていってしまいますということで、全体が沈んでいきますということになります。ですから、先ほど地域内の買い物率というのも、そんなに劇的に上がるわけではありません。ですけれども、放っておけばもっともっと下がってしまうのではないだろうか。そういうような拠点を作りますということと、もう一つは、それぞれの先ほど申し上げましたような2軒しかない、3軒しかないというような集落がございますね。私の地元でも、1軒しかないという集落が実際にございます。そこは日本国憲法上、居住の自由といいますか、そこへ住んでいるということは一つの権利として尊重されなければなりません。そこにおいて拠点を作るんだと、しかし、そことの間のネットワークで、もう民間のバスはとっくに撤退をいたしました。町営バスを動かしていますが、町営バスも大赤字でありますということになると、財政負担がものすごく増すわけであります。そこにおいてデマンドタクシーというような新たな交通手段を導入することによって、そこの1軒しかない、2軒しかないというところの方々の利便性もきちんと確保され、憲法に保障されている居住の自由が最大限に確保されるというものでございます。ですから、こういうやり方もありますよということで、それを地域の方々の綿密なお話し合いの上に手を挙げるか、いやいやと、こういうのもあるけれど、うちはこんなものは採らないというふうにおっしゃるか、それはもうそれぞれの方々の御選択でありますが、最低限こういうやり方がありますということを御了知いただくというところまでは我々の責任だと思っております。知らないほうが悪いんだみたいなことを言ってはならないのであって、私として、これは農林水産大臣をやっておったときからそう思うのですが、政策というものは、本当に手を挙げてくれるところがどれだけあるかというものが大事で、それってどれだけ売れたかという話ですよね。それは、売るためには商品を知ってもらわないとどうにもならないわけです。
 先般の経済財政諮問会議でも御指摘を受けたことですが、それは、単にばらまくのではない。そういうようなKPIを設定し、期間が5年なのですけれども、5年経ってみて駄目でしたということになれば、それは余り良いことだと思っておりませんで、中間評価というものを必ず行います。そこにおいて計画が更に改善すべき点があれば、中途においても改善をしていただくということで、これは小さな拠点づくりというのは、いつやってもいいというものではなくて、過疎の急速な進み方というものを見るにつけ、何らかの手を打たねばならないと私は思っております。少なくともこの制度を承知していただき、利用しますかしませんかというような議論は、地方において必ず行っていただきたいと思っております。
(問)ちょっと今の関連でお伺いしたいんですけれども、周知徹底ができていなかったと、大臣今日何度もおっしゃっていますけれども、そもそも何で周知徹底が出来ていなかったとお考えですか。
(答)これは支局におられて、地域の実態というのはよくご承知と思いますが、内閣府からだけではなくて、農水省や厚労省や国交省や経産省から山のように通知は行くわけですね。それで国がこんな制度をつくりました、こんな制度をつくりましたということで、それはもう本当に山のように通知が行くと。限られた人員の中で、それをきちんと理解をして、それを県から町村にきちんとまた周知をしていただくというのは、実際、それぞれの自治体において、かなり難しいことではないだろうかというふうに思っております。だとすれば、こちらが情報の送り方をかなり工夫をしなければならないのだと。ですから、ルーティンの仕事がみんなありますから、朝早く登庁して、夜遅くにルーティンの仕事が終わって、それから国から来たいろいろな施策を理解しようと思うと、1日が48時間あっても足りないのだと思うのですよ。実際、地方のお役所で人が余っているわけではありませんので。
 だからまず読んでみようと。どういうことなのか理解をしてみようというような、動機付けというのは必要なんだと思います。国から送ってくるものって、もうずっと字が書いてあって、もう何が書いてあるのか、理解する途中でくたびれてしまうようなところがありまして、それをもちろんデフォルメして、制度の趣旨を歪曲するようなことがあってはなりませんが、何を目指しているのか、これはどんなものなのかというのを、容易に理解いただく工夫・努力というものは、我々がしていかなければいけないのではないだろうか。それは知らないあなた方が悪いんですみたいなことを言っても、責任の押しつけ合いをしても仕方がないのであって、まず情報の発信者たる我々が、さらなる工夫というものをしていかなければならない。それを我々が負うべき責任だと私は思っております。
(問)小さな拠点や、村やまちづくりに関する郵便局の可能性についてだとか、期待されることなど、もしありましたらお願いいたします。
(答)同じご質問を何か随分前にもいただいたような気がいたしますが、それは私の地元の話で恐縮ですが、智頭町というまちがあって、そこは郵便を配達される方々が郵便を配達するのみならず、その地域にお住まいの方々の生活状況を、もちろんプライバシーを最大限に尊重した上で、見回り的な機能というものを果たしていただいておりました。ひまわりサービスと言っていたかと思います。そういうような、行政以外の機能がそういうことを果たすというのは、とても重要なことだと思っております。
 これ余談ですけれども、昨日私、立川市へ参りまして、自民党の女性部の研修会があったものですから、そこでお話をいたしました。立川市というのは、今や関東では一番住みたい市のトップなんですね。吉祥寺のある武蔵野市よりも上に行きました。そこに大山団地という団地があるんですけれども、そこはそんなに新しい団地でも何でもありませんが日本中で一番住みたい団地ということになっています。どうしてそういうことになったのかと言えば、自治会という組織が非常にうまく機能していて、孤独死がここ何年もゼロなんです、ここの大山団地というところは。本当に誰にもみとられないで一生を終わっていくような、そんなかわいそうなことがあっていいのかという問題意識で自治会の方々が見回りもやっています。あるいは、高齢者のひとりで暮しておられる方のお悩みって、多分、自分が死んだら誰が看取ってくれるんだろうかということとともに、自分の葬儀を誰が出してくれるんだろうかということがあるわけですよね。それは自治会が葬儀を出してあげますということで、それが大きな安心につながっていくわけです。
 要はそれぞれの方々、お住まいの方々のいろいろな実態を把握するのは、行政だけがやるわけではないのだと。それは行政には当然限界もある。これがひまわりサービスを郵便局がやったり、あるいは自治会がそういうような機能を果たしたりということによって、そこの地域が、智頭町というところも今移住が非常に盛んなところでございますが、そこにおいて郵便局が果たしている役割というのは、非常に大きなものがあると思っております。郵便局であったり、自治会であったり。定められたことだけやればいいんだよということではない。そういうような取組が相まって、その地域の再生というものは図れるものだと私は思います。
(問)新しいその地域のビジネスに関して、結構、例えばふるさと小包だとか、そういうものと地元の農村関係者の人と郵便局が連携をして、新しいビジネスを作るような動きも、結構各地で見られるんですけれども、それについても、すみません、一言コメントを。これで終わります。お願いしたいんですが。
(答)ですから、新しいビジネスというものを、それぞれの地域の郵便局がどれだけ創意工夫して作っていくか。それは郵便局だけで完結をするものではないはずで、あるいは宅配の業者さんもあるかもしれない。あるいは新聞社もあるかもしれない。あるいは農産品の販売ということであれば、生産者、あるいはJAもあるかもしれない。ですから、私は地域マネジメント法人というものが必要ではないかということは、農林水産大臣の当時から言っていることですが、町村合併によって以前であれば人口が3,000人の村にも村役場があり、村長さんがいて、議会があってということで、かなり行政が行き届いていた部分はあるんです。ですけれども、それが町村合併によって、物事は何でも陰と陽があるのであって、そういう行政サービスがかつてのような細かいところまで行き届かなくなったというところが、私はたくさんあるんだろうと思っています。しかし、市町村合併を元へ戻すという話に全然なりませんから、そうであれば、残った社会インフラというもの、例えば郵便局がございましょう。JAがあるでしょう。あるいは土地改良区がある。社会福祉協議会がある。そういうものが地域マネジメントという法人格を持つことも、私は可能性としてあるだろうということは前から申し上げているのですが、郵便局がそういう新しいビジネスを他のそういう社会インフラ、他の企業の方々とコラボしてやるということは、郵便局の持っているネットワークの活用という意味でも、非常に意義のあることだと思っております。
(問)ちょっとまた話題変わって、政府機関の移転についてちょっとお伺いしたいんですけれども、現在、ヒアリング作業中、当事者同士でやられていると思うんですが、なかなかこの当事者が該当省庁から例えば反対というか、余り移転を希望しないという声もあるようなんですけれども、その政府機関の移転について、改めてその意義について大臣から。
(答)これは去年、着任したときから申し上げていることなんですが、民間企業の本社機能の一部移転ということをお願いをし、そのための税制優遇というものも今稼働をしているところであります。
 民間に地方に移ってくださいなと、必ずしも全部東京に本社機能がなくてもいいでしょうと。例えば企画とか研究とか、あるいは財務とか経理とか、そういうものって他所との折衝が必要なものでもないし、そういうものってありませんか。全てが東京になければいけませんかということを民間にお願いしているときに、では民間にお願いしておきながら行政はどうなんだということは必ずあるものでございます。もちろん、営利を追求する民間と、公平公正な行政の執行を旨とする政府機関とは全く違うものでございますから、全く同じ理屈が動くわけではありせんが、もし、政府の機関の中で必ずしも東京にある必要のないもの、もしくは地方に移転したほうが効果の発現がより見込まれるものというものが本当にありませんかということなんです。そこを突き詰めて本当に議論したことがありますかということなんですね。それは単に移れば雇用が発生するとか、そういうお話ではなくて、いやしくも国の機関でありますから、国の北海道から沖縄県まで、全体に対する機能というものが低下をすることがあってはならない。しかし、地方に移ることによって、そこに、ある産業が集積をしているとか、ある学問の研究分野が集積をしているとか、そういう地域は本当にありませんかと。そして、交通の発達、テレワークの発達によって、東京から地方に移っても効果というものをきちんと維持出来るところがありませんかという話なんですね。
 そこで突き詰め議論して、本当にないかどうかという過程を国民の前に明らかにしたいと思っています。そこにおいて、官庁が主張することがどれだけ合理性があるのかということも、私は有権者の方々に見ていただくことは必要だと思っております。そしてどっちの言っていることが正しいのかということであって、最終的な判断はそれは政治において行うものでございます。
 いずれにいたしましても、首都機能といいますか、政府機関というものが、これだけ首都に集中しているという国は他に見ません。だとすれば、民間の方々に移ってくださいと言うときに、政府は別格です、ということで済むとは私は思っていないので、そこにおける真摯な突き詰めた議論というものはやらなければならないと思っています。最終的な判断は政治において行うものです。

(以上)