石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年11月17日

(平成27年11月17日(火) 10:14~10:29  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 私から1点、明日18日水曜日、「第4回地方創生担当大臣と地方六団体の意見交換会」を開催いたします。これは第4回でありまして、第1回は昨年の9月、第2回は11月、第3回は今年の5月ということでありまして、少し間があいてしまいましたが、地方創生に関します重要課題に国と地方が連携・協働して取り組むため、政務四役が地方六団体の長から直接率直な意見をいただくというものであります。年末の総合戦略の改定に向けまして率直な御意見をいただきたいと思っておるところであります。
 形式的にやるのではなくて、これはそれぞれの御意見があろうかと思います。中央と地方というものが意思疎通を図って一体としてやらなければ、地方創生というのはうまくいかないということでありまして、非常に大きな意義があるというふうに私自身認識をしておるところであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)安倍総理大臣が昨日、今年度の補正予算の編成を指示する考えを表明されましたけれども、地方創生の関連では、地方創生の施策を更に加速させるような、そういった弾込めはされるんでしょうか。
(答)これは補正ですから、補正事由ということが明確であらねばなりません。そうでなければ補正になりませんので。私といたしまして、やはり経済というものに重点を置くというのが内閣の方針であります。これはかねてから申し上げておりますように、雇用の8割、GDPの7割というのは主に地方にあるわけであって、地方版総合戦略というものが10月に随分と出てきました。これを間断なく進めていく、あるいは加速をするということが極めて重要なことだと思っております。
 ですから、政府の方針として経済の成長、GDPで少し残念な数字も出ておることでございますので、この機を捉えて、地方の経済、そこに伸びしろがたくさんあるということは多くの方々に御認識をいただいているところであって、それは政府が掛け声をかけるというよりも、それぞれの自治体において、どのようにしてその取組を加速していくかということが大きなポイントだと思います。私どもとして、よく補正事由というものをきちんと整理をして、予算要求するべきものはしたいと考えております。
(問)国と地方との関係の中で、ちょっと若干こじつけではあるんですが、大阪で今正にダブル選挙が行われていて、維新の方々、国と地方との在り方に彼らの考えを通したいということで今選挙に臨んでいるわけですけれども、応援に実際に入られてみて、現場でいろいろお話を聞かれたと思うんですけれども、改めて国と地方の在り方についてどうお考えなのかということと、大阪の選挙についてどのような御感想をお持ちなのか、お聞かせください。
(答)それは地方自治体の選挙でございますから、大阪府、あるいは大阪市の主権者の方々の御判断というものが尊重されるべきであることは言うまでもございません。ただ、我が党として、知事、あるいは市長に推薦を出しております以上は、それを政権与党の閣僚として支援をするということは、これまた当然の責任だというふうに考えております。
 国と地方の在り方において一番重要なのは、基礎自治体であるという認識でございます。それぞれの基礎自治体と国がどのようにして連携をし、どっちが上でどっちが下とか、そういうことではなくて、国の補助金のメニューがある、あるいは交付税が財政保障機能、あるいは財源調整機能を持っているという、それはそれですばらしい仕組みなのですが、そのことによって、それぞれの地域の独自性というものが十分に発揮されてこなかったということは、私はこれまた言えることなんだろうと思っております。そこにおいて基礎自治体の在り方をどう考えるか、これが大阪都となり特別区となるということだけが解決の手法なのかということについて、私どもは私どもの考えがございますが、選挙の論戦においてそういうことが府民、あるいは市民の前に明らかにされて選択に資するということは大事なことだと思っております。
 先の住民投票において大阪都構想というのは、それは市民の意思というのは示されているわけでありまして、それからかなりの時間が経過して、では、どこをどのようにして市民のそういうような審判をもとに変えてきたのかということについて、どうも私にはよく分からないところがございます。そうすると、あの住民投票とは何であったのだろうかということを、また市民の方々がお考えになって御判断されるということなのでありまして、地方創生というものは、一つの仕組みを変えることによって成就をすれば、こんな簡単なことはないのであります。私どもとして、現行の仕組みの中でどうやってそれを最大限に発揮をしていくかということを現状としては考える、それ以上でもなければそれ以下でもございません。府民の方、市民の方の御判断というものは、それに資するだけのきちんとした情報が提供されるべきだというふうに考えております。
(問)補正についてなんですけれども、先ほど予算要求するものはするということをおっしゃられていましたが、地方側から要求の大きな新型交付金の積増しというのも検討対象というふうにはなるんでしょうか。
(答)それはもちろん対象にはなります。今ここでどうするかということを確定的に申し上げるということは時期尚早でございますが、どういうものが地方の経済の発展に資するものなのかということをよく考えなければなりません。そこにおいてきちんとした目標が設定され、効果検証というものが伴うということは、これはマストのことでございまして、ベタ配りという余りきれいな言葉ではありませんが、そういうことをするつもりはございません。きちんと数値目標が設定され、効果検証が伴うかということでなければ、それは補正予算としてはなじまないものだというふうに私は個人的に考えておりますが、それはまた部内でよく議論をして、これがまさしく国民の税金を使って補正というものの効果を発現するのにふさわしいものだということをよく厳選をして、要求をすべきものはするということです。
(問)所管外で恐縮ですけれども、フランスのテロを受けまして、今後オリ・パラですとか伊勢志摩サミットも控えた中で、地方も含めた国内のテロ対策というものを、元防衛大臣としてもどのようにしていけばいいか、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)これは完全な所管外でございますので、そのことを冒頭にお断りをし、それは所管である部署において適切になされることだと思います。
 私がかつてその仕事をしておりましたときに、イギリスの例というものを随分と参考にいたしました。かつて石原元東京都知事が、訓練を行う際はなるべく実際に近い規模で、そして突然、抜打ち的にやらねば意味がないということをおっしゃっておられましたが、ありとあらゆる想定をするということは当然必要なことであり、それが抑止力になるのだと思っております。
 事細かに申し上げることはいたしませんが、そのときにイギリスがやったことというのは、極めて徹底をしたテロ対策でございました。そうであらばこそ、ロンドンオリンピックというものも比較的平穏に開催されたものだと思っております。
 フランス政府としても、かなりテロ対策というのは徹底してやったのだと思います。にもかかわらずこういうことが起こったということは、それはフランス政府にぬかりがあったとか、そんなことを批判する立場でもございません。そんなつもりも全くございません。なぜこのようなことが防げなかったのかということは、それは私どもとしても虚心坦懐(きょしんたんかい)に学ばねばならないことですが、問題は、それを余りに厳格にやると社会活動が停止をしてしまうということとの整合をどう図るかということ、あるいは、9.11のテロの後で、我が政府としてもかなり徹底したことをやりましたが、国会においても「市民が迷惑するので、そんなことはやめてくれ」というような発言をされる方もございました。そこで、市民生活の円滑な実現というか、運営という言い方は変ですね。市民生活が円滑に行われるということと、そういうリスクを最小限にするということは、実はものすごく難しいことなのでございます。ですから、政府においてありとあらゆることを想定した上で、この両立というか、それをどう図るかということは、よく国民の御理解を得ながらやっていくことが必要だと思います。
(問)TPPの対策について、自民党、あと政府ももちろんそうなんですけれども、対策をまとめるために意見を出し合っています。そういう中で、例えば党の中ではインフラ整備、例えば土地改良と密接に絡む話ですけれども、インフラに投資をすることで、それが農業の活性化にも資するんだという声が出る一方で、それは昔のやり方だと、必ずしもそういうインフラなり、いわゆる公共土木にお金を投じることがどれだけ実際の地方の活性化に役立つのかという批判の声もあります。それについて、農政に非常に詳しい大臣としてはどのように見ていらっしゃいますか。
(答)地方創生の文脈で申し上げれば所管外の部分が多々あろうかと思います。すでに御案内かと思いますが、土地改良法には土地改良法施行令というものがございまして、かなり早い時点からB/Cというものをきちんと算出をするということが施行令に定めがございます。
 ですから、私はインフラ整備というものを一概に否定するつもりはございません。ございませんが、ウルグアイ・ラウンド対策のときに、本当にB/Cの検証というのがきちんと行われたかどうかということがまずあるべきだと思っております。土地改良をやり、インフラ整備をすることによってどれだけの投資があり、どれだけの利益が得られるか。土地改良の場合に、これはものにもよりますが、個人所有の農地というものの価値が増嵩(ぞうすう)する、価値が上がるにもかかわらず、なぜ公的な負担というものが認められるのかといえば、そういう投資を行うことによってコストが下がり、多くの消費者が裨益(ひえき)をする。そういう理屈に基づいているわけでございます。そうすると、インフラ投資にせよ何にせよ、そのことによってどれだけコストが下がり、どれだけ多くの方々が裨益(ひえき)をするのだという議論は徹底してなされなければなりません。
 今回、全中・奥野会長がカンフル的なものは要らないんだというふうにおっしゃっておられ、それが農業-農協でもなく政府でもなく自民党でもなく-にどれだけの便益をもたらすものなのかというのが大事であるというような趣旨のことを発言をしておられます。それは今まで全中幹部からはなかった御発言でございまして、そのことの意味の重さを我々として真摯に受けとめて、それがTPP対策-対策というよりも、要はTPPがあろうがなかろうがやらなければいけなかったことなんですが、それを対策という名前にするのかどうか-要は、農業というものがサステナブルであるために何が必要なのかという議論は党においても真摯なお話合いがなされると承知をいたしております。

(以上)