石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年11月6日

(平成27年11月6日(金) 10:37~10:52  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 児童虐待防止バッジについて着用方願いたいという話が、担当大臣からございました。
 私からは2つ申し上げます。政府関係機関の地方移転についての有識者会議の第2回を本日開催いたします。この検討に当たりましては、公平性、透明性のあるプロセスが大事であるということは、かねてから申し上げているところでありまして、増田寛也氏を座長とする「政府関係機関移転に関する有識者会議」を設置しております。本日はその第2回となります。8月末の道府県からの提案以降これまで、「御提案いただきました道府県」、「関係府省庁」、「機関が現在立地する都県市」からヒアリングをしてまいりました。本日の会議ではその概要の報告と、それを受けて今後の進め方についての議論をいただくということになっております。本日の御議論を踏まえまして、今後具体の検討作業に入ります。
 2つめは地方創生人材に関する検討会の開催についてであります。お手元に資料をお配りしておりますが、本日、『「地方創生人材」に関する検討会』を開催するものであります。6月末に閣議決定をいたしました「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」の中で、地方創生を担う様々なタイプの専門人材について、官民協働で体系的・総合的に確保・育成するための「地方創生人材プラン(仮称)」を、年末までに策定するよう検討を行うと明記したことを受けまして、地方創生人材の確保・育成についての課題の抽出や、今後の対応方策の方向性等につきまして、有識者の皆様に御議論いただくというものであります。各地方公共団体におきまして地方創生を推進するためには、人材の育成・確保が重要な課題でありまして、本検討会での議論、提案を踏まえまして、国としての対応の検討も含め、「地方創生人材プラン(仮称)」の策定を行ってまいります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)「地方創生人材プラン(仮称)」についてお尋ねしますけれども、専門人材の育成・養成ということだと思うのですが、地方創生という施策を進めるに当たって人材の育成ということが占める重要性というのを、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)これは極めて重要なことであることは論を待ちませんが、いわゆる正確なデータに基づいて地方創生を行っていく、従来、ともすれば、勘と経験と思い込みによる施策というものが見られたわけでありますが、きちんとしたデータに基づいて、これから先、地方創生という作業を行っていきませんと、人的資源あるいは時間的資源を空費することになりかねないと思っております。
 もちろんいろいろなパターンがございますが、どういうような手法というものが有効なのかということを、全国あまたある自治体でそれぞれ試行錯誤をするということではなくて、幾つかの成功パターンをタイプ別に分けて、それを会得することで、人的な、時間的な資源というものを、限られた時間、限られた資源の中で有効活用するということが大事だと思っております。そのノウハウというものが、今まで、ともすれば個別バラバラということで、普遍化されることがなかったと思っておりまして、人材を育成するに当たりましては、そういう点を重視してやっていきたいというふうに思っております。
 どこの自治体でもそうですが、そういう方がいるというのは極めて重要なことであります。それが多くの市民・住民の共感、理解を得る。そんなに、国政もそうなのですけれども、地方において政策の選択肢の幅がそんなに一杯あるわけではないと思っております。主権者たる住民の方々に、これ以外に何がありますかという問いかけは、行政の側からもしていかねばなりませんし、その過程において地域の方々のいろいろな御意見が反映されるということも、当然のことだと思っております。人材の育成こそが地方創生の鍵だと思っております。
(問)今の質問に関連して、具体的には地域の事情というのはあるのでしょうけれども、どういう人材を例えば育てたいと大臣としてはお考えなのでしょうか。
(答)繰り返しになったら申し訳ないのですが、きちんとデータの分析が出来る方ということだろうと思います。リーサスというのはそういった面にもお使いいただきたいのですが、5年先、10年先、15年先、20年先を見たときに、それぞれの地域はサステナブルなのかどうかということだと思います。
 これから人口が減少していくということであります。そして高齢化が極めて進むということでございます。そうすると、どこの自治体もそんなに財政が良いわけではございません。そうすると、その地域が本当にサステナブルなのかどうなのかということの評価・分析が出来るというのは、大事なことだと思います。今が良ければ良いとか、この地域、あるいはこの集団さえよければ良いというのは、誰でもそうなのですけれども、それがサステナブルなのかどうなのかという議論が必要なのではないでしょうか。
 そこにおいては、例えばある自治体においてかかる行政コストが、地域地域で一緒のはずはございません。それぞれの地域でかかる行政コストは違ってくるものだと思います。あるいはいろいろな箱物でも、それが一体いつまでもつのだろうか、それがこれから先どういうふうに活用されていくのだろうかということを考えたときに、それは無いよりもあったほうが良いよねというのは、誰でもそう思うのですけれども、それが本当にこれから先その地域においていかなる役割を果たしていくのかとか、そういうことの分析が出来ることが必要だと思います。どこかでその衰退を反転させてサステナブルになると同時に、そこに人材が集まり、にぎわいを取り戻していくためにはどうしたらいいだろうかということが、5年先、10年先、15年先を展望して立案できるというのが大事なのだと、といって簡単に言いますけれども、大変なことだと思います。ただ、その手法というのはあるはずなので、それを開発し共有化していくということではないかと私は思います。
(問)追加で、そうすると多分各自治体の首長とかというのも、例えば地方創生を担う重要な立ち位置にいると思うのですけれども、例えば各都道府県とか自治体を見ると、自民党とか例えば擁立されると思うのです、首長の選挙。そうすると今言ったような例えばお話というのは、党としてもそれを踏まえた上で今後そういう人材を、首長とかに推していきたいということなのでしょうか。
(答)そういうことだと思います。それは民主主義ですから、全体主義国家でも何でもないので、この人がふさわしいからこの人だなどということを、党が決めて、それを住民に押しつけるようなことは当然出来ません。それは地域の主権者たる住民の方々がお選びになるものでございます。
 ただ、我が党として、それぞれの地域地域において我が党は何をなすべきなのだろうか、どういう方に首長になっていただくべきなのだろうかということを考えたときに、そういうような見識というものが述べられる方、あるいは住民の代表たる議会においてそれが論じられる方、そして私はいろいろなところのうまくいった事例というのを拝見すると、その首長の方が、それぞれの役所の内部、あるいは議会だけではなくて地域地域に出向いていって、いろいろな数値のいわば可視化を行って、ここのまちの財政はこのようになっておってと、若い人たちにかけるお金はこれだけであってと、シニアの方々にかけるお金はこれだけであってと、だとすればどういうふうにしたらいいだろうかということを、首長の方々が、地域地域に足繁く足を運んでそういう説明をしておられるところというのは、住民の方々の意識も変わってくるのだと思います。
 そんなこととは知らなかったというのが結構ありまして、そうであるならば我々には何が出来るだろうかというのは、もちろんボトムアップも必要ですけれども、首長が語りかけるということが大事ではないか、これから先、首長というのは、個の利益の集積の代表者ではなくて全体の利益を具現化する人ですから、そういう方々が増えていくと良いなと私は個人的には思っております。
(問)今おっしゃったお考えというのは、例えば党のほうである程度共有されているというふうなお考えなのでしょうか。
(答)それは私、今、党の立場におりませんので、そんなことだったらおまえが幹事長のときにやれば良かったじゃないかと、こういう話になるわけですが、ですから地方創生の仕事をしてみて本当にそうだなということを、実感するに至ったということであります。もちろん選挙ですから勝たなければなりません。だけども、何のために勝つのだということも大事なのだというふうに思います。ですから党としてこれから議論は行われるのでしょう。時代が変わった中において自由民主党が果たすべき役割というものを、私自身、幹事長のときに随分考えたつもりですが、この担当になって更にその考えというのを、自分の中で整理してまとめていく必要があるかなという思いを持っております。
(問)政府関係機関の移転についてお尋ねします。これからヒアリング概要の報告があると思うのですけれども、大臣は以前から、政府機関の地方移転が実現するためには地方側の立論、いかに立論して説明していくかということが重要だというお話をされていたと思うのですけれども、ヒアリングを通して地方とのやりとりを聞いて、実現に向けて大臣は、どのような現段階で感想をお持ちでいるかお聞かせいただけますでしょうか。
(答)いろいろなお考えがあって、それぞれの自治体において、なぜそれがその地域に来たほうが国家全体にとって今よりも遜色がないのか、今以上のものになるのかということを、例えば試験研究機関で言えば、その地域にそれに関連するような大学、あるいは自治体の研究施設、あるいはそれに関連した産業、それが立地しているがゆえにここへ来たほうが良い、あるいは今と遜色ない。それが東京にあるということは、外の機関との連携とか政府機関との連携とかいうお話が、必ず反論としては出るわけで、いやいや、そうではないのだと、ここへ来てもそういう連携は可能であるとか、あるいは親元のという言い方が良いかどうか分からないが、例えば農林水産省とか経済産業省とかそういう所管官庁との連絡体制も遜色ないのだとか、そういう立論を精緻にされるところと、あったら良いなみたいな、そういうのが来るとここで雇用が増しますというようなことは、そこでなくてもいいわけですよね。ここに来たら雇用が増すのは当たり前の話であって、例えば50人なら50人の研究機関は、北海道から九州・沖縄までどこに移転しても、それは50人の人がやってくるわけです。だけど、それがなぜそこなのかということを精緻に論じられるところと、どちらかといえばそうではないねというところとは、見ているとかなりの違いがあるなという、それが率直な印象でございます。

(以上)