石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年10月23日

(平成27年10月23日(金) 10:22~10:37  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 冒頭、私から2点。
 通称シティマネージャーと言っております地方創生人材支援制度についてであります。
 来年度平成28年度におきましても、今年度と同様、地方創生に積極的に取り組む市町村に対し、意欲ある国家公務員、大学研究者、民間人材を市町村長の補佐役として派遣をするものであります。今年度は、応募されたのが69市町村でございましたが、69市町村に対しまして、国家公務員42名、大学研究者15名、民間人材12名という内訳で派遣をしたものであります。
 地方創生は、平成28年度より具体的な事業を本格的に推進する段階に入ります。特に民間人材につきましては、市町村の要望にできるだけ応えることが出来るようにするため、今年度は、民間シンクタンクに限っておりました民間人材を、これからは民間企業一般に拡大することにいたしたものであります-今まで、今年度は民間シンクタンクに限っておったわけですね-今年度におきましては、民間人材について、48の市町村から派遣希望がございました。第2希望まで含めましてそういうことでありますが、それに対しまして応募は31名にとどまったのであります。マッチングの結果、派遣者は12名ということに相なりました。これを広く民間一般に拡大するということにしたものであります。
 スケジュールにつきましては、本日23日より、派遣を希望される市町村の募集を開始いたします。12月中旬には、派遣を希望される市町村名を公表いたしますとともに、派遣を希望する人材の募集を開始し、年明け以降のマッチングを経て、来年4月からの派遣を目指したいと、かように考えております。
 次に、RESASにつきましてでありますが、9月から10月にかけまして、全国10地域で地域セミナーを開催いたしました。自治体の部では1,789名、一般の部では1,731名、総計3,520人の皆様に御参加をいただきました。
 RESASに対しましては、自治体のみならず一般の方々も強い関心をお持ちであるということを実感した次第であります。
 自治体の方々に対しましては、本日、第2回の政策立案ワークショップを山形県酒田市におきまして、産業分野の有識者であります東京大学、松原宏先生をお招きして開催をいたします。この様子は、動画で撮影、配信をいたしますので、これにより全国の自治体の方々の間でRESASを活用した政策立案に係る知識、ノウハウの共有を図りたい、このように考えております。
 第1回、これは前も御紹介しましたが、福岡県のうきは市で8月11日に開催をいたしたものであります。
 もちろんこれは私どもの事務局から、内田企画調整官が出席をするということになっております。
 更に、広く国民の皆様にRESASを活用した地域活性化をお考えいただく政策アイデアコンテストを実施中でありますが、この一環といたしまして、先般御案内いたしましたとおり、品川女子学院、茨城大学、昭和女子大学で出前講座を開催いたしました。今後、千葉県、三重県、福井県、沖縄県の大学や高校でも同様の出前講座を実施予定でありまして、本日は、東海大学付属仰星高等学校、これは大阪府の枚方市にございます。また、鳥取県関西事務所で開催予定です。この鳥取県の関西事務所でやるというのは、鳥取県出身の京都大学、大阪大学の学生さんを対象とするものであります。
 最後に、本日の遅い時間で恐縮ですが、18時30分より、衆議院第二議員会館におきまして、「地方の明日をつくるのは誰だ? with RESAS」と題しましたワークショップを開催いたします。これは、「僕らの一歩が日本を変える。」というNPO法人、おなじみの人にはおなじみですが、これが開催をするものでございまして、大学生、高校生、約30名の参加者が、それぞれの地域をRESASで分析し、課題解決のアイデアを出し合うというものであります。
 というようなことで、あちらこちらでこのRESASを使いまして、今までデータに基づかない、経験と勘と思い込みによる政策というものが全くなかったとは言わない、かなりあったかもしれない。しかし、人・物・金がどこから入り、どこへ出ていくのか、それはどんな人であり、どんな物であり、どんな金であるのか、あるいはそれぞれのまちがこのままいった場合に、5年後、10年後どのようになっていくのかというデータを基に政策を立てていきませんと、これは実行を欠くものになりかねないということで、ずっとRESAS、RESASと言っておるわけであります。それはどういうものなのかということは、報道の皆様方にも御了知いただきたいというふうに切望いたしておるものでありまして、本日の18時半より第二会館で行います。御取材のほどお願いを申し上げたいと存じます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)地方創生人材支援制度についてお尋ねしますが、来年度は、広く民間にも拡大するということで、たしか従業員300人以上だったと思うんですけど、シンクタンク以外にも民間の方に拡大する意義についてどのようにお考えかというのが1点と、あと、純粋な民間企業が自治体の政策立案に関わる場合に、特定の企業ですとか業界に有利な政策誘導が働くんじゃないかというような懸念もあると思うんですが、そのあたりはどのように対応されるんでしょうか。
(答)この意義というのは、シンクタンクに限らず、例えば金融機関あるいは商社あるいはメーカーのそれぞれの町村の特性に応じて、シンクタンクでなければ駄目だということではない、特性に応じていろいろな業界のいろいろな方々が首長の補佐役となるということに意義はあると思っております。
 御懸念の点につきましては、もちろんマッチング作業の段階でそういうことがないかどうかということは考慮の対象として重んじなければなりません。とともに、派遣される方も、当然そういう意識を持って、つまり自分の出身企業であるとか出身業界であるとか、そういうものに利益を誘導するような公正を欠くことがないようにということで業務に当たることも、これは当然のことでございます。
 したがいまして、これはそういう立場で行くとすれば、当然それなりの責任を負うわけでございまして、その点はよく御留意をいただくということは、派遣をする際にもきちんと確認をしなければなりませんし、マッチングの段階でもその点はよく検討し、公正を欠くことのないようにしたいと思っております。
(問)地方創生人材支援制度についてなんですけど、従来、今まで国家公務員といえば、総務省、財務省を中心に、例えば副知事とか総務部長、財政課長というふうに行かれている方って多分多いと思います。その辺との絡みというのはどういうふうになるんでしょうか。
(答)これは、この制度をスタートさせましたときに、国家公務員が全国多くの自治体に行っている。しかし、それは人口5万人以下の小さな自治体には全く出ていないということでございました。むしろそういうところが人材を必要としているのではないだろうかということ。そして、例えば、何々県の何々部長さんは厚生労働省からであるとか、何々市の何々課長さんは国土交通省からとか、何か指定席みたいになっていて、地方のことを勉強してきなさいみたいな、そういうような帰来がなかったとは申しません。そういう考えとは全く一線を画すものでございます。大体役職として副町長とか、あるいは地方創生監とか、あるいは地方創生企画役とか、そういう形で、むしろ横串を刺すという言い方は私は余り好きじゃないんだけど、そういう形で広く全体を俯瞰(ふかん)して地方創生に資するような企画立案をしていただくということを予定しているものでございます。ですから、事の当然として、原則人口5万人以上のところには出しませんので、この人材を、ですから、御懸念と御指摘のバッティングということは起こらないというのが仕掛けになっておるところでございます。
(問)今日、1億総活躍社会の国民メンバーが間もなく発表されると思うんですけれども、その中で地方創生担当として増田寛也さんのお名前が挙がっていますけれども、今後、地方創生担当大臣としてどのような連携をとられていこうとお考えでしょうか。
(答)増田先生は、この地方創生という試みがスタートするに当たって、一昨年の11月発売の「中央公論」で、正しく「地方消滅」という論文を発表され、そのポイントは、単に警鐘を鳴らすということではなくて、1,718市町村全てにわたって2040年、すなわち今から25年後に20代、30代の女性の方々がどれだけ減るかということを全て明らかにした上で論を起こしているわけであります。ですから、その地方創生についての一つのいろいろな政策のそういうお立場で中心的な存在の方であります。1億総活躍ということを、そういう有識者の中で議論するに当たって、この地方創生の観点というものはもちろん必要不可欠なものであって、増田先生がずっと積み重ねてこられた見識、そして、この1年間にわたって政府の中で、例えばCCRCにしても、あるいは省庁の地方移転にしても、中心的な役割を果たしていただいているわけで、そういう観点から全体の議論をリードするという言い方はいけないのかもしれませんが、あるべき方向に導いていただきたいなというふうに思っておるところでございます。
(問)1億総活躍の国民会議のメンバーの件に関連して、今回のメンバーをご覧になったと思うんですけれども、例えば地方創生に関しては、今回のメンバーが選ばれたことによって地方創生自体も進むというか、好影響を与えるというふうにお考えでしょうか。
(答)それはそうでなければ大変なことであって、あちこちで申し上げていることですが、1億総活躍と重複しない分野があるほうがおかしいでしょうということなのでございます。そこにおいて、今回選ばれたいろいろな方々がそれぞれの立場から意見をお述べになる。更にそこから進んで、有識者の中には入っていないけれど、実際に、例えていえば、介護離職をされた方々、あるいはGDPを上げる上において、地域でいろいろな懸案を抱えておられる方々、あるいは出生率の議論をするときに、実際に働く女性の立場で、あるいはシングルマザーの立場で、日本の場合に、シングルマザーの方々の所得というのが極めて低いというのは大問題であると私自身認識をしておって、それが有識者の方々のお話し合いが更に拡大をして、より現場に近いものになり、国民各位が1億総活躍って私にとってはこういうことなんだよねということを実感していただける、そういうようなものになると思っております。

(以上)