石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年10月9日
(平成27年10月9日(金) 11:10~11:30 於:合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
この不思議なバッチは何であろうかとお思いの方もおられるかと存じます。本日の閣議でお披露目がございましたが、これは、マイナちゃんという、マイナンバーを周知徹底・普及せしめるためのバッチなのだそうでありまして、なぜウサギかと言われてもよく分からないのでありますが、今日、甘利大臣のほうから、閣僚はこれを着用して周知方図られたいとのお話がございました。
本題でありますが、本日、閣議終了後、TPPの総合対策本部、続きまして、農林水産業・地域の活力創造本部が開催をされました。
私からは、TPPの総合対策本部におきまして、今回の大筋合意は極めて大きな意義を有しており、TPPによって、輸出促進のみならず、我が国全体、ひいては地方に対する投資が高まることが期待される。一方において、農林水産業の成長産業化が図られるよう、地方創生の観点から、政府全体で議論し答えを出す必要があり、TPPと地方創生が相互に取り合いながら進むよう力を尽くしたい旨発言いたしました。
また、その後の農林水産業・地域の活力創造本部におきましては、総理から対策本部において決定された基本方針に沿って、早急に具体的な施策の検討を進めるよう指示がありましたが、これに先立ちまして、つまり、指示があったのは最後ですが、これに先立ちまして、私からは、地方創生にとって、農林水産業の成長産業化と、そのための生産性の向上を目的とした対策が必要である、その際には、これは、私が農林水産大臣のときからずっと持っている問題意識なのですが、持続可能な再生産というのがキーワードなのですけれども、一体誰が持続可能な再生産を行うのかということが実は極めてポイントになるところでありまして、持続可能な再生産を誰が担っていくのかを明らかにするとともに、ウルグアイラウンド関連対策、事業費約6兆円を費やしたものでございますが、その成果と反省点を踏まえてKPI-キー・パフォーマンス・インジケーター-これを明確にし、プラン・ドゥ・チェック・アクションのPDCAサイクルが回る仕組みとすべきであるという旨発言をした次第であります。
私からは以上でございます。
2.質疑応答
例えば、私どもとしては、この1億総活躍に向けて、正確に言えば1億2,700万ということになるのでしょうけれども、要は、それぞれの人が自己実現というのか、みんなが職場に出て働けというのが1億総活躍では当然ないわけで、1億2,700万、そこにはお子さんもいれば、高齢者の方もおられるわけで、それぞれの方が自己実現、自らの存在というものがきちんと実現されるような、そういう社会になっていくためには、例えば、地方創生のツールでいえばコンパクトシティであるとか小さな拠点であるとか、あるいはCCRCであるとか、そういう個別の施策があるわけでございます。そういうものが私どもとしては、これが緊要性のあるものだと思っています。ただ、そういうような各論をずらっと並べて、これが緊急対策だというのも、それは何となく国民の感じとフィットしないところがありますので、緊急対策を作るに当たっては、私どものみならず各省が抱えている、緊急にという名前に値するようなものをどのようにしてパッケージにし、そこにストーリー性を持たせるかということだと思っております。だから、事項がずらずら並んでいるということではなくて、これがどうなって1億総活躍になるのかということが、国民の皆様方に、ああ、なるほど、こういうことなのかと。何せ最近になって突如として登場した概念でございますので、何となく国民の方々には、何のことでございましょうかみたいな、そういうような戸惑いみたいなものが全くないとは私は思っておりません。そこは、加藤大臣の豊富な識見と卓越した能力というものによって、それがストーリー性を持って国民の皆様方に御理解と御支援をいただけるように、私どもとしてもよく連携をとってやってまいりたいと思っております。
そうはいっても、それでは、一体どうしたら良いのという話になるわけで、これは主に経産省の領域なのですが、そういうものをやろうという話を、前の在任中に担当局長とはよくお話をしたことでございました。担当局長が、今、総理の秘書官という立場におられますので、よく連携を取りながら、そういう形でGDP600兆なるものを、それぞれの地域において、その積み重ねですから、600兆という漠としたものがあるわけではなくて、それぞれの地域でどう上げていくかという上において、有効なものでございますので、今後、地方創生の観点からも、この点を重視していきたいと思っております。
第2点は、例外なき関税の撤廃ということはいたしませんということが公約でございました。ですから、米、麦、豚肉、牛肉、甘味資源作物、乳製品というようなものについて、例外なき関税撤廃ということになったものは一つもございません。その点で、私は有権者の方々に対して公約違反ということにはならないと思っていますが、そうやって言っても、これによって、例えば、米国からの米の輸入の枠が増えますということでどのような影響があるのか。何せ、米の消費でいえば、ピークは1962年だったと思いますが、そのころからすると半分になっているわけですね。消費が半分になっているというところに、生産がそれを上回る量がある。そこへまた海外から入ってくるということになりますと、それは緊急対策というものが一つあって、それは、政府の保管を増やすとかいろいろな方策は考えられるのでしょう。またこれから具体的に予算とも合わせて提示をして急がなければならないことだと思っていますが、もう一つは、収益というものを考えたときに、本当にコストはどう下がるのか、付加価値はどうやって上がるのか、それはあなた方が考えてくださいということではなくて、政府として、そこへ向けて、例えば、北海道の米と山陰の米は全然状況が違うわけですね。それでは、いわゆる中山間地の米というのを考えた場合に、当然、高低差があるわけで、そうすると、収穫時期が一緒ということはあり得ないわけですね、そうすると、機械の使い方も更に工夫の余地がありはしませんかとか、いわゆるブランド米の取組についてどのように考えますかとか、それはもう各論のお話であって、いかにコストを下げ、いかにして付加価値を上げ、そのために、行政としていかなる支援が出来るかというお話だと思っております。
同じお話は、例えば畜産についても言えることであって、規模からすれば、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド並みには当然ならないのですが、欧州並みには規模は拡大されてきた。さすれば、一番高コストの要因になっているのは餌でしょうがということになるわけで、その餌が2倍、3倍するとすれば、どうしても高コスト構造というものは、規模の拡大では解決できないものがある。だとするならば、どうやってその餌にかかる負担というものを減らしていくかということに集中して取り組んでいく必要があるだろうとか、それぞれの品目によって、それぞれの農家の方々に御納得いただけるようにきちんとした説明をしなければなりません。
同時に、セーフガードの発動というものが、どういう場合にセーフガードが発動されるのか。今まで我々の地域でいえば、ネギについて中国産が入ってきた。あのとき、かなりセーフガードの発動は難しかったという記憶が-私、当時は副大臣でしたが-ございます。今回のセーフガードというものが、どういう仕組みなのかということもよくよく御説明していかないと、これから先、来週にかけてJAの方々が多くおいでになるわけで、JAの方々のみならず、一人一人の農家の皆様にどうやって御理解をいただくかという努力は、これから先相当にしていかなければならないだろうなというふうに思っております。公約違反ではない、以上、おしまいというような、そういうようなことをするつもりは全くございません。
行革担当の所掌と、この省庁の地方移転というのがどれほど関係するのかというのはよく精査をしてみなければなりませんが、この中央省庁のというか、政府・中央機関の移転というのは、今までと全く違う試みを行っているものでございまして、それは、行政機関が、その効果を発揮するのにどういうような状況が一番適当かということです。だから、これは民間企業でもそうなのですけれども、行政の場合には、そこへ移転をするというのが、シンボリックな話というだけではなくて、それが国家全体にとってプラスなのかどうなのか。地方には移転しましたが、国全体の行政機能としては低下いたしましたということではどうにもならないので、そこを精密に分析・精査をする上において、行革の視点も入れていただければ、それはなおよろしいだろうというふうに思っております。
(以上)