加藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年12月18日

(平成27年12月18日(金) 10:09~10:29  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 まず、私の方から、12月21日に、「女性活躍と企業の戦略経営シンポジウム」が千代田区大手町の日経ホールで開催されます。私が、午後1時から、「未来を拓く女性の活躍」と題して講演をすることとしております。
 このシンポジウムは、女性活躍推進法に関する理解を深めるとともに、女性活躍に先進的に取り組んでいる企業の事例の紹介やパネルディスカッションを通じて、企業における女性活躍の在り方について考えていだたくということだそうであります。
 私の方からは以上であります。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の池尻です。
 1人3万円を配る臨時給付金について改めてお聞きしたいのですけれども、補正予算では3400億円を盛り込まれる方向なのですけれども、若い世代に比べて桁が大きく違って、自民党からも選挙目当てとの批判が出ているのですが、こうした批判をどのように受け止めているのか教えてください。
(答)いろいろ御議論いただいていること、自民党等においても御議論いただいているわけでありますが、昨日申し上げましたように、GDP6割を占める個人消費の足どりというのは必ずしも強くないわけでありまして、GDP600兆、強い経済の実現に向けては、そうした消費の喚起が必要だというふうに認識をしております。
 そういう中で、現役世帯を見ると、春闘を始めとした賃上げの率については高いというか、ここ20年ぐらいの間では高い水準になっております。また、最低賃金も、安倍政権の中で3回引き上げられ、2%を超える水準で引上げを図ってきたところでありまして、こうしたことを続けることによって、そうした世代にはアベノミクスの恩恵というものは届けていきたいと思います。
 他方で、高齢で特に働いていない方々を中心には、そうした賃上げの恩恵というのはなかなか及びにくいということでもありますし、実際、無職の高齢者世帯についての消費の動向を見ると、2014年以来、消費支出が弱い傾向が見られるわけでありまして、また加えて、高齢者の消費性向は、特に所得の低い高齢者層は消費性向が高いということもございます。また、消費税が10%に引き上げられるときには、年金生活者支援給付金というのが支給されることになっている。そういったことを踏まえて、今回、特に所得の低い高齢者層に、先ほど申し上げた消費の喚起を図るという観点から焦点を当てることが効果的だと、こういうふうに考えております。
 また、若い世代についても、今回の補正予算の中で、希望出生率1.8等において補正予算あるいは当初予算ということでいろいろな対策も、緊急対策の中に盛り込み、それを今具体化しようとしているわけでありますし、また加えて、来年春に策定を予定しております日本一億総活躍プランにおいても、その点もしっかり議論してそのプランの中に盛り込んでいきたいと、こう思います。
(問)朝日新聞の池尻です。
 大臣も今おっしゃっている消費の喚起のことについてなのですけれども、このワンショットの3万円でどうして消費の喚起に結びつくと考えられるのか。貯蓄に回るのではないかとか、そこら辺のことをもうちょっと説明していただけませんでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたように、特にその世代は消費性向が特に高いということ、それから10%引上げ時の年金生活者支援給付金と今回の年金生活者等支援臨時福祉給付金、これとでは対象者やそのやり方はもちろん異なるところはありますけれども、かなりの部分の方はそうした10%時の年金生活者支援給付金も支給されていく、こういう流れになっているわけなので、そうしたことを総合的に勘案して、この消費の喚起を図っていく上においては、こうしたことを対象にするということが効果的だと、こういうふうに考えたということであります。
(問)(朝日新聞・池尻記者)重ねて申し訳ないですが、その一方で、与党の議論の中の話なのですけれども、いわゆる子ども給付金、子育て給付金も廃止の方向で今議論が進んでいるのですけれども、こういった高齢者への給付金が3000億円出てくる一方で、この給付金が廃止の方向というのは、一億総活躍の中の考え方としては、大臣はどのように位置付けられているんでしょうか。
(答)それぞれ、先ほど申し上げた今の給付金、今の3万円を低所得者の高齢者にというのは、正に特に強い経済の実現という観点からも進めているわけであります。それから、今の子どもさんを中心にというのは、それはほかの政策とも含めて総合的に勘案されている中での議論じゃないかなというふうに思います。
(問)NHKの伏見です。
 関連になりますが、3万円という額は、過去の景気対策用の給付金、臨時的な給付金に比べても額がかなり多いかと思うのですけれども、その3万円の額の根拠であったり、あるいは、それが特に若い世代との差というように映るんじゃないかとは思うのですけれども、そのあたり。過去は、子育て世代に給付することの方が多かったかと思うのですけれども、過去の政策との整合性というところをどうお考えになっているかというところをお聞かせ願えますか。
(答)まだ最終的に補正がセットされているわけではないので、3万円ということを前提になかなか申しにくいというふうに思いますけれども、いずれにしても、過去の施策というのも、別にそれ自体、どのことをおっしゃっているか分かりませんけれども、ワンショットで終わっているものではなくて、ずっと続けているものもあると思います。それから、今回の施策の中でも、そうした子育て世代を中心とした施策も盛り込まれているわけでありまして、全体のそれぞれの政策と、そのまた目的の中で、もちろん限られた財源の中ではありますけれども、適切な組合せというのでしょうか、そういったことで補正予算あるいは当初予算、そういったものにしっかり反映していきたいと思います。
(問)朝日新聞の伊藤です。お願いいたします。
 ちょっと話は変わるのですが、先日、夫婦別姓を認めない民法を合憲とする最高裁の判断が出ました。一方で、国会で議論するようにという内容も盛り込まれたのですけれども、改めてその判決への受け止めと、今後どういう議論がなされていくべきか、お考えをお聞かせいただけたらと思います。
(答)先般の最高裁の判決において、近年、女性の社会進出が進む中で、氏の変更により、当該個人が同一人であると識別するのが困難な事態が生じており、婚姻前の氏使用はその合理性と必要性が増しているという旨の、これは個別意見が、少数意見というのですかね、が出されております。また一方で、多数意見においては、社会の自然かつ基礎的な集団単位である家族の呼称を一つに定めることには合理性が認められること。嫡出子が両親双方と同氏である仕組みを確保することにも一定の意義があること。通称使用が広まることにより、氏の変更に係る不利益は一定程度緩和され得ることなどを総合的に勘案すると、夫婦同氏制が直ちに個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠くなどと認めることができない、という多数の御意見もあったわけでありまして、いずれにしても、選択的夫婦別氏制度の導入については、我が国の家族の在り方等にも深く関わる問題でありまして、これまでも国民の間では様々な意見があります。したがって、そうしたことを踏まえながら慎重に検討していく必要があるというふうに思っております。
 また、国会でというお話がありましたけれども、先般、与党においても議論がなされたというふうに聞いておりまして、そうしたことも踏まえながら慎重に検討していきたいと思います。
(問)(朝日新聞・伊藤記者)もう一点ちょっと恐縮なのですけれども、大臣も結婚を機に名前が変わるという御経験をされていると思います。その姓が変わるということについて、御自身の経験を踏まえて、その当時お感じになることが何かありましたら教えていただきたいのですが。
(答)そうですね、昨日まで、私は旧姓、室崎といいましたけれども、一瞬両方の名前が存在をしているという意味において、若干の戸惑いはありましたけれども、しかし、その後それに収れんをしていけば、特段生活上、私は不便は感じはいたしませんでしたけれども。
(問)共同通信、瀬野と申します。お世話になります。
 また別件なのですけれども、保育士の処遇改善について、大臣はどのように考えていらっしゃるかお聞きしたいのですけれども。今、予算編成の真っ最中ですが、当初予算において、この保育士の処遇について何らかの措置を盛り込むべきとお考えになっていますでしょうか。
(答)処遇改善というものも含めて保育士の確保という観点から、この緊急対策の中にも盛り込まれております。そういった施策を具体的に入れていきたいというふうに思っております。補正予算だけではなくてですね。
(問)(共同通信・瀬野記者)確保ということで、賃上げが一番根本的な、処遇の低さが問題とも言われているのですけれども、その賃上げについてはいかがでしょうか。
(答)それは、これまで保育士の方に関しては充実分ということで5%、そのうち3%の引上げを図ってきました。それから、平成26年度の人勧において2%、そして先般、27年度の人勧もしっかり反映していきたいというふうに思っております。そういったことをこれまでやってきておりますから、そういったものが実態どうなっているのか、実態をどう反映しているのかといったこともしっかり見極めていく必要があるのだろうと思います。
 そういったことを含めて、いずれにしても、保育の現場からは確保のことについてのいろいろ指摘もありますから、そうした保育士の方がしっかり確保できるような政策を、この補正あるいは当初の中で盛り込んでいきたいと思っています。
(問)産経新聞の太田と申します。よろしくお願いします。
 拉致の関連についてお伺いしたいのですが、拉致問題解決に当たって日韓でタッグを組んでいくことは重要となってくると思うのですが、昨日の弊社前支局長の判決の受け止めと、拉致問題への影響に何か及ぼすことがあるのかどうかちょっとお伺いしたいのですが。
(答)ちょっと質問の御趣旨というか、どういうつながりでおっしゃっておられるかよく分からないのですけれども、基本的には、それぞれの国が違いますから、直接関係するということにはならないのではないかなと思いますが、何かこういうつながりで関係するという御指摘があればまたお話をしていただきたいと思いますし、また別件でありますけれども、18日の国連総会の本会議では、我が国及びEUが共同提出した北朝鮮人権状況決議、昨年を上回る119票の賛成票を得て採択されたところでありまして、正に前から申し上げておりますけど、国際社会における拉致問題を含む北朝鮮の人権状況に対する機運、その関心が高まっておりますから、そういったその流れをより高めていき、最終的に拉致被害者の方々の一日も早い帰国の実現、これにつなげていきたいと思います。
(問)(産経新聞・太田記者)質問が申し訳なかったのですが、昨日の判決によって、一方の見方として、これで日韓関係が改善の方向に更に向かうんじゃないかという見方がある中で、その日韓と日米韓が含めて北朝鮮に対して交渉を進めていく上で拉致解決にも何か役に立ってくることはあるかというあたり。
(答)判決に関して直接私どもがコメントするというのはいかがかと思いますが、ただ、先般の国際シンポジウムでも、韓国の人権大使においでいただいて、大変貴重なスピーチも頂いたと、発言もしていただいたというふうに思いますし、そういった面で、拉致の被害者をそれぞれ抱えている国、韓国のみならずでありますが、しっかりと連携をしていきながら、北朝鮮に圧力をかけ、そして、それが先ほど申し上げた拉致被害者の一日も早い帰国、こういうものにつなげていきたいと思います。
(問)毎日新聞の加藤です。
 先ほどの保育士の賃上げの質問に関連してなのですが、実態がどうなっているのか見極める必要があるというところをもうちょっと詳しくお伺いしたいのですが。今すぐに上げるというのではなくて、調査なり何なりを検討されているということでしょうか。
(答)これまでも、多分、賃金統計等々もあるのだろうと思いますけれども、そういった中身も見ながら、この処遇改善ということも、もちろん各方策としては大事な一要素だというふうには思っております。
(問)(NHK・伏見記者)拉致の問題に戻るのですが、国連総会で、今おっしゃったように、本会議の方で北朝鮮の人権問題を非難する決議案が採択されたということで、ただ一方で、この1年半くらい、ストックホルム合意に基づき、全ての日本人に対する調査が始まってから進展がないという中で、改めてこの決議の位置付けと、それから年末が近づいてきましたが、その進まないことへの受け止めを改めてお願いいたします。
(答)先ほどとやや重複いたしますけれども、昨年決議において、これまでにない国際刑事裁判所に関する記述等がありました。それから、国連の安全保障理事会においても、この北朝鮮の人権状況の問題が去年に続いて今年も取り上げられ、また今回、現時点では理事国メンバーではない日本が発言の機会を得て、この問題について解決が図れるべきだということを強く主張したところでありまして、そうした一つ一つの取組が先ほど申し上げた国際社会における、この拉致問題を含む北朝鮮の人権状況に関して、その関心が高まってきておりますし、また、その現れが昨日の、昨年を上回る119票の賛成。これも昨年を上回る賛成票を得るべくいろいろ働きかけをしてきたわけでありまして、そうした成果が一つそこにあったと、こういうふうに認識をしておりますので、これだけで物事が動いていくかというのはあるかもしれませんけれども、こうした様々な取組を展開する中で、やはり北朝鮮から拉致被害者の方々の一日も早い帰国に向けての動きをしっかりと引き出すべく今後とも対応していきたいと、こういうふうに思っております。
(問)日経新聞の島田です。
 関連します。答えは重複すると思うのですが、来年、日本は国連の安保理の非常任理事国になるということが今後の拉致問題をめぐる国際連携に向けてどういう意義を持つのか、その辺を改めてお聞かせください。
(答)正に国連の場において、安全保障理事会のメンバーということになるわけでありますから、この拉致の問題についてもしっかりと、今盛り上がってきたこの機運を更に高めていけるように、そういう立場も踏まえて対応していきたいと思います。

(以上)