加藤内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見要旨 平成27年12月18日

(平成27年12月18日(金) 17:15~17:30  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 先ほどの臨時閣議におきまして、平成27年度補正予算の概算につきまして、閣議決定がございました。
 この平成27年度補正予算では、11月12日に一億総活躍国民会議における総理の指示に従い、「希望出生率1.8の実現」、「介護離職ゼロ」という二つの目的達成に直結する政策に重点を置いております。
 その上で、国民会議で取りまとめられた「緊急に実施すべき対策」のうち、「特に緊急対応」と明記されたものを中心に、予算が計上されております。
 ポイントとしては、特に認可保育所の施設整備、介護施設・在宅サービスの整備は、特に例外的に、多年度間にわたる予算の執行ができる、そういう形にしておるところでございます。
 また、これまでの介護施設整備については、ともすると厚生労働省は厚生労働省、国土交通省は国土交通省というばらばらでございましたが、今回は特別養護老人ホームとしてサービス付き高齢者向け住宅、これ全体を見通して将来の需要動向を踏まえた調整を行って、それぞれ予算の確保が図られたところであります。
 今回の「緊急に実施すべき対策」を実施するに必要な補正予算になっていると、こういうふうに認識をしております。
 概要はお手元にございますけれども、まず、第一の「希望を生み出す強い経済」のところでは、年金生活者等支援臨時福祉給付金が3624億円。また、「地方版総合戦略」に基づく地方の取組支援ということで1096億円が計上され、その中心として新型交付金1000億円となっております。
 また、第二の矢「夢をつむぐ子育て支援」につきましては、上から四つ目でございますけれども、「待機児童解消加速化プラン」の推進と書いてありますけれども、認可保育所等の整備が511億円、また、保育人材の確保として、保育士確保対策の推進、保育士の給与体系の見直しということで、両方足しますと819億円の計上になっております。さらには、上から二つ目でありますけれども、地域における結婚に向けた活動の支援等で36億円。また、ひとり親家庭等の支援、児童虐待防止対策の強化ということで208億円等の計上を行っております。
 また、第三、後ろのページになりますけれども、「安心につながる社会保障」におきましては、上から三つで、いわゆる介護施設、在宅サービス、サービス付き高齢者向け住宅の整備等ということで、三つを足しますと1131億円。また、介護人材の確保ということで456億円の計上がなされております。
 なお、お手元の資料以外にも、今日、財務省から出された補正予算全体の中では、災害復旧・防災減災事業ということで計上、トータルで5169億円が出ておりますが、この中にもいわゆる国土強靱化対策なども計上されているところであります。
 私の方からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)NHKの伏見と申します。
 項目が主なものということでリストアップされているかと思うのですけれども、それぞれ、もし分かればなのですが、第一、第二、第三でそれぞれで幾らとかですね、あるいは1億で総額幾らという、財務省の方では発表があったのかもしれないですが、もし分かれば教えていただきたいというのが1点と。
 あと、すみません、先ほども少しありましたが、緊急対策が取りまとまって、かなり短期間の中でこういった補正予算の編成に至ったかと思うのですけれども、出来栄えをどう評価されているかというところをお聞かせください。
(答)まず、財務省の紙でありますけれども、一億総活躍社会の実現に向けて「緊急に実施すべき対策」等ということで、1兆1646億円という計上になっております。
 そして、第一、第二、第三の矢、これ粗々になってしまいますけれども、第一の矢ということで約7700億、特に第一の矢はですね、どこまで第一の矢というのはなかなかちょっと難しいところが正直ありますので、基本的には、先ほど申し上げた「緊急に実施すべき対策」ということに盛り込まれているということを中心に挙げたものが、約7700億ということでございます。それから、第二の矢として約2300億、第三の矢として約1600億と、こういうことになっております。
 それから、出来栄えということでありますけれども、「緊急に実施すべき対策」について、その中のうち、特に緊急に対応すべきと明記したものを中心に、正にやるべきことに必要な予算が計上されたと、こういうふうに認識しております。
(問)(NHK・伏見記者)朝の会見でもお聞きしましたが、改めてになりますが、新しいその臨時福祉給付金、1人3万円というのが、補正予算分だけで3600億円余り計上されているということで、これは1人3万円という額が多額なんじゃないかという指摘であったり、高齢者向けの対策であって、若者への対策はおろそかになっているのではないかというような指摘もあるかと思うのですけれども、改めて、この給付金の意義についてお聞かせいただければと思います。
(答)午前中と重なりますけれども、現在その個人消費の改善には、力強い動きがまだ見受けられていない。こういう中で、GDP600兆円という強い経済を実現をしていく、そのためにも消費の喚起が必要だと、こういう認識をしております。
 そういう中で、現役世代について見ると、この賃上げについてはここ数年、この20年近い中では高い水準の賃上げが行われ、また、最低賃金も安倍政権の中でも3回、2%を超える賃上げ率になっているわけでありまして、そうした形で、引き続き現役世代については賃金の引上げという形で、またそうした世代の所得を確保し、またそれがその世帯の消費の拡大ということにつながっていくのだろうと思っています。
 他方で、そうした賃上げの恩恵がなかなか及びにくい高齢者世帯、特に低所得者あるいは無職の高齢者世帯については、実際、消費も大変弱い、消費の動きも弱い状況が続いております。また、所得の低い高齢者層というのは、いわゆる消費者性向が大変高いという指摘も、高い傾向にもあるわけであります。
 また、加えて消費税が10%に引き上げられるときには、「年金生活者支援給付金」というものが支給をされることになっておりまして、これは1人6万円という水準になっておりますけれども、そうしたことを踏まえて、特にこれからの経済の下振れリスクにも対応するという観点、特に個人消費の下支えを行って、経済の下振れリスクにも対応するという観点から、正に所得の低い高齢者層に焦点を当てることが効果的だと、こういうふうに考えて今回の補正に計上しているところであります。
 一方で、若者対策ということでありますけれども、先ほど申し上げたように、一つはまず賃金の、緊急対策にも盛り込んでおりますけれども、賃金の引上げ、最賃(最低賃金)の引上げといったものが提言されておりまして、こうしたことをしっかりと実行していくということが当然求められておりますし、加えて今回の補正予算の中にも、特に希望出生率1.8の関係で、保育サービスの拡充等を計上しているところでございます。さらに今、当初予算の関係で、幼児教育の無償化、あるいは児童扶養手当の機能充実ということについても引き続き議論をするということにしているところでありまして、別に高齢者ということではなくて、若い方々にもしっかりと焦点を当てて、補正予算、あるいは予算編成全体を進めているところであります。
(問)朝日新聞の池尻です。
 第二の矢の部分で、保育士の給与体系の見直しというのがあるのですけれども、これ、もう少し具体的にどのような内容なのか教えていただきたいのと。
 あと、給与体系の話ですから、今後、新年度予算でも何らかの措置をされるのかということを、どのように対策を取り組むのか、教えてください。
(答)保育士の給与体系の見直しというのは、平成27年度の人事院勧告を踏まえた対応ということであります。
 28年度の当初予算については、今朝も申しましたけれども、この補正予算も含めて、保育士の確保というのは大変重要な観点でありますから、そういった観点にもしっかりと念頭に置きながらですね、議論をしていきたいと、こう思っております。
(問)読売新聞の有泉と申します。
 臨時福祉給付金ですけれども、支給の時期は、消費の喚起ということを考えた場合は、来年のいつぐらいが望ましいとお考えでしょうか。実際、どのくらいをめどに考えていらっしゃるか教えてください。
(答)これは、来年というか、補正予算ですから、まあ、まず成立をしていかなければなりませんけれども、成立をしたらできる限り早くにですね。特に上半期を少し念頭に置きながらの施策でありますから、できる限り早くにですね、こうした支給が行われるように、ただ、これは市町村にもいろいろとお願いをしなければなりません。だから、そういった準備もできる限り早く進めながらですね、できるだけ早い時期の支給ということにつなげていきたいと思います。
(問)(読売新聞・有泉記者)あと、今回のこの一億総活躍関連のところで、地方創生の関連のものというのは、この第一の矢のところで先ほど御説明いただいた、「地方版総合戦略」に基づく地方の取組支援というところの、1,096というところの、ここの部分が地方創生関連ということ、ほかにももしありましたら教えていただけますでしょうか。
(答)主なものはそこだと思いますが。ちょっともし詳細があれば、後で事務局の方から御説明させていただきますが、まあ、ここがもうほとんど、ほとんどがここに計上しているということに、受け止めていただいていいと思いますが。
(問)毎日新聞です。
 細かいところですみません。保育士の給与体系の見直しなのですが、今回の人事院勧告によってどのくらい上がるのか、もし分かれば教えてもらえますか。パーセンテージでも金額でも構わないので。
(答)金額的には、ここに書いておりますように、93億円ということであります。これは国費が93億円ということですので、別途、地方の方からもですね、負担がなされていくということですから、まあトータルでいえば、ちょっと非常にアラウンドな表現では200億ぐらいの公費規模にはなっていくのだろうと思います。
(問)何%というのは。
(答)1.9%相当だということであります。
(問)共同通信、瀬野と申します。
 今の質問に関連するのですが、保育士の処遇改善については、この人事院勧告による賃上げ、これを相当するものを来年当初にも当然盛り込むとは思うのですけれども、それで一応打ちどめというか、その来年度については、そういう考えでよろしいですか。それとも、更なる加算を今、検討されているということでしょうか。
(答)処遇改善というよりも、もう少し広くですね。確保策としてどういうことが必要に、やはり確保策につながるものとしてどういうことが必要なのかということを含めて、引き続き議論をしていきたいと、今の段階ではそう思っております。
 それから、もちろんここで補正で積んだ分は、これは公定価格が上がっていくわけですから、それをベースに28年度の当初予算も計上されるということには、当然なると思います。

(以上)