甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年12月21日

(平成27年12月21日(月) 17:28~17:36  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要を報告いたします。
 景気の現状についての総括判断は、「このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」といたしまして、先月から据え置いております。
 個人消費は、実質賃金がプラスとなるものの改善に遅れがみられ、設備投資は企業収益に比べて改善テンポに遅れがみられております。こうした中、生産には一部に前向きな動きもみられますが、弱さを脱するには至っておりません。
 企業収益は過去最高水準にあり、雇用・所得環境の改善もみられておりまして、緩やかな回復基調が続いているとの景気の基調についての認識に変わりはありません。
 先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待をされます。ただし、先日の利上げを含めアメリカの金融政策の正常化が進むなか、中国をはじめとするアジア新興国等の経済が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがあります。
 政策の基本的態度につきましては、先月からの変更点といたしまして、「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」、「平成28年度予算編成の基本方針」、及び「平成27年度補正予算(概算)」が取りまとめられたことを踏まえた記述にいたしております。

2.質疑応答

(問)今月の月例経済報告の総括判断は据置きということなのですが、今御発言にあったように、消費、投資、生産ともに少し力強さに欠ける結果だったとは思うのですが、今回の結果について大臣の御所感と、年明け以降、どのように推移していくと見ていらっしゃるのか、その見方をお聞かせください。
(答)基調としては緩やかな回復が続いている。各種指標は出っ込み引っ込みがあるということです。賃金は上がってきているのですが、消費に跳ね返ってこない。将来的に確かな見通しをまだ消費者が確認をしていない。
 そこで、成長と分配の好循環というのが、その消費者心理にフォーカスを当てて対策が出されたということであります。
 設備投資が、法人企業統計で大分上押しの結果になっております。機械受注残高というものが、安倍内閣ができて以来、どんどん積み上がってきております。残高というのは、受注は受けているけれども、納品がなされていないということです。機械受注というのは、設備投資の先行指標です。つまり、残高が積み上がってくるのが実際の数字として出ていくと、出荷がどんどん増えていくわけです。これは設備投資につながっていく。
 設備投資が、計画と実行の乖離があるというところは、その辺にも少しあるのかと思います。計画に向けて、実行がだんだん上向きになってきた。これは機械受注の残が相当積み上がっていますけれども、それが実際に納品されていくと、これが進んでいけば、計画に向かって設備投資が追いついていくということになるのだろうと思います。それを期待いたしております。
 消費と設備投資というのが、GDPを押し上げる二大要素であります。でありますから、消費は賃金を引き上げるということ、そして将来不安を払拭していって、引き上げた賃金環境が消費につながっていくこと。そして、設備投資は計画に従って実行がそれに沿ってなされること。この二つが、少しずつ環境改善が進んでいくと思います。
 分配と成長の、この好循環につきましては、女性の社会進出の受皿を、保育所を増やしていく、10万人分増やす。そのうちの5万人分は、事業主拠出の調整によって増えていくと。雇用保険会計との調整は、企業負担も最終的には減らしますけれども、被保険者の負担を減らしていくということは、実質所得が上がっていくことに貢献いたしますので、従来、賃金が上がって、実質賃金もプラスになっても、社会保険負担が可処分所得を減らしているという御指摘がありました。今回の措置は、可処分所得を、社会保険を通じて、増やすという方向に向かっていきますから、それらもろもろの施策で、賃金が増えていくことが消費につながるという環境改善につながっていくのではないかと期待しています。

(以上)