甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年12月8日

(平成27年12月8日(火) 11:05~11:22  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 特にありません。

2.質疑応答

(問)今日のGDPの改定値で、プラス改定になりました。これを受けての大臣の景気認識を改めてお伺いしたいと思います。
 また、今年度の実質GDP成長率1.5%程度を掲げていらっしゃいますが、これに向けての達成度の度合い、一次QEのときはなかなか難しいとの表現をされていらっしゃいましたが、今回の改定を受けて変化はおありなのか、このあたりの見通しもお聞かせください。
(答)7-9月期の速報値のマイナス0.8%から、改定値ではプラス1.0%に大幅改定されました。民間見通しがプラス0.0%でしたが、それをも上回る数字でありました。
 いい意味で、市場にはサプライズに映ったと思っております。基本的には歓迎したいと思います。
 麻生財務大臣からは、いかに内閣府がいい加減かということだと冷やかされましたけれども、改定値は、財務省と経済産業省のデータをプラスして出すものだということが分かりました。
 15年度の政府見通し実質1.5%、名目2.9%を達成するためには、残りの2四半期を実質で3.0%、名目で2四半期とも3.7%、年率換算でいかないと、この数字が達成できません。かなり野心的なものです。
(問)大臣がポイントとおっしゃっている設備投資なのですけれども、一次QEではマイナスで、今回はプラスでしたが、大臣から見て、設備投資は力強い動きなのか、どうなのか。どういう見方をされていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
(答)やっとその気になってくれたかと思います。計画値はかなり高いところでした。実質がそれに伴っていませんでした。設備投資計画に事実がどこで折り合うのかということを心配しておりました。
 7-9月期では、設備投資がかなり上がってきたということは、計画に向けて、実際の行動が伴ってきつつあるのだと思います。
 でありますから、今後、各社の経営陣にお話を伺いますと、かなり安倍内閣の要請も受けてやりますという話は入ってきています。私がお目にかかった経営者からも、安倍内閣の方向に意を決して、設備投資に踏み出すことにしました、という会社もありました。
 併せてある企業は、下請代金についても、一次下請代金だけではなくて、二次下請代金までチェックすることをしますという報告が来たところもあります。
 アベノミクスによる利益は貯めておかなくて循環させる、還元させるという号令をかけてくれた経営者がありました。
(問)マイナンバーの関連で、早期の交付の予算で280億円を計上するといった話があったのですけれども、これというのは広報や周知なども含めてのものなのか、どういった狙いがあるかという部分をお願いします。
(答)印刷局から郵便局には、遅滞しないように、かなり加速して取り組んできました。そして、郵便局が一次配達、一次配達というのは、直接お渡しできるのではなくて、配達したけれどもいらっしゃらないという状況を含めて、配達の通知が届くということなのですけれども、それについては、若干の遅れがありましたけれども、12月20日くらいに予定数が完了できるように、かなり追い込みをかけています。総務省に協力いただいております。
 それらの最小限の遅滞で済んでいくような手当てをいろいろ、今、しているのだと思っています。
(問)今日のGDPについて伺います。
 一次段階では、マイナスだったのですけれども、改定値でプラスになって、かなり印象が違ってくるのではないかと思いますが、統計の振れが大きいと、政策判断などにも影響が出てくるのではないかと思いますけれども、大臣はどうお考えになっているのか。また統計の精度向上に向けては、どのような取組を進めるのか、この2点をお願いします。
(答)速報集計では、手元にある材料と、それ以外は推計で行います。ですから、多少はぶれる、全くそのとおりという具合にはなかなかいかないわけです。
 法人企業統計等々、あるいは経済産業省のデータ等が、確定の数字が加味されていきます。ですから、景気の変動が大きいとき、つまり、上昇機運からかなり下降局面に入るときや、下降から反転していくときというのは、どうしても乖離があるのだと思います。
 設備投資と在庫に関して、在庫は前期からの減少分が縮小した。その分だけマイナス寄与度が減ったわけであります。
 そこのところは、どう統計の正確さを計るかという課題はあるかと思うのですが、設備投資が大きく数字の改定に貢献しています。設備投資は、企業の意欲と実質行動とのタイムラグというのは、どうしても景気局面が変化するときに、その乖離が出てくるのだと思います。
 でありますから、今回の乖離は、反転攻勢に移っていくという局面として理解していきたいと思っておりますし、これを契機に目標に向かって底上げができるようにしっかりしていきたいと思います。
 来年度は、全体を持ち上げる年であります。再来年度は、特に消費税の影響を緩和する年です。ですから、来年度は全体底上げ、再来年度は平準化ということが、キーワードになるのではないかと思います。
(問)与党の協議で、現在、軽減税率の議論が進んでいるのですけれども、切り方が難しく、生鮮食品だけという4,000億円か、若しくは加工品等々全部含めた1兆円規模のオーダーになるような可能性も出てきているように聞いています。
 それで、もしそうなると8,000億円、9000億円や7,000億円など、そういうオーダーで減収になる。そうすると、2020年度のPB黒字の目標、若しくは中長期試算に、正に直撃する事態になると思うのですけれども、そのオーダーで、公明党の要求を受け入れるべきなのかどうか。そうすべきでないのかどうか。財政を預かる大臣としての見解をお聞かせ願いたいと思います。
(答)これは、公党間の決め事に関して、何をもってそれを実行したかという判断になるわけであります。
 自民党の税調としては、軽減税率という制度を設けたという事実をもって、最低限の約束は果たしたということなのだろうと思いますが、公明党の生活者の視点からすると、実際の日常生活の中で加工食品、なかなか生鮮だけに線を引いた食生活というのはしづらい。スーパー、コンビニに行けば、手が加えられている食材がどうしても並んでいる。それが生鮮の分類を離れてしまうと、事実上、ほぼ日常かかってくるものが加工になってしまうという実態生活からの要望で、なかなか折り合いがつかないのだろうと思います。
 財政再建上はおっしゃるとおり、まだ2015年度は補正予算を加味してもクリアできているという見通しはあります。要は、2020年度であります。現状でも、まだ若干の乖離をどう埋めるかという課題があります。そういう中で、財政支出が新たに加わった場合に、課題は成長の上振れをどう評価していくかということとの折り合いになってくるのではないかと思います。
 この成長の上振れをどう評価するかというのは、実は軽減税率だけの問題ではなくて、成長があって財政再建があるという基本理念との関わりがあります。時限的な収入は、恒常的な政策に使うべきではないという、それはそのとおりだと思います。ただこの上振れしていることを前提に、次年度予算というのは、歳入計画がなされていくという、いわば経済成長、上振れが恒久的なカウントをされていくという経緯がありますから、そこのところでどう評価するかということはあると思います。もちろん財政再建をきちんと達成させるということで、ただし、アベノミクスの成果の一部は、成長の原資として投入すべきだという議論はずっと前からあります。成長なくして再建なしという哲学と、この上振れをどう活用するかというのは、これからの議論だと思っております。そこはいずれ経済財政諮問会議でも本格的な議論をしていかなければいけないのかと思っています。
 財政再建は必須の課題であります。その前提は、経済成長ということをどう両立させていくかという、非常に大きな課題だと思っています。
(問)直接の担当と外れるとは思うのですけれども、補正で盛り込む臨時給付金について、一部報道で、対象者が1,250万人で、来年前半の参院選前にそのうち1,100万人に配るという報道があり、一部ではばらまき批判もあるのではないかという指摘もあるのですけれども、大臣はこの点をどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)これは別に参院選対策でやるわけではないのです。この話は、水面下では随分前からありました。というのは、消費税が10%に上がったときには、低所得者に対する給付金という制度があります。年間6万円という設計がありますけれども、それを額は減らして前倒ししてできないかという議論は、水面下では実はありました。というのは、何かといいますと、アベノミクスの成果を体感している人が、まだ全体に広がっていない。それを体感できるような施策が必要ではないかという議論はありました。
 ですから、この話とそれから子育てと、それから介護離職ゼロというのは、アベノミクスの成果をまだ届いていない方に届けるという意味がありますから、そういう視点で、水面下で議論されてきたという話でありまして、決して参議院対策で云々という、ばらまき対策でやるということではないです。

(以上)