甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年11月27日

(平成27年11月27日(金) 11:14~11:29  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からはありません。

2.質疑応答

(問)今日、総理から、補正予算の編成の指示があったということですが、大臣はかねてから、2015年度のPB赤字の半減目標を守るということは必要だとおっしゃっていますけれども、そうすると、おのずと補正予算の上限というか、使えるお金の額というのは、大体決まってくると思うのですけれども、大臣は、どのくらいのイメージで、今のところ考えていらっしゃるのか。また、その中身について、どういうところに気をつけながら、編成していきたいとお考えなのか、この辺を教えてください。
(答)総理からは、2015年度のPB赤字半減、これはきちんとやっていくと。ただし、過達成をする必要はないと。つまり、現状は政府の経済成長目標に向けて、非常に佳境に入っている時期でありますし、まして、再来年に消費税率の再引上げがあります。そのときまでに、経済環境をしっかりしておくことが必要だということが、総理の考えであります。
 つまり、PB赤字マイナス3.3%を達成し、その上で、どのくらいの余力があるか、税収の上ぶれ等々、勘案しながら、原資がはじかれていくと思います。その中で必要のないものは、やる必要がありませんから、現下の課題に対して、しっかりとやるべきものについては、その範囲内でしっかりとやるということだと思っております。
 今後、予算編成過程で、上ぶれ分の算定等々、あるいは、日銀納付金の状況等々、はっきりしていきますから、その中で規模が決まってくる。ただし、最初に規模ありきではなくて、中身を詰めていく上で、ここをもっと強化すべきだとか、原案に対して、いろいろと注文がついてくるのではないかと思います。
(問)その編成に当たって、どういうところに気をつけた方がいいか。例えば、今回、給付金等々の検討などもあるようですけれども、例えば、再分配に気をつけるべきだとおっしゃっている総理のブレーンの方々もいらっしゃったりしますが、どの辺のところに力点を置きながら、補正を組まれる予定ですか。個人消費等々含め。
(答)総理から、新しいアベノミクスのキーワードとして、好循環の中でも、「成長と分配の好循環」という言葉が出ております。この分配は、新3本の矢の2本目、3本目で、明らかにされていますように、少子化に正面から向かうと。そして社会保障に安定感を与えるということで、安心を与えることによって、消費を喚起するということであります。そういう中で、個人消費の下支えを行う効果もあって、高年齢・低所得者層に対して、給付金をというような指示も出ているわけであります。
 もちろん、先般の官民対話で、賃金を引上げる要請に対して、経団連側から、昨年を上回る賃金改善を目標として、取り組んでいくという方向も示されました。あるいは、設備投資の目標についても、政府が考えていた、2020年度を超える2021年度位に600兆円の目標実現に必要な80兆円プラスの設備投資が、3年前倒しで提示をされたということは、積極的な姿勢だと思っております。
(問)法人税の実効税率の引下げの件ですけれども、昨日の官民対話で榊原会長も来年度中に20%台にと踏み込んでおっしゃいましたし、今日も一部の報道で、首相がそうする方向で指示されたというのも出ていましたけれども、来年度中の20%台への引下げをするという方向で、検討が既に始まっていると考えてよろしいのでしょうか。
(答)総理から、関係部署にこうせよと、20%台にせよという指示があったということは、まだ私は承知をいたしておりません。ただ、総理は、できるだけ環境を整えて、できるだけ早く20%台の実効税率を実現するとおっしゃっていますし、経済界にもそのための協力をしてほしいという話がありました。ですから、環境が整えば、来年度にもということだと思います。ただ、来年度せよという指示までは出されていないのではないかと思います。官房長官は来年度してもらいたいという話を具体的にされていますけれども、それができるような環境整備がどこまで整うか、今、担当部署で作業中であります。
(問)関連で、法人税の引下げに関して、民主党の岡田代表や、自民党の中でも、下げても結局、設備投資につながらないだったり、内部留保が増えるだけではないかというような批判が出ていますが、大臣はそのことに対してどのようにお考えでしょうか。
(答)よく北風と太陽論で言われます。やらないなら内部留保に課税せよという、かなり極端な議論まで出てきます。これは技術的にいうと、設備投資につながらないというのは、前に申し上げたとおりであります。
 官民対話はなぜ行っているかというと、これは経営側と政府が、日本の経済に関する現状を見据えて、やるべきことをお互いに議論する。政府側からは、個人消費を引上げるために、拡大する内部留保、現預金を経済の好循環に投入してほしい。具体的には、思い切って賃金を上げる。下請け代金の改善を行う。そして、設備投資を思い切って行う。経営側からは、そのための環境整備をしてほしい。法人税の引下げを前倒しでやってもらいたい。あるいは、投資に関する環境整備をしてもらいたいというお話が出ています。お互いが、こういう環境をつくろうではないか、こういうことをしてほしいということを、実行することを通じて、賃上げや投資を実現していくというのが、政府の姿勢であります。
(問)今日、総務省で発表された家計調査で、家計の実質消費が2.4%減と、2カ月連続でマイナス。しかも、マイナス幅が拡大したわけですけれども、改めて消費の現状について、どのようにお考えか教えてください。
(答)ここが正念場になっているのだと思います。経済の基調は、いい流れでいながら、それを構成する要素に、いま一つ、自信が持てていないというところがあります。総務省の発表ですと、雇用者数あるいは就業率は過去最高値になっている。それから女性の就業者数も過去最高水準になっている。いい状況が整いながら、いま一つ、将来に対する消費者の自信が持てないというところです。ですから、ここはしっかり好循環が回っていくということを認識してもらう。あるいはアベノミクスの恩恵にあずかっていない人に安心感を与えて、そこで消費を底上げして、好循環につなげていく。「成長と分配の好循環」という新しいキーワードが入ってきました。そこでしっかりと経済を回していく要素に、活力を投入して、しっかり成長へと結びつけていきたい。ここが極めて大事な時点であると思っています。
(問)法人税の減税についてなのですけれども、今、できれば20%台で来年にというお話ですが、これはしっかり財源が確保されるということが大前提だという認識は、甘利大臣も総理もお持ちなのでしょうか。
(答)一銭一厘まできちんとというところまでは求められていないと思いますが、財源と減税の隙間をできるだけ埋めていく努力はしていく。その上で、現状でも減税先行になっています。それを大きく拡大するということは、難しいと思いますが、最大、財源を詰めていって、ほぼこれならいいというところまで、財務当局との詰めが行われれば、実施できるのだと思います。
 現場の協議はかなりのところまで、7合目あたりまできているのではないかと思いますが、もう一段の努力が必要だと思います。
(問)補正予算について、総理から指示があったということですけれども、こちらにはTPP関連の国内対策の予算というのも含まれると思いますが、その他の事項も含めて、補正に盛り込むべき施策の主な柱は何になるのかという点と、TPP対策は、政策大綱を決定していますけれども、農林水産分野に関して、不安・懸念を払拭するための備えと体質強化に向けた攻め、そういったところで補正として盛り込むべき施策として、どういうものがあるとお考えなのか。
(答)やるべき対策を、時間軸で整理をしていく必要があろうかと思います。実際にTPPが発効して、関税に影響があるなど、いろんな事態が生じてくるというのは、少なくとも2年ぐらい近く先になるわけです。その時点に、平仄を合わせてやるべきものと、それ以前に、強化策等で攻めていく部分で取扱える部分、この時間軸の整理が必要だと思います。総理指示は、そのTPP対策全般について、時間軸をしっかり想定しながら、それに臨機応変に沿っていくような対応をせよということだと思います。

(以上)