甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年10月14日

(平成27年10月14日(水) 15:16~15:26  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要を報告申し上げます。
 景気は、「このところ一部に弱さが見られるが、緩やかな回復基調が続いている」としております。
 企業収益や雇用・所得環境は改善傾向にあるなど好循環は続いており、「緩やかな回復基調が続いている」との景気の基調についての認識に変更はありません。
 ただし、需要面で個人消費や設備投資の改善の遅れ、また、アジア新興国等への輸出の弱さが見られる中で、今月は生産面でもそうした動きが確認されたことなどから、「このところ一部に弱さも見られる」として、先月と比較して下方に変更いたしております。
 先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待されます。ただし、アメリカの金融政策が正常化に向かうなか、中国を始めとするアジア新興国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがあります。こうしたなかで、金融資本市場の変動が長期化した場合の影響に留意する必要があります。
 政策態度につきましては、先月からの変更点といたしまして、「一億総活躍」社会を実現するため、緊急に実施すべき対策を策定すること、TPP協定交渉の大筋合意を踏まえまして、総合対策本部において「総合的なTPP関連政策大綱」を策定することを新たに記述しております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)8月に消費と輸出で、今月は生産ということで主要項目を引き下げているわけですけれども、それでもその月々の変化であって、基調としては緩やかな回復が続いているという見方を変えない理由を、もう少し踏み込んで教えていただけますか。
(答)全体を構成する項目というのはいくつもあると思います。景気の基調を判断する際にですね、その中の構成部分が全てプラスというわけにはいかない。プラスのところもあれば、前月比、比較をしてマイナスになっているところもある。ただしそれらを総合的に評価して、全体の評価につながるわけであります。
 全体の評価としては、基調として緩やかな回復基調は続いている。ただし、それを構成する部分の中で、マイナス部分も、比較論でいうとマイナスになっている部分もありますという報告であります。
(問)月々の動きとして、1年ぶりに下方修正ということですけれども、この動きを見て、経済対策というのは必要なのでしょうか。
(答)現時点で、景気対策、そのための補正予算ということについては、まだ判断はいたしません。
 いずれにいたしましても、今週中にも「官民対話」がスタートいたします。企業の投資判断を後押しするということに取り組んでいき、あるいは人材投資というなかで賃上げ、それはすなわち年末に向けての経団連の経労委報告、つまり春闘の相場づくりの表現ぶりにも反映されてくるという、そういう大事なスケジュール、イベントがあるわけであります。そこをしっかり後押しをしていきたいと思います。
 今後とも賃上げが続いていくということが確認されれば、消費動向にも変化が出てくると思いますし、あるいは7-9月期の状況が明らかになってくるということも、いずれその時点でどう判断するかということにもつながるかと思っております。
 今日の時点で景気対策のための補正予算ということに言及するのは、時期尚早かと思います。
(問)今回その説明ぶりですけれども、前回その判断は留保して、今回は、基調は維持だけれども、月々の動きとしては引下げという、分けて説明をされているのですけれども、大臣は、こちら説明を受けられるとき、分かりやすいと思いましたか。
(答)皆様、人間ドックを1年に1回やられると思います。総合評価で、健康の範囲という総合評価があります。
 ただ、データを見ますと尿酸値が少し高いとか、血糖値がどうとか、部分的に正常範囲を若干グレーゾーンになっているという診断結果もあろうと思いますけれども、全ての項目がパーフェクトでなくても、総合評価として健康体ですというコメントがつくことがあろうかと思います。
 そんな感じで見ていただければいいのかなと思います。
(問)この1年ぶりの判断の下方修正という部分ですけれども、閣僚会議でこの点については何か意見であったり、質問などはあったりしたでしょうか。
(答)出るかと思いましたが、質問は出ませんでした。
 ただ、私としては、しっかりその緊張感を持って、どこをどう押していけばいいのか、どこのボタンのスイッチを入れればいいのかということをしっかり見極めて、それを行動に移していきたいと思っています。
(問)本日発表された企業物価指数で、中国経済の減速懸念から、鉄くずの価格などを始め指数が大幅にマイナスとなったというのがありまして、前年同月比3.9%減ということですけれども、これについての受けとめと、今後何かこれが影響を与えるのかどうか、大臣の御所見をお願いいたします。
(答)部分的、時限的な現象と、基調とは判断を分けていくべきだと思います。
 御指摘の話、あるいはエネルギー価格の変化、恒久的に続くということではなくて一時的な変化、ボラティリティについては、総合判断に余り強く入れ過ぎない方がいいと思います。
 基調として、物価が目標に向かって進んでいるのか、それに対して基調を弱めるような変化になっていくのかどうか、その点を見詰めていくことが必要かと思います。
(問)先ほど大臣のお答えの中で7-9月期のGDPの結果も出るというお話がありましたけれども、仮に、今マイナス成長の予測も出ていますけれども、そうした結果が悪いというようなことであれば、経済対策というのは本格的な検討に入るというお考えでしょうか。
(答)7-9月期の結果が出るのは11月中旬だと思いますが、結果が零コンマ1でもマイナス、あるいは更に桁の違うマイナス、いろいろな形、あるいはESPフォーキャストですとプラスの0.5ぐらいに見通されています。そこの出方によっての判断だと思います。
 確実にこの数字だったらこうということではなくて、総合評価でありますから、そこの様子を見て、何が一番適当かという判断を政府としてはしていくと思います。

(以上)