甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年10月7日

(平成27年10月7日(水) 20:22~20:40  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 意外に早くお目にかかることができまして、よかったと思います。引き続き、経済再生担当大臣、社会保障・税一体改革担当大臣、経済財政政策を担当する内閣府特命担当大臣を拝命させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは特にございません。

2.質疑応答

(問)引き続きの再任おめでとうございました。まず、再任に当たっての感想を一言いただきたいのと、総理から再任に当たって、何らかの指示などもありましたでしょうか。もしありましたら具体的に教えていただければと思います。
(答)前任期中に、我が国にとっての大きな通商政策の節目になりましたTPPの大筋合意を得ることができて、一つ大きな仕事ができたと思っておりました。
 引き続き、総理御自身の会見で、経済に軸足をしっかり置いて取り組んでいく。そのために麻生大臣、甘利大臣を留任させます、というお話でありました。安倍内閣の最重要課題を財務大臣とともに担っていく責任の重さを痛感いたしております。
 総理からは、従来と変わらぬ担務の御指示がございました。デフレ脱却、日本経済再生もまだ道半ばでありますし、対外的な不安定要因もある中で、しっかりとこの目標を達成していかなければならないわけであります。
 あわせて、2020年に向けて、財政の健全化についてもきちんとした道筋をつけて、それを実行していく担当大臣も仰せつかっているわけでありますし、社会保障・税の一体改革、これも日本の政策の骨格をなす部分であります。
 あわせて、前任期中に大筋合意に至りましたTPPは、これから国内も含めて総合調整をしていくわけであります。
 あるいは、健康・医療戦略につきましても、イノベーティブな国日本の柱の一つになっているわけであります。それもしっかりと取り組んでいくように指示をいただいたところであります。
(問)先ほどのTPPに関してですが、総理の組閣後の記者会見で、必要な予算は様々な観点から今後検討を進める、とおっしゃっています。
 これは補正予算の編成と受け取ってよろしいのでしょうか。また、そうであるならば、ウルグアイ・ラウンドのときに6兆円の対策を講じたということで、今回疑問視された経緯もあるかと思うのですが、今回どの程度の規模が望ましいとお考えでしょうか。
(答)対策本部ができまして、どういう対策が必要かということが決まってこないと、それを実行する予算の積算はできないと思いますし、その対策についても、実際にTPPが署名され、発効され、そしてその後に具体的な実行、というのは、例えば関税を引き下げるにしても、ステージングがありますし、あるいは据え置き期間というのもあるわけであります。
 ですから、いきなり大きな予算が必要になってくるということではないわけでありますから、その対応ステージに比例して、予算が都度都度組まれていくものと思っております。この予算も、農業予算に関して言えば、農業の成長産業としての力を強化するという、従来の守る予算から攻める予算ということになっていくのではないかと思います。
 いずれにいたしましても、農林水産大臣等々と、関係大臣と連携をとりながら、真にどういう予算がどういう年次で必要なのかを財務大臣ともども策定していきたいと思っておりますし、そのためにも総合対策本部の設置が急がれるところだと思います。
 補正にどう折り合わせをするのか、あるいは年度予算にどうしていくのかは、これからの問題だと思います。
(問)先ほどおっしゃられた経済再生ということでいくと、やはり個人消費の拡大、底上げということが非常に大事になるかと思うのですけれども、先般総理が携帯料金の引下げということを指示されて、それもその一環と思うのですけれども、まずその実現に向けた道筋はどのように御覧になっているかという点と、ほかに消費底上げという点で、どのような施策に取り組んでいこうとお考えなのか、御所見を伺えますでしょうか。
(答)携帯電話の料金は公定価格料金ではありませんので、各社が自由に設定できるわけでありますから、なかなか政府が幾らまで下げろということを指示するという種類のものではありません。ただ、それぞれの企業がほとんど変わらないような料金でそろえているということは、これは競争が適正に働いているのかという疑問を国民が持っていることは確かであります。その疑念に応えるように、年内をめどに関係各社は相応の努力をしてほしいという要請を総務大臣がしていくであろうと思います。
 消費がいま一つ、これは事実でありますが、実は7月に続いて、8月も、1人当たり実質賃金がプラスになりました。企業収益が賃金改善に向かっている姿は動き出しているわけでありますけれども、まだ消費者に実質賃金がプラスになりつつあるという実感がなかなか持てないのだと思います。それと同時に、本当に一過性のものでないのかという不安もついて回っているのだと思います。ですから、まずこれは一過性のものではなくて、成長する過程の中で、実質賃金がプラスであり続けるという実感を持ってもらうための環境整備が必要であります。そのために、官民対話を今月から総理のもとにスタートさせていきます。
 ただ、誤解があってはならないのは、日本は自由主義、資本主義、市場経済の国であって、国家統制の国ではありませんから、企業に対して具体的に投資をここまでやりなさい、賃金をここまで上げなさいという指示をするところではありません。お互いに話し合って、それがウインウインの関係、国民経済にとっても、企業の発展にとっても、ウインウインの関係になる、そういう関係をお互いにつくりましょうという理解を進めるという話合いであります。これをしっかり進めていきたいと思います。原資はあります。それをワイズに使おうということだと思っております。
 消費を拡大させるのは、そういう不安を取り除き、将来展望をしっかりさせるということと、やはり魅力あるサービスや物を生み出していく、あるいはシステムをつくり出していく、すなわちイノベーションだと思います。消費を活性化させるということは、新しいニーズを生み出す、新しい魅力を生み出す、そこに新しい消費が生まれるわけでありますから、そこにしっかり注力をしていく必要があろうかと思います。
 日本を世界で一番イノベーティブな国にしていく、これはアベノミクスの大きな柱であります。イノベーション・ナショナルシステム等をしっかり具体的に動かしていって、次から次にイノベーティブな製品やサービスが市場に提供される、国内外の市場に提供される環境をつくっていきたいと思います。
 ノーベル賞を連続で受賞する学者、先生が出ています。日本は、地頭は相当いいのだと思います。そして、可能性もかなり広がっているのだと思います。これを将来に向けた希望として、夢が具体的な世の中を変えるものに変わっていくようにしっかりつなげていく、それがつまり大学改革であり、大学のシーズを市場化していく、最短距離でつないでいくシステムだと思っております。
(問)新しく一億総活躍担当相に加藤さんがつかれて、新しい3本の矢の1本目は経済対策、重なる部分が多いと思うのですけれども、その役割分担、国民会議と経済財政諮問会議もありますし、その辺の役割分担はどうでしょうか。
(答)1本目の矢は強い経済をつくる、その具体的な姿として近い将来に今の500兆円の名目経済規模を600兆円にしていく。昔、池田内閣当時に所得倍増計画というのがありました。国民に見える形で実感できるような目標を掲げるということであります。それに若干似通っているのかなと思いますけれども、強い経済をつくっていくということ、それから、希望出生率、希望をかなえることができたら、何人ぐらいお子さんを持ちたいですかというのが1.8以上になっています。統計によっては2を超えているという話もありますけれども、そうすることによって、これから50年後にも1億人オーダーの人口を維持していくということで、その希望をかなえる、希望の障害になっているものを取り外していく。安心して結婚し、妊娠、子育てができる環境をつくっていくというのが、第2の矢であり、第3の矢は、超高齢化社会の中で、介護の需要が増えていく。その介護に対応するために、両親や身内の介護のために仕事を辞めなければならない、あるいは制約しなければならない、あるいは変わらなければならない、そういう介護によって自分の自己実現が阻まれてしまうということがないようにしていくという安心をつくっていくということであります。
 それが新しい3本の矢、この構成は強い経済をつくり、原資を生み出すのが私の役目であります。その原資を国民に広く適切に行き渡っていくように、政策を組み立てていくのが加藤大臣の役割だと思っておりまして、私と加藤大臣としっかり連携をとりながらやっていくということでありますし、組閣で呼び込まれた折に、加藤大臣には、今までも協力し合ってきたけれども、これからはもっと協力が必要だなという話をしまして、一緒にやっていきましょうということになりました。
(問)今の質問に関連しまして、一億総活躍大臣に加藤大臣が就任されましたけれども、活躍という言葉をめぐって、今、国民の間でいろいろな意見が出ていると思うのですけれども、大臣にとって活躍というのは、どういう意味かお聞かせいただけますでしょうか。
(答)全ての国民が、自分の居場所で生きがいを感じることです。
(問)先ほどおっしゃられた1本目の矢としての、GDP600兆円の目標ですけれども、今から2割増やすというかなり野心的な目標なわけですけれども、それの達成に向けて、具体的にどういったことが必要と考えているのか、特に重視している政策、項目について教えてください。
(答)短期的には好循環をしっかり回していくということであります。そのために、そのキックオフとして、官民対話をスタートしていきます。これは毎月1回、総理が主催される会になります。毎月好循環に向けて経済界と政府がお互いに何をなすべきかということをテーマごとに話し合って、実行できるものを即実行していくという体制をとっていきます。
 そして、経済の構造改革であります。申し上げましたように、魅力的なシーズを、製品、サービスに一刻も早くつなげていく体制をつくっていくということであります。 あわせて、具体的な目標が、2020年東京オリンピックがあります。それに向けてインバウンドも伸ばしていかなければなりませんが、それには、受入れ体制が追いついていっておりません。人が増えるほうが、スピードが予定より速くなっておりまして、交通の問題や、あるいは宿泊の問題等々、あるいは観光地の受け入れるソフトの体制等々が、予定どおり進んでいるのですけれども、インバウンドの伸びる方が、予定をはるかに超えているものでありますから、追いついていない。そこをしっかりやっていくということであります。
 あわせて、2020年以降も、私がよく申し上げるのですけれども、東京オリンピック以降、ポストオリンピックを宴の後にしてしまってはいけない。東京オリンピックから新たな日本がスタートする。ニュースタート・フロム東京オリンピック・パラリンピックということを示していく。そのためのショーケースとして改革2020がある。日本社会が2020年以降もこういうふうに変わっていきますというショーケースを示すということが大事。そういうことによって、引き続き国外から、人やあるいは投資を呼び込むというふうにしていかなければならないと思います。

(以上)