山口内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年9月8日

(平成27年9月8日(火) 9:45~10:07  於:合同庁舎第8号館S103会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 まず、私から3点ほどございまして、一つが、9月4日金曜日に、「戦後70年北方領土問題を考える集い」に出席してまいりました。この「集い」は、北方四島が法的根拠なく占拠されてから70年、大きな節目の年を迎えたわけで、これからの地域の担い手となる後継者として期待される全国の大学生や元島民等を返還要求運動の原点の地である根室市においでいただいて実施したものでありまして、私も御挨拶させていただきました。「集い」に出席されておりました元島民の皆様方はもちろんでありますが、全国各地から集まった青少年、とりわけ大学生の方々からも意見発表がございまして、問題をしっかり捉えていただいて、本当に頼もしいなということも感じました。今後は、元島民の方々の高齢化も激しいわけですので、そういった裾野を広げていく中で展開していきたいと考えております。
 次に、第2回目になりますが、宇宙開発利用大賞の募集についてでありますが、今日からこの募集を開始させていただきます。この表彰は、宇宙開発利用の推進に多大な貢献をした優れた成功事例の功績をたたえるものということで、平成25年度に創設されまして、今回で2回目の開催ということになります。今年6月に、宇宙政策委員会におきましても、情報通信、防災、科学技術イノベーションを始めとした民生分野におきまして、宇宙利用の更なる推進のための方向性を提示いただきました。最近では、例えば、準天頂衛星を活用した自動運転の実証や、安否情報の確認等リアルタイムでの防災の強化に向けた取組等、宇宙を活用したサービスの高度化が見られるようになっておりますので、このような民生分野における宇宙利用の更なる推進を図るために、特に(1)公共分野における高度化・効率化、そして(2)関連する新産業の創出、更には、(3)公共・産業分野における海外展開に貢献する事例の応募を歓迎させていただきたいと思っております。応募は、自薦他薦を問いません。募集要領・応募様式につきましては、内閣府の宇宙開発利用大賞募集受付ホームページで入手できますので、奮って応募いただきたいと思っております。
 それと、機能性表示食品の届出でありますが、これは御案内のとおり、本年4月1日から制度がスタートいたしまして、これまで77件の届出情報を公表させていただいております。本日初めて、前々から会見のたびに申し上げておりましたが、生鮮食品として、静岡県内の生産者団体、これはJAですが、これが届出者である「みかん」、及び岐阜県内の企業が届出者であります「もやし」に係る届出情報を公表することにいたしましたので御報告をいたします。
 この制度が生鮮食品や、地方又は中小の事業者において更に活用されることを通じて、地方創生にもつながるでしょうし、また適正な表示によって、消費者の皆様方の利益につながることを期待しておりますので、これからもどしどしお出しいただければと思っております。
 私の方からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)共同通信の平田と申します。
 機能性表示食品の関係なんですけど、この「みかん」と「もやし」は、それぞれどのような機能を表示するようなことになるんでしょうか。
(答)詳しくは消費者庁にお尋ねいただいたらと思いますが、このみかんは、「三ヶ日みかん」という商品名でありまして、これはβ-クリプトキサンチンによる骨の健康維持をうたっております。また、もう一個が「大豆イソフラボン子大豆もやし」という商品名でございまして、これは前々からイソフラボンに関して言われておりますが、大豆イソフラボンによる骨の健康維持。くしくも両方とも骨の健康維持ということです。
(問)もう受理されたということですか。
(答)今日、公表します。受理したということで、いただいた資料を公表しますので、今日をもって受付と、正式受理ということを公表しました。
(問)届出も受理したということですか。
(答)はい。
(問)読売新聞の山崎と申します。
 今お知らせいただいた三つとは違うんですけれども、大臣の所管であるマイナンバーの関係で、今、報道等で税金の消費税の還付というのか給付というのか、の関係ありますけれども、それについて、制度設計なんかも含めて、当初から想定していた範囲の利用方法なのかであるとか、実効性、実現可能性みたいなところも含めてちょっとお聞かせいただきたいんですけども。
(答)これは既にいろいろ報道等でも出ておりますが、元々具体的には想定はしておりませんが、マイナンバーが実際動き出した中で、利用形態の一つとしてはあり得るだろうということは考えておりました。ただ、実質的にはこれからですので、消費税を上げた段階で、ではそういった全ての準備が整うかということは、今のところ不透明です。これからいろいろな議論が行われていくと思うのですが、もしそういう方向でということであれば、御担当の甘利大臣とも相談してしっかり対応していかなければいけないなと思っておりますが、いずれにしてもこれからの議論の推移を注視したいと思います。
(問)重ねての質問で申し訳ないんですけれども、ということは、元々の想定ではなかったけれども、これからの議論の中でそういうものがあり得るというイメージということですか。
(答)いろいろな審議過程の中で、想定は実際していませんでしたが、ただ、これからマイナンバーがどんどん普及していって、こういうふうなことにも使えますね、ああいうふうなことにも使えますねという中には入っていますから、これからの課題です。
(問)そのマイナンバーカードの読み取りだったり、データの蓄積が可能な端末を、そういう一般の商店とか売店みたいなレベルまで浸透させるということの当初の想定と実現可能性についてはいかがですか。
(答)これからの議論の推移を見守りたいとしか言いようがないですが、おそらく、言い出したのは財務省当局だと聞いていますが、軽減税率を入れるに当たってインボイス等いろいろありますよね。その中で一番事業者の皆様方に負担をかけずに比較的スムーズに行える方法としてお考えになったのかなとは思っていますが、これからもっと議論をして精査していかないと、そこは十分わからないのだろうと思いますね。
(問)いずれにしても、行政の効率化だったり利便性の向上だったりというのが本来の目的だと思うんですけれども、そこと相反する形になるようなことは、所管大臣としては。
(答)まあ、どうですかね、これはあくまで想定というか想像ですけどね。これからマイナンバー制度が、生活のいろいろな部分、公的な手続のいろいろなところへ広がっていく段階の中で、そういった端末を置くということが、このことのみならず、他にも役に立つということであれば、おそらくその方向に行くのでしょうし、これだけということになると、その設備投資がどうなのかなという感じはありますね。これもあくまで個人的な想像です。
(問)想像として、その端末がいろいろなところに多機能化するんだったらという、それ限定の使途だったらちょっと。
(答)どうかなと思いますね。
(問)非効率じゃないかという面もあると。
(答)はい。
(問)科学新聞の中村です。
 一つは宇宙の関連で、文部科学省が今度の概算要求で、「こうのとり」の後継機の開発予算を入れたんですけれども、「こうのとり」の後継機を入れるということは、ISS(国際宇宙ステーション)の延長が前提にならないと、そもそも「こうのとり」の後継機を入れても費用対効果を得られない。ということは、政府部内では、ISSについては、ある程度延長する方向で議論がなされているということでよろしいんでしょうか。
(答)少なくともこの議論については最終段階を迎えつつあります。当初、もう少し先ということも頭にあったのですが、おっしゃるとおり、来年度予算から始まっていろいろ関連が出てきますので、もう早急に我々の方としても結論は出していきたい。文科省としては、おやりになりたいという気持ちはよく分かります。
(問)早急にというのは、例えばどのぐらいまでにという。
(答)今年度中の早い段階に結論を出したいと思います。
(問)あともう一つ、全く別なんですけれども、以前、科学技術予測の、欧米では科学技術予測、将来想定される技術を予測して、それに対しての政策を先に打っていく。それで、先日、科学技術政策シナリオプランニング、これでIT関連でもかなり将来的な、2030年までに想定される技術がいろいろ出てきているんですけれども、それを実現するためには、社会整備というか制度改革とかいろいろあると思うんですけれども、そこら辺について、IT戦略本部とかそういうところとの連携とか検討とか、そこら辺はどうなっているんでしょうか。
(答)大変大事な話で、私も大臣就任前は(自由民主党)国家戦略本部長として30年後を想定した、特に科学技術等ですよね。では今何をすべきかということでいろいろ勉強会を行ってきたのですが、大事な発想なので、特にIT関係などはそこをにらみながらということはあります。例えば今回概算要求でも、私の方で若干調整させていただいた自動運転ですね。これもそれを想定しながらの話でありますし、同時に、宇宙に関してもそういった、例えば準天頂衛星をにらんだ、今何を行ったらいいかということは考えてやっています。
(問)共同通信の佐伯です。
 今日、自民党総裁選で、安倍総理が無投票再選されましたけれども、安倍内閣の閣僚の一人としてどういうふうにお考えかということと、あと、党内では総裁選をやって議論の場を提供したほうがいいんじゃないかという意見もあったんですが、その点についてどうお考えでしょうか。
(答)閣僚の一人としては、良かったなというか、本当に良かったなと思っています。
 今日も実は閣議終了後、閣僚懇談会の終了後、総理から、決定したようですと、今後とも頑張っていくのでよろしくというお話がありましたが、お話のとおり、例えば経済再生というか、デフレからの脱却にしても、まだ道半ばなのですね。特に、いわゆる地方、全国隅々までというところがいまだしの感が強いわけで、そのために我々、地方創生を行っているわけですから、正に道半ばの中で、引き続いてやっていただきたいという思いもあったものですから、良かったというか、更に力合わせて進んでいきたいと考えています。
 理想論というか、今のような状況の中で、多くの方が立候補して、様々に議論を戦い合わせると、自民党というのは懐の深い政党だなということを見ていただくというのもいいのですが、しかし、今の状況下、こういった形が良かったのではないかなと私は思っています。
(問)ネットニュースサイト、ガジェット通信、藤井と申します。
 改めてで恐縮なんですけれども、大臣、御就任から1年経過して、特にIoT(モノのインターネット)、知財、クールジャパンの3点において、課題について現状をどういうふうに捉えていらっしゃるかということをお聞かせいただければと思います。
(答)あっという間に1年たってしまいまして、担務がいろいろ多かったというせいもあるのでしょうけれども、それぞれの分野で、せっかくですから、これまでとは違った色合いというのですかね、いわゆる何とかカラーとかよく言うものを、どうやってしっかり行っていくか。それと、政府の大きな課題はデフレからの脱却であると同時に地方創生なのですね。それにいろいろな施策をいかにつなげていくかということに腐心してきたという思いはございます。
 IoTのお話もありましたが、私が非常に残念に思うのが、本来、IoT的なものは、日本は、早かったわけですよ。POS(販売時点情報管理)にしても何にしても、いち早く取り組んでいたにもかかわらず、ああいうふうに、例えば情報通信の社会というのはよくあることなのですが、従来行っていたことを、いかにも新しい概念のように、ぽんと名前を付けるわけですよね。いかにもそれがすごいことみたいな話がよくあるわけですが、決して、例えばIoTにしてもAI(人工知能)にしても、日本は私は劣っていないと思っています。
 ただ問題があるとすれば、いろいろな分野では優れているのですけれども、全体を取りまとめてどうなのかという部分が弱いわけですよ。要するに、コーディネートが弱いのですね。例えばこの間、DARPA(アメリカ国防総省高等研究計画局)のロボットのコンテストがありましたよね。あれ、回すだけなら日本はおそらく1番ですよ。運転させるだけなら日本1番ですよ。ところが、ああやってトータルでやりなさいとなったらだめなのですね。そこが、科学技術においても、情報通信においても、これからの課題として私はあると思っていますので、そこをしっかり行っていきたいと思います。
(問)もう1点お願いします。東京オリンピックのエンブレムの問題で、ちょっとお聞かせいただければと思うんですけれども、特にクールジャパンが2020年に向けてという性格が強い施策も多かったと認識しております。知財政策も含めて、影響の有無に関して所感いただければと思います。
(答)クールジャパンのロゴは大丈夫ですから、著作権は大丈夫ですから。
 確かに2020年ということ、大きな大きな節目、大事な機会だということと捉えて行っていますが、むしろ2020年以降激減するというのは、インバウンドにしても、非常に私も危機意識を持っていまして、だから、その後もにらんだ展開はしっかりしていきたい。ですから、本当にいいものを売り込んでいくということで行っていきたいと思っていますが、エンブレムも、イメージ的にまいったなという感じはあります。
 しかし、クールジャパンはクールジャパンで、相当定着してきているというか、相当知名度も上がってきていると思いますので、しっかりこれまで以上に取り組んでいきたいというところです。
 それで、もっとすばらしいエンブレムが早く誕生するように祈っています。
(問)NHKの黒川と申します。
 昨日行われました政府と沖縄県との協議について伺いたいと思います。大臣の担当は沖縄振興ということですけれども、昨日の会議に参加されたということなんですが、いろいろと沖縄の翁長知事の方は、協議は決裂したものと考えているというような趣旨の発言もされていましたけれども、この協議全体に関して、大臣の受け止めを伺ってもよろしいでしょうか。
(答)昨日行われたということですが、これは元々、ある意味、三すくみというか、工事が着々と進んでいると、沖縄県側としてはサンゴの調査もできない、あるいはまた、仲井眞前知事の時の許可にも瑕疵があるのではないか、ある意味お互い話合いがしにくい状況でした。それに対して、一月間、工事は中断します、サンゴの調査も行ってくださいという中で、少なくとも1箇月かけて集中的に討議をしようということでスタートしました。ですから、集中討議はおそらくこれで終了ということになるのだろうと思います。
 しかし、これである意味、逆にこれからも話合いができるような人間関係、あるいは素地、信頼関係とまではいっていないかも分かりませんが、そういう雰囲気、環境はできたのは確かですから。とりわけ昨日申し上げたのは、私も沖縄振興という立場で、西普天間の跡地もありますと、例えば北部開発もありますという中で、これからも対話していきましょうねというお話はしました。今度近々、また副知事と官房長官はお話合いをするようで、今後、どういうふうに話し合っていくかというご相談をなさるのであろうと思っていますので、、この一月はある意味良かったのだろうと思います。
 知事の御発言にしても、これはお立場上当然だろうと受け止めておりますので、特に決裂という言葉で刺激を受けても何でもしていませんので。

(以上)