石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年8月25日

(平成27年8月25日(火) 8:56~9:11  於:合同庁舎8号館S106会見室)

1.発言要旨


 本日、国家戦略特別区域法に関します政令3件、閣議決定をいたしておるところであります。
 第一は、国家戦略特区の区域を指定する政令であります。地方創生特区、すなわち国家戦略特区の二次指定といたしまして、秋田県仙北市、宮城県仙台市、愛知県の3区域を新たに追加するものであります。また、これまで九つの区だけに限られておりました東京都の特区の指定範囲を、都の全域に拡大するものであります。指定は28日付です。また、特区の区域の指定に合わせまして、区域方針を決定する予定でありますが、今後、速やかに特区ごとの区域会議を立ち上げまして、具体的な事業を定める区域計画を策定いたしていくと、こういうことであります。
 二つ目は、国家戦略特区法の施行令でありまして、国家戦略特区法と構造改革特区法の改正法につきまして、必要な政令の規定を整備するものであります。具体的には、公設民営学校に関する教育課程や指導方法などの基準、外国人家事支援人材が行う業務の範囲や受入機関の要件、都市公園内に設置できる保育所などの技術的基準などであります。
 この改正法令の措置の施行日は9月1日ということでありまして、三つ目の政令は、その施行日を定めるものであります。
 次に、政府関係機関の地方移転についてでありますが、かねてから申し上げておりますように、その検討に当たりまして、公平性・透明性のあるプロセスといたしますため、増田寛也氏を座長といたします政府関係機関移転に関する有識者会議を設置するということは申し上げておることであります。本日、その第1回を開催するものであります。これは張り出し等々しておりますので、御覧をいただければお分かりになりますが、本日の会議におきましては、今月末の移転提案の締切りを控えまして、速やかに検討が開始できますよう、提案の評価・検討のポイント、今後の検討スケジュールについての御意見を承るということに相なっております。本日の御議論を踏まえまして、来月以降、各道府県からの御提案につきまして、検討作業は本格的に進めてまいることになります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今朝の自民党部会でも話が出たところですけれども、地方創生の税制に関して、来年度からを目途に、企業版のふるさと納税の導入について検討を始めるということですけれども、今、地方創生では、企業の東京からの地方移転を促進しようとしたりしている中で、逆に、こういったふるさと納税が地方移転の促進に逆行しないかということがあるのではないかと考えているのですが、大臣、如何お考えでしょうか。
 また、安定した税収が得られるかですとか、一企業の意向によって小さなまちが大きく左右されないかですとか、いろいろ問題点もあると思うのですけれども、このコンセプト等について、大臣のお考えをお願いいたします。
(答)これはまだこれから、詳細、仔細に検討することになりますから、今かくかくしかじか、こういうものだということを断定的に申し上げることは困難であります。
 これ、考えられるものは全てやりましょうという話で、個人版のふるさと納税というのがありますと、さすれば、企業版でそういうことが考えられないだろうかという発想自体は、ある程度リーズナブルだというか、そういう考え方は当然ありますよねということになるわけでございます。ただ、個人と法人、特に企業というのは違うので、例えば企業にとってのふるさとって何ですかということになる。例えば、そもそもの発祥の地がそこであるとかね、そういういろんな由縁があるところというのもございましょうし、あるいは、そこでやっているプロジェクトというものを応援したいのだということもございましょう。動機はいろいろあるのだろうと思います。
 ただ、それにより企業体という利益を上げるものでございますがゆえに、先ほどおっしゃいましたような、小さなまちが左右されるとか、企業にとってメリットが大きいものに対して優遇をするというのは一体どういうことであるかとか、それぞれの自治体の何に対して応援をするのだということがなければなりません。それは寄附税制をベースとしておりますが、それに対してどのようなプラスアルファが考えられるか。そして、それは地方税、国税がそれぞれどういうような役割を果たすべきなのか。そして、個人の場合にいろんな議論になりました、いわゆる見返りというものをどのように考えるべきなのか等々、論点は多岐にわたると思っております。それが、今御指摘のような、本来の企業の地方移転というものに逆行するとか、そういうことにならないようにもちろんしていかなければなりません。そして、納税者の理解がきちんと得られ、そのことによってトータルで地方の創生というものにつながるということでなければいけないと思っております。
 また、優遇を受ける側と、それによって税収減になる側とございますから、税収減になる側に対しても、これからの制度設計によりますが、そのことによってどういう影響があり、その地域の減収というものが、不公平感がないように、あるいは、それに対してどういう措置を講ずるか等々、考えただけで論点は山ほどあるわけで、これから詰めていくことになろうというものだと思っております。
(問)今の企業版ふるさと納税の関連なのですけれども、来年度の税制改正の要望の段階では、寄附する企業の法人税などを一部控除するということを考えていらっしゃるようですけれども、実際に寄附を受けた自治体からの返礼品というものを企業に対して提供するということは、現実としてあり得るのでしょうか。今後の検討だということだとは思うのですが、大臣のお考えをお願いします。
(答)返礼品というのは何でしょうね。個人でいえば、自分の出身地の鳥取県鳥取市に寄附をしましたと、そうするとカニが来ましたとか、ラッキョウが来ましたとか、そういう話になるわけですよね。
 ところが、企業の場合にそういうことってあるのだろうかと。何かふるさとの名産品がどんと来ましたと。企業に対してそういうのが来ても、なかなかそれって、何か不思議な感じだよねということになるわけで、返礼品ということは多分ないのだろうねと思っておりますが、もちろんこれはこれからの検討でございます。
 ですから、あらゆる可能性は排除しませんが、そもそもの考え方が、やはりその地域のいろいろなプロジェクトを応援したいのだということに対して寄附を行うと。そのことに対して、法人住民税という地方税のみならず、国税たる法人税についても地方からの御要望はございます。そうしますと、国税である法人税と法人住民税を比較した場合に、法人住民税のほうが税収が少ないということがございますので、住民税と合わせまして法人税を対象としなければ企業のインセンティブは高まらないのではないかということで、今日の河村自民党地方創生本部での御説明では、法人税も対象にするというようなことを申し上げたところでございます。もちろんこれから詳細については、税務当局と御相談をすることになりますが、そのような仕掛けになるだろうと。
 そうすると、返礼品という形ではなくて、どういうような形で税制優遇のほかにあるのだろうか、そのことがどういうような影響を及ぼすだろうか。どう見たってこれはおかしいよねというようなジャンルは何なのか。それはかなり定性的に決めていかなければいけないものだと思っておりまして、これの種々検討を急がせておるところでございます。こから多くの議論になるだろうと思っております。
(問)ちょっと話変わりまして、今日の夕方のCCRCの有識者会議のほうも予定されているのですが、地方への移住ということで、都内、首都圏にも希望があるということは伺っているのですけれども、厚生労働省がこれまで進めてきていた、地域で、それぞれの住みなれた地域で介護、医療・介護をやっていくというこれまでの方針と、まだ一部ちょっと矛盾点というか、なかなか理解が進んでいないのではないかという声も一部あるようで、移住をすることとこれまで住んできた地域で介護をするという体制について矛盾点などがないか、その点についての所見を聞かせてください。
(答)ちょっと御質問の御意図がよく分かりませんが、矛盾というものがあるというような政策をやるつもりはございません。
 これは何度も申し上げていることでございますけれども、特に首都圏、1都3県、これがこれから直面をいたします、恐らく人類史上初めての規模とスピードで起こる高齢化というものに、対応は可能なのだろうかということは、今、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県で、具体的なデータに基づいて議論をしていただいているところでございます。
 それぞれの人が生まれ育ったところというのは、それはそれでいいのでしょう。東京都で生まれて東京都で育った方というのもおられれば、山口県や徳島県や青森県で生まれて、東京都でお勤めになって高齢期をお迎えになった方もございますでしょう。いろいろな方がいらっしゃるわけですけれども、政府として、そういう高齢者の方々の移住のようなことが強制できるとは思っておりません。そんなことがこの国家でできるはずはないと。
 いろいろな御指摘のように、御希望があるわけですね。例えば50代の男性の方々の半分が地方に移住をしたい、あるいは検討しているということであって、そういう方々が移住されるときに、そういうような希望を妨げている事由というのは何だろうかと。例えて言えば、地方に行っても医療・介護の体制がどうなのだろう。
 このCCRCの構想というのは、まだお元気なうちから、サービスの受け手ではなくて、コミュニティの一員としてサービスの出し手として、生涯活躍という言葉にありますように、活躍していただくことを予定しているものでありますが、そうすると、地域において仕事があるのですかということがございましょう。そして、東京において、あるいは東京近郊において、汗水垂らしてローン払い終わった住宅というものは一体どうなるのでしょうねということもあるわけで、そういうものに対して、こういうふうにいろいろな対応策がございますと、その上で御判断いただくのはそれぞれの方々でございます。
 ですから、まだ根強く一部にございますが、姥捨て山とかそんな失礼なことを私どもは考えているものでも何でもございません。ですから、1都3県で本当に冷静に数字を分析していただいて、これから先どうなっていくのだろうか。そして、増田先生初め幾人かの有識者の方々が御指摘になっているように、これから地方で高齢者の方々の絶対数が減っていった場合に、そこに当然問題というのが出てくる。そこに東京が超高齢社会を迎えて、地方の若い方々に、さあ東京に来ておくれと、医療・介護の職に従事しておくれと、給料高いよというようなことになると、また地方からの人口減少が起こるのではないだろうかということでございます。
 ですから、そういうことに対して、あくまでも基本は、首都圏にお住まいのそういう方々の御希望を満たすために、政府でできることは何でもいたしますと、できるだけいたしますということなのであって、相矛盾する政策をやろうというようなことを考えていることはいささかもございません。

(以上)