石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年8月21日

(平成27年8月21日(金) 9:37~10:10  於:合同庁舎8号館S106会見室)

1.発言要旨


 まず、「地方創生RESASフォーラム2015」等について申し上げます。
 皆様方御存じのとおり、本年4月より、地域経済分析システム(RESAS)を稼働させております。既にほぼ全ての自治体から利用の申請が出ておりまして、今後、本格的な利用を期待しておるところでありますが、自治体での更なる利用を促進していただきますために、先週火曜日8月11日に、福岡県うきは市におきまして、RESASを活用した政策立案ワークショップを開催したところであります。東京からは、東大の坂田先生にも御同行いただいておるわけでありますが、市役所の職員の方々との議論を通じまして、行政区域を超えました地域間連携の必要性など市役所の職員の方々にとって新しい気付きがあり、大変有意義な催しになったというふうに承知をいたしておるところであります。
 要は、このデータに基づかない政策というのは、昔こういうことを申し上げましたが、勘と経験と思い込み、そのような行政になってしまうわけであります。思い込みに基づいてできた政策というのは、どうしても的確性を欠くところがございまして、データ分析に基づく政策の立案、あるいは「PDCAサイクル」の確立等々が地方創生の鍵だというふうに思っております。
 今回のワークショップの模様は、近々、9月中旬にも動画に編集をいたしまして、全国全ての市町村、特別区、自治体の方々が見られるようにいたします。どうぞ、マスコミの方々も、なるほど、こういうものなのだということをご覧いただいて、RESASを使った新しい行政とは何なのだということについてきちんとした御認識をお持ちいただきたいというふうに考えております。
 また一方、これもRESASを導入するときに申し上げたことでございますが、今までその手の情報というのは行政しか持っていなかったものでございます。これを一般の地域住民の方々にも提供しておるところでございまして、ここが一番重要なところだと思っております。一般の方々が御自身のふるさとや地域をRESASで分析をし、インターネット上でその分析を投稿する、あるいはRESASを使って自分の地域について語り合うNPOや市民の方々の集まりが開催されているわけであります。
 東京都の三鷹市、6月11日にNPO法人「シニアSOHO普及サロン・三鷹」-ソーホーというのはSOHOと書くのですが-というものを立ち上げ、会員の方だけではなく、誰でも参加できる形でRESASを活用して三鷹市を元気にするアイデアを出す会というのが開催されました。
 また、7月11日には、国立で「RESAS BAR」と言って、住民の方々がビールを片手に食事をしながらRESASを使って国立を分析し、地域の未来を語り合う勉強会も発足をしておるわけであります。
 このように、自治体あるいは市民の方々にRESASについて更によく御認識をいただくべく、来月15日火曜日、日経ホールにおきまして「地域創生RESASフォーラム2015」を開催いたします。また、今後、全国10の地域でRESASの地域セミナーも順次開催をしてまいる予定にいたしております。
 お手元に配りました資料はそういうものでございまして、これをいかに活用するかというのは極めて大事なことであります。それは市長さんが悪いんですよとか、議会が悪いんでしょうと言うのは、それは簡単なことなのですけれども、では、それぞれの市民が、自分のまちをどう考えるのか、それを的確に実践してくれる人は誰なのかということ、それがおまかせ民主主義から脱するためには極めて大事なことだし、私は主権者というのはそういうものだと思っております。主権者というのは、では、自分が市長になりせばどうするか、自分が議員になりせばどうするかということを考えて、それに最もふさわしい方に委ねるということが、主権者の役割であり、これは国民主権でも同じお話だというふうに私は考えておるところでございます。そういう意味で、このRESASの活用というのを心から期待をし、そして、私どもとしても、できる限りこのRESASの普及というものに努めてまいりたいと、このように考えておるところであります。
 長くなりましたが、私からは以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭発言のRESASセミナーについてなのですけれども、全国10カ所で開催されるものが、自治体職員向けと一般向けに分かれて開かれるようですけれども、特に一般の方に対するRESASの普及というものの意義について改めてお願いしたいのと、来年3月末までに「地方版総合戦略」を全国の自治体に対して作るように求めていらっしゃいますけれども、その関わりについてはどのように考えればいいのでしょうか。
(答)これは、RESASは自治体の職員の方だけが使えればいいというものではございません。先ほど申し上げましたように、行政はその手の情報を持っているものでございます。ただ、それを持っているが、活用できたかというと、それは違うだろう。それをRESASという形で、パソコンを使って簡易に見ることができるようになる、あるいはそれをどう分析するのかという手法もできるだけ普遍化したいと思っております。ですから、これを一般の国民の方、先ほど申し上げたように、地域の主権者である一般の国民の方にも使えるようにしていただきたい。それによって、さきほどの「RESAS BAR」ではありませんが、それぞれの地域の方がどうなんだろうね、うちのまちはというふうに新しい気付きがある。それを議員さんに提案する。あるいは議員さんがそれを使って議会で提案する。そういうような形が広まっていくことが最も望ましいことだと思っております。したがいまして、この動画を一般の方々に広くあまねく見ていただけるようにするということであります。
 また「RESASフォーラム2015」というのは、多分ニコ動で見られるようになると思います。それで同時中継もするように今計画をしておるところでありまして、大勢の方がこれを見られるように、そしてまた、自治体の方は自治体の方であるがゆえに、それの活用方法というものに更に習熟していただくということを並行してやってまいりたいと考えております。
(問)私も関連で1点お伺いしたいのですが、おっしゃるように、一般の方がより関心を持つことは非常に重要かと思うのですけれども、会場10カ所をやりますけれども、どうしてもこういう場になると、金融機関の方ですとか経済団体の方ですとか、そういった関係者の方が多くなると思うのですけれども、むしろ、学生であったり高校生であったりですとか、そういった面でも広げていくような工夫ですとかお考えというのはあるんでしょうか。
(答)それは、私も担当にお願いをしているところであります。まだ動き出したばかりなのでそこまで広がりませんが、「産官学金労言」というときに、「学」というところで、例えば-いつも例を出して恐縮ですけれども-島根県立島前高校においては、このRESASを使って海士町の総合戦略づくりに関わっていただいております。そういうのが出始めたなということだと思っておりまして、先般も、私の選挙区ですが、倉吉市で、これは韓国の高校も参加をして、高等学校の地域創生についての大会が開催をされました。優勝したのは韓国の高校だったかもしれませんが、そういうのをやることにあたり、高校生たちのほうが、あるいはパソコンを使うことは、大人よりも上手かもしれない。そういうところは面白いねと。やはりこれはおもしろさというのが大事だと思っておりまして、それが広がっていくように私どもとしても更なる努力をしていきたいというふうに思っております。
 それは、やはりそれでいい成績を修めた、そういうところは本当に良かったねというふうなことをこちらから声をかけてあげるというかな、そういうのもすごく大事なことだと思っておりまして、これは副大臣にも御尽力をいただいたのですが、この間、JCでそういうのがございました。そういうので上位入賞したところは、やはりそこで市長さんなり知事さんなりが、よかったねというようなことを言っていただく、そういうようなエンカレッジすることも併せてやっていきたいなと思っております。
(問)新型交付金について数点お伺いしたいのですが、1点は、財源確保の手法として、国費の半分程度、各省の地方創生以外の予算、裁量的経費から拠出するというようなことで、少し考えても抵抗といいますか、各省の不満のようなものも強く出る可能性もあるのかなと思うのですが、そのような不満のようなものがどれほどのものがあったのかというのが1点。
 もう一点は、交付金の使途として各省の拠出がありますけれども、そうしますと、各省のそれぞれが考える政策の実現に向けて、できれば使われるということを望まれるかと思うのですが、そういった各省の拠出の割合に応じて使途が制限されるというようなことがあるのかどうかというのが2点目。
 3点目として、地方六団体のほうが、大臣の金額を明示した当初予算への要求方針を評価しておりますけれども、併せて、裏負担といいますか交付金の地方負担部分についても地方財政措置、一応、地方創生事業費が今年度創設されておりますけれども、それとは別に交付金の裏負担について財源措置をしてほしいというような要請も併せてしておりますが、その点について、ちょっと所管外ではありますが、大臣のお考えがあればお伺いできればと思います。
(答)この地方創生というのは、我々地方創生本部だけでやっていることではありません。それがスタートしたときに、これは内閣全体でやるということであり、その会議は全閣僚が構成員でございます。ですから、各省から拠出するのに抵抗があると言いますけれども、それは政府全体でやっていくのだということでございます。ですから、それはいろいろな御意見はございましょう。ですけれども、最終的にそれぞれの省庁の中には、率先して、では、うち出しますよと言ってくださった省庁も幾つもあります。ですから、最終的には全ての省庁に御理解、御了解をいただいた上で、政府全体としてこの政策を遂行するということでございますから、各省から不満とか不平とか、そういうことは私自身は認識をしておらないところでございます。それは、地方創生の事業というのはどういうものなのかという認識を各省庁がどれだけしているかどうかということであって、気持ちよく快く率先してやっていただいた省庁も多くあるという事実はよく御認識をいただきたいと考えております。
 そしてまた、省庁がどれだけ出したからどれだけだというようなことを考えるつもりはございません。この新型交付金の使い道というのは、従来の補助金のメニューにはなかったもの、あるいは交付税では対応できないもの、そういうものを対象としているものでございます。ですから、例えばDMOであるとかCCRCであるとか、そういうものは今の補助金のメニューにございません。ですけれども、そういうDMOをやっていきたい、CCRCの司令塔的な機能というものを立ち上げたい。そういう場合に、今までの補助金にないけれど、これから先、創意工夫でやっていきたいというものに対応するものだということは、これは100回も1,000回も申し上げてきたことでございますので、各省庁がどれだけ出したから、それに対応してということはそれとは整合しないものだと考えております。
 一番最後につきましては所管外でございますので、お答えはいたしかねます。
(問)先週、大臣も署名されました戦後70年談話についてお伺いいたします。談話の中では、必ずしも「侵略」という言葉について、日本の行為というふうには位置付けられていなかったかと思います。大臣はかねてから、日本の戦中の行為が侵略であったという認識も示されていますけれども、改めて御所見をお伺いしたいのと、談話をご覧になっての御感想を伺えればと思います。
(答)それは、閣議において閣議決定で花押を印したものとして所見も何もございません。それは総理が申し上げたことが全てであって、花押を印して共同責任を負う立場の者がそれについて感想とか所見とか申し述べるということは決して適切ではないと考えております。
(問)今月末までに、CCRCに関してですが、中間報告という方向になってきているかと思うのですけれども、大臣、現状で地方の認識、どういうふうにやっていったらいいかとか、あとは介護保険の負担の問題をどこまで理解が進んでいるというふうに現状で認識していらっしゃるか教えてください。
(答)これは、まだ私どもで今月末に中間報告、そして、当然年内には最終報告と、こういう段取りになっております。その介護保険等々につきましての地元に過重な負担を負わせないということを、どのような財政調整の仕組みを作っていくか、あるいは、そのCCRCというものを作るに当たって地元の受け入れ体制というものはどういう形になるのか、誰がどのような形で運営をしていくのか、それはいかなる法人がそれを担うべきなのか、あるいは東京にお住まいの方が地方のCCRCというものに参加、あえて参加という言い方をいたしますが、これは生涯活躍のまちというふうにも申しております。従来のようにサービスの受け手ではなくて、出し手としての活動を期待をしたい。あるいはそういうようなCCRCの対象となる方、つまりコミュニティでございますので、そこには若い方々も入る、壮年の方々も入るということになるわけでございますけれども、そこへ行かれる方々が東京の方だといたしますと、では、東京にお持ちの不動産、住宅でありますとか土地でありますとか、それはどういうふうになるのだろうねというようなことについても一定の方向性を見出さないと、それはなかなか決断ができないということがございます。ですから、一部CCRCについて、そんなもの強制的にできるわけないだろうみたいな御批判がありますが、強制的にやるなどということを私は一度も申し上げたことはございません。地方においてそういうニーズがある、あるいは中央において行きたい方々が、50代男性の5割が実は地方で暮らしたいんだと思っていらっしゃる、そういうものを阻害している要因は何なのだろうか。その要因を除去するのは政治の仕事であり、その上でCCRCに参加するかどうかは、国民の方々がお選びになることであって、姥捨て山論とか強制的にというのは、それは事実誤認と言わざるを得ません。
 地方の方々が思っておられる、先ほど御指摘の過大な財政負担が生じないような財政調整の仕組みをどうするか等々は、もちろん検討課題として入っております。それをこれから先更に詰めていって、現状考えられる最もふさわしい制度というものを最終報告に向けてやっていきたいし、場合によっては、それは立法措置が必要になるのかもしれないと思っております。いずれにしても、この段階で断定的なことは申し上げる状況にございません。
(問)政府機関の地方移転について2点お聞かせいただければと思います。今月末に、道府県の要望が締め切られまして、今後本格的な調整に入るかと思います。具体化に当たっては、省庁からの異論も予想されたりしておりますが、政府として、移転に当たって数値目標を持って、その結果につなげていこうというお考えについて、まず1点お聞かせください。
(答)ございません。そういうものは数値目標を作るべきものではありません。それは、それぞれの地域から出てきた御要望というものを可能な限り国民の方々の目に見えるような形で、それは本当に国家のために良いことだよね、霞が関の利益とかそういうことを捨象して、本当に国家の利益ということを考えて正しい判断なのかどうなのかということを主権者たる国民の皆様方に御判断いただけるような形でお示しする。そうすると、数がすごく多くなるのかもしれません、あるいは少なくなるのかもしれません。いずれにしても、最初から数値目標を持ってやるということ自体を目的化すべきではなくて、問題は、その議論のプロセス、検証のプロセスというものが国家のために本当に資するものであるかどうかという尺度に基づいて国民の方々に御判断いただけるということが一番大事なことで、数値目標が大事なのではございません。
(問)またもう一点なのですけれども、地方移転に当たって道府県の協力、また誘致の条件整備案提示というのが条件になっているのですけれども、そうしますと、地方の中でも都会と言われる市部に比べて中山間地域の町村などは、例えば住環境を整備するとか、そういった面でスタートラインからハンデを抱えるという見方も地方では指摘されているのですが、その辺は大臣どのようにお考えであるかお聞かせください。
(答)もちろんそれは財政力の豊かなところだけに移転されるということは避けるべきものであって、本当は財政力は弱いんだよと、だけども、そこへ移転することが日本国全体にとっての利益なのだよというふうに判断されたときに、その地域の負担力が少ないことのみをもってそれが除外されるということはないようにしていかねばならないと思っております。しかしながら、その地域にそれが行くということは、例えば、それによって雇用が生まれる、あるいはそこに人口が流入するというふうに地域にとってのプラス面も当然あるわけでございます。ですから、そこは今あります法律との整合性というものもよく認識をしていきながら、全体として日本のためになるというような形を実現してまいりたいと思っておりまして、最初から財政力が弱いことのみをもってだめだと、国家のためにどんなに良くてもだめだというような狭量な考えを持っているものではありません。
(問)一部報道で、民間の研究センターが東京一極集中の是正は不要だというような見解をまとめたという報道がありまして、それによりますと、人口当たりの結婚件数は東京が多くて、未婚の男女が東京に集まった上でマッチングが行われて、その男女が地方に行っているので、東京の一極集中是正というのは必要ないというような趣旨の提言になっていますけれども、これは国の政策と真っ向から反対のような感じがするのですが、これについては大臣、どのように判断をされるのでしょうか。
(答)この報道は私も拝見をいたしました。非常に自分たちの考えとは違う論点が提示をされたということで、極めて新鮮に感じて、良く精読をさせていただいておるところでございます。何でもそうですけれども、政府の考えが無謬(むびゅう)であって、これに反するものというのはあり得ないのだというような、そういう思い込みに基づいて政策を展開してはならないというのは、それは当たり前のことでございます。
 そういう前提つきで申し上げますと、この研究センターがお書きになりました論文は、東京都の出生動向でありますとか、結婚の動向でありますとか、そういうことを分析をなさいまして、東京は多婚、結婚が多いのですよと、そして全国から単独世帯を受け入れ、東京周辺地域にカップル世帯を分配することにより、効率的なマッチング機能を果たしているとなさいました上で、東京は少子化に歯どめをかけているという、今までの考え方とはかなり異なる視点の提示であったというふうに私自身は認識をしているところでございます。
 婚姻が多い点はどういうことなのでしょうねといえば、東京は若いまちでございます。若い方々が多いので、人口1,000人当たりとすれば若い方が多いわけですから、数が多いのは、それって当たり前ですよねということなのですよね。ところが、それは若い人が多いので結婚が多いということになるのですけれども、それは、その後どうなりますかねとか、あるいは東京自身が出生率が低いということをどう考えますかねとか、そういうことについてどのようにお考えになるか、この論文ではよく正確に示されていないところでございます。あるいは若い方々が結婚される率というのはどうなのでしょうね。数は多いにしても、では、婚姻率、これは高齢者の数でも一緒の話なのですけど、高齢者の絶対数と高齢化の率というものを混同すると政策を間違えるというのと一緒でございまして、数は多いけど率はどうなのでしょうねということを考えたときに、これは決して高いものではないというふうに私自身は認識をしておるところであります。
 また、多くの資料でお示しをしておるところでございますが、東京の皆様方の、良いとか悪いとかそういうことを捨象して申し上げているのですが、初婚年齢というのは東京が最も高い。最も若い福島と比べて2歳強の違いがございます。いいとか悪いという話ではなくて、晩婚化、晩産化ということを考えたときに、そこは東京というのは断トツにこの比率が高いということもまた現実にあるものでございます。
 また、一見、東京はたくさん人が結婚して、出会いの場が提供されて、結婚したカップルが全国あちらこちらに行くのですよ。だから、少子化に歯止めをかけているのですよと言うと、なるほど、そういう論点もあるかというお話になるのですけれども、さてさてと。東京から出ていかれる方々の中で、若い方が結婚して外へ出ていくという方ももちろんいらっしゃいますが、高齢者の方々が外に出ていかれるという数字も東京の場合に高いものでございます。
 そうしますと、年齢階級別の移動状況を見たときに、東京都から周辺へ移転される方々の中には、高齢者の方々が相当に含まれているのであって、そこをもう少し精緻に分析しないと、若い方々が東京に集まり、結婚して地方に行っているのだという結論付けはもう少し数字の精査が必要なのではないかというふうに考えておるところでございます。
 したがいまして、そこの数字の精査をしていかなければならないところでありますので、恐らくこの研究も、お名前を拝見します限り、本当に見識のある方々がお集まりになって研究をしておられるものでございますので、私どもとしてこの研究というものをよく精緻に分析をして、今の御質問でいえば、政府の政策と全く反するというお話でございますが、私どもとしてこれから学ぶべきところ、あるいは意見の交換を行うべきところというものはこれから先多々出てくるだろう。いずれにしても、こういうような研究が出てくるということは、これから先、議論が進化する上において極めて有意義なものだと考えておるところでございます。
(問)弊紙を含めてですけれども、大臣の総裁選対応ということについて様々伝えられているかと思います。出馬、不出馬、現時点でのお考えをお聞かせください。
(答)それは、今は、安倍内閣の閣僚として安倍政権というものが国民の信頼を得て政策を遂行するというために、内閣の一員として最大限自分にできる限りの努力をしておるものでございます。閣僚の一員としてそれ以外申し上げることはございません。
(問)昨日、民間シンクタンクの構想日本というところが、住民以外にも公共サービスを提供して地元とのつながり、地元出身者へつながりを持ってもらって地域活性化に生かそうというような、ふるさと住民票という制度の提言を発表されています。活動の主体は自治体になりますが、これについて大臣はどう評価されるのか。それから、これ、いろいろ広報紙を送ったりとか、あるいは施設の利用料なんかに関しては、新型交付金などの対象となり得る取組なのかどうか、お願いします。
(答)これは、制度上そういうような住民票の交付というものがあるわけではありません。それは、非常に無味乾燥な言葉で言ってしまえば、住民票的なものということであって、そういうものが制度上位置づけられているわけではありませんが、例えばふるさと納税を行った。それで、その地域における行政のサービスというものが安いコストで受けられるようになるというのも一つの考え方だと思っております。ですから、これは制度に基づくものではありませんので、このことについて中央政府としていいだの悪いだの言う立場にはございません。
 ふるさと納税をした方々に対して、例えば返礼品がある、そういうような形もある。でも、ふるさと納税をなさった方に対して、その地域においていろいろな行政サービスが、地区住民の方々と同じような負担で受けられるというのも一つのメリットだと考えております。これはいろいろな工夫がそれぞれの自治体においてなされるべきことであって、そのこと自体、私としては肯定的に評価をすべき面があると考えております。
 これが「地方版総合戦略」においてどう位置付けられるかということになりますと、やはり「地方版総合戦略」を作る上において、これもキーワードでございます、「PDCAサイクル」がどのようにしてそこにおいて機能するのか、あるいはKPIというものを考えたときに、それがどのようなことになるのか、それはそういうような住民票的なサービスというものが、PDCAあるいはKPIの中でどのように位置付けられていくかということだと思っています。ですから、そこの一点をもってして総合戦略の中で何か高い評価が得られるということではなくて、それを活用してどうやって人を呼び込んでいくか、高知県知事的に言えば、地産他消みたいなものに、すなわち地産地消という限り、その地域の経済というものは縮小していけば、それは当然縮小というものは免れないことでございまして、地産他消というのは、その地域で作ったものに対して、よそからの評価がなされお金が入ってくるということでございます。経済が縮小していく中において、その地産他消的なものを導入していかねばならない。そのときにこの住民票的なものがいかなる役割を果たしていくか等々、それを一つの道具として、地域の新しい「地方版総合戦略」をどう作っていただくかということの一助にはなるものだと考えております。

(以上)