石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年7月28日

(平成27年7月28日(火) 8:56~9:14  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 本日、構造改革特別区域法に基づく政令の改正が閣議決定をみたところであります。7月15日に公布をいたしました国家戦略特区法と構造改革特区法の改正法のうち、いわゆる道路コンセッションに関する部分につきまして政令で所要の事項を定めたものであります。
 具体的には、地方道路公社が管理する有料道路の運営権を民間事業者に開放するものであり、今回の政令では、利用料金の上限の基準等を定めているものであります。
 今後は、この特例が活用され、民間事業者の方々の資金あるいはノウハウを活用して有料道路の利用者の方々へのサービスが向上することを期待しております。
 改正法のうち道路コンセッションにつきましては、愛知県からの強い御要望がございました。それを踏まえ、早期に施行するものであります。
 もう一点、本日、全国知事会議が岡山県で行われます。これは、地方創生がメインテーマで議論が行われるものでありまして、5月の間に、後半であったと記憶をいたしますが、出席の御要請がございました。これに出席をいたします。
 全国の都道府県知事が一堂に会する機会に、地方創生担当大臣である私と都道府県知事との間で忌憚のない意見を交わします。かねてから申し上げておりますように、この「地方版総合戦略」を作るに当たりまして、都道府県の果たす役割というのは極めて大きいというふうに認識をいたしております。
 先般も御紹介をいたしましたが、「地方版総合戦略」の策定状況はおおむね順調と思いますが、ばらつきが出ておることもまた事実であります。都道府県がその市町村に対していろいろな適切な、言い方は難しいのですが、助言等により、地方創生の取組を更に加速したいと強く思っているところでございます。
 都道府県知事、これは市町村長もそうでございますが、大統領制をとっているわけでございます。したがいまして、強い発信力というものを持っているということでございます。地方創生を実現する上で非常に重要な存在であるというふうに考えております。
 去る6月30日に「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」を閣議決定したところでございまして、このような私どもの主要施策の周知を図りたい。そしてまた、来年度予算の編成に向けたプロセスが今後本格化するわけでありますが、その前に都道府県の皆さん方と意思疎通を行い、意見交換を行い、取組を一層加速させたいというふうに考えておるわけでございます。
 したがいまして、本日の本会議は欠席でございますが、私自身、今回の10増10減案というものに対して、先般、準備のための署名でございますが、政府として異議がないという旨-これは議員立法の場合、常にそうでございますが-それに署名をいたしております。これはまた成立しなければ発動されないので、準備のためということになっておるわけでございますが、その責任もございます。
 もう一点は、選挙制度調査会でも、衆議院鳥取第一選挙区支部長として申し上げたことでございますが、今回のやり方は、「緊急避難的」なものであるというふうに考えております。それは、一つは、今まで我が党の意思決定のプロセスというものは、昨年の0増5減もそうでございますが、当該県連の了解を得て行うということでございました。今回それがないままにこのような決定がなされるという点で、今までの党の意思決定プロセスとはかなり違うと思っております。また、今まで6増6減ということで党内で認識の一致をみておったと思いますが、いろいろな事情があって急転直下と言うべきか、こういうような形になったということで、党内の議論というものが十分に尽くされていないということもございます。もちろん物事を決める立場の方々は、私自身もそうであったように、非常にいろいろな問題に直面をして、苦悩の決断というものがございます。ですから、誰を非難するとかそういうことを申し上げているわけではございませんが、緊急避難的なものであるというふうに私自身考えております。
 しからば、違法性阻却事由的なものが必要だということでございまして、それはこれも選挙制度調査会で申し上げましたように、一つの県から1人、鳥取県、島根県、高知県、徳島県、これはこのまま今回これが抜本的な解決をみないまま推移をいたしますと、これが合区の連鎖、ドミノ的なものが起こるということになります。
 地方移住あるいは出生率を上げること等により地方の人口を増やしていかねばなりませんが、出生率が上がっても選挙権を得るまでに18年かかるわけでございます。移住にいたしましても、これが選挙人の人口というものを大幅に上げるということの効果を発現するには相当な時間を要しようかというふうに認識をしているところでございまして、そうなりますと、合区の連鎖というものが今後生ずる危険性というものはございます。
 そうすると、やはり今回、緊急避難的なものとして捉え、違法性阻却事由的なものは、1県から1人、次の選挙において確保されるということ、そして、その後はやはり私はこれもかねてから申し上げていることですが、衆議院と参議院で選挙区と比例区との組合せという選挙のやり方が相当に似通っております。また、幾つか衆議院の優越ということが憲法に定められておりますが、基本的には同じような権能を持っている衆議院と参議院、これで二院制の妙味というのを発揮せられるかといえば、そこは相当に改善すべき点があると考えております。
 したがいまして、我が党として、この参議院選挙制度をどうするのかということを、現行憲法の改正ということで来年の参議院の公約、まさしく参議院の在り方を問うものでもございますから、掲げてもらいたいと思っております。
 後者はともかくといたしまして、前者につきましては、茂木選対委員長あるいは谷垣幹事長から、責任を持って確保する旨の発言がございました。それが具体化するように今後は努力をしたいと思っております。
 今回の鳥取県、島根県、高知県、徳島県の合区につきましては、極めて残念な思いを持っておりますが、参議院で既に可決をされたものでございますので、私自身、今日もし知事会議なかりせば、出席をして賛成をしておったということは申し上げておきたいと存じます。
 今後、先ほど申し上げましたことが成就いたしますように、これは閣僚の立場を離れまして、一自由民主党の議員として努力をしたいと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭の発言に関連してお伺いしますが、もし仮に本会議に出席すれば賛成だったということですけれども、お気持ちとしては反対したい、若しくは棄権したいというお気持ちだということでしょうか。
(答)個人の思いと公人としての行動というのが常に一致をするわけではありません。個人としていろいろな思いがあっても、公人として、あるいは政党の人間として判断をしなければいけない場合があります。極めて残念であるということであって、できれば、今回このようなことになる前に地方の同意というものを得ておきたかった。そして、合区対象県において、4県全てに参議院議員が確保されるということが担保されて地方が納得する。もちろん有権者の方々の御判断でございますから、必ず確保されるといっても、有権者の方々が御支持いただかねば確保できませんが、できる可能性を持つということだと思います。それが担保された形でできれば更によかったと。もちろん残念な思いはありますが、確保されるということ。更に望むらくは、本当に憲法の改正、つまり最高裁判所は、現行憲法に基づいて判断をしているわけであって、憲法の改正のプロセスが衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成で発議、そして国民投票の2分の1の賛成という極めて高いハードルではありますけれども、チャレンジしなければ何も始まらないことでございます。参議院において参議院の在り方について真摯な議論が行われているわけでございますが、私自身、当時予算委員会の筆頭理事でございましたので、この憲法改正の議論に、参議院のテーマで主体的に関わったことがございません。それは、そういう形で実現をしていくということができれば、より良かったというふうに思っております。
 個人的なことを申し上げるわけではありませんが、極めて無念な思いというものはございます。
(問)今日の衆議院を持ちしまして採決される見通しだと思うのですが、自民党連立を組んで以来、公明党と法案への賛否が初めて分かれることになると思うのですけれども、この点については、大臣はどのようにお考えになりますか。
(答)これは事情をよく存じませんので、余り論評してはいけないと思っております。物事には必ず原因と結果があるのであって、今まで特に野党にありましたときも-連立野党なんて世の中にはないのですけれど-公明党さんと本当に緊密な連携をとってきた。選挙のときもいろいろな軋轢はあっても、自公協力というものを最優先で考えてきたはずなのであって、今回、民主主義の基本を考えるこういうような制度において、なぜこういうことになったのか、私はよく分かりません。事情を知らない者があれこれ論評してはいけないと思っております。今後、自公のいろいろな体制というものが、更に信頼関係のもとに強化されるということで、私も党所属議員の一人として努力をしたいと思っております。
(問)選挙制度改革の件なんですけれども、今後の一つの焦点となるのが、地方に対する救済策だと思います。31日には、大臣の地元鳥取県連にも説明があると思うのですけれども、大臣として、どのような救済策が望ましいか、お考えをお聞かせいただければと思います。
(答)これは先ほど申し上げたとおりですので、言葉が足りないところがあったらまた御指摘をいただきたいと思います。やはり合区の連鎖、合区のドミノが起こるということは避けねばならないと思っております。ですから、一番の正道といいますか正しい道は、まず我が党の中で参議院の位置付けというものを、二院制の妙味というものを発揮するために、選挙制度が全くとは言わないがほとんど一緒というのをどのように考えるかということからいけば、例えば合衆国、極端な例で言えば、スペインのように、ものすごい一票の格差があっても、それはそれで認められるのは、それは憲法における位置付けというものが違うのだと思っております。だから、それは衆参総議員の3分の2なんてできないよなんて言っていたら何も始まらないことなのであって、やはり今回これだけこの合区の問題が多くの方々の耳目を引くというか関心を集めるということになっておる。この機を逃してどうするのかという気が私自身いたしております。この機にこそ、これをきっかけとして、今やらないでどうするのだという思いが根本にございます。
 もう一つは、選対委員長や幹事長が言っておられる1県から1人ということですが、それが当該選挙区にどれだけの負荷を与えるものなのかということも考えていかなければなりません。
 私も昭和61年の衆参同時選挙以来、本当に何度となく参議院選挙をやってまいりました。選挙区、そして比例区の組合せで随分といろいろなこともやってまいりました。恐らく参議院選挙を経験したということでいえば、議員の中でも多いほうだというような自負は持っております。
 そこで、地元の方々に、やはり政権交代選挙においても、鳥取県、島根県、高知県、そして福井県で自由民主党が小選挙区で全部取ったこと、そして政権に復帰しましたときに、それは東京都であれ名古屋市であれ大阪府であれ、一つ一つの地域の方々が厳しい中で自由民主党を支援をしてくださったということを言っておきながら、勝ったらこうなのかというような思いをさせない。そして、その選挙区におけるいろいろな選挙運動が、外の地域と比べて差があるということは、それはどうなのだろうねという気がいたしております。
 ですから、個人の代議士として申し上げれば、自分の選挙区の方々が納得していただけるような、そういうような在り方であってほしいと思いますし、党全体で申し上げれば、国民が、自由民主党は地方というもの、それは東京都であれ、鳥取県であれ、鹿児島県であれ、それは問いません。それは都議会議員選挙において、東京都の地域の方々がどれだけ御尽力いただいたかということは私自身経験してよく知っていることでございます。地域地域というものを大事にする自由民主党だねというふうに思っていただけるべく、これから総裁、幹事長の下で努力をしたいなと思っております。

(以上)