石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年7月14日

(平成27年7月14日(火) 8:57~9:15  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。お待たせいたしました。
 本日、閣議前に地方分権改革推進本部の第8回会合を開催したところであります。第5次地方分権一括法の施行と、平成27年の地方分権改革に関する提案募集の取組についてが議題でありました。
 今後、地方創生に資する提案を中心として、地方からの提案の最大限の実現に向けて議論を尽くしてまいりたいと思っておるところであります。
 次に、明日15日、第3回「ふるさと名品開発促進協議会」を開催いたします。その中で、前回事業者の方々から御提案がありました新たな表彰制度、「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」の概要が正式に発表される予定でございます。
 今回のふるさと名物商品・旅行券事業の効果を一過性とすることなく、域外からの「稼ぐ力」に繋げていく上でも、この表彰制度を活用した地域のアピールは極めて重要なものでありまして、私どもまち・ひと・しごと創生本部といたしましても、新たな表彰制度を支援したいと考えておるところであります。
 具体的には、表彰制度全体が活気づきますように、政府ホームページ等を通じました制度の御紹介、自治体への応募の呼びかけ、個々の部門賞に関するイベントの協力などを行いつつ、まち・ひと・しごと創生本部といたしましても地方創生に向けました様々な取組をアピールする良い機会としたいと思っております。なお、民間事業者によります取組でございますので、予算等の手当てはいたしません。
 「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」というのは、20を超える事業者の皆様方が力を合わせ、それぞれがお得意の知見を駆使して地域の優れた名品や取組を表彰するというものでございます。概要につきましては、明日の協議会で事業者の方々から直接発表がある予定でございます。直接御確認をいただきたいと思います。
 部門賞の正式名称、対象、審査方法などの詳細につきましては、まだ検討中の事業者の方々がおられますので、9月を目途に改めて詳細発表があるものと承知をいたしておるところでございます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭の地方分権についてお伺いします。昨年の地方分権の提案に対する国の回答ですけれども、当初、省庁側の理解を得られないということで非常に低率にとどまった後に、再回答を求めて最終的には半分近くまで上がったということですけれども、これ、今年度また行うに当たり、省庁側にどのように求めていくかということをお伺いしたいんですが、やはり初めに少し出せないということを言って、最終的に出すということが去年あったと思うんですけれども、大臣を含め政務側でどのような調整に当たっていくお考えでしょうか。
(答)前回も同様でございましたが、地方が提案をしても門前払い的な、「駄目ですよ」とか、あるいは「現行制度で対応可能でしょう」とか、何となく冷淡なというか事務的なというか官僚的な受け答えがあったということで、私のほうから、そうではなくて、現行制度で対応可能というのだったら、どうしたら対応可能になるんだというのをきちんと説明をしてくれと。対応できないとするならば、なぜなのかということを説明して下さいということを申し上げたわけでございます。
 それで、各省庁ともそのような対応をしていただいたというふうに承知をいたしておりまして、そういうことであれば出してみようということになったのだと思っております。ですから、やってみてそれが全部に当たるわけではありませんが、ここは中央政府として、地方政府に対してそのような真摯なというか親切なというか、そういう対応をすることによって地方の側も提案してみようという気が出てくるというふうに思っております。
 今後とも、それこそ一過性に終わることなく、そういうようなことによって分権が進むようにしたいと思っておるところでございます。
(問)分権なんですけれども、地方からの提案とかを見てみると、旅館業に関する規制緩和とかあがってきていますが、こうした内容のことは、政府の規制改革にも絡む話でもありますし、特区で一部やるような話もあったりして非常に一つのことを議論するのに多岐に渡るとこでやっているような感じがして、若干縦割りといったら変なんですけれども、そういう感情は否めないんですが、この辺のすっきりさせることについては、大臣、どのようにお考えでしょうか。
(答)何とかすっきりしたいなと私も思っておって、これは分権になじむものではありませんとなると、では、どこに行ったらいいのかという話になるわけで、では、特区ですかということになると、いや、特区にもなじみませんとか言われてしまうと、一体どうしたらいいんだということになるわけで、ユーザーの立場に立ってみて、とにかくこういうことをやりたいのだ。空き家が一杯あります。でも、旅館業の規制があって、宿帳を置けとか帳場を置けとかいろいろな話があります。空き家も一杯あって活用に困っているので何とかなりませんかというお話があったときに、「うーん、特区にはなじまないよね。分権?それって地方の権限でやったりするものかね」というような話なんですが、どうしたらそういうような地方のニーズに応えられるかという仕組みを特区、分権、あるいは根本の法改正というものまでユーザーの側に立って考えてみるとどうなんだろうと。
 よく議論になるのは旅館業の話なんですけれども、その旅館業についていろいろな規制があるのは一体何ゆえであるかという根本まで遡ると、やはり目的があって制度があるわけですから、その目的の趣旨というものに反しないということであるならば、あるいはその目的というか制度が危惧するもの、守ろうとしているものが阻害されることがないのだというような形はどういうような形がいいのかねということだと思っております。そこは私自身いろいろな説明を聞いて、いや、それは分権になじまないよねと言われると、そうかなという気もするところはありますが、それはこっちの理屈なのであって、いろいろなことを要望している側からすると、では、どうしたらいいんですかということがあって、そこまで親切に説明をすることは必要なことだと思っております。
(問)全然違う話題なんですけれど、一票の格差是正の10増10減案の中で、合区の対象の中の一つの県が、大臣御出身の鳥取県だと思うんですけれども、鳥取県民として合区の対象になっているという受け止めはどのように感じていらっしゃるかお聞かせください。
(答)それは県民としての立場もありますし、国会議員としての立場もありますし、閣僚としての立場もありますので、一つの立場に特化して物事を申し上げることは極めて難しいということは御理解いただけようかと存じます。
 私自身は、これはもう、この一票の格差というのは、大学1年の憲法の時間から教わっているお話で、今から40年も前のお話ですが、教授が、一票の格差について、一番重いのは鳥取県と言われて、私、自分の親がそのころ鳥取の参議院議員だったものですから、非常に肩身の狭い思いをしたことがあります。私自身は、法の下の平等という観点から、1人が2票以上持ってはいけないということはやはりあるべきことだと思っております。その場合に、日本国憲法というのは、衆議院、参議院の区別を設けておりません。選挙によって選ばれた者によって全国民の代表者として構成するというふうに憲法に規定があるとおりであって、そこに衆議院と参議院の違いがあると認識をしていないのであります。そうすると、現行憲法下では、地方のいろいろな、特に我々過疎地、中山間地域、人口急減地帯からすれば、いろいろな問題の解決というものが、地方分権をすることによってなされる-もちろん権限のみならず財源も人材も移譲することによって-地方の発展は地方の努力によってなされるべきだというのは私は衆議院の小選挙区制を導入するときからの持論です。ですから、選挙制度を変えることと分権問題というのをセットにしないで、どんどん選出議員数を減らすということになれば、議員の少ないところの政治力というものはどうなるのだろうという議論になってくるわけで、これは自分が分権担当大臣として思うのですけれども、国会議員の数が多いから、国会議員が政治力を駆使したからということで地方が発展するというのは、それは国全体の統治の在り方としてどうなんだろうねというふうに思っております。
 ただ、分権というものがまだ道半ばであります以上は、その分権というものもにらみながら考えなければならない。そして、アメリカとか、甚だしきに至ってはスペインとか、一票の格差が1対百何十というところもあるわけですよね。私は本当は、憲法の中に第一院と第二院というものがあって、第二院の位置付けというものは憲法にきちんと位置付けられているということが必要なことですから、私は幹事長時代から、政調会長のときにも言ったと思いますが、きちんと憲法改正に取り組むのだ、参議院というものは衆議院とは違う機能を果たすべきものであり、憲法の中に、例えば参議院は地域並びに職能の代表者によって構成されるというふうに書くとか、そういうようなことが必要なことではないかというふうに今でも思っております。ただ、そういう議論をしないままに今日の局面を迎えているわけですから、そうすると、人口はどんどん減っていく地域、分権がまだ道半ばである現状においてどうするんだということは、我々その地域の議員としては、申し上げざるを得ないことだと思っております。ですから、ただただ人口減少地域からも1人の議員をきちんと確保しろというようなことのみならず、これから先の道筋をどうするんだということをきちんと示していかないと、今度は鳥取県、島根県、高知県、徳島県、これを合区ですと、また人口が減りましたね、今度は何県と何県を合区です。また減りました、今度は何県と何県を合区ですというようなやり方は決して好ましいものだと私は思いません。
(問)安保法案がいよいよ明日にも採決という運びになっていますが、政権復帰時から幹事長として丁寧な議論を心がけてこられた石破大臣、また、安倍内閣の一員として、現在のこの議論、十分議論が尽くされたとお思いでしょうかという部分と、あと、国民の理解の進んでいるかどうかという部分についてもお考えを聞かせていただけたらと思います。
(答)国民の理解が進んでいるかどうかは、各社の世論調査のとおりであって、まだ進んでいるとは言えないと思います。あの数字を見て国民の理解が進んできたということを言い切る自信は私にはあまりございません。それはなぜなのかということを考えたときに、物事が極めて抽象的でリアルに考え難いということはございます。抑止力論を語るときに、抑止力には二通りあってと、懲罰的・報復的抑止力と拒否的抑止力とありましてとか言うと、そこから先わからないわけですよね。「抑止力って何ですか」と聞いたら、「いや、抑止力は懲罰的・報復的抑止力と拒否的抑止力の二つありまして」というような話から入らないと全然分からないんだけど、それを小学校でも中学校でも高等学校でも大学でも、ほとんど誰も習っていない。事は極めて抽象的なお話であるということになると、理解が進まないということも、報道が悪いとかそういう八つ当たり的なことを言っても仕方がなくて、今まで私どもとしてそういうことをきちんきちんと語ってくるという努力を私自身、防衛の仕事を長くやりながら十分ではなかったなという反省を持っておるところでございます。
 さはさりながら、政府が常に御説明をしておりますように、日本の周りの状況を見てみればどうなのだろうか。小泉総理がよく「備えあれば憂いなし」とか「転ばぬ先の杖」とかそういうことをおつしゃいましたが、実際にそのときにあれがあれば良かったねというような状況になってからでは遅いわけですね。極めて厳しい状況の中でばたばたと法改正をするということのほうが私はよほど危ないと思うのです。そうすると、まだ衆議院がいつ採決があるか、この後、参議院の審議があるわけで、まだまだ終わったわけでも何でもありません。この法案の成立に至るまで、いつも申し上げることですが、総理に任せておけばいいとか、担当大臣に任せておけばいいということではなくて、自分の選挙区でもどうなんだろうということは思うんです。それぞれが300小選挙区、自由民主党支部長がいるわけで、議席を持っているところも、ないところもありますが、自分の選挙区できちんと説明できているかなということは、やはりそれぞれ我が党所属の議員が心せねばならないことではないか、これから参議院の審議、衆議院の採決がまだどうなるかわからない状況で、まだまだ努力をしなければいかんということだと思います。
(問)そうしますと、会期が9月27日までと、まだ先が長い中で、この時期での採決がもしあった場合の時期的な部分の考え方というのは、もうちょっと衆議院で時間を使うべきなのではないかというところについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)それはどうでしょう、これこそ担当の大臣でもありませんし、現場のことを知悉(ちしつ)しているわけでもないので、そういうような人間が、いつの時期ということについて状況を知らないまま申し上げることはできません。
(問)今の質問にちょっとかぶるところあると思うんですが、各社世論調査で内閣支持率が、支持を不支持が上回るというのが幾つか出ております。この背景、理由について大臣はどうお考えになりますでしょうか。
(答)そこは推測でものを言ってもいけないので、多くの世論調査で不支持が支持を上回ったということがございます。それはなぜですかということを聞いていただいた社もあれば、聞いていただいていない社もあると思います。すみません、私は全部知らないのかもしれませんが、なぜですかということをきちんと知らないので、そういう調査だというのを知りませんので、何とも申し上げようがございません。
 私も福田内閣、麻生内閣で閣僚を務めておって、その時はこんなものじゃなかったですよ。もっと厳しい状況の中で、福田総理も麻生総理も懸命に政権を運営してきたわけであって、ここは常に一喜一憂することなくというのは常套句(じょうとうく)ですが、それと同時に、少しでも上げていくような努力というのは日々していかなければならないことだと思います。支持率が全てではございません。支持率が全てではございませんが、どうして支持率が下がっているのかというのは内閣の一員として考えていかねばならないことですし、自身のお預かりしておる所掌におきまして、例えば、私でいえば、地方創生とか分権とかそういう話ですが、それぞれ所掌において、この内閣いいよねと思っていただけるような努力は、それぞれの閣僚がしていかねばならないことですし、安倍政権というものを支えている与党全員が心せねばならないことだと思います。

(以上)