石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年7月3日
(平成27年7月3日(金) 8:56~9:20 於:合同庁舎8号館1階S106会見室)
1.発言要旨
私から1点、お手元に資料をお配りしております「地方版総合戦略」の進捗状況についてであります。
地方公共団体におきまして、今年度中の総合戦略の策定に向けた取組が本格化しておるところでありますが、今般、都道府県、市区町村への調査を行いました。その結果を取りまとめたものは配付資料で示しておるとおりであります。
詳しくは事務方から説明いたさせますが、策定時期につきましては、本年度の上半期であります10月までに策定予定の団体が、構成比で見ますと、都道府県では81%、市区町村におきましては44%ということになっております。
推進組織につきましては、既に整備済み及び設置に向けて準備中の団体が都道府県で96%、市区町村で80%ということになっております。
推進組織を整備済みの団体におきましては、産業界、学問に携わる組織・人々、金融界、労働界、言論界、それに当然のことながら市役所とか県庁が加わるわけであって、よく申し上げる「産官学金労言」というわけでありますが、このうちの全てが推進組織に参画をしておりますのは、都道府県では74%、市区町村では38%ということになっております。現時点では、全体的には順調に進捗はいたしておりますが、地方公共団体間で取り組み状況にばらつきが見られるという状況であります。これは、最近よく申し上げていることでありますが、ばらつきが顕在化してきたというふうに認識をいたしております。やっているところは、きちんとやっているということでございますが。
この策定が具体化をしてまいるわけでありまして、「産官学金労言」の意見を幅広く聞く体制を確実にとっていただくとともに、都道府県におきましては、取り組みの遅れている市区町村に対し十分な支援をお願いいたしたいと思います。もちろん人任せではなくて、私ども創生本部事務局といたしましても、積極的に地方へ出向きまして、戦略策定に向けたフォローアップというものをしなければならないというふうに強く認識をいたしておるところであります。
私からは以上です。
2.質疑応答
法律が成立した時点、つまり昨年末から総選挙も含めましてこの取組の必要性ということについては周知を図ってきたところであります。また、全国知事会あるいは市長会、町村会、議長会、いわゆる地方六団体の会合におきましても、くどいほど申し上げておるところでございます。
にもかかわらず、なぜこのようなことになるのかということを考えますと、やはり危機感に乏しい。そういうものをやらなくても、今までのように国の支援が受けられる、あるいは幅広い参加を得なくても、市役所であるとか役場であるとかが作ればいいのだという意識でおられるところがあるとしか思えないということであります。
冒頭の発言で、やるべきところはきちんとやっているということを申し上げました。無理難題を申し上げているわけではございません。よく策定期間を延ばしてくれということをおっしゃる方があるんですが、1年でだめなところは2年かけてもだめではないかというふうに思います。最初からあえて長い期間を設定して、その間に作るというところは、単に延ばしただけではなくて、その策定に極めて着実な進捗が見られるというふうに承知をいたしておりまして、それはそれでよいのでございます。
今までと変わったのだと、役所だけでつくればいいのではないということの認識が乏しいところというのは、変えていただかなければなりません。計画にしても、いつも申し上げておりますように、誰もその存在を知らない、誰もそれに関わっていない、どのような目標が設定されているかも知らない。以前の計画ができたか、できないかも知らないし、誰も責任をとっていないということ。すなわち、「産官学金労言」の参加、「KPI」の設定、「PDCAサイクル」の回し方について意識がないところはこういうことが起こるのであって、それは私どもが怒っていても仕方がないので、冒頭申し上げましたように、そういうところに対してきめ細かいフォローアップというものをするのは私どもの責任でございます。
策定時期にもばらつきはあります。そして、取組状況でも、「産官学金労言」の参加について、実際にそういう方々が参加をして、例えば、100人委員会とか50人委員会とかそういうものを公募をして、何度も何度もディスカッションをしているところ、単に御意見があれば来てくださいといったところ、あるいはまだ誰に声をかけようかなと思っているところ等々、「産官学金労言」の体制の整備の仕方、あるいは動かし方についてもかなりの差があるという認識でございます。
例えば、「うちのまちには金融機関がないので」と言われるところがあるらしいんですけど、では、そこのまちって指定金融機関ってないんですかと。そんなことはあり得ないお話でございます。あるいは、そこには郵便局ってないんですかねと、それはなかなか考えにくいお話でございます。「労」がないというところは、例えば、公共職業安定所みたいなものが知見を持っているので、そういう方々に加わっていただきますとか、いろいろな工夫はあるのでございまして、そういうことで「産官学金労言」の体制がまだ整っていないというところはかなりあるんじゃないでしょうか。
自由民主党において、合区についてどういうふうな流れになっているか、私はつまびらかには存じません。しかし、そういうような流れであるとすれば、今まで自由民主党というのは6増6減ということを言ってきて、ここまでずっと、私が幹事長在任中からそういうお話が主流であったというふうに思っておりますし、そのように説明をしてきたと理解をいたしております。それが、ここに至って合区ということになったのは、なぜなんでしょうねと。そして、直近は来年、参議院選挙があるわけです。その次は4年後、その次は7年後ということになるわけですが、ここは、これもいつも申し上げておりますように、日本国憲法上は、衆議院、参議院に分けて記述があるわけではございません。どちらも国民全体の代表者であるというような記述があるのみでございます。そうすると、衆議院が1対2ということになっているのに、参議院が、なぜそれを超えていいのだということは、当然論点になるものであります。そうすると、これは4年先、7年先ということを見据えたときに、これもいつも申し上げておりますが、憲法改正ということがあるのか、ないのか。
もちろんアメリカのように、ユナイテッド・ステイツである国と日本とは国家の形態が違いますので、単純にアメリカの上院の例を引っ張ってきていいとは私は思いませんが、例えば、憲法において衆議院と参議院が何を代表するのかという書きぶりが変わるとするならば、この議論は全く違う展開になるであろうと。そもそも参議院というのは、憲法にどう書いてあるかはともかくとして、職能代表、そして地域代表ということが言われてまいりました。だとするならば、その持つ意味合いは何なのかということを憲法にどのように反映をさせるのか、こういうふうに反映をさせなさいと言っているわけではなくて、どのように反映をさせるのか。
衆議院と参議院の権能というものが、予算の議決や総理大臣の指名、あるいは条約の承認、法律案の3分の2の再議決ですとか、そういうような幾つかの例外を伴うものの、基本的に衆議院と参議院が同じ権能を持っているというのは世界的に極めてまれであると承知をいたしております。そこをどうするんだというお話をきちんとすべきなのではないかと私は思っております。話をするのは党の憲法調査会でしょうか、そこにおいてそういう議論をするのだということがセットでないと。今回どうやってしのぐんだというような話は、それとしてしなければいかんことなんでしょうけども、将来的にどうなんだいというお話は本当に詰めてしなければいけないことだというふうに思っております。
例えば、合区というものをやった場合に、では、どういうふうにしてそれを動かすんでしょう、そこにおいて選挙区と比例代表というのはどういう関係に立つんでしょう等々、これから詰めなきゃいけない論点はいっぱいあると思っておりまして、今まで小さな県でも1人の代表を出してきた。それなりにいい仕事をしてきたというふうに私自身思っておりまして、それが変わるということは該当区、該当県にとりましては極めて重大な問題だと思っております。
(以上)