石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年6月26日

(平成27年6月26日(金) 9:04~9:18  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.質疑応答

(問)来年度の地方創生の基本方針についてまずお伺いしたいのですけれども、新型交付金を位置付けていますが、この新型交付金についてなのですけれども、昨年度の補正で既に地方創生先行型交付金がありまして、その上乗せ分もまだ交付が決まっていないと思うのですけれども、これらの検証を経ずに、新たな地方創生の新型交付金の総額ですとか使い道等は決められないのかなと思うのですけれども、この順番については、検証を経てから最終的な来年の作業に入るのか、大臣どのようにお考えになっていますか。
(答)それは同時並行です。どういうふうに使ったかということは悉皆(しっかい)的にというわけではないが把握をすることに努めております。この先行型等々の活用の事例も検証しながら、しかし常に申し上げておりますように、新型交付金のコンセプトというものを作っていかなければ、まず最初のお金がどうしたの、財源がどうしたのみたいな話になってしまうとわけが分からなくなるので。そういうものもよく検証しながら新型交付金のコンセプトなるものを確立するということを急ぎたいと思っております。
(問)交付が決まるのはまだまだ先だと思うのですけれども、これを待つと来年の予算を編成する際に間に合わないのではないかと。
(答)もちろんそうです。だからそのことをよく念頭に置きたいと思っておりますが、上乗せ分というときの基準と、新型交付金のコンセプトというものは当然相当の重複があってしかるべしということだと思います。
(問)ふるさと旅行券について伺います。4月から販売・利用開始されていますけれども、大臣の御地元でも販売されていると思いますが、夏休みシーズンを前に、期待とこれまでの成果についてお伺いできればと思います。
(答)この旅行券というのはおおむね好評であるというふうに承知をいたしております。夏休みに活用されて、多くの方々が今まで行ったことがない、でもここいいよね、あそこいいよねというところに行っていただいて、地域の消費を喚起する。またそのことによって交流というものが起こって、交流人口が増えて、地域が活性化するというものはあってしかるべきだし、あってほしいなというふうに思っております。
 ただ、もうそろそろ夏休みですが、これを使ってあそこへ行こうね、ここへ行こうねというような楽しい語らいがそれぞれのおうちであるといいですし、そしてまた受け入れる側も来てもらったはいいけれども、もう、1回行けばいいやということにならないように、リピーターとして確保するような努力というものは今からしていただきたいと思っております。
(問)事業としての在り方なのですけれども、過去の竹下政権の「ふるさと創生事業」、1億円事業なんかとの違いについて、改めてちょっと伺えればと思います。
(答)「ふるさと創生事業」というのはそれなりに意味があったものだと思います。いつも申し上げるように、竹下総理がこれでその地域の知恵というものが分かるのだと。恐らく竹下総理としてはこれを続けることによって何でも画一的にお金を配るのではなくて、その地域のいろんな意識の醸成というものを図っておられたのだと思います。
 今回は商品の設計の段階からそれぞれの地域がいろんな知恵を駆使して商品を作ってきたわけであって、それは「ふるさと創生」の考え方というものを更に進化をさせたものだと考えております。
 「ふるさと創生」でいろんなものが事業として行われたわけですが、それがその地域に何らその後いろいろな発展のシーズというものを残さずして朽ち果てるままになってしまったというところもないわけではないのであって、今回は先ほど申し上げたようにそれが一過性にならないような努力というものをしていただかねばならん。そのときだけワッと賑やかだったねということは一番良くないと思っております。
(問)地方創生関連ではないのですけれども、先日安倍首相に近い自民党若手議員らの勉強会で、安全保障関連法案を批判するマスコミ報道に関して、出席議員から「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」、「文化人が経団連に働きかけてほしい」との声が上がりました。
 また講師として招かれた作家の百田尚樹氏が沖縄県の地元紙が政府に批判的だとの意見が出たのを受けて、「沖縄の二つの新聞は潰さないといけない」などと主張しました。これについての大臣の受け止めを聞かせていただければと思います。
(答)我が党は言論の自由がある党でございます。いかなる発言をも封殺するということはない。しかしながら、決まったらみんながそれに従うというのが自由民主党の在り方であって、いかなる言論も封殺するものではない。しかしながら議論の末、一定の結論に達すればそれに従うというのが自由民主党だというふうに私は今でも思っております。
 ただ同時に我々が考えねばならないのは、我々が政権の側にいる、権力を持っているということであります。そこはよく心せねばならないことであって、それが政府ではなくて与党であったとしても権力の側にいることは違いがございません。言論の弾圧等々と受け取られかねないような、そういうことはやはり我々は心していかねばならないことだと思っております。
 私はその場にいて聞いたわけではないので、いちいち片言隻句(へんげんせっく)に論評すべきだとは思っておりませんが、表現に不穏当な部分がありはしないか。やはり「懲らしめる」とか「潰す」とか、そういう発言がもしあったとするならば、それを権力のある者が発言するということがどういうことなのだろうかということは、私ども権力をお預かりしている者として、あくまでお預かりをしているのであって、自分たちのものであるというような意識を持ってはならないと思っております。あくまでお預かりをしている。そのことはよく注意をしていかなければならないと思っております。いずれにしてもその場にいて発言を聞いていなければ、きちんとした論評はできません。そういうものだと思っております。
 また商業ジャーナリズムというものはどういうものなのかということを私どもはよく理解をしていかねばならないことであります。いわゆるスポンサーの方々がどう判断するかということは各社のいろんな判断があろうかと思います。そこの部分も茶飲み話ですることと、あるいは別に党の正式な機関ではございませんが、自由民主党のそういうところで発言をするということが国民一人一人にどういうふうにとられるかということも我々は細心の配意が必要だというふうに思っております。
(問)あともう一点なのですけれども、これも25日の派閥会合の関係なのですが、山本幸三元経済産業副大臣が安保法案成立を目指して大幅な会期延長に踏み切った政権の判断に関して、「ここまで長期延長し、ごり押しするようなやり方が本当にいいのか、個人的には疑問だ」というふうに明言されたと聞いています。もし受け止めがございましたら聞かせてください。
(答)これも直接聞いたわけではないので、コメントは気をつけなければいけませんが、我が党としてごり押しをするために会期を延長したとは承知をいたしておりません。幹事長が言っておりますように、きちんと審議を尽くすために延長したのだということであって、ごり押しをするなんてことを言った人は我が党に誰もいないわけであります。会期を延長する、そのことによって本当に我が党がなぜこれをやらねばならないのかということが、今日も委員会ございますが、国民の方々の御理解が深まったとは決して言えない状況の中にあって、会期を延長したことによって、かつて有事法制、イラク法案がそうであったように、徐々に徐々に御理解が深まっていくという数字をもってして、我が党が本当に会期を延長した意味ということが実効性を持つのではないかと思っております。
(問)安倍総理大臣が戦後70年に発表する談話についてなのですけれども、これまでの村山談話などと同じように、閣議決定をして、政府としての正式な見解として発表するべきだという意見がある一方で、中国や韓国などへの影響を考慮して、閣議決定すべきではないという意見も出ていまして、官房長官などはまだ決まっていないというふうにおっしゃっているのですけれども、閣内の一員として大臣、閣議決定すべきだとお考えなのか、それともそうではないというお考えなのか、いかがでしょうか。
(答)そこはどうでしょう。閣僚としてそれぞれが私は閣議決定すべきだと思う、私はそうは思わないとか言い始めたら、これはもう内閣の体をなしませんので、このことについては閣僚一人一人がそれぞれの考えをこういう場で述べるべきだとは思っておりません。
 どういう形をとるかということとどういう内容にするかということはやはりそれぞれの閣僚のみならず、我が党、与党を構成する者がそれぞれ胸に手を当ててよく考えてみるべきだと思っております。内容と、それから形式というものをどのようにして整合させていくべきなのか。閣議決定ではないのだから内容はとか、内容はこうなんだから閣議決定はとか、それがどういうような連関に立つものかということもよくみんなが考える必要があると考えております。
(問)先ほどの勉強会の関連でお伺いしたいのですけれども、先ほど安倍首相に近い議員による勉強会が開催されてマスコミ批判するような内容があったということなのですが、一方で同日、自民党の若手による集団的自衛権行使を考える勉強会が予定されていたのですけれども、講師に首相の憲法解釈に批判的な小林よしのりさんを呼んでの会合だったのですが、これが党幹部から時期が悪いという注文がついて中止に追い込まれたと。片方では開催して、批判的な勉強会を中止に追い込むという、今の自民党の体制について大臣、どのようにお考えになりますか。
(答)党幹部からそんな発言があったかどうか、私は知りません。本当かどうかも分かりません。だからそういう自分で確認できていないことについてあれこれ論評するということは差し控えたいと思っております。
 やはり、自由な議論があるのは当然のことであります。私自身、小林さんと対談したことも何度かありますし、小林さんのいろんな作品の中で褒めていただいたこともあればけなしていただいたこともあるわけで、いろいろと個人的な思いというのはございます。
 やはり今、国民の皆様方に安全保障法制というものを御説明する時期において、本当にこれはだめなんだとかいうことを党で発言をされるということはどういうことなんだろうねということもあり、同時に同僚議員とよく話をすることですが、安全保障法制というのがどこまで御理解をいただいているものなのか。もちろん党内で一生懸命説明もしてきました。ただ、例えば昨年の暮れ当選された、今当選一期生の方々でありますとか、他の部会というものにいろいろと忙殺されておってその議論に参加をしなかった方でありますとかは、必ずしも党内の理解がみんな一致して十分であるかといえば、そこは検証してみなければいけないねという話を同僚議員とすることもございます。やはりまず我が党の者が、この安全保障法制というのはいかなるものなのかということを理解をするということがあるべきで、その上でいろんな御意見を聞くというのはあってしかるべきだろう。ですから圧力があろうが何だろうがそれはやるべきものはやるべきでしょう。しかし、圧力がかかろうがかかるまいが、この時期にこういうことをやるのはどうなんだろうねという判断もまたあるのかもしれません。それにしても自由闊達な議論というのがある自由民主党でありますが、しかし自由民主党というもののいろんな政策がどういうものなのかということをきちんと理解をした上で、いろんな発言をするということも我々は心していかねばならないことだと思っております。
(問)オリンピックの担当の遠藤大臣が昨日就任されまして、地方でかなりオリンピックに対する期待というのも大きいのではないかと思うのですけれども、地方創生の観点から新しい大臣に期待されることというのは何かありますでしょうか。
(答)遠藤先生は山形一区の選出で、やはり地方というものをよく眺めながら今日まで政治の歩みを進めてこられた方であります。そうであるだけに、地方にとってこのオリンピックというものはいかなる効果を持つものなのか、いろんなところから、トレーニングとか、合宿とか、そういうものはうちでやってねとか、いろんなお話がございます。東京でだけやるものではなくて、このオリンピックは日本全体で開催をするというような認識に立たねばなりませんので、地方出身であり、あるいは文教にも明るい遠藤大臣がそういう観点からもこの問題に取り組まれるのはとても良いことだと思っております。

(以上)