石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年6月22日

(平成27年6月22日(月) 10:35~10:52  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 地方創生人材支援制度についてでありますが、3月に69市町村に派遣することを公表し、4月及び5月に国家公務員、大学研究者、民間人材から成ります52名を派遣したところであります。
 今回は、残りの17名を7月1日以降、7月が13名、8月が2名、9月が2名ということで派遣をするものであります。今回は全て国家公務員ということになっております。
 地方公共団体の人事に関わりますので、地方公共団体におきましては明日、23日でございますが、公表する前提で準備をしております。 国におきましても派遣者の氏名、出身省庁等の詳細については明日事務方から公表させていただきたいと考えております。
 今回派遣する方々のための研修会は明日23日、明後日24日、2日間実施をいたします。明日の23日、お昼の12時20分からは私からお話をいたしたいと思っておりますし、副大臣、政務官、補佐官、それぞれがお話をするということで時間をとっておるところでございます。また、明後日には、春に派遣をいたしました地方創生人材と私を含みます政務との間で取り組み状況等の報告と意見交換を行う場を設定したいと考えております。
 この派遣人材がそれぞれの市町村におきまして地方版総合戦略の策定、施策の推進等々の中核を担い、住民の方々とともに当該市町村における地方創生を強力に推進するということを期待するものでございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)昨日の日韓の外相会談で「明治日本産業革命遺産」の世界遺産登録について韓国側も協力するということで合意したようですけれども、これについての大臣の受け止めと、それから7月の上旬に開かれる世界遺産委員会に向けて政府としてこれからどういう取り組みをするかということについて改めて聞かせていただきます。
(答)これは報道されておりますが、日韓両国は世界遺産委員会の責任あるメンバーとしてこの委員会の成功に向けて協調すると。両国の推薦案件であります「明治日本の産業革命遺産」と「百済の歴史地区」の両案件がともに登録されるように協力していくということで完全に一致をしたということでありまして、報道のとおりでまことに恐縮でありますが、そういうことです。
 具体的に細かなことがまだまだいっぱいございます。そういうような内容につきましては、現在事務レベルで調整中のものであります。
 我が国としましては、世界遺産委員会におきましてこのイコモスの勧告が尊重され、そして技術的・専門的見地から審議されると。勧告どおりに決定がなされるということでありまして、最後まで委員国に対して理解を求めたいということであります。
(問)今の関連なんですけれども、日本政府の当初の立場としては、この徴用工問題が生じた時期というのは、今回の登録を目指している遺産の時期とは異なるという明確な立場があったかと思うんですが、これを今回変更させた理由というか、その主張を変えた理由というのはどういうところにあるんでしょうか。
(答)具体的に変えたとか変えないとか、そういうことについては言及はいたしません。そういうことも含めて調整中のものというふうに承知をいたしておるところでございます。
 私どもが今まで国内外に申し上げてきたことというものに、言い方は難しいんだが、基本的に変更があったというようなことだとは承知をいたしておりません。
 ただイコモスの勧告、あるいはその他いろいろ出ておりますステートメントにはよく配慮をしなければならないということでございますし、相手のあることでございますので、多くの配慮を伴うということだと思っております。
 突然今まで言ってきたことをがらがらと変えるというようなことだとは承知をいたしておりません。
(問)今日は日韓基本条約締結からちょうど50年になると思います。大臣として、これからの日韓関係、今は竹島の問題ですとか慰安婦の問題とかいろいろありますけれども、どういうふうな関係を築いていったらいいとお考えになりますでしょうか。
(答)隣の国ですから、いろいろなことがございます。特に長い歴史というのを振り返ってみたときに半島国家が置かれているいろいろな厳しい状況というもの、また朝鮮半島を考えてみたときに中国の歴代王朝というものがあり、そしてまたロシア・ソ連があり、そしてまたアメリカ合衆国というものがあり、そして日本という国が、明治以降台頭するというそれ以前からずっとそうなのですが、そういう半島国家、なかんずく、このような大国に囲まれた朝鮮半島、今の場合は韓国ですが、いろいろな歴史というものがあります。互いの歴史というものをよく虚心坦懐(きょしんたんかい)に学ぶというのは必要なことではないだろうかと思います。
 今日ただ今の状況というものはいろいろございます。今日ただ今の状況に鑑みて、我が国として国益を判断しながらいろいろと政策を打っているわけですが、私自身自分でよく考えなきゃいかんと思っているのは、朝鮮半島の歴史というものをよく理解をした上で発言をしたいと思っております。
 文献というのを積んでいるだけじゃしようがないので、きちんと読まなければなりません。それはお互いそういうものだと思います。韓国もそうですし、戦後日本というものが本当に戦争の反省を踏まえて平和国家として歩んできたという歴史がある。そして、また明治維新以来いろいろな判断というものをしてきた。
 日韓に限らずどこでもそうですが、特に隣同士であり、ある意味でいろいろな歴史を刻んできた両国は、この50年というのを1つの節目として互いの歴史を学び合う、少なくとも私自身としてはきちんと時間をとって朝鮮半島の歴史というものを学んでみなければいけないと心しておるところでございます。
(問)徴用工問題というのは、そもそも日韓請求権協定で解決済みという立場であり、韓国政府も一時そういう立場だったと思うんですけれども、そうした中で今韓国国内でこの問題で日本企業を相手取った裁判というのが多発されている中で、今回の徴用工問題を巡る扱いみたいなものが、そうした裁判とか韓国世論に何か悪影響みたいなものを与えないかというような心配はないんでしょうか。
(答)これは韓国の司法の在り方というものがどうなのか。例の最高裁の判決を見ても、我々の感覚から言えば、やや違和感を感じるところがないではありません。
 御指摘のとおり、既に解決済みのことでありまして、これから先、そういうようなものに対して影響を与えるということはないし、あってはならないものだと思っております。
 そこは、日韓に限らず、請求権というものをどのように考えるか。我が国において戦争の惨禍によって大勢の方が犠牲になった。しかし、それは戦争という極めて異様な状況のもとで行われたものであって、そういう請求権については実際に具体的な形としてはあらわれてこないものでございます。
 ですから、日韓に限らず、こういうものは法的なきちんとした解決ができているということと、しかしながら、国民感情としてどうなんだいということは、むしろその被害者の方々が属しておるところの主権国家というものがどのようにして国民に向けて説明をするか。そのことが当該国の責任なのであって、それが法的にそういう解決を見ておる。それを蒸し返すとか、そういうようなことというのは今まで余り行われたという例はないのだけれども、これは感情の問題も多く含むものであって、それぞれの国家がいかなる説明を国民に対して負い、いかなる責任を負うかということだと、一般論的に申し上げても、そういうことだと思いますが。
(問)国会の会期が9月下旬という説が報道各社出しております。大臣、この会期についてどう見られていらっしゃるのかというのと、仮にそうなった場合なんですけれども、大臣も過去に御出馬された経験があるのでお聞きしますが、自民党の総裁選は9月下旬に通常あるのが一般的だと思うんですけれども、これへの影響。特に立候補しようと思っている方が会期中に意思を表明するということが適当なのかどうかという問題も含めてどうお考えなのかをお願いします。
(答)会期の延長というものを私ども政府としてどう判断するか、また党としてどう判断するか。これは野党も含めました幹事長、書記局長等々においていろいろな調整というか、話合いがなされ決定するものであります。
 責任ある政府としての一員として、この会期のことについて言及すべきだとは考えておりません。昨日谷垣幹事長がどこかの会見でおっしゃったように、十分な審議時間が尽くされることが望ましいと。十分な審議期間とはどれぐらいの期間なのかということは、それぞれ現場の進捗状況をよく見なければわからないことでございます。また常会が1回しか延長できないという当然のことも踏まえた上で十分な審議がなされるというのはどういうことかということが今日の本会議までいろいろな議論がなされることであります。
 総裁選の話は、我が党の中のお話でございます。私どもとして政府の立場として提出されている法案がきちんと審議がなされた上で成立をするということを私どもとしてはお願いをするわけで、閣僚の立場で今の御質問にお答えをすることが適当だとは考えておりません。
(問)冒頭の地方創生人材の派遣についてなんですけれども、4月に既に派遣されているわけなんですけれども、明後日意見交換をするということなんですが、現状で大臣、働きぶりですとか、あるいは課題に関して何か聞いていることというのはございますでしょうか。
(答)派遣して一月ぐらいの時点で、私が全部できたわけではないのですが、私、副大臣、政務官、補佐官で手分けをしてそれぞれの派遣先の市町村長の皆様方によろしくお願いしますねということを含めてどうですかということをお尋ねをいたしました。
 また、政務が地方出張というものをなるべく頻度多くやっておるつもりでございますが、そこへ行きますれば必ずそこの地方創生人材の方とお話をしております。
 多くのところで、例えば「地方版総合戦略」作りについてのディスカッション等々は地方創生人材が仕切っているというようなことがございました。これはある程度割り引いて考えなければいけないことなのかもしれませんが、国がやった施策としては極めて評判のいいものだったというふうに思っております。本当に助かっているね、よかったねと。
 あるところに聞くと、自分の町だけではもったいないので、そういう知見を隣の市町村にも広げてもらう、あるいは市町村間の連携においても、そういう方々に役割を果たしてもらう、ということだそうです。
 今日に至るまで本当にえらく評判がいいねと。それは普通の人事異動みたいに、とにかくあなたここに行きなさいみたいなことをやっておりませんので、周到な準備をして、どういう人が欲しいですかと。あるいはなぜそこへ行きたいですかというマッチングというものをかなり精密・詳細にやりましたので、その結果だと思っております。
 今回の懇談は良いお話ばかりではなくて、こんなこと困っているのだけれど、もうちょっと中央政府として支援してくれないかということを中心に聞きたいと思っていまして、良い話を聞くよりも、これに困っているんだというお話を聞くほうを重点に置きたいと思っております。
 それを踏まえた上で、この事業は別に今年で終わりではございませんので、この夏に派遣する第二陣の方々、あるいはまたこの事業を続けますが、来年以降、その糧にしていきたいというふうに思っております。
 特に来年の3月までに、できれば今年10月までにということを言っているんですけれども、「地方版総合戦略」作りについては、正直言って、かなりバラつきが見られます。そこにおいて地方創生人材なるものが近隣の町村においても、いや、こういうふうにやったらいいんじゃないか、連携はこういうふうにしたらいいんじゃないかという働きもしてくれたらいいなと思いますが、そういうことについても、明日いきなりぶっつけで話を聞くのではなくて、その地域がどういうふうになっているかなということをある程度我々政務も知悉(ちしつ)した上でこの会合に臨みたいと思っております。

(以上)