石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年4月24日

(平成27年4月24日(金) 8:31~8:51  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。週末であります。
 「産官学金労言」と言っておるわけでありますが、金融機関の皆様方に地方創生に対して、なかんずく「総合戦略」作りにおいて積極的に参画をしていただきたいというお願いをしておるところであります。今般、その取組状況につきましてアンケートを行わせていただきました。現時点における取組状況を把握をいたしますために、3月下旬から4月上旬にかけまして各業界団体を通じましてアンケートを実施したところであります。
 その結果を見ますと、約6割の金融機関が地方創生に向けて専門チームの立上げなど何らかの体制整備や、地方公共団体との包括連携協定の締結を実施していただいております。また約7割の金融機関が地方公共団体と何らかの形で接触をいたしておるというふうなことでありまして、連携に向けた第一歩は進んでいるものと考えておるところであります。
 私どもといたしましては、さらなる取組や関与に向けまして、金融機関及び地方公共団体双方に対しまして強くお願いをしてまいりたいと、このように考えておるところであります。
 今回のアンケート結果につきましては、今後の施策に活用いたします。この概要は、本日午前中にまち・ひと・しごと創生本部のウェブサイトに掲載をするという運びになっております。詳細につきましては、どうぞ事務方にお尋ねをいただきたいと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭発言の金融機関の連携状況についてなんですけれども、7割の金融機関が接触ということですが、自治体側からすると、小規模自治体では自分の自治体内に金融機関がないところがもしかしたらあるかもしれませんが、自治体側としてはどれぐらいの割合で接触できているのかというデータがあるんでしょうかというのが1点と、あと、この数字について、今4月下旬ですけれども、大臣としてはこれは多いのか少ないのか、どのようにお考えでしょうか。
(答)これは金融機関にお尋ねをしたものでありますが、自治体の側の数字と金融機関の数字というのはそんなに乖離があるはずがないというふうに思っております。また、平成の大合併で、以前の町村の単位と違って広くなっておりますので、全く金融機関がないということは考えにくいお話だと思っておりますが、そういう場合には、エリアを担当している近くの統括店とか母店とか金融機関では申しますが、そういうところが対応しておるはずでございますし、どのような地方公共団体も当然指定金融機関というのを持っているわけでございますので、そういうところで接触がなされているというふうに承知をいたしておるものでございます。
 現在の取組をどう考えるかということでありますが、まず、金融機関にこういうものに積極的に参画してくださいということをお願いするのは、実は本邦初演(ほんぽうしょえん)みたいなところがございます。統一地方選挙もございますし、また年度末でありましたので、金融機関の側も、また自治体の側も人事異動というものがありまして、新しい担当者になってから本格的にやりたいというようなところもあるように聞いております。もう統一地方選挙も今度の日曜日で終わりますし、また人事異動も一段落するものでございまして、冒頭申し上げましたように、更にこのアンケート結果を基にして、私どもとして強くお願いをしていきたいと、このように考えておるところであります。
(問)今の金融機関に関して、ちょっと雑駁な質問をいたしたいと思いますが、現在、金融行政のほうで地銀の再編を進めておりまして、一部では県境を挟んだ、県を超えた地域金融機関というのが成立している状況かと思います。
 一方で、今回の地方創生と考えたときに、都道府県の枠組みと、より広い地銀というのはどういう連携が可能か、大臣としてどんなふうにお考えでしょうか。
(答)地銀の連携は、当然金融機関がそれぞれの判断においてなされるものでありまして、政府として、そのことにあれこれ申し上げる立場にはございません。
 一方、あちらこちらで見られる地銀の統合、業務連携が今活発になっておるというところであります。こういう厳しい状況の中で、金融機関が支店の競合というようなものを避けますために、あるいは広く県を越えたいろいろな取引、先般御紹介しました「RESAS(リーサス:地域経済分析システム)」でも示されておりますが、取引というものは、それぞれの県で完結をしているものではございません。ですから、九州なら九州、中国なら中国といった形で県をまたいだ取引がある場合に、自分の県の中の支店網だけではわからない。ほかの県には自分の銀行の支店がないというような場合には、こういう金融機関同士の連携というのは極めて有効なものだというふうに考えております。
 そういう関係から、都道府県におきましても「地方版総合戦略」を作っていただいているわけですが、そこにおいて一部の連携はむしろ求められるべきものでありまして、各県が「地方版総合戦略」を立てるに当たっても、市町村が「地方版総合戦略」を立てるに当たっても、金融機関相互の連携というものは有効に作用するものではないかなと思っております。
(問)金融機関が総合戦略策定に参加することで一番期待するメリットというものを伺いたいのと、あと、アンケートですが、例えばほかの教育機関などに対しても今後行う考えというのはあるんでしょうか。
(答)金融機関の参画のメリットというのは、1つは、いろいろな行政単位におきまして、これから先、地方創生に向けた事業を行うわけでございます。それが国、あるいは県、あるいは市町村からの補助、助成、支援等々によってなされるが、そのお金が切れたならば、パタッとその事業もお終いになりますということはあまりうまくないでしょうねと。もちろん初動資金、イニシャルコストみたいなものを行政から出すことがあったとしても、それがこれから先のビジネスとしてサステナブルなものであるかどうかというのは、実は金融機関でないとわからない。役所は何せ商売したことがないものですから、貸借対照表、あるいは損益計算書、あるいは資金繰表というものがきちんと読める金融機関が参画をするというのは極めて大事なことだというのが第一義的な話だと私は思っております。
 加えまして、先ほどの質問にも関係することでございますが、それぞれの地域がこれから先、製造業でもそうですしサービス業でもそうですが、生産性を上げていく過程において、どこと連携したらいいだろうか、その地域経済というものが実はトータルで見るとお金が出るばかりで、経済として全く他所からお金が入ってくるようにならないということであれば、その地域の経済というものは疲弊をするわけであります。これは「RESAS」のときの会見でも申し上げたことですが、金融機関は、金融機関でありますがゆえに、その立場で信用照会というのができるわけでございます。RESASの取引情報は物事の性質上、行政の担当者しか見られないということになっていますが、金融機関は金融機関で独自の考え方を持っておりますので、それが参画することによって、お金の流れ、物の流れというものが出るばかりではなくて、そこの地域の中において回っていく、あるいはそこの地域にもっと多くのお金が入っていくということを考える上において、金融機関の参画というのは有効なものだと考えております。
(問)ほかにアンケートというのは。対象を広げていくという。
(答)このアンケートですか。一応今のところ金融機関しか考えておりません。「産官学金労言」でございますから、例えば労働組合の場合だと、町とか村になるとそういうのがないよねと。連合さんも全てに支部を持っておられるわけではないので、そういう場合には、要は労働環境をどうして改善をするかということが主眼ですから、労働組合と同じような役割を果たせる方々がおられるのではないだろうかとか、そういうことを定性的には承知をしておるところであります。
 これから先、実際に大学とか、あるいは高専とか、場所によっては高等学校でもいいのですが、どのように参画をしていただいているでしょうかということは、必要があればアンケート調査はやりたいと思っております。
(問)すみません。ちょっと話は変わるんですが、一昨日、官邸の屋上にてドローンが発見されたという事件がありました。今日の午後には関係省庁の連絡会議も予定されています。大臣としては、ドローンという技術について、これまで特区などを使って後押しというのをしてきたかと思うんですけれども、規制というような方向で議論が進むことについての受け止めをお願いします。
(答)ドローンにつきましては、御指摘のとおり、平副大臣、小泉政務官を中心として、ドローンのこれから先の可能性等々の実証をするために特区を活用して、今いろいろな検討を進めておるところでございます。なぜ特区というものを用いてこういうことをやるかといえば、今、高さ規制以外は規制がないとか言われるわけでございますが、しかしながら、何でもかんでも飛ばしていいというものでもございません。国有林の上を飛ぶという場合に、国有林というのは実際問題、人の立入りというものが制限をされておりますので、それを特区を行うことによって国有林等々で飛ばすことについて自由な飛行というものを行い、その可能性を追求するという形で特区を用いているものでございます。
 ただ、このドローンといいますか、自動飛行といいますか、これを私どものほうで特区を用いてやりますときに当初から議論がありましたのは、今回指摘をされておるように、制限というものは高さぐらいしかないよねということで、逆に効用を発揮をするためには、当然制限というものも必要になってくるものだと。我々として規制緩和ということは当然やるわけでございますが、同時に規制というものが存在をしていない領域においては、新たな規制というものが必要なのだと。
 ですから、当初議論しておりましたときに「ちょっと待てよ」と。銀座のど真ん中でそういう無人飛行機を飛ばすとどうなるのだといえば、それは法的には模型飛行機と同じ扱いなので、法的にだめということはない。迷惑防止条例とか、いろいろなものにひっかかることは当然ございましょうし、常識で考えて、人がたくさんいるような銀座でドローンが飛ぶというのは極めて迷惑な行為でありますが、そういう場合にどうするんだとか、そういう規制を作るということも私どもの仕事でございます。規制緩和というのは、当然それとセットでございますので、新たな規制をつくるということも念頭に置いて、今、こういうような実証を特区を用いてやっているものでございます。
 というような観点から、今日行われる会議には私どもも参画をするものでございまして、事柄の重要性に鑑みて、そういうような立法等と今予断を持って申し上げることではございませんが、必要があれば早急にそれを行うということが求められると考えております。
(問)話は変わるんですけれども、プレミアム宿泊券、商品券のことでお尋ねします。鳥取県の宿泊券がわずか4分で完売するなど、全国で注目が集まっていると思うんですが、その一方で、買占めとかインターネットで転売するというケースも見受けられたようで、これから販売を予定している自治体は、その対策について頭を悩ませているという話も聞きます。大臣としまして、そのことについてどういうふうに認識しておられるか。そして、政府として、買占めやそういった転売について対策をお考えであるか、お聞かせいただければと思います。
(答)それを買い占めて、高いプレミアム率を持っている場合には、売ることによって利益を得られるということもございます。それは、当初この制度が予定をしておるものとは違うものでございまして、そういう買い占めによって利益を得るということは、この制度が本来予定しているものではありませんし、あるべきものだとも思っておりません。
 本件の鳥取県の場合には、文言として書かれていませんが、実際にそれを販売する側と、それをお買い求めになる側の民民の契約におきまして「転売禁止」とか、そういう文言を書くという工夫は当然これから先あり得るし、そういうことをやっておるところもあるというふうに承知をいたしております。
 にもかかわらず転売をした場合に、それが法的にどういう構成になるかということは、今、政府内部でいろいろと詰めておるところでございます。それがどの条文に該当して、それがどのような法的な関係、権利関係を構成するものかということについて、私どもとしても非常に強い問題意識を持って今対応しているところでございます。
 いずれにいたしましてもというか、この問題について、本来の趣旨どおり運用してくださいということは、これから先もお願いをしていかねばなりませんし、プレミアム商品券、旅行券等々を発売する自治体におかれましても、そういうことをよく御認識いただきたいし、お買い求めいただく側もそういう形で対応していただきたいと思っております。
(問)先ほどのドローンの件で追加でお伺いしたいんですけれども、大臣、規制を作るのが我々の仕事というふうに今おっしゃいましたが、確かに委員からも、適切な規制がないのは問題だという発言、会議であったと思うんですけれども、今後、この近未来技術実証特区がドローンについてどのように話を進めていかれるのか。今おっしゃったように、規制緩和していく会議ではありますけれども、逆にここで規制について考えていこうというお考えはあるんでしょうか。
(答)規制は今無いわけですよね。だから、無いところに規制緩和も何もないわけで、そうすると、いかなるような規制というものを作ればいいだろうか、そして、その今やっている実証は、それが、例えて言えば災害地の状況を把握するのに有用である、あるいは、非常に物資等々困窮しておる方々に物資をお届けするのに有用である等々、いろいろな使い道があると思っております。
 しかし、そのときに今回のような事例で「何の規制も無いのにそんなことをやっていいのか」というお話になりますので、これは私どもとして、例えばどういう法律、これが航空法になるのか、あるいは無人飛行体、航空機というのはまたいろいろな定義があるもので、名前はともかくとして、無人飛行体に関する何らかの法律みたいな形になるのか、そこはまだ明確ではございません。例えば電波でいえば総務省ということになりますでしょうし、あるいは、飛行の区域ということになれば国土交通省なのかもしれません。しかし、私どもとして、実際にドローンなるものが人々の社会のニーズに応えて、きちんとその役割を果たすためには、規制がないことによって無用の混乱、無用の障害をもたらすことのないようにということを併せて考えていかねばならないものだと思います。所管がどこになるかは、これから先、早急に詰められるべきものと考えております。

(以上)