石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年4月10日

(平成27年4月10日(金) 9:00~9:30  於:合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 特にございません。

2.質疑応答

(問)昨日、JA全中の萬歳会長が辞意を表明されました。地方創生という観点からも、農協改革や農業の振興というのは非常に重要かと思いますが、大臣としては、この辞任をどういうふうに受け止めていらっしゃるか、また、後継の方にどういうことを期待されるかというのを教えてください。
(答)もちろん所管外ですからということを冒頭にお断りをしておきますが、なぜこの時期にお辞めになるのか、これは誰にもわかりません。先般、総理とも会見をされて、これから先、政府とともに、より良い農協の実現に向けて互いに努力しようということが確認をされたということでありますので、これで一区切りがついたというか、ただ、8月までお務めになるわけですから、農協改革関係の法案が審議をされるという間は萬歳会長であるわけです。ですから、その質疑を通じて、農協改革の目指すところが、JA関係の方々にもよく御理解をされ、あるいは関係の方々にも御理解をされ、より良い農業の確立のために、今後とも萬歳会長には、今までの実績、経験、識見、能力等々を生かして、農協改革が実が上がるようにお力を賜りたいと思っております。
 あとをどなたがなさるか、それは全く私の与り知るところではございません。私もJA関係の方々とは随分広く長くお付き合いがございます。農協改革は、それ自体が目的なのではないのであって、実際に政府が考えている、あるいは多くの農業者が考えているような認識を共有してくださる方がおやりになるのかなというふうに思います。
(問)関連でお伺いします。大臣、地方創生担当大臣としても、地方創生で直接会談されましたり関係深いと思うんですが、今回の辞意表明は、政府との決定的な対立に対する責任を取ったという見方もありますけれども、大臣は、この辞意について改めてどのようにお考えになっておられるかお願いします。
(答)私も前、農林水産大臣だったころは、当時の全中の会長さんは、長野県の茂木さんという方でした。本当に意思疎通というのを常に図っておりました。長野県の佐久市ですけれど、そこまで行って、彼が組合長を務めていた農協も随分と視察をさせていただき、また、夜を徹してとは言わないが、随分といろいろなお話をさせていただきました。その後、戸別所得補償を中心とする民主党農政というのを挟んで、また私どもが政権に復帰した後に、やはりほかの組織もそうですけれど、少しぎくしゃくしたところがあったのかもしれませんが、萬歳会長御自身、教員の出身あるいは地方議会も経験したという、非常に政治についても見識を持った方、あるいは農業の果たすべき役割についても見識を持った方だったと思っております。
 今回の農協改革というのは、ある意味で、農協が果たす役割というものが、農協法ができた当時と今で違ってきたのだろうと。当初の役割は、農協法の定めたとおりに、それにふさわしい役割、小農が大資本に対抗するためにそういう役割を果たしてきたと承知をいたしております。時代が変わってきたので、当然それに伴って農協の在り方も変わるというのが今回の改革の流れであるわけですから、そこは決定的な対立だと私は思っておりません。ただ、JAに限らず、何でも組織というものは、組織の論理というものが働くことがございます。それが大きな組織になればなるほどそういうものだと思っております。ですから、組織人としての在り方、そして、これから先の農協のあるべき姿というものについて、やはり会長の中にも相当の懊悩(おうのう)があったのではないかなというふうに推測はいたします。私自身として、主管大臣ではございませんでしたが、萬歳さんといろいろな話をしてきて嫌な思いをしたことは一度もございません。率直にいろいろなことが語れる立派な方だったというふうに思いますし、先ほど申し上げたとおり、この農協法の改正等々を通じて、いろいろな率直な御意見を今後ともお聞かせをいただきたいものだと考えております。
(問)統一地方選の最中ということで、地方議員のなり手問題についてお伺いします。これは様々な切り口がある問題ですけれども、特に著しく少ないのは、女性の都道府県議をどう増やしていくかということについてなんですけれども、原因の一つに、ほとんどの県では、現職の自民党の男性県議の方が選挙区にいらっしゃって、ほとんど埋まっている県が多いと思います。必然的に、そうしたところでは、党のほうで新しく公募したりとか公認することはかなり難しいという中で、今、政党のほうでは、クオータ制を導入するかどうかという議論がありますけれども、これ、政府としてどう関わっていくべきか、また、政府を離れまして、政治家として、大臣、どういうふうに認識をお持ちになっているか、お考えを聞かせください。
(答)これは、私が党におりましたときから、総裁から非常に強い指示もあり、努力はしました。努力しても結果が出なかったからしようがないわけですが、今御指摘のように、今の現職がほとんど男性であります。党の公認、もちろん都道府県議会レベルのみならず、もちろん市議会や町村議会でも公認というのはあるわけですが、公認権というのを都道府県支部連合会が持っておりますので、その役を占める方々の圧倒的多数は、現職の議員さんであるというシステムなわけです。そうしますと、どうしても、それは自分の議席というものが自分のためじゃなくて有権者のために大事であるという意識をお持ちのことは当然であります。そういう方々が有権者の方々に、自分がこれからも仕事をしたいということで、公認の作業に携わられるとそういうことが起こるのだというのは至極真っ当な成り行きなんでしょうと思うわけです。
 そうすると、どうしたらいいのか、これは女性議員の方々の集まりも何度もやりました。どうしたらいいんだろうということを言ったんですが、こうしたらいいんだというのが出てこないんですよね。ただ、これから先、女性の方々が社会で活躍するとともに、子どもを産み育てやすい社会をつくらなきゃいけないというときに、その議論の場に女性の方々がいないというのは、それは政策立案において、あるいは政策の審議において、かなり決定的に影響を及ぼすことだろうと思っています。そうすると、これから先の社会を築くに当たって、女性の参画は必須なのだと。雰囲気的に女性が増えなきゃいけないなんていう話じゃなくて、これから先の国家を作っていく上においても、聞かねばならないのだということがありとせば、それはおっしゃるように、政党というよりも、政府としてどう考えるんだというお話になるのかもしれません。ただ、これは、担当大臣がおりますから、私があれこれ言うべきことじゃありませんが、政府の一員として申し上げれば、そういう危機意識を持って、私自身個人的に、アングロ・サクソンの方が多いイギリス、あるいはラテンの方が多いフランスでは、仕組みが全然違うようです。韓国も全然違うようです。諸外国でクオータ制をめぐっては、当然いろいろな議論があって、それをどのようにして、その議論を一定の収束を持って今の状況があるのかというのは、この統一地方選挙が終われば、本当に私自身は、きちんと調べてみようと思っています。次の統一選挙まであと4年で、参議院は来年、衆議院はいつあるかわかりませんというような状況にあって、やはりこの問題に我が党としてどう取り組むのか、政府としてどう取り組むのかということについては、一定の方針というのを出さないと、いつまでも議論はしているけど結果が出ないねということになるのではないだろうか。とにかく女性の働きやすい社会の議論をしているときに、そこにいるのが男の人ばかりという、会社でもそうではありませんか。やはりそこは企業においてもそうなのですけれども、政府においても、党においても考えますが、それぞれの組織体においてどうなんだろうという御議論をいただいて、それと政府と、あるいは党との議論というものが、そうしないと深まっていかないかもしれないなと思ったりしております。
(問)6月を目途に取りまとめられる基本方針についてお尋ねしたいんですけれども、さっきの創生本部の会合の中で、安倍総理大臣から、地方に出向くなど地方の声を聞く機会を設けるようにという指示があったと思うんですけれども、具体的にはどのようなことを考えていらっしゃるでしょうか。
(答)当然、27年度に入っているわけで、28年度の予算編成、概算要求、そしてまた「骨太の方針」等々、これから夏にかけていろいろな節目がございます。私どもとしては、当然そういう過程において、国と地方との協議の場というものが設けられることになるんだろうと思いますが、それに先んじて、それよりもかなり早い時点で、私どもと地方の6団体の方々との議論というものはしなければいけないと思っております。ですので、そのスケジュール調整にも入っておりますが、今、統一地方選挙をやっているところもありますから、これからまだ、今度の日曜日が知事さん、それから政令市、道府県議会議員ということになるわけで、今度の12日が第1弾、その次に第2弾とあるわけで、そこが終了した後に、できればゴールデンウイーク明け、なるべく早い機会にそういう場を持ちたいと思います。あわせて、週末に政務が地方に出ることも多いわけですし、あるいは事務方もいろいろなところに呼ばれて講演等々いたしております。ですので、そういう機会をなるべく増やしたいと思っております。そのスケジュールがおおむね固まりましたら、また発表させていただきたいと思いますが、地方とのいろいろな議論というものを、特に新型交付金の扱いもございますし、加速していきたいと思っております。
(問)昨日、天皇陛下がパラオから御帰国になりました。出発前の「忘れてはいけない」という御発言も含めて、この一連のパラオ訪問、大臣、どう御覧になっていたでしょうか。
 あともう一点、直接これ関係ないんですが、月末に安倍総理がアメリカの議会で演説をすることになっております。日本として、アメリカという国に対して、どのようなメッセージをその演説の中に込めるべきだとお考えになりますでしょうか。
(答)両陛下がパラオを御訪問になったということは、今上陛下の非常に強い御希望であったというふうに報道されております。今上陛下は、本当に先の戦争において散華(さんげ)された方、あるいはその御遺族に対して非常に強いお気持ちをお持ちであらせられて、パラオに行くということは、その陛下の強いお気持ちの発露であったということだと思います。遺族の方、あるいはまだ生存なさっておられる元日本兵の方、そして、そのパラオの方々に、今回の訪問は深い感銘を与えたということだと思い、陛下のそのようなありがたい大御心に、私どもは粛然とそれを受け止める必要があると思っております。
 ホテルにお泊まりになったわけでもない、海上保安庁の巡視船にお泊まりになるというような、御高齢の陛下にとっては厳しいスケジュールもあったと思いますが、陛下として、そういうような思いを実現をされたということは、日本国民の一人として、とてもありがたいことだと思うと同時に、その陛下のお気持ちを我々も十分に拝察をして、今後の日本国の平和のために、そして世界との友好のために私どもも尽くしていかねばならないという思いをいたしたことでございました。
 総理のアメリカ訪問、そしてまた、そこでの演説について、私があれこれ申し上げる立場にはございません。本年が、先の大戦が終結して70年ということでございます。そういう節目の年に当たり、総理が、そのことをよく御認識の上で、日米のこれからの在り方あるいは越し方、行く末について総理の御見識が披瀝をされるものであり、それが多くのアメリカ国民の心に響くものになるというふうに私自身、確信をするとともに、そうあっていただきたいというふうに思うというのに尽きます。
(問)先ほどの地方議員のなり手のことで1個だけ関連で伺いたいんですが、今週、統一地方選の投開票前半なんですけれども、道府県議選ですと、21.9%が無投票当選になったということで、職業としての地方議員のなり手というか、そこに対するその辺の魅力が低下しているんじゃないかという話もあるんですが、大臣は国会議員として地方議員ではないんですけれども、地域代表とか住民代表になることの魅力というか、モチベーションというのがどこにあるのか。例えば、大臣だとしたら、どの辺にあって国会議員を志したのかというところはいかがでしょうか。
(答)私は、地方議員であれ、あるいは国会議員であれ、選挙の基本というのは、どれだけ有権者の方々との間に物語を持つかということだと思っております。それは、選挙の種類を問わず変わるものだとは思っておりません。
 地方議員の方々は、より身近な問題、住民の方々、有権者の方々の日々の暮らしに直結する問題に関わっておられるわけで、そうすると、問題の親近性もそうですし、そして、有権者の方々との接する頻度においても、私どものように東京と地元を行ったり来たりしている者とはまた違う状況があるんだろうと思います。
 私自身、鳥取市民でもありますが、勤め人のころ、あるいは学生のころ、世田谷区民だったこともありますし、狛江市民だったこともありますし、松戸市民だったこともございますが、昭和40年代から50年代にかけてのお話なのですけれど、例えば、千葉県会議員さんが、銀行の寮ですから訪ねてはこないのかもしれないが、近くで演説をしておられるとか、市議会議員の方の市政報告会があったとか、余りそういう記憶がないんですよ。
 例えば私の鳥取1区というのが、無投票が、定数1の岩美郡というのしかなくて、鳥取市ではものすごく候補者が出て、戦後最大の激戦になっているわけですが、やはり、なり手がないというのは、魅力がないとかそういうことじゃなく有権者のせいにするんじゃなくて、やはり議員たる者が、あるいは議員たらんとする者が、これをやりたいんだということがあり、日々、有権者とのコミュニケーションというものを行いということであれば、私は変わってくるんだろうと思っております。ただ、市町村合併がございましたので、エリアが非常に広くなったと。そうすると、今までと比べて、当選するための労力とかそういうものが格段に上がったので出にくくなったというお話も聞きます。
 そうすると、それぞれの自治体によって違うんだと思いますが、広くざっくりと、何で立候補者がいなくなったんでしょうと、やはりそれぞれの自治体ごとに、どうしてなんだろうかというお話をしていただく。そしてまた、我が党が、もっと立候補者が出る、もっと活発になるということに役割を果たさねばならないと思います。ただ、話はそんなに簡単じゃなくて、一生懸命、一生懸命候補者を探さねばならないということは、どうしてこんなことが起こるんだろうか。住民の方々に、極めて身近な地方議会選挙において、どうしてこういうことが起こるんだというのは、我が党の地方組織も生かしながら、この統一地方選挙後に徹底的にお話をし、それが選挙の労力なのか、金銭の負担なのか、あるいは有権者とのコミュニケーションのとり方なのか、我が党として次の統一地方選挙に向けての大きな課題だというふうに認識をいたしております。
(問)帝国データバンクが調査されたということで興味深いデータがあったんですが、過去10年間、全国146万社を調べたところ、東京に企業移転、本社機能を移したのが約8,000社、一方で、転出は約6,000社ということで、差し引き2,000社の転出があるんですが、「総合戦略」の中では、今後5年間で7,500の地方拠点強化を挙げていますけれども、出てくる数を上げる一方で、入ってくるのを抑えないとまるで意味がないと思うんですが、大臣、この結果を受けて、今後どのようにお考えになりますか。
(答)これは調査をした時期が、地方創生なるものが、政府を挙げて取り組むという以前のものが相当に含まれているのであって、これからどう変わるかということがまさしく問われるのだというのは、御指摘のとおりであります。ここはもっと子細に詰めてみなければわかりませんが、傾向として、景気がよくなると東京に企業が集まる。業績の回復というか向上というか、これはやはり東京から起こる。そして、その東京において有効求人倍率が高くなるということで、やはり企業を東京に持ってきたほうが儲かるということは、確かなことなんだろうと思います。
 一方において、短期的に見ればそうなのだけれども、同じ企業であっても、例えば、コマツという会社をいつも出して恐縮ですが、同じコマツであって、同じ給与体系であっても、東京本社と小松市の工場あるいは小松市に移転をした本社機能の一部を比べると、出生率が違いますよね。あるいは勤務時間、通勤時間が違いますよねということがあるわけでございます。これから先、私どもとして、東京の一極集中を是正するというのは一体何のためにやることなのだろうか。それは、いろいろな資料において明らかなとおり、このままいくと、東京は一体どうなるのかということだと思います。つまり、地方においては、高齢者の数というものが、これから増えるということは余りない。ある意味で、高原状態、あるいはこれから減るということが起こります。しかし、東京において、これから高齢者の数、そして、それと必ずしも相関関係にあるわけではないけど、高齢化というものがものすごく急速に進むということは、国家全体においてどうなんだろうか。高齢者の方々に、東京であれ地方であれ、安心して医療・介護が受けられ、そしてまた、クオリティ・オブ・ライフというものが実現される国家でなければなりません。そういうことを国家としてどれだけ認識をし、それぞれの企業においてどのように認識をいただいて、これから先どういう国家を作っていこうかという問題意識、これはよほど簡単じゃないことはよくわかっているのですが、そこを共有しながら、これから先やっていきたいなと思います。
 これは、関経連などの方々にお願いをしているのですが、何で東京から関西に本社を移しちゃいけないんでしょうか、何が支障、差し障りなんでしょうかと。そういうことを、企業の話ですから、企業にお伺いをしないとわからないことがいっぱいあるんだと思います。傾向は傾向として認識をしながら、これから先、東京においても、地方においても、人が一生を送るに当たって最もふさわしい、そういう状況を現出するためにどうすればいいかということを、忌憚のないお話をしていかないと、この解は見出せないと思っておりまして、単に企業が増えたからどうのこうのではなくて、これから先どういう東京になっていくのか、どういう東京にしなければいけないのか、世界の金融センターとして、更に活力ある東京というのは、それはそのとおりなんです。そのとおりなんだが、スローガンだけ述べていてもしようがないので、そこは、東京都の知事さんともよくお話をしながら、国家のためにどういう東京であるべきか、そして、一人一人にとって幸せな東京都は何かということをよく議論したい、結論を得たいと思います。
(問)今、会見中に入った話なんですけども、日経平均が一時2万円台に乗りました。15年ぶりです。大臣、この受け止めと、その背景をどう御覧になっているかお願いします。
(答)それはわかりません。どういう方々が株をお買いになっておられるのか、株が上がるというのは、本当に経済の一つの活況のバロメータですから、いいことだと思っております。これから先順調に株が、堅調にと言うべきでしょうか、推移をしていく。そして、それが多くの方々の日本経済に対する期待のあらわれであるということが更に強く裏づけられるように政府としては努力をしていかねばならないということに尽きるのではないかと思います。

(以上)