石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年3月20日

(平成27年3月20日(金) 8:55~9:10  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。お待たせしました。

 本日、第5次地方分権一括法案を閣議決定したところであります。本法案は、平成26年から新たに導入いたしました地方分権改革に関する提案募集方式に基づく地方公共団体の提案等を踏まえ、19法律について所要の改正を行うものであります。本日は、私から関係閣僚に対し、地方への周知、助言、政省令等の早期制定について御協力をいただくようにお願いをいたしました。

 また、27年度の提案募集についてですが、来週23日月曜日から事前相談と受付を開始するものであります。提案募集方式は、有識者の客観的な議論を踏まえ、地方の提案を解決する仕組みができたところでありまして、27年度は募集を前倒しをして、地方の準備・検討期間を充実させることにいたします。各地方公共団体におかれましては、地方創生に資するような積極的な御提案をお願いしたいと考えておる次第であります。

 地方創生人材支援制度、いわゆるシティマネージャーと以前言っておったものですが、平成27年度から、地方創生に積極的に取り組む市町村に対しまして、意欲及び能力のある国家公務員や大学研究者、民間人材を市町村長の補佐役として派遣する地方創生人材支援制度を創設したものであります。27年度におきましては141の市町村からの派遣の御希望がございました。これに対しまして、意欲ある多数の人材からの応募を受け、派遣市町村側にあっては地方創生に関する取組み内容と求める人材の観点について、また、人材側にあっては派遣者の持つ能力、専門性の観点につき、両方の組み合わせが最も効果的なものとなるようにマッチングを行った結果、69の市町村を対象として国家公務員42名、大学研究者15名、民間人材12名ということで派遣をするものであります。

 市町村の内訳は、市が31、町が32、村が6ということであります。一番小さな市町村は新潟県の粟島浦村、人口345人というような離島に所在をする村であります。具体の派遣市町村の詳細は、お手元に参考資料をお配りをしております。

 また、派遣者につきましては、御自身の専門性を生かして地方創生に熱意を燃やす人材でありますが、お手元の参考資料2の2ページにお示ししたように、岩手県山田町に派遣をされます農水省、鈴木裕さんは被災地の出身であります。被災した市町村の復興に役立ちたいという思いから派遣を希望されたものでありますし、また、三重県南伊勢町に派遣される三重大学の松田裕子さんは、地方創生において大きな役割を担っている地域の国立大学の研究者としての立場から派遣を希望されたものであります。本日夕刻に激励式を行うものでありますが、このお2人には、代表として決意表明をしていただく予定になっております。詳細はお手元の資料に記載してございます。

 なお、研修会を本日より実施をするものでありまして、12時20分からの開講式におきましては、冒頭、私からお話をさせていただきます。副大臣、補佐官、政務官、それぞれ政務の者も講演、講話等々を行う予定にいたしておるところでございます。

 派遣者につきましては、派遣市町村において「地方版総合戦略」の策定、またそれに関連する施策の推進を担い、市町村長、役場の職員、住民とともに当該市町村における地方創生を推進していただくということを期待をしておるところであります。

 以上です。

2.質疑応答

(問)地方創生人材支援制度についてお伺いしますけれども、当初の想定では、官僚、民間で計100名ほどということでしたけれども、結果的には69市町村にとどまったということについての大臣の御所見と、あと、やはり官僚を希望する自治体は非常に多かったわけですけれども、こちらについては大臣はどのように受けとめられていますか。
(答)やはりマッチングというのが結構難しかったという感じです。数さえ達成すればいいというものではないのですが、例えばこういう人材が欲しいと、しかしそれに手を挙げる人がいませんでしたと。国家公務員でだめならば民間の方でいかがでございましょうかということで、そういうようないろいろな作業も行ったのですが、結果的にそれが合わなかった。今までと違うのは、今まではここにAならA、BならBということで、そこは望もうが望むまいがその人を出していたわけですが、今回はその両方の希望が合わなければ出さないという、今までと違う取組みをした結果として、なかなか数字には達せなかったということがあろうかと思います。こちらが出したくないとか、そういうようなものではないと承知いたしておるところであります。
 国家公務員が多いのは、やはりこの地方創生という取組みを行うに当たって、当該自治体と国との意思疎通を図りたいとか、そういうようなお気持ちがあったのではないだろうか。そしてまた、人口5万人以下のところというのは今までほとんど国家公務員を出したことがなかったわけですね。そうすると初めての経験みたいなところがあって。今までの事例を見ながら、成功事例というようなもの、あるいは今までの経験というものに準拠してという、そういうようなお気持ちもあったのではないかなというふうに思っております。
 今回は民間の場合にはシンクタンクというものから出してくださいというお願いをしたわけですが、これから先、経済界の方々にもお願いをしているのですけれども、別にシンクタンクに限ったことではあるまいと。それはメーカーであったり、あるいは金融機関であったり商社であったりするわけで、そういうところからも出していただくということは当然望ましいことであって、御指摘のように官僚でなければだめだということではないと思っております。ただ、初年度でございますので、今年はこういう形でやらせていただきたいと考えております。
(問)関連ですけれども、AならA、BならBという決まったところにもう当てはめるということじゃなくて、希望をマッチングして派遣するということですけれども、そういうお互いの希望をマッチングさせて、やる気がある人に行かせるということによって、具体的にどういった効果とかメリットというのが期待できるとお考えでしょうか。
(答)マッチングというものが今までなかったわけで、指定席みたいに行っておったのではないでしょうか。だから、そこはもう当たり外れがあって、という表現がいいかどうかは別だが、必ずしもうまくいかないということがあるわけですね。今回マッチングを行ったからといって絶対うまくいくという保証はないのですが、ただ、こういうことをやりたいなということが自治体の側にあり、行く側もそういうことをやりたいんだということがあったので。今回の地方創生で、先程申し上げましたが、大切なのは、「地方版総合戦略」をつくるに当たって、良い「地方版総合戦略」をつくっていただきたいし、それが字面だけのものではなくて、実際に実行に移されるというものでなければいかんと思っております。そういうときに、お互いの思いが一致をしているということは、かなり有効な作用をもたらすのではないかなというふうに考えております。
 ただ、何せ初めての試みなものですから、いろいろな試行錯誤もございましょう。こんなはずじゃなかったということがないとは言えないものでございます。ですから、そういう方々が行って疎外感を持つことがないように、孤立感を持つことがないようにというのは大事なことだと思っております。手法としてメーリングリストを使うか何かは別として、そういう行った人たちがお互いに連携し合って、「こういう問題はこういうふうにしたらいいんだよ」とか、「あなたもこういうことで悩んでいるのか」というような、お互いの意識の共有、あるいは、我々の側も、初めての取組として市町村に呼びかけをやっているわけですから、派遣をする中央政府の側としても彼らに対するバックアップというのはやっていかなければいけないと思っております。これをやって本当によかったねと言ってもらえるようにしなければいけないという認識を強く持っておるところであります。
(問)関連なんですけれども、今回、141市町村が応募されたということですけれども、派遣されなかった市町村について、また再度募集を行うなどしてマッチング作業を再度やって、また追加で派遣するということはお考えでしょうか。
(答)今回だめだったら未来永劫だめですと言うつもりは全くございません。希望したんだけれども、それに見合う人材がいなかったと。また、年度が変われば地方に出た国家公務員は戻ってくるとか、あるいは先程申し上げたように、シンクタンクのみならず、ほかの民間の企業にもお願いするとか、そういうことで、いわゆる行く側の人の候補もまた変わるわけであります。また、市町村の御要望も全く同じものが出てくるとは限らないわけで、今回選に漏れた、だからもう絶対だめだというようなことはございません。やはり今回手を挙げていただいたということは、それだけお気持ちがあるということですから、それは大事にしていかなければいけないと思います。
(問)27年度の分権の提案募集の方でお尋ねします。
 大臣のほうからも、地方創生に資するような積極的提案をという呼びかけがありましたが、「地方版総合戦略」の策定時期とも重なりますので、やはりそういう提案が多くなるかなと思うんですが、どういう提案が望ましいという、何かイメージとか、そういうのがございましたら、もう少し具体的にお話しいただけるとありがたいと思います。
(答)こんなものが望ましいと私が言うと、答えを先に教えちゃうような話なので、そういうようなことはできませんが、昨日も御説明をしたのですけれども、その地域が、例えば仙北市のように林野をどう活用しようか、あるいは医師不足をどうしようかという地方共通の悩みというか課題というか、そのようなものに関して提案をしてこられたわけですね。そうすると、地方創生に資するということから考えれば、多くのそういう地域が─あえて自治体とは申しませんが─地域が持っている懸案の解決するに資するような、そういう御提案がいただければいいなというふうに思っております。
 これは規制改革とそのまま重複するものではないけれども、かつて、20年前とか30年前とか40年前とか50年前とか、そういうときの時代に適合した規制というものがあって、どう見たって今の時代は合わないよねというのがあるわけですよね。そういうものを何となく伝統墨守、唯我独尊というか、そういうことで規制がかかっていて、結果としてその規制によって得られるであろういろいろな効果よりも、人々が受けている不便のほうが大きいというものは世の中にあるわけです。そのときに、では、そういう懸念されるものをどのようにして、誰が責任をとりますかという、とにかく責任を負うのは嫌だということではなくて、それは一体誰がどういう形できちんとそのことに対する責任を負い、しかし、どのようにして不便が解消されるということが、その提案によって、なるほど、そうだねということが広く知れわたるような、そういうものだといいなと思っております。

(以上)