石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年3月3日

(平成27年3月3日(火) 9:08~9:31  於:合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。お待たせいたしました。

 政府関係機関の地方移転についてでございます。

 本日、政府関係機関の地方移転につきまして、道府県等からの提案募集を開始をいたします。「総合戦略」におきましては、道府県等からの条件整備の案を付した御提案を受けて、その必要性、効果を検証した上で移転を実施することとしておるわけでございます。募集に当たりましては、道府県等の検討に役に立ちますように研究機関、研修所などにつきまして、それが何やっているか分からないと、これは提案しようがないので、それぞれ何をやっている機関か、どのような体制で実施をしているか、その情報をあわせてお示しをするものであります。

 政府機関につきましては、真に地方創生に必要なものにつきましては、政府の機関としての機能は確保しながら、移転を実施することとしたものでありますので、道府県等におかれましては、よく御精査をいただきまして、8月末までに御提案をいただきたいと考えております。いただいた御提案につきましては、関係府省庁と連携をし、必要性、効果の検証を行い、まち・ひと・しごと創生本部におきまして具体的な移転の候補を決定してまいりたいと思っておるところでございます。

 詳細は事務方から説明をいたしますので、どうぞお尋ねをいただきたいと思っております。

 これはかねてから申し上げているとおりでございまして、一体どこへ、何を移すかということは政府のほうで勝手に決めて、これはここ、これはあそこというお話には相なりませんで、それぞれの道府県等におきまして、我が県に来るとこんなにいいことがあるというようなことを、それぞれの地域のほうから出していただきたいと。お手元に膨大な資料を出しておりますが、そうは言われても何があるのか知っておられるはずがないのであって、それをお示しするものでございます。それをよく御覧いただきましてお考えをいただきたいと思っておるところでございます。独立行政法人等ということでございまして、これには特殊法人も含まれるということでございます。

 以上です。

2.質疑応答

(問)今お話にありましたけれども、政府機関と独立行政法人の研究機関、研修所のリストを付して参考にということですけれども、そうなりますと、いわゆる普通の政府関係機関というのは移転対象とされていないということですか。例えば、文化庁を京都に移すですとか国会でも論議になりましたけれども、それについてはどのようにお考えですか。
(答)特に排除はいたしておりません。そういう御提案があれば検討したいと思っております。
(問)前回だったか以前の会見でも質問があったかと思うんですけど、これによって政府としてどれぐらいの数の機関の移転を見込んでいる、想定していらっしゃるんでしょうか。あと、あくまで提案ベースなので、提案次第ですということなのかもしれませんけども、目標というか大臣自身のお考えがありましたらお願いします。
(答)このリストに載せておりますのは、国の行政機関として70組織、独立行政法人は支所等を含めまして180組織ということになっておりまして、都合250組織ということになるわけでございます。これは本当にやってみないと分からない話であります。そういう機関を地方に移すべきであるというお話はずっと前にやりましたのが、平成4年かと記憶をいたしておるところでございます。もう随分昔のことに相なります。
 前回の国の機関移転はまだ昭和と言っておった昭和63年7月に閣議決定をされ、平成4年以降いろいろなものを移していったわけです。それから四半世紀経ちまして、その後こういうものが進んでもいない。というのはなぜなのかといえば、一体どんな機関があるのだかよく分かりませんということがあって、地方のほうはよく分からない。国のほうもそれを提示しないということなので議論が進んでいなかった。では、今回どうなんでしょうと、この250組織をお示しをして、それも名前だけずらずら書くわけではなくて、後程事務方から御説明をいたしますが、これはどんなもので、何をやってきて、どれだけの人がいてというようなこともお示しをして、では、それぞれの地方創生の観点から、うちはそれに関係したいろいろな産業が集積をしているとか、あるいはそれに関係したいろいろな研究機関がありますとか、そういうマッチングみたいなものの材料は出したいと。そこで地方がお考えをいただいて、では、これはうちに来たほうが国全体のためですよと。他方、その地域はよくなりましたけど、他のところがかえって迷惑を被りましたみたいなことだとどうにもならんわけで、そこは地方においてお考えをいただきたいと思います。たくさん手が挙がるかもしれません。ひょっとしたら、一つも挙がらないかもしれません。それはやってみないと正直言って分かりません。
(問)今の質問と関連するんですが、やはり現時点で募集がどれぐらいあるか分からないということなので、どれぐらい移転するか確かに分からないとは思うんですが、要綱を見ますと、国の機関の機能が確保されて、むしろ向上が期待できるというようなことも書かれていて、地方から提案してもらうということはよく分かるんですが、地方から見たときに、でも、そうはいっても、提案して結局国が本当にどこまでやってくれるのかというのがちょっと現時点で不透明な部分があると思うんですが、その辺の意気込みというか、移転はやはり必要があればどんどんしていきたいという、そんな思いでいらっしゃいますでしょうか。
(答)もちろん必要があればどんどんやるべきだと思います。そもそもの発端は、民間に対して税制上の優遇等の措置を講じた上で、地方に移転してくださいということを言っているわけですが、民間にそういうことをお願いするからには、国はどうなのだというお話になるわけです。ところが、民間と違って国は公平性の確保ということが行政としては求められるところなのであって、あるいは民間企業であれば、どこに何があって、社の中でどういう機能を果たしているかというのは、当然みんな知っているわけですけれども、国の場合には、北海道から九州、沖縄までやたらと広くて、どこへこれを移したらいいのかということについて、最も高い知見を有しているわけではない。よって、その地域のほうから、こういうものがうちに来たほうがいいですよということを言っていただくという手法は、別にその地方に責任を転嫁するものでも何でもないと思っております。国の行政の公平性の確保、また民間との違いということを考えれば、こういうやり方になると私自身は思っておるところです。地方から御提案があって、それを仮にお受けできないということであれば、先程申し上げた公平性の観点等々から、なぜこれがお受けできないのかという説明責任は今度は国が負うわけです。ですから、そこは国が上で地方が下とかそんな話ではなくて、地方のほうはこれがうちに来たほうがいいですよということをおっしゃり、国のほうは、分かりましたというのか、分かりません、それはなぜなのかという、そういうような関係というものはやはり築くべきかなと思っております。
(問)昨日、2019年のラグビーワールドカップの開催都市12か所決まりました。釜石市などの地方都市も入っておりまして、恐らく「地方版総合戦略」の中には、これが重要な要素としてはいるところもあるかと思います。大臣、この今後の各都市の活動あるいは役割について期待されるところがあれば教えてください。
 あともう一点、2020年の東京五輪のわずか10か月前に開かれるビッグイベントになります。このイベントが全国を舞台に開かれることの意義について、大臣、どうお考えになるか、お願いします。
(答)12会場が開催地として決まりました。こういうものは悲喜こもごもであって、開催地になれなかった仙台市とか京都市とか長崎県は悲しいということなんだと思います。これを「地方版総合戦略」の中に位置づけて、一過性に終わることなく準備に向けたいろいろな活動がなされることもあるでしょう。そして、ワールドカップをやり、そしてまた、その後ラグビーというものを通じたまちの発展ということもあるのでしょう。これが一過性で終わることなく、その地域がこれを一つの材料とした創生に役立つような、そういうような取組をぜひともお願いをしたいと思っております。
 そしてまた、ラグビーワールドカップは東京五輪と時期的に近接をするわけであります。私は、東京五輪というものが本当にまさしく一過性のお祭りに終わってしまってはいかんのだと。考えてみれば、この話はよくするのですけど、昭和39年に東京五輪をやり、昭和45年に大阪万博をやり、昭和47年に札幌市で冬季オリンピックをやるみたいなことで、わずか8年の間に札幌市、東京都、大阪府ということで、あの頃の日本というのは、そういう世界的なイベントをやったわけですが、あれから50年経って、日本を巡る環境というのは全く変わっているわけで、それが昭和39年の東京五輪が、日本が復興したということの一つの象徴でありとすれば、今度の東京五輪というのは、新しい日本の姿を示すのだという象徴になるといいなと思っております。ですから、それを一過性のお祭りに終わらせるのではなくて、新しい日本の姿を示すという、そういう意識のもとに東京五輪は開催されるべきであり、例えて言えば、私どもで今、国産材を使ったCLTで何とか選手村の建物が建たないかとか、やはり東京五輪というのを一つの念頭に置いて時期的に考えておるところでございますが、このワールドカップにしても東京五輪にしても、同じような意識のもとにやっていきたい。そのときにワーッと盛り上がればそれでいいということではないと思っております。
(問)政治資金の関係で、安倍総理であったりとか、ほかにも甘利大臣、閣僚など報道などにも出ていますが、企業献金について交付金が1年以内にあったのか、なかったのかというような問題が続出しています。これについての受け止めと、あと総理自身、やはり外国人からの献金だったりとか企業からの献金についてはかなり気をつけていらっしゃったということを言っていますが、大臣、例えば石破大臣御自身においても、こういうことが起こり得るのかどうかという部分についてもお話しいただけたらと思います。
(答)これは全ての例を存じ上げているわけではありません。今日の新聞を見る限り、新聞社さんにおかれて各省庁のホームページというのを全部見て、政治資金収支報告書と突合して、これがあるねということをお調べになったというものだと認識をいたしております。何人かの閣僚あるいは野党の方々が報道で出ておりました。私、ホームページを見ていないし、政治資金収支報告書を見ていないので、それが事実かどうかも分かりません。仮に事実であるとすれば、それを知っていたか、知らないかということが一つのポイントでありますし、またそれが会社そのものなのかグループなのか、そこの補助金の流れがどうなっているのかというのは、私も詳細に知る由もございません。ですから、これが補助金をもらっていたということを知らなかったとすれば、やはりそれはお返しするということになるんじゃないかなと思いますが、これも私が断定的に申し上げることでも何でもないということであります。
 私の場合は、かつてもう十何年も昔そういうことがありました。それは何でそういうことが分かったかというと、これは本当にありがたい話だと思いますが、献金をされた会社さんのほうが、よく調べてみると、うち補助金もらっていましたということをお申出になったので、うちも調べてみたらそうでしたということでお返しをしたということでございます。もう十何年も昔のことだと思います。ですから、企業さんのほうでそのことをよく御存じで、そういうありがたいお申出があって、うちの場合はその1件だけだったと思います。その後は事務所に対しても、そういうものを頂戴する場合には補助金を交付されているかどうかということを、下さるという側にもよく確認するようにというふうに申しておりますので、その後そういうことは起こっておりません。
 ですから、受け取る側もそうですが、出して下さる側も、何と言うのか、そういう補助金を受けているか受けていないかということは、もらう側がそんなこと言っちゃいかんのだけども、やはり出す側もそういうことがないかなということを調べる。受け取る側も、そういうことはないでしょうねということをきちんと認識をして精査をするということは必要なことだと思っております。
(問)関連して、政治資金規正法というものの改正という部分については、大臣はどのように考えますか。
(答)政治資金規正法の趣旨というのは、まさしく法律の名が示すごとく、いただいているものを正しく国民に見ていただく。だからこそ正しいという字を書いているわけですよね。だから、政治資金規正法の最も趣旨とするところは、政治資金の流れの透明性だと思っております。ですから、そのことによって新聞社の方々が明らかにされたように、これどうなっているの、ということが分かるわけでございまして、政治資金規正法の趣旨である透明性ということは、これから先も確保されるべきものだと思っております。
 これは国会でも議論があったんですけれど、もっと公費を増やすべきだという御議論と、日本共産党のように、そんなもの受け取ってはならんという、全く両極端のお話があるわけですね。夕べも何人かの議員と話をしていて、そもそもこの政治改革とは何であったのか。あのころのリクルート事件に端を発するところの政治改革のいろいろな議論というのは、私たちが当選1回、2回の頃ですので、そのころのことは知らないという議員さんが増えたわけですね。ましてや当選1回生、2回生の方々なんというのは、何のことでしょうかみたいな話で、語り部風にその当時のことを語ってくれと言われて、昨日、ある場所で語ってきたのだけれども、あの頃ユートピア政治研究会というものがあって、会長が武村正義という人で、私たちが当選1回の頃つくったんですよ。だから、そのときのメンバーには鳩山由紀夫氏とか園田博之氏とか渡海紀三朗氏とか三原朝彦氏とか岩屋毅氏とか私とか当選1回生、2回生が入っておりました。
 そのときに議論したのは、一体民主主義のコストとして何が必要なんだろうかということをまず出しましょうと。そして、大金持ちしか議員になれないというのもいかんということで、やはり三分法というのか、公費3分の1、自己資金3分の1、そして企業・団体等から3分の1というのが望ましいのではないかというような議論をいたしました。政党なるものは、やはり与党であれ野党であれ、議院内閣制であるということをよく承知の上で申し上げているものですが、やはり権力と一体であってはならない。権力に対して一定の独自性は保たねばならんということになれば、公費の割合をどんどん増やせばいいねという話にはならんだろう。ではそうすると、自己資金でやれと、企業・団体献金を廃止したらということになると、じゃ、やはりお金がある人しかなれないねとか、あるいは世襲みたいに、私もそうなのですが、親の名前が売れているので、名前の売り賃がただとか、そんなのが増えるということも決していいことじゃないよねということです。そればかり非常に多くなるということは、政治は家業ではないので。そうなってくると、やはり3分の1ずつぐらいが望ましいのではないだろうかというようなお話をその頃いたしました。
 ですから、もう一度民主主義のコストって何なんだろうね。それは、誰がどのように負担すべきなんだろうねという、その原点にもう一度返って議論をする必要があるのですけど、昨日も同僚議員、その頃運動をやっていた議員と話したんですけど、間違いなく当時よりもお金はかからなくなったよねというのは正直言って実感です。ある人に言わせれば、ゼロが一つ違ったんじゃないのという人がいます。当時世の中では「五当四落」と言われて、受験生は4時間しか寝ないと大学に受かるが、5時間も寝ちゃうと大学に受からない。それをひっくり返して、5億円使えば当選するが、4億円では落選だなどということが当時言われておった。それが本当かどうかは別としてね。だけど、それよりもゼロが一つ変わったというのが正直言って私どもの実感です。だとすれば、それを三分法にしたときにどうなんだろうとか、そういうそもそものお話をすべきじゃないかなと。長いお答えになって恐縮です。

(以上)