石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年1月14日

(平成27年1月14日(水) 10:17~10:31  於:合同庁舎8号館1階S106号室)

1.発言要旨

 臨時閣議におきまして、27年度当初予算の政府案が決定されました。このうち、まち・ひと・しごと創生に関連する予算として約1.4兆円が盛り込まれておるわけであります。詳細につきましては、事務方から説明をさせていただきます。

 まち・ひと・しごと創生本部は、省庁の縦割りを排し、政府一丸の体制で人口減少を克服し、地方創生に取り組むことを設立目的としているわけでありますが、まさに司令塔の役割というものを担い、各府省庁の連携・協力を得ながら「総合戦略」に基づいた取組を今後着実に実施していくため予算面での措置がなされたものと考えております。

 司令塔としての役割がこれで終わったとすれば、それは結構なことなのでありますが、そういう話では全くありませんで、今後、予算の裏付けを得た施策を推進していくということが一層重要になると、このように考えているところでございます。

 よく異次元と言うのでありますが、この異次元たる所以は、全ての政策パッケージに具体的な成果目標を設定し、その効果を検証するメカニズム、PDCAといいますが、これを組み込んでおる点でございます。これをワークさせませんと、バラマキというのは排除されないのでありまして、そのようなバラマキを排除する、あるいは重複を排除する、そのような機能というものを一層強力に発揮する必要があると考えております。地方創生の目的、すなわち地方の活性化、地方の人口減少の歯止め、あるいは東京一極集中の過度な状況の歯止め等々、私どもに与えられました目標の達成に向けて努力をしてまいる所存であります。

 以上です。

2.質疑応答

(問)来年度当初予算の策定に当たり、今、大臣おっしゃいましたが、バラマキ・重複の排除ですとか省庁の縦割りの排除、これ、大臣、実際に予算編成において各省ほかの大臣とどのように折衝されて、特に具体的にこの点については各省の縦割りを排したとか重複を排したというところ、もしありましたらお願いします。
(答)創生本部が立ち上がり、担当国務大臣として任ぜられて以来、例えば5原則というものをかなり早い時点でお示しをいたしました。そのため、例えば公共事業で大型のプロジェクトがあり、これも地方創生だ、予算拡充だ、みたいなことは、私は今回なかったと思っております。無理やりこじつけて地方創生で予算を取ろうというような動きは見られなかったのはなぜなのかといえば、かなり早い時点で、繰り返しになりますが、地方創生についての考え方というものをお示しをし、むしろ各自治体の創意工夫によって新しい事業を行い、そして各自治体の創意工夫による目的の達成ということが主眼であるということを、秋の時点から各府省庁の事務次官でありますとか、あるいは担当局長でありますとか何度か集まっていただいて徹底をいたしました。ですので、そういうことはほとんどなかったと思っております。
 重複の排除として典型的に言われるのは、「地域おこし協力隊」と「田舎で働き隊」の統合・拡充、あるいは「子育て世代包括支援センター」の整備等々が事例として挙げられるわけです。
 どっちも有効な働きというものをしていただいているわけですが、片や農水省、片や総務省ということで、自治体にしてみると使いにくいねというようなこともあった。ただ、これは片一方が補助金で、片一方が地方交付税で見ているものですから、いきなり統合というお話にはなかなかならない。しかし、機能が似たようなものなので、では、まずその研修を統合しましょうとか、そういうところからやっていかねばならんということだと思います。
 この手のものは、例えば分散型エネルギーでも経産省あるいは農水省あるいは環境省でいろいろありますねと。あるいはまちづくり事業というのも幾つもの省庁にまたがっていますねというのがあって、これから28年度の概算要求が行われるまでにこういう事業、政策目的が似通っている、重複は必ずしもしていないけどという事業を統合するか、それとも自治体がそれを行うに当たって申請の手続をワンストップ化、あそこの役所に書類を出し、ここの役所に書類を出し、ここはうまくいったが、ここはうまくいかないとか、そういうような負担の軽減の面でいくか。そういうような作業はこれから先、精力的に進めていかねばならないと思っておりまして、その体制を我々の中で整備するということで今進めているところでございます。
(問)今年度の補正とあわせてのお答えになるかもしれませんけど、まち・ひと・しごと関連で1.4兆円ということは、今回、地方創生の施策を強力に推進するに当たって十分な額が確保できたというふうにお考えでしょうか。
(答)それは予算は多ければ多いほどいいに決まっているのだけれども、もちろん財政の肥大化を抑制しなければいけないという大目標もあるわけですね。そしてまた限られた年度の中でそれを行っていくということになると、この地方創生というのがスタートするに当たって、まず落ち着いてちょっと考えてみましょうと。「長期ビジョン」というものと、それから「総合戦略」というものを国において設定したわけで、特にそれぞれの自治体において「地方版総合戦略」を策定していただく。そこにおいては、これから具体化を急ぎますが、ビッグデータというものを活用して、それをもとにKPIを策定し、そして役場だけで考えるとか、あるいはシンクタンクの皆さんお願いしますということではなくて、「産官学金労」と申しますが、「産」ということで経済界、まちでいえば商工会みたいなものですかね、「官」ということでは役場、「学」というのは大学があるところは大学でしょうし、大学がないところは高等学校ですよね。そして、どこの小さな町にも、どこの小さな村にも金融機関というのはあるわけで、信用金庫であっても信用組合であっても、あるいは地方銀行であっても、そういう方々を「金」と申します。「労」は、これは連合にもお願いをしておるところでありますが、働き方を変えていくとか、そういうことにおいて労働組合の方々の知見というのも十分活用していかねばならんので、それぞれの地域においてこうした「産官学金労」においてPDCAの「P」をつくる。そして「D」も、役場がやるんだという話じゃなくて、それに参画した人たちは、それに従って自分たちは何をやらなきゃいかんのだということになるわけで、その上で「D」が行われる。そして、まだ議会以外にチェックの体制というのが確立しているところはほとんどないわけで、どうやってチェックの体制をつくるか。そして、それによって再検証し改善したものが行われるかというものを考えるのに、それなりの時間はかかるわけでございます。
 今回の地方創生の予算に当たっては、26年度補正においてもそういうものを手当てをしているところでございまして、まず体制を整えていくということが大事なのではないだろうか。体制を整えないままどんと金を積んでも、さあ、何に使うんだ、何に使うんだみたいなことで、それじゃ従来と何も変わらないということでございます。ですから、この地方創生という事業をスタートさせるに当たって、私は必要な額は確保されたというふうに認識はしておるところでございます。
(問)先程、大臣、無理やりこじつけで予算を取ろうということはなかったということでしたけれども、一方で、地方創生枠ということで設けたことによって、要求段階から予算が膨れ上がるような形になってしまったと見る声も一方でありますけれども、大臣、来年度以降もこうした地方創生枠を設けて地方創生を推進していくべきだとお考えでしょうか。
(答)私はそれによって膨れ上がったという印象は持っておりません。それなりにメリハリがきき、5原則というものが徹底された予算だったというふうに思っておって、地方創生ということで膨れ上がったという、そういうような因果関係にあると私自身は認識をしておりません。
 これからどうなんだということですが、先程、冒頭のお話でも申し上げましたように、まだスタートした段階でございます。これから全国の自治体において、これがどのように進んでいくのかというのを見なければなりません。そこにおいて、我々中央政府もそうですが、都道府県が自分のエリアにある市町村の進捗状況というものをよく見ながら、ばらつきがないようにしていただかなければなりませんし、先程、「産官学金労」というお話をいたしましたが、何でしたらそこに言論界を入れてもいいのですけれど、私はそういうのをつくる場合に、ちょっと余談ですけど、例えばメディアの支局とかそういったところが御意見を言っていただくというのもあってもいいなと思いますが、要は、それぞれが我が事として考えて動いていくかどうか。そして、それが動き始めると、なおこれが必要だというものが出てくるはずです。私どもがこれによって予算をたくさん取ってというようなことを目的とするところではございませんので、この仕組みが動き出してそれぞれの地域が自律的にそれぞれの事業が回り始めるというところまでは、私どもとして必要な予算を確保し、必要な役割を果たしていかねばならないものだと思います。

(以上)