石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年1月13日

(平成27年1月13日(火) 11:02~11:17  於:合同庁舎8号館1階S106号室)

1.発言要旨

 お待たせいたしました。「近未来技術実証特区検討会」について申し上げます。

 本日、平副大臣、小泉政務官のもとに「近未来技術実証特区検討会」を設置することを決定をいたしました。この検討会におきましては特に遠隔医療、遠隔教育、自動飛行、自動走行等の近未来技術に関する実証プロジェクトと、その実現のための制度的制約、規制改革事項についての検討を当面行うことといたしております。その後、これらの実証プロジェクトを受け入れる用意のあります、やる気のある地方自治体を募りまして、今春、指定を予定しております「地方創生特区」の指定の議論にもつなげてまいりたいと考えております。

 今週15日(木)の午後に第1回の検討会を開催をし、事業者の皆様方などからヒアリングを行うとともに幅広く近未来技術の募集を開始してまいります。体制・スケジュールにつきましてはお手元の資料にございますが、詳しくは副大臣、政務官にお尋ねをいただきたいと存じます。以上です。

2.質疑応答

(問)所管外で恐縮なんですが、佐賀県知事選の結果について、与党の推薦候補が敗北したということで、大臣の受止めを一言いただけますでしょうか。
(答)選挙は党として取り組んでいるものであり、幹事長からは特にコメントがあったとは承知をしておりませんが、選対委員長のほうで謙虚に受けとめてその原因を分析したいということだと承知をいたしております。それに尽きます。
(問)この特区の検討会、詳細の中身についてでなくて、こういったことを設けて、地方創生の特区として指定していくことを検討していくということの意義について、あとなぜこれが地方創生に資するかということについてちょっと教えていただけますでしょうか。
(答)地方において、医療、あるいは教育等々について、お医者さんが足りない、あるいは生徒数が減って学校の統廃合が進んで、それがひいてはコミュニティーの劣化といいますかね、そういうものにつながっているという事例は山ほどございます。お医者さんというか医療スタッフが足りない、あるいは子どもが減少して教育が十分できないというようなところにおいて、遠隔地であるというハンディキャップを現在の技術の進歩によって克服するような、そういう技術が活用できないだろうか。それによって、医療において十分ではない、あるいは教育において十分ではないと言われて人口が減少しているようなところに人口増をもたらし、あるいはそこが更にほかの地域と遜色ない、あるいはそれ以上の医療や教育の体制を確保することによって地域が活性化できないものだろうか、というようなことでございます。これは、主に技術の進歩に伴うものでございますが、教育とか医療は特にハードルが高いというふうに承知をいたしております。10年ぐらい前からこういう議論はあるのだけれども、それをきちんと政府として取り組んだということはないのではないでしょうか。地方創生ということにおいて、かなり有効な手段となりうるのではないかということです。あるいは自動飛行、自動走行についても、いろいろなものの効率化でありますとか、あるいは自動走行等々は高齢化した地域においてどうなのだというようなこともございます。もちろん、そういうことについては教育の水準、医療の水準、あるいは自動車交通、あるいは飛行の安全性等々、きちんと社会的なニーズというものは満たされることは必要ですが、「必要だよね。」みたいなことで、そこから先の検討が進んでいないような状況だと認識をしております。それを地方の活性化という観点から、私どものほうで、副大臣、政務官の下でやりたいということでございます。

3.「近未来技術実証特区検討会」についての質疑応答

(平副大臣)それでは検討会のほうで何かご質問ありましたら。
(問)具体的に4つジャンルを挙げられていると思うんですが、自動走行、自動飛行に関しては割と規制についても、航空法ですか、道路交通法の規制を変えるみたいなイメージがしやすいと思うんですけれども、遠隔医療と遠隔教育について具体的にどのような規制が障害になっているのかという点についてお願いします。
(答)もうまさにこれから検討でありますが、遠隔医療は厚生労働省所管でありまして、 人の命に関わる部分でありますから、全般的な規制改革や特区の議論においても最も規制改革の行使が難しいところであります。イノベーションが起きると大抵古い規制は必ず障壁になりますので、それらを一研究者なり一企業が規制官庁と交渉するよりは、特区という枠組みを作り使いながら、副大臣、政務官のほうで代わりにしっかり交渉をして、事前にそういう規制を取り除いていくということであります。特に遠隔医療は結構大変だと思います。
(問)先程あったのは4つの項目のうち、遠隔医療、遠隔教育については先ほど大臣のほうから意義の説明があったんですけれども、この自動飛行、自動走行について、例えばどういう技術を使ってどう地方創生に具体的に役立てることができるのか、その辺の説明をお願いします。
(答)自動飛行、自動走行は世界的にもいろんな注目を浴びていて、イノベーションがどんどん起きていく分野だというふうに思います。一方で安全性というところのハードルもあるというふうに承知をしております。特に離島とか、いわゆる過疎地においては生活の利便性を飛躍的に上げることもできますし、また生産性も上げることができますし、また例えば農機具というか、農耕機、トラクターとかの自動運転なども考えられますので、疲弊した地域に新たな技術を投入することによってそこの生活の利便性を飛躍的に上げる、生産性を上げる、またそういう地域を指定して集中的に行うことによってベンチャー企業であり、さまざまな人が集積をしてきて地方活性につながると思っております。
(問)何か具体的な、こういう産業に役立つというものがあれば。今お聞きした話ですと農業というものはまず考えるということなんですか。
(答)農業もそうですし、自動走行がどこまでできるかわかりませんけども、完全に運転手さんなしで人が移動できるところまでいけるのか、またいわゆる自動飛行、無人飛行については要は宅配で使うところで留まるのか、もしくは最終的には操縦士なしで人が運べるのか、それはもうこれからの話でありますが、ただ思いの外その技術の進歩が早いものですから、一部エリアを指定をしてそういう先駆的な実証実験を行っていくということになります。
(問)関連して、例えば、地方自治体、これから募集をしたりヒアリングをしていくと思うんですけど、副大臣の想定している中でもうこういう技術特区に何か関心を示しているような自治体というのはあったりするんでしょうか。
(答)今の時点ではありません。我々も近未来の技術、どういうものがあるかしっかりと役所のルートや一般的に情報を集めて勉強したいと思います。
 一方で、地方もこういう技術を使ってこういうことをやりたいんだという方もいらっしゃると思うので、それも広く意見を伺って、そのあとでマッチングをしていこうと思っています。
(問)今程宅配とか、人が運べるかどうかというようなお話もありましたけど、この4つの分野でそれぞれその想定されていることというのは、どういったことを想定されているのか、議論はこれからということですけど、どういったことを念頭にというか、考えようとされているのかというのがあれば、お願いできますか。
(答)近未来の田舎というイメージですよね、SFに出てくる。例えば、先程大臣も言いましたけれども、お医者さんがいないのに例えば遠隔医療を活用することによってその最先端の医療が受けられるとか、教育が受けられるとか、車も自動運転、トラクターも自動運転、飛行機も無人飛行というような。まあそれはどこまでできるか正直わかりませんが、そういう近未来の田舎とか近未来の離島というようなイメージを私自身は持っていますが、これから検討会で広く議論をしていこうということです。今の時点で決め打ちはしていないです。
(問)医療とか教育であれば、例えばテレビ会議とかテレビ電話とかネットとか何かそういったものを使うというような、そういうことになるのでしょうか。
(答)医療はですね、どこまで進歩するかわかりませんが、機械を使って手術をすると、それを遠隔で操作するとかですね、そういうことも将来的にはあり得るんだというふうに思います。
(問)この特区の指定なんですけれども、地方創生特区、総理がこの春にも、と言っておりますが、その時期については地方創生特区の指定とだいたい同じような時期になるイメージでしょうか。
(答)地方創生特区で今さまざまな準備を進めておりますが、かなりこれまた大胆な切り口で検討するということでありますので、急いで検討は進めていきたいと思いますが、春の地方創生特区の第一弾の指定に間に合うか間に合わないかはまだ今のところ申し上げられません。
(問)ちなみに何カ所ぐらい大体想定されていますでしょうか。
(答)それも今後の検討です。
(問)地方創生特区の指定も念頭ということですので、これ必ずしも全ての今あげた4分野に限っても地方創生特区に結びつかない可能性も残っているというわけですか。
(答)多分、さまざまな技術、あとロボットとかも出てくると思いますが、規制改革会議のほうでも新しいそういう技術の進歩に平仄(ひょうそく)を合わせて規制改革をしていくんだと思います。特区の性格はその深掘りをしてやるということになりますので、その規制が全体で規制改革ができるのであれば、それはそれで全国的にやるということになると思います。それを深掘りができるかどうか。あと別の視点でいくと地域を指定してそこに集中的に実証の場を置くことによってそこに集約をすることができますし、私なり小泉政務官がそういう枠組みの中でやるということで、その民間業者や研究者に代わって規制官庁と交渉をするという非常にわかりやすい仕組みになるかなと思います。
(問)関連なんですが、今までのイメージですと、その地域にある技術ですとか地域独自のその企業を応援する形で地方を創生していくというのが従来だったと思うんですけど、今回のでいくと、この特定の技術を持った、大都市圏にあるような企業が、あくまで地方を実証の場として使うという側面も感じるんですけれども、これについては本当に地方創生に資するものになりうるのかと。
(答)どういう技術があるかは検討会でしっかり勉強していきますが、一方でリスクも伴う話ですから、地方のほうもこういうことをやりたいというふうにならないとうまくマッチングできないというふうに思います。また地方のほうからも、こういう新たな先進技術を作ってこういうことをやりたいんだけど、規制がなかなか邪魔をしてできませんねという声も我々多く聞いているものですから、それを近未来技術としてやりたいという地方をうまくマッチングするのと、いわゆる規制官庁に対して我々政務がしっかりと交渉をしていくというスキームですので、ご指摘の点は当たらないんじゃないかなと思います。
(問)先程質問にあった特区の指定の時期なんですけれども、第一弾かどうかまだわからないということなんですが、これ来年度のどこかではやりたいという見通しで進めていかれるということでしょうか。
(答)あまりぐずぐずやるつもりもありません。
(問)その場合ですね、通常国会で特区法の改正案をまた出すと思うんですが、こういった内容の特区の規制緩和っていうのを特区法に入れて通らないと実証に移れないということでしょうか。
(答)それは内容によると思います。国家戦略特区はその都度追加メニューを足していくという形になっていますから、その検討状況を踏まえて国会ごとに法律のほうも考えたいと思います。
(問)そうすると通常国会に出す改正案にこれが盛り込まれるんでしょうか。
(答)今週検討会が立ち上がるところですので、その状況を見ながらですね。

(以上)