石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年1月9日

(平成27年1月9日(金) 10:43~10:58  於:合同庁舎8号館1階S106号室)

1.質疑応答

(問)大臣、今朝ほど経済同友会との懇談がありましたけれども、席上で転勤の実態調査についての協力要請をされたということでお話しされていましたけれども、転勤の実態調査の目的についてお伺いしたいのですけれども、この結果を受けてどのようなものを考えていらっしゃるのかと、どれくらいまで協力の対象を広げられていこうというお考えなのか、お願いいたします。
(答)国がいろいろな施策を行うに当たって、転勤というものに着目をしたことは今まで一度もありません。
 世に言うサラリーマンの方々でエリアが狭いところを直接対象とする企業の方を除けば、北海道から九州、沖縄おろか、世界の至るところに転勤というのが多いのではないでしょうか。そしてまたそれも、ご家族連れでということではなくて、単身赴任という実態が非常に多いのではないだろうか。これから先の日本の社会のあり方、家族のあり方、あるいは出生率を向上させていくということにおいて、この転勤なるものが、何か作用をしているのではないだろうか。そして、テレビドラマなんか見ていると、転勤を拒否すると何だかペナルティがあったりとか、諸外国の例を別につぶさに知っているわけではありませんが、この転勤ということも一つ考えてみたほうがいいと思っております。
 それで、どのような結論が出るのか、それをどうすべきかということについて、今予断を持ってお話をすることはできませんが、まず実態がどうなっているのだろうかということを見てみたいと思っております。
 皆様方の会社におかれても、転勤というのは非常に多いのではないかと思いますが、今まで余り議論されたことがなかった。あるいは労働行政、あるいは労働法の世界においても、余り大きな議論になったということを承知をしておりません。
 まず、実態がどうなのかというところから、このお話を進めてまいりたいと思っています。
(問)関連なんですけれども、そうなりますと、単に転勤の回数ですとか年限ですとかではなくて、転勤に伴って、例えば出生率を同時に調べられたりですとか、そういったことも含めて調べられるということですか。
(答)まだその内容まで精査をしていませんが、それが一体どういうことになっているのだろうと。つまり、若いうちにあちらこちらへ行くというのもあるんでしょうけれども、では、ちょうど子育ての時期、あるいは子づくりの時期にどうなんだろうか、あるいは30歳代、40歳代になったときにどうなんだろうか、等々あろうと思います。
 そこにおいて、東京への過度の一極集中を是正したいという話が、そこで何か関係してくるのかこないのか、そこはよく分かりません。誰がどこにどのように転勤をしているのだろうか。
 例えば朝日新聞社はどうなのだろうか、日本経済新聞社はどうなのだろうかとか、やはり会社ごとに、あるいは業種ごとに違うのだろうと思いますけれども、とにかくそういうことを国の政策の中で取り上げたことがないものですから、民間のご協力なくしてできることではございませんので、これは例えば有給をきちんと取ってくださいとか、あるいは就労時間を短くしてくださいとか、そういうことの中で、やはり転勤というものも一つのファクターとして取り上げるべきだと思っております。
(問)今朝の経済同友会との懇談に関連してなんですけれども、今後また、経済団体との懇談されるということを伺っておりますけれども、今後、その経済団体に向けてどういったことを地方創生に向けて求めていきたいか。また、自治体に向けても今後、「地方版総合戦略」を策定するに当たって、理解を求めていかないといけないと思うんですけれども、これはどういった形で理解を求めていこうとお考えでしょうか。
(答)今日、経済同友会とお話をさせていただきました。あるいは私、昨日大阪で関西経済同友会の方々ともお話をさせていただきました。
 経済同友会というのは、あちらこちらの都道府県に所在をしているものでありまして、そこはみんな同じお願いをしたいと思っているのですけれども、PDCAにおける最初のPの段階から関与をしていただきたいということでございます。
 「産官学金労」と申しますけれども、ともすれば、県庁であるとか市役所であるとか町役場であるとか、いわゆる官だけでつくる、いわゆる官製の計画というのが多かったわけですが、計画をつくる段階からそういう民間の経済同友会であり、あるいは日本商工会議所、その傘下にあります全国の商工会議所、あるいは町村にございます商工会、そういう方々にプランの段階から関与をしていただきたい。それは、アンケートの紙を回して何か要望があったら書いてくださいということにとどまるものではなく、会議体のような形でいろいろなお話を聞いていただきたいということがございます。
 もう一つは、それによってプランができるわけですが、PDCAサイクルのDの段階においても、それは役所がやればいいでしょうという話ではない。民間がどのようにして、その「地方版総合戦略」を実行するに当たって、民間の立場として行動していくかということも当然Pと一体として論ぜられるべきものであります。
 そして、Cのシステムがどのようになるかということですが、これもかねてから申し上げているとおり、行政の中だけで完結するようなチェックというのは、下手をすると、甘いものになりかねないと思っております。チェックの段階でも納税者、あるいは地域の主権者としての立場でかかわっていただきたいと考えております。
 ですから、そのPDCAサイクルを回すというのは、それは単に役所の中で回すということではない。PDCAの内容についても、民間の方々に積極的に関与をしていただきたいというのが私の思いでございます。
(問)大臣、今日は補正予算が閣議決定されることになりますが、地方創生に対する経済対策なども盛り込まれて、改めてになりますが、大臣として十分な内容というか形で考えていらっしゃるのかという部分と、この先これをいかに即効性のある効果が出てくるのかというのは、自治体側の活用法という部分に繋がってくるかと思うんですけれども、どう即効性という部分で、今後求める点という部分と、どう使ってほしいかという部分について、ご意見をいただければと思います。
(答)額として十分かと言われれば、それはもっとあったほうがいいということになるんでしょうけれども、この厳しい財政事情の中で、多くの省庁のご協力もいただき、ご理解もいただき、まずまずスタートに当たっての予算というものを確保することができたのではないかと思っております。これをこれから先、国会の審議の場において、更に内容をご説明をして、ご理解を広く広めていきたい、広く共有をしていただきたいと思っております。
 その即効性という意味で言えば、この地方創生なるものが即効性を持ってパッと、これをやれば地方創生などということができるのだったら誰も苦労しないお話なのですが、例えば、自分の県で恐縮だけれども、鳥取県において、知事が年頭からあちらこちらで語っているのは、ロケットスタートを切りたいと。また、ロケットスタートという言葉は使わないけれども、年が明けて以来、何人もの知事、あるいは市町村長がお見えですが、やはり最初が大事だよねということをおっしゃる方があります。それはかなり意欲的というふうに、私は拝察、拝見をしているのだけれども、もう既にそれぞれの都道府県において、あるいは市町村において、国と対応する形の創生本部を立ち上げ、「地方版総合戦略」の策定に取りかかっているというところがあります。
 これでどうでしょうかといって持ってこられたところもあって、そこはまず、何でもいいからやってみるというお話じゃなくて、KPIとは何であり、PDCAというのは何でありということをよく認識した上で「地方版総合戦略」をつくるということで、やはりそれは二律背反みたいな話だけれども、速度と熟度、これが両方とも求められるのだと思っております。
 ですから、即効性なるものは、その「地方版総合戦略」をつくるに当たって、どれだけいいものをどれだけ早くつくるかということが、その即効性という言葉を仮に使うとするならば、それに最も深く関係するものだと思います。
(問)大臣の現在のご所管とは違うのですが、沖縄県、昨日、自民党の沖縄振興調査会に翁長知事が招かれないとか、あるいは、まだ総理との面会も実現していないということがあります。もともとコミットされていたということもあるのですが、大臣、今の状況をどう御覧になっていて、どういう方向に行くのが望ましいとお考えになりますでしょうか。
(答)所管外ですので、お答えをすることは適切ではないと思います。
 これは政調会長のときも幹事長のときも申し上げてきたことですが、沖縄というところがこれから先、日本全体の牽引をしていく、そういう存在になると私は言ってまいりしたし、今でもそのように信じております。
 それは、地理的に、成長著しいアジアに最も近いということがまずございましょう。そして、2025年まで人口が増え続けるという豊富な労働力というものもございましょう。そして、米軍用地がこれいい場所に所在しているのが多いわけで、これから先、その返還によって、いろいろと有効な土地の活用というものができると思います。
 そして、いい悪いは別にして、沖縄には原子力発電所というのが所在をしておりませんもので、エネルギーについての本土が抱えているような、そういうような問題は沖縄には存在をしていないということでございます。
 そういう沖縄が持っている大きな可能性というものを最大限に引き出し、沖縄が発展していくのみならず、今まで沖縄政策というのは、いかにして沖縄を本土に近づけるかという政策でございました。それは、もちろんそれが達成されたわけではありません。今においても、沖縄県民の所得というのは全国第47位とか46位とか、そういう位置にございます。ですから、もうこれで沖縄を本土に近づけるという政策はなくなるわけではありませんが、これから先の日本の姿を見たときに、沖縄が日本全体を牽引していくと、そういうような役割を果たしていただきたいという願いは、今も持っております。
 ですから、そういう思いが我が日本政府と沖縄県との間に共有をされるということを実現するために、沖縄にも本土の政策というか、今の政府の政策というものをご理解をいただき、私どもも沖縄の状況というのを更に正確に把握をするということが必要なのだと思っております。
 先般の総選挙における民意、それからそれを受けた政府与党の対応について、私の立場であれこれ申し上げることは差し控えます。

(以上)