石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年12月27日

(平成26年12月27日(土) 18:30~18:50  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 年末御多用のところ恐縮であります。

 本日の臨時閣議におきまして、お手元にお配りをいたしております、「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を決定いたしました。

 「長期ビジョン」は、人口減少問題の克服、成長力の確保を目指し、2060年を視野に入れた中長期的展望を掲げたものでありまして、具体的には移住や結婚、妊娠、出産、子育て等に関する国民の希望をかなえることができれば人口減少に歯止めがかかり、東京一極集中が是正をされ、2060年に1億人程度の人口を維持することができるとの見通しを示しておるものであります。

 この「長期ビジョン」の中長期展望を踏まえ、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、2020年度を目標年次とする5カ年の国の政策パッケージを示しております。

 まち・ひと・しごと創生は、人口減少が地域経済の縮小及び地域経済の縮小が人口減少を加速させるという悪循環を断ち切る取組でありまして、その実現のためには、それぞれの地域の特性に即した形で、「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を確立することで、地方への新たな人の流れを生み出すとともに、その好循環を支える「まち」に活力を取り戻し、人々が安心して生活を営み、子供を産み育てられる社会環境を作り出すことが必要であります。

 地域経済・雇用対策や少子化対策は、これまでも講じられてきたものでありますが、この度の取り組みは、「人口減少克服・地方創生」という大目標に向け、全ての政策パッケージに具体的な成果目標を設定し、その効果を検証するPDCAのメカニズムを組み込んでおります点で異次元のものであります。

 人口減少を克服する取り組みは、国と地方が国民各位と基本認識を共有しながら総力を挙げて進めていかなければならないものでありますが、そのためには、今後、各地方公共団体に取りまとめていただく「地方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」が決定的に重要であります。

 各地方公共団体におかれましては、関係団体、様々な世代の住民の方々の御意見を反映させながら、「地方版総合戦略」を作り上げていただきたいと考えております。

 人口減少に歯止めをかけるという目標の達成には長い時間を要するものでありますが、悲観論に陥ることなく、変化する現実を見据えて不断に戦略を見直していくことで、着実にその歩みを進めていくことは肝要と考えておりまして、今回の「長期ビジョン」、「総合戦略」を皮切りとして、地方創生・日本創生に向けまして引き続き尽力をしてまいりたいと考えております。

 また、本日、「地域再生基本方針の一部変更について」等が閣議決定をされたところであります。これらは、先の臨時国会で成立をいたしました地域再生法の一部を改正する法律が今月15日に施行されたことに伴い、所要の措置を講ずるものであります。今後は、地方公共団体において各制度を積極的に活用していただけますよう、制度の趣旨、内容の周知に万全を尽くしてまいりますということです。

 「長期ビジョン」、「総合戦略」につきましては何度か御説明をしたところでありますので、今申し上げた簡単なことでお許しをいただきたいと存じますが、閣議決定はしましたが、これを地方公共団体の方々、それは行政関係の方々のみならず、先程会見でも申し上げましたように、その地域におられる方々がそれぞれ自分の問題として御理解をいただくということが極めて重要なものであります。

 これは、多くの方々に御参加いただく、つまり、学生さん、あるいは子どもたち、あるいは金融機関の方々、あるいは商工会の方々、農業団体の方々等々、全ての人のまちでありますので、全ての人に参加をしていただく形で「総合戦略」をおまとめをいただきたい。そこにおいては、KPI、キー・パフォーマンス・インディケーターという─これもなかなかこの言葉を広めるだけで大変なことでありますが─そういうような目標というものを設定していただくということであり、そして企画立案をし、それを実際に行い、そしてそれを点検をし、更にリニューアルをしてというプラン・ドゥー・チェック・アクション─PDCAという、そういうような仕組みを動かしていただくということ、これが今までと違うお話でございます。

 これを全国一斉にやるということなのでございまして、その取組に向けて政府として情報面、あるいは人的面、そして財政面で可能な限りの支援をしなくてはなりません。何せ年末でございますので、どこもかしこもばたばたしているのであり、もう仕事納めはそれぞれの地方自治体で終わっておろうかと思いますが、お正月、あるいは年始の仕事始め等々においてこれが言及をされ─地方紙を見ておりますと御用納めにおいて知事さんとか市長さんがこの「地方版総合戦略」に言及をされて、「来る年はこれに総力を挙げるのだ」というような訓示をしておられる知事さんや市長さんもおられるようでありますが─それが広くその地域の住民の方々に御了知をいただき、よし、一緒にやろうということがまずスタートであると思っております。

 政府として、この考え方を1人でも多くの国民の方に御理解をいただくべく、私自身も年末年始も含めまして最大限、あえて最大限という言葉を使いますが、努力をさせていただきたいと思っております。

 本年1年お世話になりました。どうぞ来年もよろしくお願いいたします。

 以上であります。

2.質疑応答

(問)「総合戦略」、「長期ビジョン」の取りまとめ、短期間でしたけれどもお疲れさまでした。
 この中で伺いたい新型交付金なんですけれども、そのうちの地方創生型の交付金についてお伺いしたいんですが、細かな部分、決まっている部分あると思うんですけれども、この配分方法ですとか配分時期等々については、今どのようなスケジュールでお考えになっているんでしょうか。
(答)スケジュールは、なるべく早くこれを決めていかなければならないと考えております。これは、都道府県、市町村、どういう割合にしていくか。また、それぞれの市町村においてどのような配分をするかということを今断定的に申し上げられる状況にはございませんが、この「地方創生先行型」というのは、一つは「地方版総合戦略」の策定に係るもの、二つ目は「地方版総合戦略」における「しごと」づくりの事業、メニュー例としては、UIJターンの助成金とか創業支援とか販路開拓とか、これはかねてから御説明をしておるとおりでございます。
 それぞれの事情に応じまして、この配分の適正化を図ってまいりたいと思いますが、これは前回の会見で申し上げたことですけれども、なぜこのような配分になったのかということについて、公平・公正を期すのは当然のことでありますが、そこにおいて透明性というものを確保すべく今、作業を行っておるところでございます。
(問)現段階で「総合戦略」を作っている自治体はないわけですけれども、政府の方で、例えばその1月末までにこういう段階でもいいから出してくれですとか、そういった時期は区切ったりしないものなんでしょうか。
(答)それはいたしません。ただ、前から申し上げているように、早ければ早いほどいいですよと。ただ、拙速をもって尊しとせずなので、とにかく作りましたではいかんので、早くいいものを出した方がいいですよということだと思います。
 ただ、いいですよという言い方が何となく上からっぽく聞こえるといかんのですが、そこはやはり今まで、この「総合戦略」という形をとらなくても、KPIを設定しPDCAの仕組みというものを動かしてきたという自治体も相当数あるわけでございまして、そういうところにしてみれば、こういうものが出たことによって、国の総合戦略と符合する、適合する形で作るという作業は、比較的短期間にできるのかもしれません。
(問)先の国会で法律が制定されて、今回その戦略ができたということで、いよいよこの地方の地方版総合戦略というものが、どういったその質の高いものが出るのかということで、その地方創生がうまくいくのかどうかということが重要に関わってくると思うんですけれども、今回その情報支援、人的支援、財政支援ということで国としても支援していくということなのですが、自治体側の策定の進捗状況ですとか、どういった水準のものができているかということに対する目配りということに関しては、国はその、どのようにかかわっていくというお考えなのでしょうか。
(答)これは、調査票を回すとかですね、そういうようなことを考えているわけではありませんが、やはりそこの作業において都道府県が果たす役割というのは大事だと思うんですね。都道府県が、そこにございます市町村というものをよく見ながら、その進度あるいは内容の熟度において、あまり差が出ないようなコーディネートみたいな役割を果たしてくださいねということは都道府県に今もお願いをしておりますが、今後も折に触れお願いをしていかねばならないと思っております。
 国が一元的に北海道から沖縄までの状況を把握するというのは、なかなか難しいところもございますので、そこは都道府県とも連携をしながら、そういうような進度にばらつきがないようにしたいと思っております。
(問)冒頭の支援型交付金のお話で確認なんですけれども、経済対策でも盛り込まれているわけなのですが、これはその地方版総合戦略を出してこない自治体だとか、もしくは戦略のできが十分ではないといったところには、交付金は配分されないということでよろしいのでしょうか。
(答)理論的にそういうことがないとは申しません。もうとにかく絶対そんなもの作らないんだと、我が道を行くのだと言われれば、それはそれで一つの考え方でございますが、私が知ります限りにおいて、そういうところがあるというお話を聞いたことはございません。それは本当に地方と国が共同歩調をとりながら、地方創生、日本創生というものを成し遂げていこうということでございますので、そのようなことを想定を今、いたしているわけではございません。
 併せまして、そうは言ってもと、なかなか初めて聞く話だねと、なかなかそんなこともやったことないよねというところがないとは限りませんので、そこは先程都道府県の役割のお話をいたしましたが、地方創生コンシェルジュ制度というものも活用しながら、いいものを作っていただく。そして、なるべくは全ての自治体においていいものができるということが一番いいに決まっておるわけでございます。
 だから、やらないところはそれでもいいよというような突き放したことを言うつもりはございませんが、一緒にやりましょうということを、こちらの方としては常に姿勢として維持をすべきものと考えております。
(問)「総合戦略」についてお聞きしますが、まち・ひと・しごと創生本部が9月にできて、かなり日程的に短い間で作業されてきたというところだと思うんですが、改めてその総合戦略の中身について、大臣の評価と、そういった短い期間の中で全て完璧なものができたということはなかなか言えないと思うんですけれども、国としてやるべきことで足らざる部分、課題がありましたら、評価とあわせてお聞かせください。
(答)はい。短い期間でしたが、ここに盛り込まれていることは、今まで全く考えられなかったことではないわけですよね。ただ、それぞれの部署、部署において、あるいはそれぞれの担当者によって、こういうことがあればいいな、こういうことが何とかならないかなというようなことがあって、それを一つの総合戦略というものに取りまとめたという意味では、それぞれが断片的に行っていたもの、あるいはスケジュール的にずれがあったものを、それを一つに整えたというものだと思っております。ですから、これが漏れているということは現在私が知る限りございません。総花的(そうばなてき)ということではなくて、いい意味での、網羅的にそういうものを書いたものでありますが、それをばらばら並べるということではなくて、基本目標があり、そして、そこにおいて達成すべき主な重要業績評価指標、KPIというものを設定をし、それを行うにあたっての施策というものをストーリー的に作ったものなので、私自身として現時点において、いいものができたと思っております。ただ、これのそのボリュームが大部に渡りますので、小説家ではございませんので、読んでいてわくわくおもしろいというものではない。そこのところで、どうやって最後までこれをお読みいただき、全体の体系を御理解いただくかということについては、今、事務方にお願いをして、あるいは平副大臣、小泉政務官に担当していただいて、DVDを作るとか、あるいは、これから都道府県の担当課長の方々に来ていただいて御説明をするにあたっては、事前にこれをちゃんと読んできてくださいねというようなものを作るとか、あるいは本当にその方が理解をしたとしても、伝言ゲームで、だんだんその先へ行くにしたがって内容がよくわからなくなるというふうなことがないように、出来るだけ多くの、DVDを始めとする説明資料をお配りをするとか、それがまた行政機関の方々のみならず、先程申し上げたように、例えば学校であるとか、あるいは商工会であるとか、女性団体であるとか、そういうところにもそういうものをお配りをして、「ああ、そういうことなんだ、」ということをご理解いただくということは、これ必須だと思っております。
 事務方の方々は、年末もお正月も考えますという、大変意欲的な発言をしておられましたので、私どももそういうことを年末年始も考えたいと思いますし、私も地方に出張しますたびに地方紙の本社にお邪魔をいたしましてお話をしておりますが、地方のメディアにおいても、こういうことなんだねと、じゃあうちの県で、うちの県の市町村で、これをどうやって取り組むか、それを検証記事みたいなものを書いてみようねということをやっていただくのも重要なことだと思っておりまして、メディアの方にもお知恵を、お力を賜りたい、そういうような運動論はこれから先更に精緻に詰めてまいりたいと思っております。
(問)今回、法律では、1,788の自治体の総合戦略に関する努力義務規定が入っているわけですけれども、これは国として、やっぱり1,788の自治体全てが維持されると、維持することを目指すんだという姿勢なのか、というのはいろいろ消滅とか、撤退論なんかというのは一部で言われているところもあると思うんですが、その点大臣のお考えはどうでしょうか。
(答)これは平成の大合併というものがあって、それまでの市町村の数というものがかなり集約されたということでございます。今年単行本化された『地方消滅』でも、それは消滅になって仕方がないということを書いたものではなくて、このままいけば消滅しますねと、そうならないためにどうしますかということを記したものだと認識をいたしております。このお話を始めますときに、常に私が申し上げてきたのは、やはり基礎自治体というものが極めて重要なのだというお話をいたしてまいりました。やはり、全国にございますこの基礎自治体というものは、そういうような「総合戦略」を作り、国と共同作業を行うことによって全てが残ることが望ましいと私は思っております。そこに至るチャレンジというものを最初から考えないで、もうなくなっても仕方がないやというようなことを申し上げるつもりは私はございません。
 どうぞよいお年を。ありがとうございました。

(以上)