有村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年10月7日

(平成27年10月7日(水) 12:18~12:44  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 皆様、こんにちは。
 ただいま臨時閣議がございまして、辞表届を出してまいりました。
 去年の9月3日から13か月間担当をさせていただいた女性活躍を始め、6つの分野、去年は消費者、食品安全も含めて7つの分野を担当させていただいておりましたが、今日で一定の区切りを頂くことになります。
 女性活躍・男女共同参画、少子化対策、また子供の貧困がクローズアップされる共生社会政策、「内閣官房・内閣府見直し法案」を成立しました行政改革、それから「ゆう活」を実施いたしました国家公務員制度、そして「第3次答申」を取りまとめました規制改革、そして新たな国立公文書館建設に向けて建設地を2カ所に絞れたこと、そして消費者及び食品安全に関しては、課徴金の導入をする不当景品表示法の法改正の成立、あるいは3桁化ということで188、消費者被害を防ぐための3桁の番号化などを決定させていただきました。
 女性活躍・男女共同参画の部分におきましては、先ほど閣僚懇においても、安倍総理から女性活躍法案が成立して画期的にこれから進むと、その前提を担ってくれたとねぎらいのお言葉も頂きまして、1年間、13か月間、正にここにいらっしゃる記者の皆様とも一緒に政策を磨き、また情報を国民の皆さんに、皆さんを通して報道していただいた、その信頼関係を頂いてきたことに改めて感謝申し上げる次第でございます。
 私が担当させていただいた分野は、何人かの新大臣に引き継がせていただくことになります。詳しくは今日午後からいよいよ明確になっていく担当分野を確認してからということになりますけれども、昨日御質問を頂きました少子化、あるいは子供の貧困も含めて女性の活躍は、恐らくは1億総活躍の加藤新大臣に引き継がれるのではないかと思っております。
 昨日もこの場で申し上げておりましたけれども、やはり日本の将来を考えると、それぞれの希望がかなうようになって、そして単なる少子化部門、あるいは男女共同参画部門というのではなくて、それぞれが活躍できる、優先順位を上げていく、実際には政策の順位を日本全体の政策の中で上げていくということが極めて大事だと思ってきましたので、そういう意味では、発展、昇華されることに関して、本当に期待もいたしておりますし、その賛同が増えるということでの私たちの政策の具現化が、一層スピード感を増してなされるのであれば、大変有り難いことだと思いますし、私も自民党に戻ってまたしっかりと汗をかいていきたいと思っております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)フジテレビ、和田でございます。1年間、お疲れ様でした。先日の質問とややかぶりますが、1年間子育てをされながら超激務を担当されてきたという中で、幸いなことに安倍総理が少子化対策にこれから力を一層入れるという表明があったわけですが、少子化対策、子育て等含めて、この1年間のお仕事の中で、女性活躍のためには何が一番、一つだけでなくても結構です。大臣、どうお感じになったか、お聞かせいただきたいと思います。
(答)小さな子供を抱えながらの大臣ということで、やはり激務でございました。時間的拘束ということでは、一定マネジメントができるところで、私の3人プラス政務も含めた4人の秘書官が非常によくやっていただいた、関係部局も御協力をいただいたと思っております。
 ただ、小さい子供を抱えていると、もし私が倒れれば、こければ、小さい子供を抱えている女性議員はやっぱりだめだよねというふうに、烙印を押されることはあってはならない。事実上その一つのロールモデルというか、一つのターゲットにはされていましたので、ここでこけると女性のこれからに相当な御迷惑をかけることになるというプレッシャーは常にありました。
 それを何とか任期満了ができたのは本当に幸いだったですし、そこに御協力を頂いた方々みんなに、本当に素直に感謝したいなと思っております。
 子育て世代、あるいは少子化対策ということ、あるいは女性の活躍ということでは、やはり1年強仕事をさせていただいて、日本人の働き方を変えなければいけないと思っております。それは国家公務員もしかり、そして政府の働き方もしかり、また、民意を代表して政府に質問をしていただく与野党の国会質問もしかりでございます。やはり女性の活躍というなら男性の働き方を変えなければいけない。そして、女性の活躍というなら、それは従来の男社会の男の働き方をいかにまねするか、いかに同化するかという、かつてのそういうスタイルでは全くなくて、男性・女性が共に特性を活かし合って、仕事場でもまた家庭のマネジメントでも、お互いにそれなりの時間と心のゆとりを持って向き合うというスタイルを日本がこの時代に構築できるか否かが、今後の日本の労働力の担い手、あるいは社会の担い手、あるいは税金の担い手という意味でも極めて重要になってくると思います。
 そういう意味では、引き続き構造的な変化を促す、安倍内閣でも改革を続けると、今朝も総理から御宣言がありましたし、ここの部分での制度、仕組みの改善はもちろん、意識の変革という意味では、男女共にワーク・ライフ・バランスを、いわゆるお題目というのではなくて具現化していくような仕組みを、どれだけ社会の細部にまで入れ込めるかということが鍵になってくるかなと思っております。
(問)(フジテレビ・和田記者)ちょっとプライベートな部分に踏み込んでしまうかもしれませんが、もちろんスタッフの協力があって1年間もったんだと思うんですが、大臣御自身はプライベートな部分を含めて、どんな知恵があったから1年間乗り切れたのでしょうか。
(答)日々難題というか、難しいところが集まってくるのが大臣室の怖さだというふうに痛感をする1年強でございました。やっていることの目的に堅固であれと、その目的は何だと、日本の将来にプラスになるかどうか、そのことに鑑みて、さあ、今アクションを起こすか、放っておくか、何らかの手を誰かにやっていただくかというような、目的、本来私が大臣として果たすべき目的は何かということを常に自問してきました。
 もう一つは、正に今日この日を迎えるわけですけれども、私が去る日に何を残していけるのかということを、実は着任早々から考えておりまして、私がいなくなった後に、例えば職員の皆さんの考え方や姿勢や国民に対する行政サービスの在り方ということ、例えば一つ御紹介しますと、伝わって何ぼだと、答弁一つ、私たちが書く書類一つ、皆さんに、私たちが仕えるべき主権者に真実が伝わって初めて意味をなすということは相当言ってきて、それを意識してくださる部局の方も増えてきました。
 そういう意味ではトイレという新たなチャレンジもさせていただきましたけれども、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて本当に安倍総理がおっしゃるように、たそがれというのではなくて、躍動感のある日本を作っていく、そういう意識でやってきたと思っております。
(問)毎日新聞の山田です。1年余りお疲れ様でした。子育てや少子化、男女共同参画、女性の活躍などの分野の中で、大臣の自己評価というのをお伺いしたいのですけれども、この1年余りの中でこれは成し遂げたなという成果、実績みたいな点と、一方でここはなかなか力が及ばなかったな、もう少しやりたかったなという反省すべき点、それぞれ最も大きいという点を1点ずつに絞ってお答えいただければと思います。
(答)実は、そこに関しては、前回、昨日の記者会見で申し上げているところでございますけれども、正に「女性活躍推進法」という10年間の時限立法を成立させていただいたことです。それはやはり女性活躍という新たな大臣職ということで、今回は1億総活躍ですけれども、その中でのハイライトはやはり立法に取り組み、また完遂できたということだと思っております。
 それから、やはり女性の政治参画、あるいは社会参画という意味でも、全国都道府県議会、市町村議会も含めて、議会で産休規定をしっかりと明示していただけるように、各議会で明確化したことは政治分野という世界の中で日本が最もジェンダー平等の中で遅れられていると指摘されている分では、一歩、一つになったのではないかなと思います。
 理工系の女性が大事だということで、相当それにも関心を持たれるようになったことは有り難かったと思っています。
 「少子化社会対策大綱」、5年に1遍ということで、結婚の支援、それから山田さんとはいろいろありましたけれども、やはり生物学的、医学的に正しい知識を若い段階でお伝えするという、知事会からもまた各学会からもリクエストが多かった、不妊を卒業した方からも多かったここの部分に第一歩を歩めたということは、これから御議論があるけれども、方向としては絶対に間違っていないと思っております。
 それから、あえて課題というふうに申し上げれば、やはり、少子化を担当部局の予算だけ、あるいはマンパワーだけというのは、やはりドラスティックな変化は望めません。当然ながら国民それぞれの御希望に基づく意思決定がなされ、また尊重されるべきものでありますけれども、これだけ少子化が、また人口減少が進む中では、大胆な予算配分をして、そして結婚しようと、第一子を授かろうと、あるいはより多くのお子さんを授かろうと思えるような土壌を作っていくという意味では、本当にここの部分のいろいろな壁、意識の壁というのに相当ぶち当たった1年でもありました。
 それゆえに、1億総活躍ということでの加藤新大臣ともここの部分はしっかりと今後も対話をさせていただいて、幸せとそしてお子さんが増えるというような将来が具現化されるように、私も実効性のあるアシストさせていただきたいと思っております。
 「子ども・子育て支援新制度」。やはりこれは今年の4月から予定どおりできた、しかも消費税が引き上げを延期するということで、その総理の秋の判断がなければ、この10月から消費税は10%になっていたはずでございましたが、今やはり見ても、今消費税を上げるというのはなかなかに厳しい局面だったな、当時はこの経済というのは分からないわけですが、そういう総理の判断というのは総選挙を経て支持を得たわけでございますが、それを財源に、当てにしていた「子ども・子育て支援新制度」がやはり政府、政治の意思を示していただきたいと、総理にも直談判し、財務大臣にも直談判をして、予定どおり全国の自治体の御協力を頂いて、そして実際も待機児童受け入れ枠を予定よりも増やしていただいて、それが新たな待機児童を生んでいくという、今追いかけっこになっておりますけれども、そういう機運のベクトルになったということに、担当大臣として担えたというのは一定のやりがいと満足感を感じております。
(問)朝日新聞の伊藤です。1年間、お疲れ様でした。
 先ほど、言及されていた少子化対策の部分でちょっと追加でお伺いしたいのですが、先日の記者会見でも安倍総理がおっしゃられた希望出生率の1.8がそう簡単な数字ではないというふうにおっしゃっていました。今もいろいろな壁、意識の壁をお感じになられたということでおっしゃっていましたけれども、特にどういったところで壁を感じてこられたのかということと、あと新大臣に期待されることをお願いします。
(答)総理がおっしゃっていた出生率は希望出生率と、ここは意識して希望ということで、当事者である御夫妻なりが希望されるのであればということで、そこは総理もそれぞれの意思決定を尊重されるべきものというのが当然前提としておありになると思っています。
 地方創生の方でもありました、選択する未来でもありましたけれども、1.8というのはやはりそう簡単な数ではない、極めてチャレンジングな目標であると思います。
 ただ、この目標を日本のトップリーダー、総理御自身がおっしゃるということで各部局、あるいは各省ともそれを前提にした動きが加速されるという意味では有り難い、目標の宣言の優先順位が上がったと思っています。
 同時に、物理的に大変チャレンジングな数値でございますので、少子化ですよと、子供授かりたい方は是非というだけではやはり動かない数値だと事実上思います。
 どれだけ安心して将来に希望なり期待を持って夫婦になられるか、その地を好きになって地域創生、地方創生を担う家庭、根付いた家庭をその地域で築かれるかということを考えれば、おのずから財源問題にぶち当たります。「子ども・子育て支援新制度」も財源のめどとしていたものがなかったにもかかわらず、引っかき集めて何とかこの4月からスタートをさせていただいて、まだまだ改善の余地はありますけれども、何とかスムーズに日本社会に根付こうとしている中で、この7000億円、また最終案としては1兆を超える予算をこちらに持ってこなければいけないという目の前の課題がある中で、それ以外の財源なり政策なりマンパワーなりを持ってくるという、果たしてその布陣ができるかどうか、その体制なり優先順位をそこまで上げることができるかというのは、新大臣、安倍内閣、また日本が抱える構造的に大きな転換点になろうか思います。
 当然お金は降ってきませんので、どこかを削って若い世代、子育て世代への配分、富の再分配ということをしていくことになりますので、納税者の理解、また世代を超えた共助の精神をどれだけ、一定の方には痛みを伴うということもしてこないとお金は寄せ集められませんので、そういう意味では、ここまでならそうだな、フェアだなと思ってもらえる国民世論をどれだけ一歩一歩築いていけるかというのは、政府及び私たち与党の大事な課題だと思っております。
(問)共同通信、瀬野です。1年超お疲れ様でした。今の質問にちょっと関連するのですが、先ほど党に戻ってからも、ある意味ライフテーマとして、少子化に取り組んでいきたいという御宣言を頂いたかと思っているのですけれども、出生率が回復した国では、ある意味多様な家族形態、結婚の形態を認めて、社会的に手厚い支援を行うことで回復した国もございます。ただ日本では、そのあたりまだ偏見というか、政府与党内にも慎重な声が多いと思うのですけれども、今後大臣が取り組んでいかれる中で、そのあたりも含めてどのように対応されていくか、ちょっとお考え聞かせてください。
(答)女性の活躍なり、1億の総活躍ということではそれぞれの持っている特徴なり、あるいはライフステージで直面していることも認め合って、それぞれができる範囲のこと、自分の持っているタレントや能力を活かしていくということが大前提にあると思います。そういう意味では、ワーク・ライフ・バランスという意味では、多様な働き方ということもこれからも進めていかなければならないと思っております。
 多様な家族ということが具体的に何を示すのかというのは、それぞれの文脈によって異なってきますけれども、例えば避けて通れない大事な課題はひとり親家庭であり、またその中でもやはり貧困にさらされていることの多い母子家庭であろうかと、それが顕在化してきたということは、子供の貧困って、こんなことがあると思わなかったと、皆さん率直にこの1年御指摘いただくことがあったのですが、それが表に出てきて、そしてそれを単なる省庁縦割りではない、注目される中で支援をしていくという機運が高まってきた中での、様々な多様な家族というところへの支援につなげていければと思っております。
 以上です。
(問)共同通信の工藤です。よろしくお願いします。1年余り本当にお世話になりました。ありがとうございました。
 女性活躍担当の初代大臣として着任なさったわけですけれども、たしか就任会見のときに、当たり前に女性が活躍できる世の中になれば、いつの日かこういった肩書きというもの自体がなくなるというふうにおっしゃっていたかと記憶しているのですけれども、女性活躍の担当は1億総活躍の担務の中に入ってくると思うのですけれども、大臣御自身として、まだ残されている課題というのがどういう点なのかというのを教えてください。
(答)そうですね。工藤さんから今御紹介いただきましたけれども、女性活躍担当大臣として去年の9月に就任させていただいて、究極的には、この女性活躍担当という担当の大臣を置かなくても、男女が共にあるいはそれぞれが特徴を持った方々がそれぞれ花開く可能性やあるは能力、意欲を花開かせる、そういう社会ができるようにとなっていくための、今は当面女性活躍が大事だということでの新しいタイトルだと思いますと率直に申し上げました。では、今回それが1億総活躍の中に昇華していくということで、女性活躍が十分にできているかと言えば当然ながらまだまだ道半ばでございます。
 来年の伊勢志摩サミットでも日本、安倍総理が議長国となられる中で、この女性の活躍、あるいはジェンダーイクオリティーということ、女性の初等教育へのアクセスなども含めてG7でも話し合っていただけるということを宣言していただいておりますし、そういう意味では総理も明確に内外におっしゃっている、2020年までに指導的立場に女性が3割以上を占めるということも、これまた率直に着任以来申し上げていますが、相当ハードルの高いチャレンジでございますが、女性が意思決定の場に、政治の場に、閣僚に、あるいは政党に、あるいはそれぞれの地域の団体に入っていくことによって、それがやはりプラスだと、男性の働き方をも含めて、高齢者にもお子さんにもみんなにとって働きやすい、過ごしやすいいい社会になると、そういうことを実感として持っていただける国民の割合を増やしていかなければいけないし、それが成功につながるキーだともいうふうに思っていますので、引き続き男性対女性というような対立構造ではなくて、お互いがお互いを高め合うというところで安倍内閣で進めていただけるもの、またそれを自民党の一員としてサポートもしていかなければいけないと思っております。
 以上です。

(以上)