有村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年9月4日

(平成27年9月4日(金) 9:04~9:27  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 皆様、おはようございます。
 まず、国家公務員制度担当として御報告をいたします。
 7月1日から8月31日まで実施いたしました国家公務員の「ゆう活」、朝型の勤務体制について、3回目のフォローアップとなる8月26日水曜日の結果を御報告いたします。
 本省等内部部局の職員約4万人のうち約2.3万人がこの「ゆう活」を実施し、そのうち8月26日の実績は、くしくもスタート日の7月1日及び7月29日と同じであり、約65%の職員が定時退庁することができました。また、20時までに退庁できた職員の割合は8割弱でございました。国会会期中ということも考えれば、一定の成果があったものと考えております。
 今年の国家公務員の「ゆう活」は7月、8月ということでしたので終了いたしましたが、「働き方改革」は緒に就いたばかりです。「ゆう活」を一過性のイベントとして終わらせるのではなく、これを契機に働き方の見直し、業務の効率化に引き続き取り組む必要があると考えます。
 今後、職員の満足度あるいは意識改革に関するアンケート調査や、「ゆう活」の取組全般についてのフォローアップを行い、成果を検証した上で、改めて皆様に御報告したいと思います。その結果を踏まえ、来年度以降も可能な取組になるように検討を加えていきたいと考えます。
 詳細については、内閣人事局にお問い合わせをいただきたいと思います。
 また、女性活躍担当としての御報告でございますが、本日9月4日金曜日14時から、六本木の国立新美術館において「日本トイレ大賞」の表彰式を開催いたします。詳細は、前回申し上げましたので割愛させていただきます。
 冒頭の御報告は、私からは以上です。

2.質疑応答

(問)おはようございます。毎日新聞の山田です。
 前回に引き続いてなのですが、高校生向けの副教材で、「妊娠のしやすさの年齢による変化」を示すグラフが誤っていた件なのですけれども、グラフ自体が差し替えられることは決まったところなのですが、このグラフの縦軸の説明で、「妊娠のしやすさ」という表記になっています。そこは変わっていません。この「妊娠のしやすさ」という言葉なのですが、本来の論文の表記とは異なっていて、しかも、曖昧な表現で誤解を生みやすいという指摘もありますけれども、この「妊娠のしやすさ」というのは何を示しているものなのか教えてください。
(答)御質問をいただきました高校生の副読本についてでございますが、内閣府において正誤表に掲載するグラフは、国際的に評価の定まった学術雑誌に掲載された論文からの引用であり、その引用元も明確にしておりますので、信頼性は高く、適切だと認識をしております。
 もとより女性の妊娠は、様々な要因から影響を受けるものでありまして、「女性の妊娠のしやすさ」ということは不適切だというふうには認識をいたしておりません。的確な手続を踏んでいただいたと思っております。
 このことで教育関係の方に新たなお手数をかけたことは、前回また以前にも複数回、非は内閣府で、担当大臣としてもお詫び申し上げますということも明確にしており、その意思に変わりはございません。その正誤表を文部科学省と連携して全国に出すという手続もしっかりと踏ませていただいたと思っておりますので、その事後の手続においては適切だったと認識をしています。
 同時に、一部皆様から御懸念をいただきましたけれども、国家公務員が内容について手を加えたということは一切ございません。専門家の方々、また今回の御指摘を受けて、第三者の専門家としての、不妊症の学会の専門家からもセカンドオピニオンを当然前からとっていたのですが、第三者のレファレンスもかけておりますので、その手続は適切であったと認識しております。
(問)(毎日新聞・山田記者)すみません、質問したのは、「妊娠のしやすさ」というのが何を示しているのかというのを教えてほしいということなのですが。
(答)「妊娠のしやすさ」というのは、文字どおり受け止めていただいて結構です。先ほども申し上げましたが、もとより様々な要因があるということは当然のことでございますので、その内容については専門家の方々に聞いていただきたいと思います。
(問)(毎日新聞・山田記者)すみません、最後に、「妊娠のしやすさ」について文字どおりということなのですが、その文字どおりの意味が誤解を招きやすいという御指摘があるのですけれども、この点について、この問題をずっと取り上げられてこられた少子化担当大臣が、簡単な言葉、平易な言葉で説明できないようであれば、高校生の教材として取り上げるのも不適切かなとも思われますが、いかがでしょうか。
(答)山田さんの御指摘、恐らくおっしゃりたいことは、いわゆる性交の頻度や男性の加齢ということもあるということであろうと思いますけれども、これを調べたい方は、今回出典で、どこに行ったらこの原文のオリジナルに当たれるかということも明記しておりますので、そこは適切であったと認識しております。
(問)毎日新聞の細川です。よろしくお願いします。
 「ゆう活」についてお伺いします。今回、定時退庁割合が、前回2回の調査と同じく65%ということで、大臣もおっしゃったように、国会の影響ももちろんあるとは思うのですが、それだけではないような気も取材をしていて感じるところがあります。参加率、多分上げることを目指していたと思うのですけれども、なぜ上がらなかったのか、その要因というのは現段階で考えられることがあれば、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)先ほど御報告いたしましたように、本府省等の内部部局の職員が約4万人、参加はそのうちの約2.3万人でございました。参加率というお問い合わせですが、例えば、子育て、介護などで朝、夕方に時間制約がある方は、そもそも参加していないというところが考えられます。また、やはり国会開会中、つまり、日常的に立法府、議員からの質問通告などの対応があるところは、そもそも相当負荷がかかっておりますので、参加し切れていないというところがあろうかと思います。恐らく省庁によっても、また同じ省庁の中でも部局によって取組方に温度差がありますので、早期の出勤がどうだったのか、また定時退庁はどうだったのか、それが7月、8月でどちらが参画しやすかったのか、いろいろな傾向が出てくると思いますので、全体としての数値を追うだけではなくて、個々の意見を是非丁寧に拾っていきたいと思っております。
(問)(毎日新聞・細川記者)すみません、大変失礼しました。達成割合についてもお聞きしたかったんですけど、ちょっと忘れてしまって。
(答)達成割合というと、65%のことですか。
(問)65、65、65%で、本当は68%とか70%、80%に上げていくつもりだったと思うのですけど、これが増えなかった理由についてもちょっと伺えますでしょうか。
(答)このことについては、私自身も意識的に皆さんにヒアリングをしましたけど、やはり賛否両論受け止め方もいろいろあるなというのが偽らざる実感でございます。むしろ私自身は、7月1日と29日と8月26日をとってみて、よく頑張ったなと、よく落ちなかったなと思っています。最初は頑張るけれども、勢いが削がれていくという、活動論としてはそういう傾向も間々ある中で、そういう意味ではよく堅持していただいたなという認識でございます。ただ、省庁によってちょっとムラがありますので、そこはやはりてこ入れをして、全事務次官が集まる会議でも、ワーク・ライフ・バランス、女性の活躍、少子化対策、また「働き方改革」という意味からも、よりこれが持続可能な仕組みになって、本当の「働き方改革」につながるような組織の取組、組織の習慣にどう昇華していくかという点について、秋からの検証が極めて大事だという問題意識を持っております。
(問)共同通信の飯川です。大臣、おはようございます。
 昨日、委員会で採決されましたけれども、内閣府と内閣官房の業務見直し、いわゆるスリム化法案が、この後、参院本会議で可決、成立される見通しですけれども、大臣、昨日の委員会でも本来機能に戻す、重要政策に関する司令塔機能という本来の役割を戻すことに意義があるというふうにおっしゃっていましたが、改めて、成立前ではありますけれども、本法案の意義と今後の意気込みについてお考えをお聞かせください。
(答)この後、予定どおりにいきますと、10時からの参議院本会議がございまして、そこで国家行政組織法の改正案、いわゆる通称スリム化法案を参議院本会議で採決をしていただく予定になってございます。法案を成立させていただくことになりましたならば、大変ありがたいと思っています。狙いは、昨日の委員会でも答弁をさせていただきましたが、総理のリーダーシップ、また、その思いをしっかりと具現化できるような行政組織の体制のあり方、その適切性をより精査していくということで、省庁再編以来14年間で内閣官房、それから内閣府に集中し、結果的に肥大化した組織を改めて総理周辺の機動性、また戦略的な仕事に集中していただけるようなキャパシティを維持するということです。
 14年前の省庁再編以来、初めての法改正となります。今後、官邸、内閣官房、内閣府に議員立法などで出てくる新たな業務には、新たにサンセットと言われる期限を決めて、そして一定の方向性がついたら、現場に最も近い各省庁で担当いただくことができるように今回初めて、総合調整の機能、これは内閣府と内閣官房だけが持っていた機能ですけれども、それを各省庁にもお持ちいただくということで、より機動的、また縦割り行政の弊害を乗り越えていくような体制の一歩にしていきたいと思っております。
(問)(共同通信・飯川記者)関連して、法案自体には盛り込まれませんでしたけれども、政府としては、3年後をめどに、その両組織の業務を改めて見直す方針かと思います。大臣も従前から不断の見直しが必要というふうに御見解を示されていますけれども、この見直し部分について、どういった観点で、どのように見直し、見直した結果、組織改編等もまたあり得べしということなのか、現時点でのお考えをお聞かせ願いたいのですが。
(答)3年後の見直しを閣議決定いたしておりますけれども、3年後にどのような見直しをするのかは、当時の担当の方を始め、そこを何ら制約するものではございませんけれども、当然のことながら、14年前の省庁再編、また、それから遡ること4年をかけての橋本行革からうたわれてきた理念、すなわち官邸、総理のリーダーシップと、戦略的機動性・即応性を総理の近くで担保する、そして、各省庁の縦割りの弊害を乗り越えていくことの趣旨、主な価値観が守られるかどうか、と思っております。ただ、どの時期のものにするのか、どの省庁が多いのか、あるいは議員立法のサンセットがどのくらい進んでいるのかの意識を共有する大きな法案の一歩になりますけれども、これからの3年の経過も踏まえての見直しになろうかと思っております。
(問)フジテレビ、和田でございます。おはようございます。
 また「ゆう活」に戻ります。私は、半分印象みたいな話で恐縮ですが、国家公務員の方に限って、更に「ゆう活」というか働き方の改革を進めるにはどうしたらいいのかという観点からちょっと質問させていただきたいと思うのですが、早朝出勤実施者の定時退庁割合が65%であった。これが3回とも変わらず、上がりはしなかった。裏を返せば、35%の方は早く来たにもかかわらず、やはり遅くまで働いていたという点が1点と、全職員の20時までの退庁割合が、今回79%であったと。これは6月24日のこの「ゆう活」実施前の71よりは上がっているのですが、「ゆう活」期間中は88、83、79と下がってしまったということを考えますと、「ゆう活」前よりは8%上がっているのですが、相当強い意気込みでやった割には、民間の肌感覚でいうと、ちょっとなという印象を受けたのですが、これは大臣もおっしゃったように、私も三、四十年見ておりますが、どうしても国会の影響というのは大きいと。具体的に申し上げれば、質問取りをして夜中までかかって、応答要領をせざるを得ないという構造的な問題があると。これを仕事の中身を変えるか、あるいは「働き方改革」の仕方、「ゆう活」の仕方を変えるかしないと、これ以上の進展は望みにくいかなという印象を実は持っておりまして、その辺、大臣は、総括はこれからということだと思うのですが、この国会の仕事というのをどう乗り越えていけるのか、いけないのかといったあたりのお考えをお伺いしたいと思います。
(答)本質的な御懸念、また御提案をいただいていると思います。やはり早朝に来られた職員の方が定時に退庁できないということは、結果的に労働強化になりかねませんので、御指摘のとおり、35%がなぜ起こっているのかということは精緻な調査が必要だと、実は私もその数値、トレンドに強い関心を寄せています。
 御指摘のように、6月24日より、20時までに退庁できた職員が増えているということは一定の評価ができていますが、8割を下回っているという事実には注視が必要だと思います。おおむね国会での負荷を考えれば善戦ではないかと現時点での概論としての印象は持っておりますが、一過性のイベントとしない、「働き方改革」につなげるという意味では、具体的なアプローチを積んでいかなければならないと思います。その具体性という意味で、この2カ月をやってみて、感覚ですが、国会の質問通告は大きな負荷になっています。26時、27時という時間帯で働いている、それが恒常的とおっしゃいましたけど、それが果たして健全なのかという問題意識は、与党のみならず野党からも、質問通告を前々日の夕方6時までに出そうということに対して御協力をいただく、その妥当性を支持してくださる発言が国会の答弁でも出てきたというのは、一つの成果だと思っています。
 今回、「ゆう活」ということで、全省庁を挙げてこのように「働き方改革」に向き合う、この規模でやったことは初めてでございまして、例えば予算編成の時期、その準備をするための時期をあらかじめ全省庁においてずらして、7月、8月は帰りやすくする。あるいは、定時退庁ができるよう、例えば5時15分以降はできるだけ会議を持たない、つまり、そこにいるのが前提、当たり前にしないということでは、相当の方々が意識をしていまして、夕方から会議をセットするのが当たり前という状況ではないという第一歩が歩めたかと思っています。
 それから、作業、調査の重複排除も、これからも不断に見つめていかなければいけないと思っていますので、単に早く「働き方改革」をしようというだけではなくて、それをどう習慣にするのか、行動にするのか、目に見える行動として何が変わるのかというようなアクションベースに落とし込むには少し時間が要るかなとも思っております。長期戦で粘り強く、しかし、確実に実を取りたいと思っております。
(問)更にちょっと印象だけ申し上げますと、特に国会について言えば、国会の協力も得て仕事の仕方が変わるようにするか、あるいは「ゆう活」の仕方を変えるような知恵でも出さないと頭打ちになってしまうかなという気はいたします。
 以上です。
(答)御指摘を受け止めます。やはり27時が当たり前になってしまえば、子育て世代、介護が必要な世代の方々をその職場から実際に持続可能な形で働けるという形にはなりませんので、その現状を皆様も報道してくださっていますし、私も度々言及すること、この現実を御報告することによって、立法府の与野党の先生方の質問権、発言権、調査権を最大限尊重しながら、国家公務員の働き方も持続可能にしていくような、その日本の持続可能性につながる働き方を引き続き発信し続けたいと思います。
 幸いなことに、民間での朝型勤務と相まって相乗効果が出ていると思いますので、民間での良い事例、地域の取組、また地方自治体の取組ともどのように連携できるかということ、その組織、運動体としての広がりもこれからまた深掘りしていきたいと思っております。

(以上)