有村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年6月9日

(平成27年6月9日(火) 9:07~9:24  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 皆様、おはようございます。
 少子化対策担当大臣として御報告を申し上げます。
 先週6月5日に厚生労働省から発表されましたとおり、平成26年の出生数は100万3532人と過去最低となり、合計特殊出生率も1.42と9年ぶりに低下いたしました。婚姻件数も戦後最少となっております。人口の自然増減数も約27万人の減少であり、これは過去最大の減少幅となっています。
 少子化対策担当大臣として、今回の内容、報告を重く受け止めています。
 1994年のエンゼルプラン以来、20年にわたって少子化に対する取組を日本政府として進めており、別の見方をすれば、その成果もあって出生率1.42をかろうじて維持できているという見方もあろうかと考えられますが、いずれにしても、晩婚化、晩産化、非婚化を主な要因として、少子化の傾向に歯止めがかかっていないという状況は脱し切れていない、そんな現実の見立てをいたしております。
 例えば、平均初婚年齢及び第1子出産年齢は、約30年前と比較して、男性で3歳ビハインド、女性で約4歳ビハインド、上昇していることになります。
 生涯未婚率は、2010年には、男性が20.1%、女性が10.6%となっています。50歳時点での未婚率ですから、これを生涯と言うのは、ちょっと名称と実態がかけ離れているなという、そういう名称だと私は印象を持ちますけれども、いずれにしても、50歳時点で一度も結婚をしたことがないという方々の率が男女共に上がっているという傾向にございます。
 今後、20代・30代の女性の数は更に減少していくということも予測されています。
 そんな中で、今後の取組次第で、我が国の将来は大きく違ってきます。長きにわたる少子化によって危機的状況にある我が国の少子化のトレンドを、どんどん下がっている、加速しているという、このトレンドをせき止めて反転させていくというのには、相当なエネルギーや国民的運動、尋常ならざる努力が必要だと率直に認めます。
 まずは、今年3月に閣議決定をいたしました少子化社会対策大綱において初めて打ち出した価値観ですが、「結婚支援」や「多子世帯支援」、3人目、4人目を産み育ててくださる世帯の応援など子育て世帯全体の支援の取組を速やかに具体化していきます。このために、私の下で、新たな検討会を開催し、有識者あるいは現場の方々の知恵をいただきながら、スピーディに検討を進めていきます。新たに設ける検討会におきましては、子供を授かることを希望されている方が、今がまさにそのタイミングなんだ、希望を実現しようと思っていただけるためには、どのような取組が必要なのかを考えていきたいと思います。もとより、結婚や出産は、当事者の主体的意思、選択によるものであり、その意思や選択は尊重されなければならないという大前提を明確にいたします。同時に、様々な事情があって結婚すること、あるいは子供を授かることについての希望がかなえられない方々もいらっしゃる、そういうことに対する配慮を常に社会全体として持つ必要があることも申し上げます。それゆえに、結婚に関するステータス、あるいは子供の有無によるハラスメント、あるいは妊娠や子育てに関する様々なハラスメントがない社会づくりが必要だと、この部分も同時に進めていかなければならないと考えております。
 検討会の詳細につきましては、早急に決定をし、御報告いたしたいと存じております。
 第2次ベビーブームのときには、毎年200万人以上の子供が生まれていました。そのときに生まれた、いわゆる「団塊ジュニア」の方々も、今や40歳を超えています。我が国の将来のために、少子化対策に向けて我々が悠長に構えている時間はありません。この危機を乗り越えていく上で、政府が単独でできることには限界があります。納税者、主権者でもある国民の皆さんのご理解をいただきながら、地方公共団体や経済界、子育て支援団体を含む民間団体、様々な方々とも連携を強め、社会全体みんなで若い世代を応援し、望みをかなえ、子育て世代を応援していく取組を進めていきたいと考えております。
 私の方からの冒頭の発言は以上です。

2.質疑応答

(問)テレビ朝日の中西と申します。
 今、大臣の方から話があった少子化対策で新たな検討会を設けられるということで、詳細は、これから早急に決定していくということなのですけれども、現時点でイメージされている報告会の内容とか、大体いつ頃にその詳細というのは決定されるのかということをお伺いしたかったのですが。
(答)検討会の詳細については、早急に決定し、報告したいと思っており、今、具体的な人選に入っております。この5年を集中取組期間と定めておりまして、そこで、単にアイデアをまとめるというだけではなくて、アクションを打ってその効果も検証していくような、そういう限られた時間の制約の中でスピーディに動いていかなければならないという下では、そう遠くない将来に発表できるのではないかと思っております。
(問)NHK、霜越です。おはようございます。
 検討会なのですが、これはまず1点目、有村大臣がトップなのかということと、これ、具体的には少子化社会対策大綱を具体化していくための検討会ということでよろしいのか、若しくは全く新しい何か施策を打ち出していく検討会なのかというのをお伺いできればと思います。あとスケジュール感、もしあればお願いします。
(答)今度の新たな検討会は、ヘッドは私になります。
 今まで少子化社会対策大綱をまとめるために、その検討会を何度も組んでいただいておりましたけれども、その有識者の方々から御議論いただいて提言をいただいて大綱になっておりますので、今回の検討会は、この大綱で重点課題、大事だよというふうに挙げた価値なり考え方を速やかに具体化していくために開催していきます。具体的なアクションを打っていくためのタスクフォースというようなイメージになるでしょうか。大事な価値を大綱で打ち出しましたけれども、それをどうブレークダウンして現場に響くような形にしていくかということを緻密に議論していく場になろうかと思っております。
 スケジュール、タイムラインは、今後、また御報告させていただくことになろうかと思っております。
(問)共同通信の工藤です。おはようございます。
 2点お願いします。検討会の件なのですが、第1回は6月中というふうに考えておいていいということなのかということと、あと、具体化するに当たって、これは夏の概算要求に盛り込む御予定があるのかということについてお尋ねしたいのが1点と、あともう一つ、政党交付金について、女性の数に従って配分を変えていくというような一部報道があることについて、大臣の今の御見解をお願いします。
(答)まず、冒頭に御質問をいただきました、新たな検討会は6月中にキックオフかどうかということですが、スケジュールも含めて、今現在、人選に入っている状況でございます。先方の御都合もありますし、できるだけ速やかに御報告できるように準備を整えてまいりたいと思います。
 概算要求ということは、その検討会の内容にもリンクいたしますが、当然これだけ少子化が危機的状況に直面をしているという中で、少子化対策というのは、今日手を打って明日効果が出るというものではございませんので、そういう意味では、この危機感を背負って、この分野の政策的優先順位をどれだけ上げられるか、そこに国民・納税者の支持、あるいは各省庁の協力をどれだけ仰ぐことができるかということも大事な要素になってくるので、様々なタイミングを見据えながらの今回の検討会の立ち上げだと認識をいたしております。
 後半御質問をいただきました政党交付金に女性枠ということで、今朝の新聞に一部報道があったかと認識いたしております。今までも明確に申し上げてきましたが、我が国において女性の活躍を進めていくという潮流の中にあって、また、そのドライブをかけていくという中において、政治分野における女性参画の状況が、国際的に見ても極めて低い水準にあるということは事実です。そして、この分野に取り組まずして全体の女性の活躍ということは達成し得ないということも事実でございます。そういう意味では、政治分野において女性の参画拡大を広げていくことは、政治に多様な民意を反映させる、そもそも有権者の半分が女性でいらっしゃいますから、そういう意味でも極めて重要な方向性だと思っています。私自身も各政党に、自主的なポジティブアクションの導入に向けた検討をお願いしてまいりましたし、そして、全国の地方議会において産休の議会欠席規定を盛り込むことも具体的に動いてきましたし、そういう意味では、この部分に引き続きタックルしていきたいと思っております。
 男女共同参画会議専門調査会においても、政府から働きかけを強めるべしという議論がなされているというのも事実でございます。
 政党助成法に女性枠をということ自体に関しては、いろいろなお考えあるいは動きがございますけれども、政府として具体的な検討を直ちにしているとは承知いたしておりませんので、私が今朝申し上げられることは、この方向で政治参画を強めていかなければいけないという問題意識は当然持っておりますという段階ぐらいでしょうか。
(問)(共同通信・工藤記者)関連で、では、政党助成法の改正案を次期国会に提出するというようなお話もあるようですけれども、それについてはいかがですか。
(答)今申し上げましたとおり、具体的な検討をしているとは承知しておりません。
(問)日経新聞の甲原です。
 少子化の検討会ですが、メンバーはどういった方を想定、民間なのか自治体の関係者とかも含まれるのか。それから、名称のイメージなどもあれば教えていただきたいのですが。
(答)せっかくの御質問ですが、これから詰めていくことになります。けれども、やはりその分野に知見があって、現場や専門的知識を持っておられる方で、何十人もいる大きな会議というよりは、機動性を持たせるということに私も強い関心がありますので、メンバーはマイクがなくても議論が聞こえるような、そういうメンバーの構成になるのではないかと思います。当然ながら、各層の意見ということ、あるいは考え方にも配慮するという意味では、いろいろな考えのバックグラウンドをお持ちの方に入っていただこうとは思っております。
(問)フジテレビ、和田でございます。おはようございます。
 今の検討会なのですが、大臣がトップとおっしゃいましたけれども、会議自体の性格付けは、大臣の私的懇談会みたいな位置付けなのでしょうか、別のものなのでしょうか。
(答)当然、私としては少子化対策に効果を持たせたいということでございますから、私に対して意見を言ってくださるブレーンというような位置付けになろうかと思います。

(以上)