有村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年4月10日

(平成27年4月10日(金) 9:51~10:15  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 皆様おはようございます。
 冒頭、少子化対策担当大臣及び国家公務員制度担当大臣として御報告いたします。
 本日の閣僚懇談会におきまして、男性の国家公務員の育児のための休暇・休業取得の促進について発言をいたしました。
 長時間労働などによって男性の家事・育児への参画が少ないことが我が国の少子化の原因の一つになっています。先月、閣議決定をいたしました少子化社会対策大綱においては、長時間労働の是正など男女の働き方の見直しに加えて、配偶者の出産直後における男性の子育てを目的とする休暇の取得率8割を目指すことを明確にさせていただきましたが、これは報道、また国民的にも注目度、関心度が高い取組の一つだと認識しております。
 「まず隗(かい)より始めよ」ということで、政府の本気度を示すために、国家公務員が率先して取り組む必要がある旨、閣僚の皆様にも申し上げました。男性の育児への関わりを進めることは、女性の活躍推進の観点からも、また少子化の観点からも、非常に重要だと考えておりまして、昨年10月に決定しました「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」にも、明確に位置付けています。
 この指針に基づいて、対象となる男性職員が全員取得していただけるよう、各省庁における数値の具体的な改善に向けて、閣僚の皆様にお願いをしたところでございます。
 また男性の育児休業についても、厚生労働省、環境省、人事院が13%の取得目標を既に達成していますが、各省庁においても更に積極的な取組をしていただきたいと、この内閣官房内閣人事局作成の「イクメンパスポート」という、実際に休暇・休業を取られた男性の方の生の声、あるいはその成功のノウハウ、秘訣満載の「イクメンパスポート」も閣僚懇でお見せしながら御紹介をしました。私も読ませていただきましたが、なかなか良いパスポートが作られていると思っております。
 これが前半の1件でございます。
 後半は、男女共同参画担当の大臣として報告いたします。
 6月23日から29日までの1週間は、男女共同参画週間でございます。この6月23日は、男女共同参画社会基本法の平成11年の公布・施行日であり、それに合わせて、毎年、この日からと決めております。
 これに向けて、毎年キャッチフレーズを公募して決定しています。今年度は女性の活躍と地域の活性化とその両方を進めていきたいということをテーマに、2,331点の応募をいただきました。その中から最優秀作品を選ばせていただきました。「地域力×女性力=無限大の未来」。最優秀作品です。
 また、「男女共同参画週間」における国の行事として、6月24日に、「男女共同参画社会作りに向けての全国会議」を、東京国際フォーラムで開催いたします。
 詳細については、男女共同参画局にお問い合わせをいただきたいと思います。
 以上、私の方から冒頭発言をさせていただきました。

2.質疑応答

(問)読売新聞、上村と申します。よろしくお願いいたします。
 昨日、JA全中(全国農業協同組合中央会)の萬歳会長が辞任を表明されました。規制改革担当大臣として今後の改革への影響も含めて、お受け止めをお願いします。
(答)率直な感想としてびっくりしました。報道のとおり、今年の8月に退任することを正式に発表されたと承知しております。4月3日の農協改革法案の閣議決定、この日が一つの区切りだったのかなということで、新しい会長の下で自己改革を進めていくために退任を決意されたと思っております。
 47都道府県にわたる、あれだけ大きな組織、組合員のリーダーとして意見を聞き、またその意見を集約し、また組織のあるべき姿に責を負ってこられた会長として、まずはその萬歳会長がお持ちになっていた責任の重さに、心からの敬意を持ちますし、その中で御自身の出処進退を恐らくは考えてこられたのだろうなと、リーダーとしての御人格にも敬意を表します。
 同時に、決意をされた発表の時に、新会長の下で改革、ということをおっしゃってくださっていますので、新会長の下で改革が着実になされるよう、即ち農業者の実利また日本の農業が持続可能な形で発展をしていくという、一番守らなければいけない価値を達成するための改革は引き続き日本国としてやっていかなければならない課題でございますから、所管の農林水産省とともにしっかりと注視をしていく、その根幹の守るべき価値は、引き続き共有しなければならないと思っております。
(問)朝日新聞の畑山でございます。
 この男性の育児休業の取得なのですけれども、今回は国家公務員ということなのですが、大臣もおっしゃられているとおり、全体に限って出産直後の休暇を8割までという目標があって、それは今後民間の企業に対しては、どういった働きかけをしていきたいかと考えていらっしゃることがあればお願いします。
(答)日本の働き方を変えていくということで、官民挙げて少子化対策に理解を示す、また本当の国民的豊かさを享受するために長時間労働を是正していくということは、単独のセクターだけでできるものではない。官民挙げてやっていかないと、結局みんな働き合って仕事をし合っているわけですから、そういう意味では、民間に対しての働きかけも大事だと思います。
 同時にやはり「旗振り役の足元はどうよ」ということは、どこでも聞かれるので、その民間に働きかける説得力を増すためにも、内閣府のみならず各省挙げて結果を出していくことが大事であり、自らの依って立つ、今から、ここから、この私たちからという視点で、丁寧に実績を積みたいと思っております。
 同時に民間のところで、例えば女性が働きやすい職場を作っていかなければいけない、それを競争力につなげていかなければいけないという問題意識を高く持ってくださっているところは、男性の配偶者の出産直後における休暇率を100%に上げて、実際に100%を実施したところもございます。そういう例が多くなっているという市場の動向をしっかりと把握して、それを評価し、またその中でのいわゆるベストプラクティスを横展開できるような、そういう情報の出し方、受け止め方、評価の仕方も丁寧にやっていきたいと思っております。当然表彰というのも一つのやり方かと思います。
 実際にどうやったらいいのか、今まで、休業ですと2.8%ですし、官民挙げて2%台にとどまっておりますし、休暇だともうちょっと高くなるのですけれども、やるためにどういう具体的な障壁があるのか、周囲の理解を得るためには何が必要だったのかという成功要因あるいはその数値がまだとどまっている具体的な要因も丁寧に見ていく、そのノウハウを集積するというのも、今の時代の内閣府の役割かなと思っております。
(問)共同通信の工藤です。おはようございます。
 2点ありまして、今、大臣がおっしゃられた休暇率100%というところというのは、幾つもあるものなのでしょうか。もしよければ御紹介をいただきたいのと、あと、男女共同参画週間の中で、6月24日に行われますこの会議なのですが、これは、毎年行われているものなのかということと、今年の特に何か目玉というか、例年やっていなくて今年はこれがイチオシというものがありましたら、教えてください。
(答)まず後半の御質問から。6月23日からの男女共同参画週間、これを目玉にするためこれから玉込めをする状況でございますので、明確にハイライトと言える状況ではまだないということを御報告させてください。当然私も参画をさせていただく予定でございますし、その中でそれが終わった後、官邸でその先駆的な取組の方々の意見を聞くということも企画はいたしております。ただ、それが今まで毎年と何が違うのかというところまでのレビューは、私自身まだやっておりませんので、大事な課題をいただいたということで、精査させてください。また近くなりましたら御報告いたします。
 ハイライトかどうか分かりませんけれども、パネルディスカッションは、昨年はファザーリング・ジャパンの方が出席したそうですが、民間企業の方々も含めて、毎年やっているということでございます。基調講演やパネルディスカッションは、去年もやっていましたし、今年もやることになろうと思います。
 今、地方創生も大事な絡みになるということでは、それなりのフィギュアにお話をいただくようなこともあり、先方の予定があるので、具体的な名前は出しませんけれども、しっかりとみんなでその地方を盛り上げていこう、男女共同参画を津々浦々にまで実践を強化していこうということでの講演者を特定しつつあるような段階です。
 前半は何でしたか。
(問)(共同通信・工藤記者)休暇率100%のところがあるという件です。
(答)私が把握している企業もございます。そこだけ特出しするとほかのやっていらっしゃるところに対してフェアではないのですが、女性の社員が多いところ、けれども管理職に女性が非常に少ないところで、やはり人生のライフステージを商売にするのならば、しっかりと男性の休暇率、配偶者の出産直後の休暇率を上げていこうとやっている会社、主な名前を出せば皆さん分かっていらっしゃるような、そんな大きな会社もやっていらっしゃいます。そこだけ特出しするとフェアではないので、ほかにやっているところを調べた上で、幾つか精査をする時間をいただきたいと思っています。100%のところは、大きいところも小さいところも、それを社のトップがその価値を明確にされてやっていらっしゃるところの傾向は、出てきています。このことは報告させてください。
(問)朝日新聞の菊地と申します。よろしくお願いします。
 報道機関のアンケートなのですが、今、統一地方選最中ですけれども、全国の地方議会1,788のうち、女性議員がいない議会が約2割で、400弱に上っているということです。大臣、女性の登用30%を掲げていますけれども、こういった状況をどのように御覧になっているのかと、併せて女性議員が誕生しにくいという要因はどこにあると大臣自身お考えになりますか。
(答)極めて本質的な大事な御質問をいただいていると思います。女性の政治への参画は、多様な民意の反映、また生活実感に根ざした政策への反映という意味からも、非常に重要だと思っております。これは単に私たちが女性というだけではなくて、男女共に女性が議会に入ると、きめ細やかなところに視点が行くというのは、多くの国民の皆さんも実感として認識していただいているのではないかなと思います。
 そしてまさに御指摘いただいたように、この分野が上がらないと、世界の趨勢の中での日本のジェンダーという意味での取組が相当遅いというレッテルを貼られる、まさに、そこに女性の政治参画の少なさが表れていると。ここはやはりこの部分を直視せずして女性の活躍、少子化対策の前進、男女共同参画の真の実現というのはないというほどの本質的な議論になっていくと思っております。
 都道府県議会では、平成26年12月末現在で、女性の議員数233名8.9%、市区議会では2,693名で13.8%、町村議会では997名8.9%という、総数に占める割合が出ています。女性候補者の割合を高めるための取組をしていただけるよう、政府から、また私大臣自ら副大臣と共に各政党にお願いに上がっています。2月、3月に、実際に主要政党の幹事長あるいは男女共同参画の政策責任者の方々と直接お目にかかって、諸外国における政党の自主的な取組の事例を示して、働きかけをしてまいりました。
 諸外国における政党の自主的な取組の例としては、候補者の一定割合を女性にする、あるいは女性候補者に対して資金を援助する、あるいは女性候補者に対して議員活動に関する学習の機会提供、デベロップメントをするというものですね。ですから、各政党の取組を促していきたいと思っております。その強化をしたいと思っております。
 残念ながら、この動き出しが、去年の解散もありまして、ほぼほぼこの統一地方選挙でたすきを掛けられる方々がもう既に公認あるいは推薦が出ている時期と重なっているので、この4月に反映ができるかというと、我が自民党も非常に厳しい状況ではございます。大丈夫かと言われている市井の評価として、当然足元を見られますよということも、閣僚として自民党にもフィードバックをいたしておりますし、今後これからの選挙、国政あるいは地方選挙に女性が出られるような環境を作っていきたいと思っております。
 具体的な取組として、全国の議会と連携をしたいと思っていることも実はございますが、先方との関係で、先方の合意が得られるかどうかというところがございますので、またこれはある程度固まったときに御報告させていただければと思います。女性議員が出産をしたら、「産んで子育てしてから議会に来い」という声もある、あるいは、出産ということで、その議会に出席できない理由となっていないところもまだまだございますので、やはり環境整備をして、女性が本当に人生で直面する、特に結婚、妊娠、出産、子育てという、その段階の層が一番政治に反映しにくい、政治どころじゃないという、精一杯の女性の皆さんのその現実感を私も痛感していますので、そういう方々も政治に参画して、社会を良くしていく動きを、バッジをつけてやっていただけるような環境整備に、国としてもそれぞれの議会に働きかけていきたいと、強い問題意識を持っています。
(問)読売新聞、上村です。
 関連ですけれども、もうちょっと具体的に、特に地方議会で女性議員のなり手がいないということの原因というのは何だというふうにお考えでしょうか。
(答)選挙の破壊力は半端ではないものがございます。女性の候補がたすきを掛けた場合、資金力もそう、それからその地域地域で、例えば地方議会ですと、自治会長さんをやった、あるいはPTA会長をやりましたなど、その地域地域に根ざしていらっしゃる土着のリーダーがやはり政治家になりやすいわけで、若い女性ですと、あるいは駆け出しの若手ですと、そういう実績がなかなかない中で、地域、都道府県議会は特にそうではないですけれども、市議会や町議会になると、ある意味では在所、小学校区単位で出てくるというところがございますので、そこのバックアップがなかなか得られないという社会的な慣習というのもあります。
 それから、やはりこれは正していかなければいけないことですが、いまだに「酒も飲めんのか」、あるいは小さい子供を抱えて「子供がかわいそう」、というような私自身も闘ってきましたけれども、そういう御批判というのは、特に先輩の男女の方々からいただくことで、そういう中でやはり女性も、家庭も大事にしなければいけないという責任を感じながら、それでもこの辛いところで学んだその経験を社会に生かさなければいけないというところで、相克するその葛藤の中で、大丈夫、それでも歯を食いしばってやっていこうという仲間がなかなか見えないというところはあるかと思います。
 ですから、ここにもあそこにも頑張っている人たちがいるし、困ったときには、こういうノウハウがあるよと見える化をしていくことも極めて大事なことだと思っております。
 特に、選挙でたすきを掛けた途端、候補者に名乗り出た途端、幾多の非難が出てきます。何をやっても文句を言われるというのが、およそ全ての候補者が直面する最初の難関だと思います。自らの可能性も信じられなくなる、その中でそれでもやっていくのだという強靱な精神力、それを裏打ちする体力を持続させるためには、やはり横のネットワークも必要だと思います。そこはやはりこれからの課題というか、今日的課題だと思います。これは各政党、女性の活躍という今の社会のトレンドもあって、進んでいかなければうそだと思っております。
(問)フジテレビの和田でございます。おはようございます。
 質問というよりは、やんわりとした提案なのですが、育休の紙1枚しか見ていないもので、正確な実態は分からないのですが、内閣官房が取得率0.0%ということで、まず隗よりという意味では、社長である総理か官房長官あたりから、これは強制するようなものではないと思うのですが、取っていただくように、大臣あたりから御提案をされてはいかがかという気が、割と真面目にいたしましたのですが、いかがでしょうか。
(答)貴重な御意見として承っておきます。内閣官房というのは、おのずから昼夜を問わず、また土日なく緊張感を持って、日本の安全に責任を負う部署が多うございますので、そこでしっかりと、休暇は2日間ないしは5日間ということで、率を上げていきたいと思いますが、休業に関しても、何ができるのか、そこで穴が開いてはいけませんので、現実的妥当なラインの働き方、また働きかけの仕方を、少なくとも官房長官と話をさせていただきたいと思います。

(以上)