森内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年8月1日

(平成26年8月1日(金) 10:38~10:56  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

<スウェーデン王国及びフィンランド共和国への出張の報告について>
 おはようございます。暑いですね。
 まず、出張の報告をいたします。7月27日(日)から31日(木)まで、スウェーデン王国及びフィンランド共和国に出張いたしました。
 スウェーデン王国では、ビルギッタ・オールソン消費者行政担当大臣(女性)、マルガレータ・ビヨルク、ストックホルム市議会議長(女性)、フィンランド共和国では、タルヤ・ハロネン前大統領(女性)を初めとする要人と会談いたしました。
 両国はかつて出生率が今の日本に近い水準まで低下した後、大きく改善をしているという少子化のV字回復、そして、管理職に占める女性の割合が高いことなど、少子化対策や男女共同参画施策で効果を上げており、率直な意見交換を行うことができ、大変有意義な機会であったと考えます。また、妊娠・出産・育児の切れ目ない支援を行う施設であるフィンランドのネウボラ、スウェーデンのファミリーセンターの視察等も行いました。
 消費者行政の関係では、スウェーデン王国における消費者オンブズマン制度の内容や課徴金制度等について、有意義な議論を行うことができました。
 また、放射能による風評被害への対応として、今回の出張で面会をした全ての方々に、日本の食品の安全性を訴えるための科学的データを含む英文資料を配布し、理解を求めてまいりました。
 今回の出張の成果を踏まえ、引き続き、少子化対策、女性の活躍による経済成長への取組及び消費者行政を積極的に推進したいと考えており、特にフィンランドのネウボラを、我が国にネウボラと同様のシステムを導入したいというふうに考えておりまして、日本版ネウボラの構築に向けて着手をしたいと思っております。

 

<子ども・子育て支援新制度フォーラムの出席について>
 次に、子ども・子育て支援新制度フォーラムの出席について申し上げます。明日8月2日、福島県において、子ども・子育て支援新制度フォーラムを開催いたします。子ども・子育て支援新制度フォーラムは、新制度を利用することとなる子育て中の父親や母親を主な対象として、新制度の趣旨、内容の理解の促進を図るため、全国5カ所で開催をしております。神戸で6月、福島で8月、名古屋で9月、さいたまで10月、広島で11月であります。私も、明日の開会式に出席をして、主催者挨拶を行う予定にしております。フォーラムにおいては、基調講演や子育て中の母親の方にも御参加をいただくパネルディスカッションなどの内容となっておりますので、ぜひ多くの方に参加をいただき、子ども・子育て支援新制度への理解を深めていただく機会になればと考えております。


<労働力調査結果について>
 また、今朝の閣議で、総務大臣のほうから労働力調査結果についての御発言がございましたが、その中で、15歳から64歳の女性の就業率が64.0%と、比較可能な昭和43年以降の過去最高を2カ月連続で更新したという御報告があり、うれしく思ったところでございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)海外出張についてお伺いします。消費者の関係でいくと、消費者オンブズマン制度や課徴金制度について意見交換されたということですが、具体的にはどのような話だったのか。
(答)北欧ではオンブズマン制度というのが発達しておりまして、特にスウェーデンでは、様々な内容のオンブズマンがありまして、消費者オンブズマンも発達しているところでございます。我が国においては、オンブズマン類似の制度として、消費者庁から独立した消費者委員会というのがございますが、完全なオンブズマンとは異なります。スウェーデンのオンブズマンにおいてどのような活動を行っているか、そして国民からのオンブズマン制度への信頼、また課徴金を課す場合の手続等について、お話を伺いました。スウェーデンでは、消費者オンブズマンが消費者庁の長官を現在は兼ねておりまして、特に大きな問題になっているのは電話勧誘による詐欺です。消費者オンブズマンが市場裁判所に訴えを起こして、課徴金を課すという制度になっております。
 ここで新しい情報が入手できたのですけれども、スウェーデンにおいては、そのような裁判所を手続の中に入れていることによって時間がかかると。課徴金を課すまでに時間がかかるということが問題であり、迅速性を確保するために直接課徴金を課すような制度にできないか、検討を進めているというお話をいただきました。我が国においては、裁判所を介さずに消費者庁が直接課徴金を課すという制度を現在検討しているわけでございますので、そういった意味で、先進国であるスウェーデンも日本が目指しているような制度のほうが好ましいと考えているということを伺いまして、意を強くしたところでございます。
 それから、課徴金は被害回復に活用したいということを検討している旨申し上げました。スウェーデンでは、課徴金については国庫に入れることになっていまして、消費者に戻すということは行政の手続の中ではなくて、やはり民事の裁判手続をとらないと消費者は被害を回復できないということを伺ってきたところでございます。そうした制度も比較しながら、よりよい課徴金制度を我が国の中で構築してまいりたいというふうに思いました。
 また、消費者担当大臣が女性でありまして、訪れた際に、7週間の赤ちゃんを、第2子であるというお話でしたけれども、大臣室の中に、そばに置いて私を迎え入れてくれまして、働く女性のあり方についても非常に先進的な印象を受けました。
 さらに、その当人であるオールソン消費者担当大臣から、安倍内閣において安倍総理が女性活躍について国連その他で国際的に演説をしている、それを聞いて、直接聞く機会があり、たしかダボス会議で、直接会場で聞いて、大変感動したというお話を伺いました。
(問)もう1件、別件なのですけれども、今、公益通報制度について意見聴取をずっとこの間やっていると思うのですが、公益通報者保護制度について今後どのような見直しを進めていくのか、大臣のお考えを聞かせてください。
(答)公益通報者制度については、国民の意見を聴取、ヒアリングをよく行って、その後に制度構築を考えていきたいと思いますので、今現在、私の意見は申し上げるのは控えようと思います。
(問)在宅型テレワークについて質問します。現在、消費者庁で管理職を対象に取り組み始めて1カ月ぐらいたって、まずまずの成果らしいのですけれども、そこで、そもそもこの制度、中央省庁ではなかなか広まっていないように思うのですけれども、その理由について大臣なりに思うことと、あと、どういうふうにしたら中央官僚で広めていけるかというのを、もしあったら教えてください。
(答)在宅型テレワークに限らず、女性も男性も育児や介護と仕事を両立していけることが必要だというふうに思っています。そして、民間企業にそうしたことを申し上げるからには、霞が関から改革を始めていかなければならないと思っております。消費者庁では、管理職を対象に、まずテレワークの実証実験を行いました。そして、秋からは実際に、子育て中の職員を初めとする職員の在宅テレワークを開始する予定です。
 今まで、この霞が関の中で、テレワークでありますとか短時間勤務、また、時間をずらして仕事をするシステム等が、制度はあってもなかなか活用されなかった理由の一つに、やはり管理職の理解が十分ではなかったということがあると思います。これは民間でも同じような原因があると考えて、現在では育ボス研修ということで、管理職の方々、ボスと言われる方々が、こういった仕事の仕方の改革をみずから理解していただくことについて、男女局では経済団体との共催を企画しておりますし、講師の推薦もしております。
 消費者庁では、育ボス研修を庁舎の中で行いまして、管理職・中間管理職の職員を先日集めまして、私も冒頭挨拶をさせていただきましたけれども、ファザーリング・ジャパンの安藤さんに来ていただきまして、管理職がどうやって部下にこういった多様な働き方をマネジメントするのかということについての研修を行っております。消費者庁では、管理職にテレワークを、実証実験をすることによって、管理職の理解が格段に進みました。管理職がとにかくこの庁舎の中に住んでいるのかと思われるぐらいに長時間いることによって、部下も帰りづらいという職場環境になっているわけでございますが、管理職がみずからテレワークをすることによって、テレワークによって仕事が可能であるということを身をもって知ったことによって、これから部下にもテレワークを推奨することが具体的に可能であるというふうに考えております。
(問)ネウボラについて伺いたいのですけれども、大臣が視察したネウボラで、視察したところはどういう機能を持っていたのかということと、そのネウボラというところを導入するメリットというか、どういうところに魅力を感じたのか、教えてください。
(答)日本においては、子どもを持っている女性は経験していると思いますが、それぞれの施設が縦割りで分断されております。まず、妊娠をして妊娠の検査に行く場所、そして、それから産婦人科で産む場所、産婦人科で産んだ後、その産科のお医者さんには会いません。それから、保健所に行って子どもに予防接種をさせて、その後、その保健所には行きません。その担当者にも会いません。そして、それから保育園に行く。保育園も卒園したら終わりです。学童保育もそうです。小学校もそうです。それぞれが縦割りで、横の連携、情報の継続性がございません。
 そのすき間に入り込んでしまったときに、居所不明児童などの問題が起こるというふうに思っています。親が子どもを見ていられる間は、親によって継続性がありますけれども、親に何か問題があり、虐待や、親が病気になったり、親が行方不明になったりしたときに、子どもから助けを求めるということは、これはできないわけでございますので、その制度のすき間に陥ってしまって行方不明の子どもや貧困の子ども、救済を受けられない子どもというものが出てくるわけです。
 この点、北欧では、フィンランドのネウボラ、スウェーデンのファミリーセンター、ノルウェーのファミリーセンター、それから、先般、私が視察してまいりましたフランスの母子保健センターなどのように、横のつながり、または継続性を持った施設があるわけです。
 特にフィンランドのネウボラにおいては、妊娠をしたときから子どもが6歳になるまで、ずっと同じ保健師さん、「ネウボラおばさん」と呼ばれておりましたけれども、その方たちが見るわけです。そして、カルテをつくって、1カ月に1回以上ネウボラに来る。それも家族で来ることによって、子どもの見守りが継続されていきます。6歳以降も、そのカルテは小学校の保健室の先生に送って共有をし、その後の子どもの育ちについてもしっかりと見ていくということで、子ども目線で切れ目のない支援が行われているということが大きな特徴でございまして、私は、これを日本に導入したいと思っております。
 少子化危機突破タスクフォースの1年目に、結婚・妊娠・出産・育児の切れ目ない支援ということを決めまして、閣僚級の少子化社会対策会議で決定しました。それを受けてつくられた予算を使いまして、現在、先駆的な取組として、三重県の名張市で日本版ネウボラが実践されております。そこのシステムによると、新しい建物をつくるとかそういったことではなくて、現在ある制度を、施設を利用して、先ほど申し上げたような継続性のある子どもへの見守りが実践されているわけでございますので、そういった取組を全国展開してまいりたいと思っています。

(以上)