森内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年5月9日

(平成26年5月9日(金) 8:32~8:48  於:衆議院議員食堂)

1.発言要旨

<アメリカ合衆国への訪問について>
 おはようございます。
 まず、アメリカ合衆国訪問について御報告いたします。
 4月27日日曜日から5月2日金曜日まで、アメリカ合衆国に出張いたしまして、女性の活躍推進、特定秘密保護法及び消費者行政関係で、多くの方と会談し、視察を行いました。また、日本の食品の風評被害払拭にも努めてまいりました。
 まず、女性の活躍推進については、国務省国際女性問題担当大使、ラッセル大使、それから、ホワイトハウスのチェン女性と少女委員会事務局長、ラガルド国際通貨基金専務理事、国連開発計画総裁を始めとする政府国際機関要人と会談してまいりました。関係要人との会談では、英文資料を用いて、安倍内閣の成長戦略に基づいた我が国の女性活躍推進について積極的に発信するとともに、率直な意見交換を行うことができまして、大変有意義な機会であったと考えております。
 次に、特定秘密保護法関係でございますが、米国の国立公文書館を訪問し、国立公文書館館長や情報保全監督局及び省庁間上訴委員会の関係者と会談を行ったほか、関連施設の視察等を行いました。今回の会談や視察により米国の秘密保全に関する諸制度についての理解をより一層深めることができ、有意義であったと考えております。
 また、放射能による風評被害への対応として、今回の出張で面会した全ての方々に、日本の食品の安全性を訴えるための科学的データを含む英文資料を配布し、理解を求めてまいりました。
 今回の出張の成果を踏まえ、引き続き女性の活躍推進に関する取組み及び消費者行政を積極的に推進していくとともに、特定秘密保護法の施行準備に取り組んでまいります。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)先日発売されました漫画の週刊誌なんですけれども、「ビッグコミックスピリッツ」という週刊誌の「美味しんぼ」という作品があるんですが、その中で、福島県内では特に理由もなく鼻血が出たり疲れやすいという人が多いという描写があり、これは一部では風評被害を助長するのではという指摘もあります。ただ一方で、表現の自由ではないかという考え方もあると思うんですが、率直に、どういうふうな御所感をお持ちでしょうか。
(答)今初めてお聞きしたお話でございますので、事実関係を確認してお答えしたいと思います。
(問)女性の活躍関係で、米国出張中、ラガルド専務理事など女性のリーダーたちと面会されたと思うんですが、具体的に何か成果があれば教えてください。
(答)女性との1対1の会談は、たしか11人と会談したと思いますけれども、全ての方が、日本における女性活躍推進の取組みについて大きな評価をしてくださいました。
 そのほか、例えばアン・スローターさんといって、ニューアメリカ財団の理事長ですけれども、当時、ヒラリー・クリントン国務長官の抜擢を受けて政府の中に、国務省の企画官だったと思いますが、女性初で入りましたが、その後、育児との両立に悩んでや辞められたという御経験をお持ちで、そのことを文章にして雑誌に寄稿しておりまして、それが大きな反響を呼んでおります。その彼女にお会いをして、私も2人育てながら政府の中に、金融庁にいたことがあるんですが、そういった話などで、両国とも、まだまだ女性の活躍推進については切り開いていく、いかなければならない分野があるということで意気投合して、今後も継続して連携をして取り組んでいこうというような合意ができたところです。
 また、消費者関係でございますけれども、ラミレスFTC委員長、彼女も女性でございまして、消費者関係で訪問したんですけれども、女性の委員長で、お互い女性弁護士ということで、年も近いので、消費者問題についても女性の活躍についても話ができました。FTCでは5人のボードメンバーのうち4人が女性で、私が彼女と会ったその日の朝に、ちょうど4人目の役員を、女性を任命してきたところだというふうに述べておられまして、今後、FTCと日本の消費者庁は関連する分野が多いので、人事交流と、またテレビ会議等で連携をして、国際的な消費者被害について取り組んでいこうというような合意もできたところです。
(問)商品先物不招請勧誘の関係なんですけれども、その後、何か情況等に変化があったら教えてください。
(答)前回どこまでこの場でお述べしたかはちょっと覚えておりませんが、私のほうは3省庁の協議の場を設けるように申し入れをしまして、協議の場が持たれました。その後も引き続き、事務レベルでの協議が続けられているところでございます。
 協議の第1回の場におきましては、消費者庁から、これまでの先物取引の不招請勧誘における立法の経緯を、長い歴史がございますので、その中で、国会等でも大きな議論があって、そして附帯決議等がつけられて、それを実現する形で次々とこういった立法がなされてきたということですね。消費者保護の観点から、大きな被害があったということで、こういった規制が設けられているんだということを述べさせていただきました。
(問)パブコメも終わりですし、省令改正ということなので、あくまで協議等に拘束されるものじゃないと思うんですけれども、今後のその見通しについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)今、協議に拘束されないというような御質問ございましたけれども、私としては、閣議決定で「顧客保護に留意しつつ」ということがしっかり書き込まれておりますので、消費者庁の意向を全く無視して行われるということはあってはならないというふうに思っております。消費者保護の観点から消費者庁はしっかりと意見を申し上げていきたいと思います。
(問)秘密保全の米国の諸制度について理解が進んだということなんですが、第三者機関について特に参考になるとか、そういった点があれば御紹介いただけませんでしょうか。
(答)第三者機関又はチェック機関でございますけれども、そういったものを組織として設けているのは、先進国ではアメリカ以外には見当たらないというふうに承知をしておりますが、その唯一の国であるアメリカにおいて現場を視察することができたというのは、大変有意義であったと思います。ISOO(情報保全監督局)とISCAP(省庁間上訴委員会)でございますけれども、事務局長が兼ねておりまして、それぞれのスタッフが重複しているということも実際に確認をできたところでございます。
 そして、ISCAPのほうですけれども、そちらの事務局の執務室を視察いたしました。大変厳しいセキュリティーがシステムとしてありまして、携帯電話はもちろん、全ての電子機器は入り口のところでロッカーに預けて、中に入ってドアも施錠されるというようなところでございました。そこの中では、全ての省庁が指定をする国家機密についてアクセスをすることができ、国民から上訴のあったものについて、秘密の指定が適切であるか等のチェックをするという作業をしておりまして、実際にチェックされて、公開するに至った資料も、それは公開されてありますから、支障ないということで、そういったものを見せていただいたりいたしました。
(問)昨日の日本創成会議の分科会のほうで、増田寛也さんらがいわゆる極点社会についての提言ということで、全国の自治体の半分で女性が流出して、消滅の可能性が高いというような提言を出されました。その提言の中で、希望出生率として1.8というふうなものを政府が目指してはどうかというお話もありました。この提言についての受け止めを大臣のほうからお伺いしたい。
(答)増田寛也さんが所属しておられます日本創成会議という有識者の団体における人口減少問題検討分科会において、「ストップ少子化・地方元気戦略」をまとめられたということを承知しております。増田さんには私の大臣室にも来ていただきまして、私も勉強させていただいたという経緯がございます。社人研(国立社会保障・人口問題研究所)の方で出している人口の推移の推計値、今後の将来の推計値を元にまとめられた数字、それともう一つは、それに女性の流出率というものを掛けていったデータ、2種類作りまして、後ろの方のデータですと、若年女性が流出していくということを掛け合わせると、約1,800ある自治体のうち896自治体で非常に人口が減っていくというような、そういう御研究であるというふうに承知をしております。非常に少子化というものが深刻であるということをデータをもってお示しいただいているということであろうかと思います。
 実際に我が国においては、これまでの過去の推移を見ても、少子化が世界の中でも最も早いスピードで進んでいる国の一つでございますので、今回の海外出張の中でも人口減少については何人かに質問をされたわけでもございます。目標についての御質問がございましたけれども、目標については、これは安倍総理から、産業競争力会議と経済財政諮問会議の合同会議の中で、少子化を克服するための目標の在り方について検討しようということを私に宿題を出されておりますので、私の方でも検討しておりますが、目標を持つのか持たないのか、そして、持つとした場合、それを数字で表すのかとか、数字とした場合にどんな数字にするのかというような、様々な御意見があります。合計特殊出生率というもの、そのものを目標にするということについては、私の下にある少子化危機突破タスクフォースでも大変厳しい意見が多かったわけです。なぜなら、やはり女性の生む生まないの自由、また男性も含めたカップルが子供をもうけるもうけないという自由に圧力をかける、拘束するのではないかといった懸念が多く指摘されているわけでございますので、私は、そういった意見もしっかり聞きながら、この目標の在り方について、先ほど言ったような持つか持たないか、持つとした場合、数字なのか、数字とした場合にどのような数字なのかということは、一番大切なのが、女性又は国民に生む生まないについて国家が何か強制するというようなことを、誤解されるようなことがないようにというところに留意をしながら決めてまいりたいと思っています。
(問)安倍内閣が今日で500日ということなんですけれども、今まで閣僚の交代もなくてきた安倍政権のこれまでの運営についてどのように考えていらっしゃいますか。
(答)私は一閣僚でございますので、政権全体の運営について何か申し上げられる立場にはないと思っております。私自身は、最初に入閣をしたときに初閣議で総理がおっしゃった言葉のとおりに、結果を出すということに留意をして、しっかりと国民のための仕事をするようにという言葉を守って今まで頑張ってきたつもりでございまして、それに尽きます。

(以上)