森内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年6月18日

(平成25年6月18日(火) 8:50~9:15  於:参議院議員食堂)

1.発言要旨

<子ども・若者白書について>
 おはようございます。本日の閣議において、子ども・若者白書を閣議決定いたしました。これが概要ですけれども、白書では各種統計資料などにより東日本大震災で被災した子どもなどを含む子どもや若者の置かれた現状を紹介するとともに、国の施策の実施状況を記述しています。また、特集として、地域において青少年育成活動を行っている青少年センターや民間の多様な担い手の取組を紹介しています。
 白書は、私のところで11種類出しますけれども、そのほとんどすべてに私は被災地、震災の状況を記載するようにいたしておりまして、この子ども・若者についても被災地の子どもの状況というものを取り上げております。
 また、子どもの貧困についてでありますとか、それからいじめ、自殺対策。犯罪被害にあった子ども・若者とその家族等への対応。児童虐待防止対策などを取り上げております。特に被災地において児童虐待が激増しておりまして、福島県においては前年比7割増、宮城県、岩手県もそれに次ぐ増加を示しておりますので、しっかりと対策を講じていきたいと思っております。

 

<自殺対策白書について>
 次に、自殺対策白書についても閣議決定いたしました。今回の白書では昨年の自殺者数が15年ぶりに3万人を下回ったことなど、我が国の自殺の概要について記述し、特集として自殺統計をもとに自殺の動向及びその要因について分析しています。また、自殺総合対策大綱の見直し及び同大綱に基づく政府の取組状況について報告するとともに、民間団体や自治体の取組についてもコラムの形で紹介しています。担当大臣として一人でも多くの命を救えるよう、自殺総合対策大綱に基づき地域の実情に応じたきめ細かな自殺対策を推進してまいります。この地域の実情に応じたきめ細かな自殺対策と書いてありますけれども、自殺の恐れのある方を自殺から救うためのゲートキーパーとなる方々と、いろいろな場所にゲートキーパーの方がいらっしゃいますので、そういった方々と連携するような取組をしてまいりたいと思っています。
 これが自殺対策白書の概要でございますけれども、本文のほうにもっと詳しく書いてあるのですが、この自殺対策白書のほうにも東日本大震災の被災地における取組事例として概要の37ページになりますけれども書いてあります。数字自体は統計では横ばいと出ておりますけれども、注意深く見ていかなければならないと思っています。ここで紹介している取組は例えば大熊町の役場の取組ですけれども、赤ちゃんを育てるお母さんの産後うつに注目して、事業を展開しています。つまり大熊町で子育てする場合と、避難先で周りに知る人がいない、家族がばらばらになっている環境の中で子育てするというのでは環境が大きく違いますので、そういった中で安心して育児ができるような取組をしっかりしております。
 また、こちらは南相馬市の遺族支援、南相馬「わかちあいの会」という紹介がしてあります。

 

<配偶者の転勤に伴う国家公務員の離職への対応について>
 それから、次に我が省の取組ですけれども、配偶者の転勤に伴う国家公務員の離職への対応の要請でございます。昨日6月17日に、配偶者の転勤に伴う国家公務員の離職への対応について、私から人事院総裁に要請をいたしました。これは6月14日に閣議決定された日本再興戦略において、男女の仕事と子育て等の両立支援について、まずは公務員から率先して取り組むことが盛り込まれ、その具体的な工程として配偶者の転勤に伴う離職への対応等を行うこととなったことを受けてのものです。
 そもそもこれは成長戦略の中に私のほうから女性の活躍推進というまとめの中で取り入れた方策でございますけれども、私、人事の時期に女性の官僚を管理職に積極登用しようと思いまして、結果的に積極登用したのですけれども、なかなか人材がいないという困難にぶち当たりました。それは出産・育児で離職してしまう方も多いのですが、男性が海外に転勤したり、海外に留学したりした場合に配偶者が同伴する、子どもを連れて、又は夫婦で同伴するときの休業する制度がないのです。そのために、泣く泣く離職しているという現状がありまして、そのことでせっかく育成してきた優秀な、特に女性の国家公務員を失っているという現状を踏まえまして、人事院のほうに、これは同伴するときには休業して、そしてまたこちらに復職していただくということを可能にするような制度を要望いたしました。

 

<消費者庁における職員の育児参加の促進について>
 最後の積極発言ですけれども、消費者庁における職員の育児参加の促進についてです。先月育児の日にちなんで子育て経験のある消費者庁職員との懇談会を開催しました。その場で出た得た意見を踏まえまして、消費者庁の事務方に対し、職員の育児参加を更に促すため三つの指示を出したところですが、その結果について御報告いたします。
 まず、課長クラスの育ボス会議の開催についてです。消費者庁では、今月4日、長官の立会いのもと、各課長等による育ボス会議を開催しました。育ボスというのは、育てるボスと書くのですけれども、育ボス会議では職員が休みを取りやすくするための工夫や残業時間を削減するための工夫について、各課長でこれまでの取組事例等について共有した後、消費者庁として今後取り組んでいくことを決定いたしました。
 具体的には、休暇取得の事前登録に管理職から率先して取り組むことや各個人別できめ細かな定時退庁日の設定などに取り組むこととし、四半期に1度、これらの取組状況をフォローアップいたします。また、職員の意識改革については、まずはお配りしてあるとおり本日のお昼にNPO法人ファザーリング・ジャパンの方をお招きして、職員向けの講演会を行うことといたしました。記者の皆様も聴講可能ですので、奮って御参加ください。
 人事評価については、休みを取った職員をフォローした周りの職員をプラスに評価する、またそのボスについても評価するということは既に御報告したとおりです。消費者庁については引き続き仕事と育児等の両立のワーク・ライフ・バランスを進めることにより、消費者目線を身につけ、仕事の効率化を進められるという相乗効果の発現を期待したいと思います。以上です。

2.質疑応答

(問)昨日の人事院の総裁への要望についてなんですが、要望の具体的な内容と総裁の回答というのはどういったことだったのでしょうか。
(答)こちらが要望の紙です。後ほどお渡しすることは可能ということで、皆さまに人事院総裁に渡した大臣名の要請書をお渡ししたいと思います。ここに書いてあるのは、少子化の進展による生産年齢人口が減少する中で、多様な人材の活用、特に女性の力を活用することは必要不可欠です、ということで、若者・女性活躍フォーラムの取りまとめの提言で、こういうことがまとめられて、女性公務員の離職の要因の一つとなっている、配偶者の転勤に伴う離職への対応に取り組むことを、この取りまとめの中に書きました。また、それを受けての閣議決定された日本再興戦略、これについても書き込まれました。そこで、これらを踏まえて、今般、配偶者の転勤に伴う国家公務員の離職への対応として、休業制度など制度面も含め、必要な対応を検討するようお願いいたします。というふうに書いておきました。後ほどお渡しいたします。
(問)重ねてなんですが、総裁からはどういった回答がありましたでしょうか。返答しますとか。
(答)これは、昨日出したばかりですので、まだ回答はございません。人事官に今般女性が登用されましたので、元仙台高裁長官の一宮なほみさんが入りましたので、ますます人事院においても、女性の活用に有用な制度が構築されるものと期待しております。
(問)ちょっと最近こういう男女対策に内向きな話が多いなと思うのですけれども、中小企業とか非正規職員はそれどころではない民間企業が多いと思うのですが、対策の意図というのは何なのでしょうか。民間企業に広げていきたいということなのでしょうか。
(答)もちろんです。これは古くて新しい議論というか、昔からありまして、女性の登用、又はワーク・ライフ・バランスをやるときに、国家公務員が又は地方公務員もそうですが、やろうとするとそれは内向きである、役所はやりやすいだろうということで、結局それも消極的になってしまうということで、なかなか進まないという歴史があったと思います。私は、そういった御指摘もしっかり真摯に受け止めながら、まずは官が見本を示すことによって、民間にもできるのだということを、特に、民間の企業のリーダーの方に意識改革をしていただきたいと思います。
 私は、この間、女性の登用、こういった制度の構築を積み重ねてまいりましたので、こういった結果をもって、経済団体のほうにまた要請に行ってまいりたいと思います。更に、この成長戦略の中には、民間企業への支援というものが書き込まれておりますので、今回私どもが取り組んでいる官庁の中での制度と類似の制度を取り組んでいただける民間企業、特に中小の企業については、なかなかやはり困難もあろうと思います。大企業の場合には、内部留保等もありますし、社員の数も多いので、代用人員も確保しやすいでしょう。だけど中小企業の場合には、なかなか内部留保もなく、目先の利益を上げていかなければ企業自体が存続しないという厳しい状況の中で経営されておりますので、そういった中で女性の活用やワーク・ライフ・バランスに取り組んでいただける中小企業には国のほうが支援いたしますということを盛り込んでおります。税制や補助金等の財政支援をいたしていくということを決めておりますのでそういった制度を活用していただきたいと思いますし、更に具体的な制度も現在24年度補正と25年度で幾つか制度がありますけれども、更に26年度以降の更なる支援制度の創設に向けて努力をしていきたいと思います。
(問)原発事故子ども・被災者支援法が21日で施行1年になるのですけれども、森大臣も発議者のおひとりと思いますが、福島の被災の方々はこの1年施行されても何も変わらなかったと、何だったのだろうという声が聞こえておりますが、それについての大臣の御所感、今の思いというのをお伺いしたいのですが。
(答)子ども・被災者支援法については、22日にも広島県に行きまして、福島県を始めとした母子避難者の皆様に、広島県へ避難している皆様にお会いして、子ども・被災者支援法を始めとした様々な支援策について意見交換をする予定になっておりますが、福島県内に留まっている方もそのように全国に避難している方も子ども・被災者支援法に対する期待が非常に大きいと思います。私は原案作成者の一人として、子ども・被災者支援法の実現に向けて努力しておりますが、まず基本方針を定めなければいけないという考えで運動がされておりますが、基本方針についてそれぞれの考え方がまとまらず、なかなか策定されてないことは大変残念です。私、原案作成者の考えとしては、子ども・被災者支援法に書かれている具体的な救済策が様々ありますので、例えば避難する、移動する権利、子どもの健康調査、食品の検査、それぞれ違う施策があります。その施策ごとに私は避難対象者、避難対象地域というものが異なって当然だと思っております。
 例えば、除染は非常に濃いところだけに限られるでしょうし、食品の検査などですと全国に及ぶものだと思います。ところが、一つのこの指針を定めなければならないという考えのもとに議論が進んでおりますと、なかなかそれはまとまらないものだと思います。私は担当ではございませんので、私の原案作成者としての立場からそのような御意見を申し上げてきたところです。
 そこで、なかなかまとまらない中で、科学的な知見も積み重ねて指針を策定するという担当の考えのもと進んでおりますので、何とか早く進んでいただきたいと思いますが、私は指針ができないということで子どもたち、又は被災者が置いてきぼりになるということが一番あってはならない、本末転倒のことだと思いますので、根本大臣と御相談いたしまして、まずは一番被害の大きい、又は人数の多い福島県の子どもたちと被災者を支援するために子ども・被災者支援法の内容をそのまま具体化をいたしました被災者支援パッケージを策定いたしまして、予算をつけまして現実に実行しているところでございます。
 ですので、福島県の子どもたちと被災者については子ども・被災者支援法に書かれている各種施策が具現化しているのですけれども、更に福島県以外の地域の方のために子ども・被災者支援法の指針の策定も含めて、施策の具現化に向けて全力を尽くしてまいりたいと思います。
(問)参院選についてなんですけれども、先週、復興庁の子ども・被災者支援法に関わっていた参事官のツイッター発言問題があったということで、大臣も今回、参院選再選ということで日曜日にも精力的に県内に戻られていましたけれども、大臣がお感じになる地元の方々の目と言いますか、風当たり、どのようにお感じになっているのかということと、参院選に向けて大臣御自身どのように訴えていくのかということを教えていただけないでしょうか。
(答)福島県を始めとした被災地の皆さんに大変な不安をお与えしたと思います。私としては、選挙に向けてのことはちょっと大臣記者会見で述べるのは適当ではないと思っておりますが、しっかりと政府として福島県を始めとした被災地の皆様に信頼していただけるように、復旧・復興の政策を一つひとつ結果を出してまいりたいと思います。

(以上)