森内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年6月11日

(平成25年6月11日(火) 9:52~10:18  於:消費者庁記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 本日は、私から特に発表することはないのですが、今朝、閣議を終えてこちらに来まして、閣議でたくさんの白書がこんなに出たのです。私のところでも11個出すのですけれども、白書シーズンで、例えば、私に関係するところは、全ての白書にあったので興味深く見てきたところなのですけれども、国土交通省が出した首都圏整備に関する年次報告の中には、「育児と仕事を両立する女性の増加」という一節を設けて書いてありました。
 また、こちらも国土交通省が出した土地に関する動向ですけれども、これにも人口減少、少子高齢化による土地利用変化というもの。17ページに書いてありまして、朝、線を引きながら読んでいたのですけれども、60歳以上の高齢者が宅地資産の約60%、約530兆円の宅地資産を保有しているということで、土地資産の多くが高齢者によって保有されていまして、少子高齢化が進んでいきますと、30から40代の現在の子育て世代が宅地資産を自分たちのおうちのためにまず保有する、その後に相続が起きて、また高齢者の資産を相続するということが多くなっていくという可能性が高い。そうしますと、積極的な活用意志がないままに不動産を所有しますから、そちらの相続にしたところに住まないということになるので、相続をきっかけとして有効利用されない不動産が増加する。いわゆる空き地とか空き家というものが増加していく。今現在でも、自分が利用している、相続した財産で自分が利用していると回答する人が4割弱。今後、人口減少に伴って空き地が増加していくということについてどうしていくかということがこちらに書いてありまして、空き地の多面的な機能を見出して、所有と利用を分離して、空き地を利用したいという人が利用しやすい環境をつくっていくということが書いてあります。
 このような中で注目されるのが、今、国土交通省が行っております空き家利用、これも予算化されているのですけれども、地方では空き家がたくさんあるわけです。相続人は都会のほうに行っているということで、その空き家の所有者、誰かに貸したいと思っても、都会に住んでいるものですから、なかなか借りたいという人とも会えないし、マッチングができないということで、それを自治体が所有者から借り上げる。自治体が相手ですと所有者のほうも安心して貸せます。それを自治体が今度は利用したい人に貸していく。
 その際に、今度の国土交通省の新しい試みは、お直しをする。トイレとかお風呂は古いものですから、そこを若い人が利用しやすいように直しを自治体のほうがしてあげる。そうすると所有者もわざわざ直してまで貸すというインセンティブが働かないものですから、自治体が直してくれるのだったら、それは自分の資産価値が上がるものですから異議がないです。その自治体が直す部分の半分を国が補助しましょうという制度です。それよってお直しがされたものを若い夫婦が借りたり、また今流行っている古民家オフィスのようなものに利用して、空き家をなくしていこうというようなことをしております。
 また、今日出た、食糧・農業・農村の動向という中にも、関係するものがありました。観光白書の中にも関係するものがございました。それをちょっと興味がありましたので、御報告します。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)様々な立場の女性の皆さんにお伺いして、今回代表としてやってきたのですが、二、三質問させてください。
 まず、会社に育休制度があったとしても、実際にそれを使うのは大企業ですら後ろめたい雰囲気がある。そんな声があったのです。そこで育休3年、不妊治療など様々な新たな制度導入を考えていらっしゃいますけれども、国として制度をつくるだけではなくて導入まで、どうフォローしていこうとお考えでしょうか。
(答)育休3年というのは、誤解がないように御説明しておきますと、3年間丸々休むということではございませんで、その中で例えば1年間の育児休業を取った後、週1回から週3回のような短時間勤務、又は1日に短い時間の短時間勤務を組み合わせるなどして無理なく仕事に復帰していくという制度です。
 それは例えば1年間休んだ後に、急に仕事に復帰するといっても子供のほうも慣れないですし、また親のほうもキャリアが、急に元の職場のキャリアラインに乗るということが難しいということで少しずつ会社に慣れていこうという意味合いもございます。そのような制度を利用するに当たって、今言った一つは、キャリアアップの部分ですけれども、1年とか半年とか休んでいるだけで今は情報化社会で、どんどん会社のほうが変わっていきます。会社の取り扱う商品も変わっていきますし、会社の中の構成も変わっていきます。そういったものを会社と休んだ父親、又は母親のほうが研修制度を使うことによって、無理なく会社に復帰できるようにする。その制度を今回導入いたしまして、そういった研修制度を利用する企業は、ちょっと資料はどこかに行ってしまいましたけれども、そちらのほうに予算をつけるというふうにしたのです。「助成金を支給する(厚労省)」となっておりまして、助成金を支給することにいたします。
 女性のほうですけれども、一旦仕事を辞めてしまいますと、また更に仕事に復帰するときに大変不安であるということで、今度はその女性本人のほうに学び直しの機会を与えるということで、こちらにキャリア形成促進助成金等があります。また、1日6,000円ずつ補助金を出すというふうにいたしました。これは24年度の補正でついている。ということはもう既に利用できるということですね。育児等で離職し、再就職を希望する女性に対して、職場経験のブランクを埋める機会を提供するために中小企業、小規模事業者が実施する職場実習を支援するということで、本人に出すもの。
 本人のほうにも24年度から出ていました。24年度の補正ですからもう今すぐに使えます。今でも実習生に日額6,000円というのを出しております。そのようにして無理なく職場に復帰するということができるようにしています。
 また、御質問の最初にありました企業の雰囲気、これを変えていかなければならないんですけれども、企業の中が外から見えないことによって、利用しにくい状況になっていると思いますので、それを透明化していく。「見える化」していくということで、コーポレートガバナンスに関する報告書、これを開示してもらいまして、開示している内容について、内閣府がそれを公表いたします。これは25年度の新規予算でついております。
 また、個別企業における女性の登用状況、女性役員が何人いるか。管理職の女性が何人いるかということも内閣府のホームページ上で、個別の企業について公表を行っていきます。25年度。そして、次に26年度からでございますけれども、総理が経済界に女性をもっと登用してくださいと、まずボードに1人、役員に1人女性を入れてくださいと。なかなか人材が見つけにくいという声がございましたので、そういう人材を集めてデータベース化しましょうということで、社外からそういった女性役員を登用しようという企業に向けて、こんな優秀な女性がいますという人材データベース、「はばたく女性人材バンク(仮称)」というのを26年度要求をいたします。
 先日、女性活躍推進フォーラム、官邸で取りまとめをいたしまして、これを成長戦略の中にも女性の活躍という言葉で入れていただきました。この中にも書いておいたのですけれども、男性も含めた現在の管理職の意識改革、社長さんなどのトップリーダーももちろんなんですけれども、ミドルマネジメントというか、中間管理職の皆さんの意識改革が最も重要だと思います。
 女性の皆さんが働いているそのお部屋の室長さん、課長さんが取りやすい雰囲気をつくってくれるということが一番大事なのです。ですので、そのポストに女性が就くということも一つ重要でございまして、それを「見える化」することも必要なのですけれども、そのポストが仮に男性であったとしても、その男性に意識を変えていただこうということで、いわゆる育ボス、育メンならぬ育ボスです。育ボス活動を展開していこうと思います。これは群馬県庁自ら取り組んでいる制度でございまして、これが大変効果的であるということが女性活躍推進フォーラムの地方版を群馬県で行いまして、そこで発表がございましたので、育ボス運動を取り組んでいきたいと思います。我が省庁では、育ボスの取組の最初に育児休暇を取った職員を人事評価すると同時に、ボスも人事評価します。自分の部下に育児休暇を取らせたということがボスの人事評価アップにつながるということなのです。これをやることによって会社内の育児の機運を高めて、女性も産み、育てやすく、活躍しやすくしていくということです。
 これは仕事と全然関係ないじゃないかと思われる方がいると思うのですけれども、全く逆で、仕事と密接に関わりがあり、仕事の効率アップに直結するのです。これが育ボスの発表でもありましたし、ファザーリング・ジャパンという育児休暇を進めているお父さんたちの会がありますが、そこの代表の方がおっしゃっていましたけれども、自分が育児休暇を取って気がついた。育児休暇を取ったことによって自分の仕事の効率が非常に上がった。やはり短時間で効率よく仕事をする、そういうスキルが身についたし、仕事と家庭とのメリハリをしっかりつけていく。それから、部下のマネジメントをする。そういった能力まで身につくわけでございます。ですから、育児をすることが会社全体の仕事の効率化につながるということ。それから、又は職種によってですけれども、消費者の立場になることによって、やはりお客様の目線というものを身につけて会社に戻ってくるということができますので、そういった視点を皆さん持ってもらって、育児休暇を取ることが会社のためでもあるという意識で人事評価をアップしていく。我が省庁で行っておりますので、これを経済界に導入していただくように、私自ら経済団体に呼び掛けていきたいと思います。
(問)制度導入又は女性の登用、それは分かるのですけれども、大企業までは浸透したとして、中小企業はなかなか難しいと思います。そこで制度を守るために、制度を守らなかったら罰則を設けるとか、そういうところまではお考えでしょうか。
(答)考えていません。中小企業は、確かに制度導入は難しいのですが、それで罰則をしてしまったら、中小企業はますます萎縮効果を与えてしまいますので、罰則ではなく補助金や助成金、それから減税制度などでインセンティブを高めていく方法をとろうと思っています。そのために、今回成長戦略に一生懸命たくさん盛り込んでもらうために、私は頑張ったのでございますが、成長戦略の中に位置付けられるということは日本の90%を占める中小企業に対して、政府としてその取組を展開していくということですから、そういった財政的な支援を国がしやすくなったということでございます。
 今後、財源獲得のためにまた頑張っていくんでございますけれども、例えば中小企業では、また群馬県の例になりますけれども、群馬県の中小企業の方は積極的に取り組んでおりまして、中小企業だからできないということはないと述べておられましたし、逆にそういう制度を導入したことによって、会社として売上も上がった、お客様に喜ばれる商品ができるようになった等の声もいただいておりますので、またそういったことを先行モデルとして紹介をしていく、または1人で育児休暇を取ると、やはり職員の数が100人未満の中小企業においては、やはり生産ラインの中で打撃がございますので、そこの代替人員の確保をしやすくする。そういったところに国が後押しをする。
 例えば、地域の商工会議所や企業のグループで、人材バンクをつくって、その人材バンクにいる女性には常に国からの補助金もあって、きちんとした身分保証をしながら、どこかの会社で育児休業の人員が出た場合には、その人材バンクの方が女性でも男性でもいいんですけれども、派遣されていく。
 教員の産休のときの派遣の先生がいらっしゃいます。代替教員、ああいう制度に似たような制度を導入することによって、中小企業が無理なく育児休業を職員に与えて、そしてまた戻ってきていただけるような仕組みをつくってまいりたいと思います。
(問)そして、もう1点だけなのですが、出産、子育てをある程度終えた女性は、例えば10年後、15年後ぐらいに職場復帰しやすいような、そんな環境づくりをしてもらえるとありがたいという声があったんですが、そのぐらいの長期的なスパンで何か考えていることは国としてあるのでしょうか。
(答)私、ニューヨークに留学していたときがあるのですけれども、子連れで留学をしていたんですが、子連れで大学に来ている方がたくさんいたのです。皆さんが育児をしながら、育児休業中、又は離職中に学び直しをして、大学で学び直しをして、キャリアアップをしているということなのです。ですから、10年後、15年後という御質問ですが、もっと短い期間でも3年後でもいいのですけれども、子育てを終えてからもう一度社会で活躍したいと思う女性がもう一度学び直しをして社会に復帰できるような制度をつくっていきたいと思っていまして、今現在もそういった学び直しのプログラムを文科省、厚労省で新規につけておりますので、社会人が学び直しをして再チャレンジをしたいという方は、より学び直ししやすい制度にしております。
(問)学び直しをして、実際に職に就けるようなアプローチというのは国もしていくのでしょうか。
(答)先程の人材バンク制度もそうですけれども、そういったスキルを持った女性の方がより就職しやすくするように再就職応援のプログラムのプランを立てているところでございますので、そういった育児休業、又は介護とか、それから配偶者のひとりが海外赴任をするのに同行していって、2年間してから戻ってくる方とか、様々な人生のライフステージの中でブランクができたときに、その後にもう一度働きたいという方が再就職をするのを応援するプログラムを今つくっているところです。
(問)いつぐらいを目途にそのプランはでき上がるのでしょうか。
(答)プランはできるだけ急いでしたいと思いますが、次の予算要求の時期が迫っておりますので、急いでつくりたいと思っています。
 今と関係するので、一つ紹介しますけれども、警察における取組です。私の省庁で様々な積極的な取組をしておりますが、国家公安委員長の古屋大臣のほうから、6月7日に官邸で開かれた少子化社会対策会議で発言をいただきまして、警察における女性の視点を一層反映した対策の推進に関する報告書、この中で男性社会と言われてしまっている警察において、治安情勢に敏感に対応するためにも女性職員の力の更なる活用、女性被害者等への対応の強化等が非常に重要であるというふうに認識した上で、警察の女性職員を活用していくに当たって、出産、育児という期間をキャリアステップにうまく組み込んでいける。出産、育児がキャリアのマイナスにならずに、警察官僚としてキャリアステップしていけるようにと。
 ここには書いてありませんが、私が想像するには、今、DV被害、児童虐待、性犯罪、女性が被害者になりやすい犯罪、そういったところに警察の女性職員の女性としての視点、又は活躍というものが期待されているわけでございますが、そういったところをキャリアアップしていけるようにしていこうということだと思います。警察においては、ソフト、ハード両面における環境整備を進め、女性職員の中核ポストへの登用、女性の視点を一層反映した業務運営等にしっかりと取り組み、真に仕事と家庭の両立可能な少子化対策にも寄与できる組織となるよう警察を督励してまいりたい。というふうに古屋大臣から御発言をいただきまして、大変力強く思ったところでございます。
 以上です。

(以上)