森内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年4月5日

(平成25年4月5日(金) 8:52~9:09   於:合同庁舎4号館6階605会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私から、3点ございます。

 

<「春の全国交通安全運動」及び「交通事故死ゼロを目指す日」の実施について>
 まず、「春の全国交通安全運動」及び「交通事故死ゼロを目指す日」の実施について、本日の閣議において、この件発言をいたしました。
 明日4月6日から15日まで、春の全国交通安全運動を実施するとともに、この期間ゼロのつく4月10日を特に交通事故死ゼロを目指す日として、交通事故で亡くなる方がゼロとなることを目指します。
 今回の運動は、子供と高齢者の交通事故防止を運動の基本に据え、地方自治体や関係団体、多くのボランティアの皆様と力を合わせ、交通安全意識の高揚に努めます。
 詳細については、事務方までということで、皆様のところにリーフレットが置いてあると思います。
 交通事故死、年々減ってはいますが、高齢者の事故等が非常に多いなど、まだまだ問題がございます。

 

<少子化問題について>
 次に、官邸に昨日行きまして、安倍総理に少子化問題について御報告を申し上げました。
 20年間ずっと政府が政策をやってまいりました少子化政策は、効果が出てないのではないかというお問い合わせが非常に多くて、私自身も疑問に感じて、効果が全くとは申しませんが、出生率については微増ということで、最低の1.26から1.39に少し増えたところでございますが、このまま1.39のままいきますと、2300年頃には日本人類が絶滅するという絶滅危惧種でございますので、このままではいけないと思いまして、全ての政策を表に並べてみました。
 女性の人生を横軸にして、出会い、結婚、妊娠、出産、育児と、そして家庭、会社、地域の縦軸で並べますと、一目瞭然でございまして、それを総理にお見せをいたしました。
 育児支援のところに政策が集中しております。それさえも量で言えば諸外国に比べて非常に少ないのでありますが、今まで打っていた施策が前の部分、結婚、妊娠の部分に全くないというということでございます。そして私の少子化タスクフォース第1回で人口学者と産婦人科医に分析をしていただいたところ、結婚した女性は今平均2人産んでおりますので、これはずっと変わらず産んでおりますが、結婚するかどうかというところで、結婚の年齢が遅くなっている、晩産化になっている。未婚の割合が多くなっているというところに問題があり、これがもし前倒しされた場合の子供の出生数は非常に多くなる。
 つまり今合計特殊出生率は1.39ですが、2.0の時代を見ますと、20代のときに多く産んでいるわけなのです。今、先行している諸外国もそのような傾向がございます。
 ところが、日本の場合は、今初婚の年齢が29.9歳、つまり30歳です。30歳で結婚するわけですから、20代のうちに産めないわけです。こういう問題がございまして、これを全部総理に説明し、今まで行っている子育て支援、待機児童の解消はもちろん増強いたしますが、それに加えて、三本の矢として、1本目が育児支援としますと、2本目が家庭と仕事の両立支援、そして3本目が結婚、妊娠の支援ということで、三本の矢でいくということを申し上げまして、それで強力に進めてほしいという御指示をいただいたところでございます。これをもとに、また第2回からの少子化タスクフォース、そして妊娠の分野でサブチームをつくっておりますので、不妊治療も含めて、しっかりとした政策を打ち出してまいりたい、これを最終的に骨太の方針に上げていきたいと思っております。

 

<食品表示法案の閣議決定について>
 3つ目でございますけれども、食品表示法案でございます。
 本日、食品表示法案が閣議決定されました。
 これは食品衛生法、JAS法、そして健康増進法の3つの法律に規定されている食品の表示に関する規定を包括的かつ一元的にするものでございます。
 具体的には、食品を摂取する際の安全性及び自主的、合理的な食品選択の機会の確保、この2つを目的として、これまでの制度を一本化してわかりやすくするとともに、現行任意制度となっている栄養表示についても、義務化が可能な枠組みとしております。
 また、より効果的、効率的な法執行を可能とするため、不適正な表示に対する是正措置や調査権限の整理なども入れております。
 本法案は、消費者、事業者双方にとってメリットのあるものであり、早期成立に向け、引き続き努力をしてまいります。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)昨日、官邸で総理へ、少子化問題について、報告されたと思うのですけれども、同行されていた方がいらっしゃるということで、この方はどなたで、どういう目的の、タスクフォースの下のサブチームの座長さんと一緒に行かれたということですか。
(答)そうですね。同行者は2人、1人は内閣官房参与の吉村教授です。不妊治療の権威で、産婦人科学会の先生です。この少子化問題のアドバイザーとして、総理が内閣官房参与に任命したということです。
 安倍総理の内閣官房参与はたくさんいらっしゃいますけれども、御覧になってわかるとおり、経済の関係の方が非常に多いです。それから、国土強靱化の参与もいらっしゃいますけれども、産婦人科の先生というのは初めてでございまして、少子化問題のために特に安倍総理が最近選んだ参与です。そして、私の少子化タスクフォースの事務局として、私と一緒に関わっていただいておりますので、昨日も一緒に行って、医学的な見地から、女性の子供を産むという機能で適齢期が大体いつ頃なのかというお話をしていただきました。具体的には25歳から35歳程度ということです。
 やはり不妊治療をするにも、高齢になってから不妊治療すると非常に難易度が高いと、成功率が低いということをお話になって、そういったことの啓蒙を女性に若いうちからしていくことが必要だと、そういうところにも力を入れようということです。今は高校生ぐらいのころから避妊をすることの教育はきちんとしておりますけれども、実際に好きな人ができて、家庭を持って、子供を産みたいと思ったときには、大体いつ頃が自分の体としてよいのだろうかということを教育していく必要があるというような話がありました。
 それから、私のほうで少子化危機突破タスクフォース、このサブチームで結婚妊娠チームをつくっておりますけれども、その座長の明治大学の安藏教授も同行いたしました。安藏教授は日本人口学会の会長でございます。人口の動向について、詳しい資料をたくさん持っていらっしゃいまして、それを見ると、様々なことが浮かび上がってくるのでございますが、人口学の学者さん、今までは政策提言というのをほとんどしてこられませんでした。つまり分析をするのがお仕事でございました。
 しかし、安藏教授はこのままでは日本人類が絶滅するということを人口学者ならば皆わかっていると、これを政治に今提言をしないでどうするのだという思いから、今回私のタスクフォースに入っていただいたわけでございまして、そういったことで、昨日安倍総理にもグラフを示して、詳しく御説明を申し上げたというところです。
(問)食品表示法案のことでお伺いします。
 枠組みができたのですけれども、具体的な細かい中身などは、これから詰めていくのかなという印象を受けているのですけれども、施行までの2年間に、どういったところに特に力を入れて準備をしていく、まだ法案成立前でありますが、どういったところに力を入れながら準備をしていきたいのか、そこら辺もお願いします。
(答)食品表示法に基づく、食品表示基準を公布後2年以内の施行のときまでに策定する必要があります。
 法律の成立後、速やかに策定作業に着手したいと思いますけれども、それに当たっては、消費者委員会の意見を聞くこととなっておりますので、しっかり消費者委員会の意見を聞きながら、また有識者、消費者団体、事業者を始めとする様々な立場の方の御意見を広く伺いながら、消費者にとってわかりやすい表示を策定するというところに、一番重きを置いて進めてまいりたいと思います。
(問)少子化対策の三本の矢への対応なのですけれども、例えば結婚とか妊娠、出産という手厚い支援策について、例えば補助金とか、そういったことを盛り込むというような方向になっていくのでしょうか。
(答)私は、その方向で全力を尽くしていきたいと思っています。補助金、それから税制、減税などの各支援策を考えたいと思います。
 例えば、中央区の矢田区長さんにこの間大臣室に来ていただいたのですけれども、中央区は人口ががくっと減少しましたが、矢田区長が人口回復対策本部をつくってやってから、V字回復しているのです。その一つの政策は、結婚、妊娠のところにまず矢を打ち込んだということで、国よりも地方自治体のほうが先進してやっており、また、婚活支援などをやっているところもあります。
 具体的にどのようなことをしたかというと、中央区は区営住宅を都心にどんどん建ててきたわけです。銀座の中にも3棟建てました。そこに35歳未満の方は、ほかの方よりも3倍当たりやすくする。今は2倍になりましたけれども、一番最初は3倍です。そして、新婚さんには更にまた当たりやすさを2倍にする。35歳未満で新婚だったら6倍になる、ということをして、若い人をどんどん入れていった。
 そして、それと同時に保育園も整備していく。そして産婦人科の聖路加病院の院長と連携して、産婦人科も充実し、子供を産んだら、そして保育園で預かるということをしていったら倍増したというのですね。
 日本の人口の場合は、倍増ということは大変困難であるということは人口学の見地から伺っております。今現在未婚の方が非常に多いのですが、未婚の方のうちの9割が本当は結婚したいと思っている。結婚したいと思っているのにずっと未婚なのです。その結婚の希望を全てかなえてあげたとします。国があらゆる施策、例えば新婚に優遇税制を入れたりして、9割が結婚したとします、そして結婚したら何人子供が欲しいですかというアンケートに、2人以上欲しいですと皆さんが答えています。女性も働きながら、子供も産める、そして、また会社に戻ってくるような環境を整えて、2人産んでもらったとします。もし、9割が結婚して2人を産んだら、合計特殊出生率は今の1.39から1.75に上がるという試算があります。1.75です。1.75に上がっても人口が減るのが緩くなるだけで回復はしない。回復するためには2.06にしなければいけないのです。
 今の御希望を全部かなえても1.75ですけれども、まずはそこまで私は頑張りたいと思います。昨日総理ともお話ししたのですけれども、海外にはありますが、大学に保育所があるような環境を整えていって、女性が、男性もですけれども、学びながら子供を産める。研究職になる人は大学院までいって、30近くまでずっと大学にいるとすると、結婚適齢期が来て、そのときに結婚して子供を産んでも学べるような、そして、もっと産み育てやすい世の中、そういう環境にして、結婚して子供を産む数も3人以上になってくれば、2.06も夢ではない、射程範囲に入ってくると思いますけれども、現状は非常に厳しいということを申し上げて、その危機意識を国民全体で共有していただきたいと思います。
 経済成長にもマイナスです。生産年齢人口が今から50年後に50%に減少します、15歳から64歳までの働き手が50年間で半分になってしまうということです。少子化という問題が国家の危機であるという認識を昨日総理とともに共有したというところでございます。
(問)集団的消費者被害回復訴訟制度について、本日、自民党で山場を迎えているのではないかと思っているのですが、どのようになっておりますでしょうか。
(答)先ほど通ったという連絡をいただきました。
(問)遡及効はどのようにされたでしょうか。
(答)部会でどうなったかという情報は今詳しく持っておりませんので、後で確認していただきたいと思います。

(以上)