森内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年1月11日

(平成25年1月11日(金) 10:07~10:24  於:合同庁舎第4号館6階605号室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今、総理からも閣議後の記者会見でお話をされたかと思いますけれども、閣議前の日本経済再生会議、本日朝開かれまして緊急経済対策が取りまとめられました。前回の経済再生本部で私から発言をいたしました内容が盛り込まれました。
 まず、消費者の分野で「食品と放射能に関するリスクコミュニケーションの推進及び地方消費者行政の活性化」という文章が盛り込まれました。さらには「風評被害の早期解決を含む農林水産物等の振興支援」ということも取り込まれました。かなり前向きな文章で書かれましたので全力で取り組んでいく所存でございます。
 また、子ども・女性の分野でも総理より、本日、経済再生担当大臣の調整の下で「若者や女性等の雇用」、これについての指示がございました。具体的には、以下のとおりでございます。
 「産業競争力会議、この中において日本経済再生のためには産業競争力強化と、それを支える雇用や人材等に対する対応強化を車の両輪として進めることが欠かせない。特に若年者や女性の雇用問題等に対してしっかりとした処方せんを提示していくことが喫緊の課題である。したがって、経済再生担当大臣の調整の下で、関係閣僚が連携して若者や女性の雇用等に関わっておられる方々の生の声をお聞きしながら、若者や女性との直面する課題の抜本的な解決方策を検討していただきたい。その上で産業競争力会議でも議論することとしたい。」との発言がございました。それを受けて経済再生本部の会議終了後に、甘利大臣から私のほうにこの点についての指示があったところでございます。
 さらに子どもの分野に関して申し上げますと、今の緊急経済対策の中で以下のような文章が盛り込まれました。
 「待機児童の解消に向け保育士の人材確保や地域における子育て支援等を行う「安心こども基金」の積み増し・延長を行うなど子どもを育てやすい国づくり、女性が働き続けやすい環境の整備を推進する。」等の記述が盛り込まれました。私として、前回の会議で発言したものが全て盛り込まれた形になっておりまして、特にこの「安心こども基金」の中には、被災地の子どもの健全な育ちを応援するための施策も盛り込まれるものと認識しておりますので、なお一層頑張りたいと思っております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)消費者分野のほうで恐縮なのですが、経済対策の中に、地方消費者行政の活性化が位置づけられたことは大変ありがたいのですが、補正の地方消費者行政活性化基金の上積み40.2億円の調整状況はどうなっていますでしょうか。
 それから、当初予算についてなのですが国民生活センターの予算の中に、国に移行した場合に民間企業に委託している消費者越境センター5人分の相談員、5人の相談員がいる越境センターと全相協が20人体制でやっている土日・祝日相談を全て国に移すことになっているんだけれども、それ相応の相談員が増えてはいないというような状況があったのですが、その部分はどうされたのでしょうか。
 それから、12月分までのものしか入っていないのですが、運営交付金が削減されるのか、ホットラインの予算と巡回相談というものをやっていたのが1割ぐらいの額でしか入っていないので、その行く末を心配する声が上がっているのですが、それはどのように思いますでしょうか。
(答)今の御質問は全て補正予算に関する御質問ですか。
(問)いえ、最後の部分は当初です。国民生活センターに関するものは当初で入ってくるはずです。ホットラインと巡回指導の話と消費者越境センターと全相協の土日・祝日相談です。
(答)はい、分かりました。
 補正予算の交渉状況でございますが、前回御報告した40.数億円というものの確保が見込めるような状況になりつつあります。さらに、並行して当初予算の交渉を続けておりますので、補正予算と当初予算のパッケージで、とにかく地方消費者行政を弱体化させないような予算の獲得に向けて、職員一同全力で当たっているところでございます。
 具体的な論点について幾つか御質問ございましたけれども、この補正予算は25年度まで使えるというものでございます。また、25年度当初予算については今御質問のあったようなものが縮減されることのないように大臣としてしっかりと要求かつ交渉してまいりたいと思っております。
 また具体的なそれぞれの細かい論点については、事務方にしっかり調べさせておきたいと思います。
(問)改正特商法の適用除外の政令案に関してなんですけれども、パブリックコメントが200件程度寄せられているというふうに件数は聞いているんですけれども、中身についての検討状況と、あと法施行が2月21日までという期限が定まっているんですけれども、政令案の閣議にかけるタイミングとしてはいつ頃を大臣としてはお考えなのか、2点教えてください。
(答)パブコメの締切りが過ぎて、その直後から事務方では多数、様々な立場の方から寄せられた御意見、御要望を精査する作業に入っております。施行が2月21日までということでございますので、残された期間がわずかでありますけれども、その中でしっかりと検討して結論を出してまいりたいと考えております。必ずそれに間に合わせた形で閣議にのせていきたいと思っております。
(問)今のに関連してなんですけれども、特商法は民主党政権下でもともと金だけを規制すると、押し買いが金に目立っているのでという話を自民党が修正をかけて、金だけじゃなくて全てにしようという話になったものの中でも自動車が除外とか除外規定がいろいろ出てきて、せっかく消費者団体も全部が規制になったと喜んでいるところに、またそういう揺り戻しの動きがあって、これは大臣としてはどういうふうにお考えですか。産業目線なのか、消費者目線なのか難しいところだと思うんですが。
(答)そうですね、産業目線なのか、消費者目線なのかという議論は古くて新しい議論で、消費者弁護士の私としては1年生のときからずっと消費者弁護士の先輩方と議論してきた論点なのですけれども、実は私が執筆いたしました消費者庁設置三法にも書いたのですけれども、そのような議論の切り口自体が実は必ずしも本質を捉えていないのではないか。福田総理がこの消費者庁を設置したときの精神に戻ると私何度も申し上げておりますが、そのときの精神は事業者と消費者が車の両輪として安心・安全な消費生活と健全な経済活動をつくり上げていくというものでございます。ですので事業者、これは健全な事業者でございますけれども、それから消費者、これも健全な消費者でございますが、その両者が相まって理想をつくっていくというところを追い求めていきたいのです。全ての私が所掌する以外の行政分野もそうでありますが、片方の目線から一刀両断に切り捨てることはできません。そこのバランスというものがとても大事なんです。ただ、あえて申し上げますと、今までやはり我が国においては産業目線が強過ぎたのではないかと、そのような反省の下でこの消費者庁をつくったわけでございます。ですから、消費者の目線から今までの施策を見直し、新しい施策もつくり上げていきますが、だからといって全て消費者側の目線からということではなくて、やはり適切な理想のバランスを追い求めていく。
 なぜならば、消費者法というものの草分けであられます竹内教授の執筆した本を枕にして寝ておりますが、そこに書いてある言葉は、人間というのは消費者であり事業者である。どちらの側面も持っている。会社に行けば事業者の一体、企業の一体、一部分となり、そして家庭に帰れば消費者になる。だから、消費者問題というのは、その適切なバランスを追い求めると、そういうことなのだ、と書いてあります。消費者に悪玉も善玉もあり、事業者にも悪玉も善玉もあるけれども、両方の善玉を追い求めていくのだということが理想なのでございます。
 ちょっと理想論を大きく語りますが、そこから今回の問題を見ますと、押し買いの問題、最初は民主党政権が金だけを規制する。これはあまりにもやはり事業者サイドに偏った、今までの縦割り行政の弊害に近いと思います。そこから自民党の消費者問題調査会が押し返しまして、消費者サイドに立ちましてネガティブリストの形、つまり消費者のほうの利益を大きく持った、原則全て禁止という形にいたしました。だからといって、それでは何でもかんでも禁止にするのか、そこからが先ほどのバランスの話でして、この閣法であります押し買い規制の条文の趣旨と、それからそれによって規制をされた場合に経済活動が阻害をされて、結局は消費者である人間も経済活動に昼間行ったときに、それに阻害されて、そこでお給料がもらえない、家庭に帰ってくるとまたお買い物もできない、消費活動も結果的には阻害されることになるわけです。社会の中の経済も、地域の中の消費活動も回っていかないわけです。ですから、そこのバランスをしっかり考えていくということで、そのような観点からネガティブリストに幾つかの項目があがることは私はそれは自然なことだと思っております。そして、その一点一点が、先ほどの追い求めていく理想と目標に照らして正当であるか妥当であるかということに関しては、今まさに皆さんの御意見をいただきながら検討しているところです。その検討が民主党政権下でまずなされてからパブコメに出されたものですから、私のところに帰ってきたのはパブコメ締切後でございますので、そこからの検討になりますけれども、短い時間の中で、その施行時期もにらみながら検討をしているところです。
(問)除外されそうなものについてもトラブルの話は聞くので、是非個別に御対応をお願いしたいと思います。
(答)そうですね。トラブルは全ての製品・商品にございます。そのトラブルの性質が、今回規制をしている、規制をしようとしている法律が目指しているトラブルなのかどうか、そのトラブルの内容によって規制の仕方を様々に変えていかなければなりません。様々な規制の仕方があります。例えば、今回のようにクーリングオフにする制度もございますし、それから、そもそも登録制度にして、その登録を取り消したり、それから業務停止をしたりする行政処分をかけるというやり方もあります。ですから、様々な規制の仕方を組み合わせて個別の法律で狙って悪質な部分をなるべく少なくしていくということが大事なのであって、全てトラブルがあるものを一つの法律で規制をしてしまうと、かえって消費活動に害が出る場合もございます。それをよく考えながら一つ一つの項目、またはそれ以外の御意見が出ている項目についてしっかり検討するように事務方に指示を出しているところです。

(以上)