古屋内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年5月30日

(平成26年5月30日(金) 8:37~8:55  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私から、まず拉致関係でございますが、今回の日朝政府間協議の合意内容につきまして、今日16時から内閣府の3階の会議室において、拉致被害者御家族、そして救う会の皆さん等々に対して説明を行わせていただきたいと思います。交渉に当たった伊原局長も出席いたします。これが1点。
 それから、次は防災関係でございますが、最近、災害は激甚化する傾向にありますので、災害発生時において陣頭指揮を執っていただく首長が避難勧告の適切な実施を含めた防災対策の重要性について十分知識を有し、そしてそれを共有することは極めて大切でございますので、内閣府と消防庁の共催によりまして、そして全国市長会が協賛していただいて、6月4日水曜日、14時から全国都市会館にて、市長、特別区長を対象とした研修として、「全国防災・危機管理トップセミナー」を開催させていただきます。このセミナーでは、防災対応の原則、災害の事前、発災直前、発災後における対応あるいは首長の責務や権限、とるべき行動についての講演等々を行いまして、先般、全面的に見直しました「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン(案)」を踏まえ、災害情報の伝達の重要性について説明し、その意識を共有していただこうと思っております。私も出席して、このセミナー、そして防災対策の重要性について、そして首長の御判断、決断というのは極めて大きなウエートを占めるということを、是非私からもお話させていただきたいと思っています。
 それから、もう一点は、これは政府がやっているいわゆる「車座ふるさとトーク」でございますが、今度は愛媛で車座ふるさとトークを行います。今回のテーマは、今、交通事故における高齢者の犠牲が全交通事故死の53%を占めておりますので、「地域で高齢者を交通事故から守るには」というテーマで車座ふるさとトークをさせていただきます。松山市でございますが、いろんな取組を紹介していただきながら、老人クラブにも入っていない、いわば孤立している老人の皆様、こういった方に対してどうやって交通安全対策をしっかり伝達して対応していただくか等々について、意見交換をさせていただきたいと思っております。詳細は事務局にお問合せください。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問) 朝日新聞の久木です。
 日朝政府間協議についてお伺いします。拉致問題を含む日本人に関する全ての調査を約束するということですけれども、評価をお願いします。
(答) これは、今御指摘がありましたように、拉致被害者、政府認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者、それだけにかかわらず全ての日本人の関係についても調査し、そしてしっかり報告する。また、もし被害者が判明した場合は、その帰国に向けた手続を取っていく。こういう極めて具体的な中身を協議の中で合意することができたということでございまして、これは交渉に当たった当局はじめ、関係者に私は敬意を表したいと思います。
 その上は、これはオールジャパンで取り組んでいる問題でございますので、今後は責任、権限がある調査会を北朝鮮側で立ち上げてもらうことになるわけでございまして、そして常にその情報は共有するということですから、その推移をしっかり見守りながら、いよいよ、これからが本当の意味での正念場の協議が始まっていくと、そういう認識に立って、昨日、総理もぶら下がり会見でおっしゃっていたように、自分の代のときに必ず解決する。家族の皆さんと拉致被害者が抱き合う日が来るまで、自分の任務は終わらない。私も担当大臣として同じ認識に立って、まなじりを決してこの問題に取り組んでいきたいと思っています。
(問) 関連で。大臣はかねがね調査は中身、結果が伴わないと制裁解除には至らないという御認識を示されていたと思うんですけれども、今回、特別調査委員会を立ち上げた時点で制裁解除に踏み切ると、こういう決断に至った背景について御説明いただけますか。
(答) これはもう御覧になっていただければわかると思うんですが、この調査の中身は極めて具体的ですよね。これは相当踏み込んで協議をしているということでございますので、実質的にこの調査が始まるということは、その行動が始まったと、こういう認識でございます。
(問) 新たな生存者情報なるものは交渉の過程で示されたことはあるんでしょうか。
(答) まだ交渉は始まっていませんからね。
(問) 今回の制裁解除に至る一因として、新たな生存者情報なるものが内々に示されたということはありますか。
(答) いや、ないですね。まだ交渉は、協議機関が立ち上がってませんから、3週間以内に立ち上げて対応するという報告でございますのでね。
(問) 朝日新聞の八木です。
 行方不明者の調査をする際に日本側から名簿のようなもの、例えば特定失踪者だとか、警察庁が拉致を否定できないとしている860人の名簿とか、そういったものは日本側から提示していく形になるんでしょうか。
(答) これは、あくまでもボールは北朝鮮にあるんですよ。ですから、北朝鮮が調査すると、そして全ての拉致被害者を含めた日本人の関係の調査をすると言っていることでありますので、もうボールは向こうにある。しっかりその調査をしていただくということが極めて大切であります。
(問) 共同通信の松浦と申します。
 ストックホルムで局長からの発表ではなく、一度持ち帰られて大臣の間でお話されて発表になったと。これは局長には発表する権限が与えられないレベルの政治判断が必要だったということでよろしいんでしょうか。
(答) これは、交渉した当事者は局長でございますが、この拉致問題は政府の最重要課題として取り組んでいます。だからこそ総理大臣を入れてコア大臣会合、昨日も夕方に総理、官房長官、外務大臣、そして私、担当大臣、4人がしっかり意見をすり合わせた上で、そして正式に決定したということでございます。これこそまさしくオールジャパンで取り組んでいるという象徴じゃないでしょうか。
 私、一言付言したいことがございまして、ここまで北朝鮮がこの具体的な中身を伴う調査をすると言った背景は二つあると思うんですね。一つは、国内の政治の安定。これは衆参両院で過半数を取って、今の政権が極めて安定している。常識的に考えて、3年間は間違いなく続くということであります。なおかつ、総理大臣はこの拉致問題に一番厳しいスタンスで臨んでいると、こういうこと。これはもう当然、北朝鮮はよく承知していますね。これが国内的な要因の一つ。
 それからもう一つ、国際的な要因として、我々ずっとこの1年余りにわたって、国際社会に拉致問題の重要性を訴えてきました。例えば、総理大臣が海外へ行ったときには必ず首脳にこの話をする、あるいは共同宣言にも必ずこれを出す等々。それからもう一つは、やはりCOIですね、これでああいう決議がなされたと。これも日本が主体的に相当取り組みましたよ。私も含めて、国連の関係者、海外の関係者に本当に熱心に働きかけをさせていただきました。このことは北朝鮮に相当効いたことは間違いないですね。
 というのは、拉致問題というのは、日本と北朝鮮の2国間の問題でしょうという認識が恐らく世界各国であったと思いますけれども、もっと広い範囲、大きな人権問題の重要な柱としてこの拉致問題を世界各国が、そして国連の関係者が認識するに至ったと。これは北朝鮮にとっても相当こたえているはずですね。ですから、この人権問題、すなわち拉致問題というものを解決せざるを得ない北朝鮮の国内の環境になってきたと、こういうことだと考えています。
 ですから、こういった協議が始まるわけでございます。これからは本当に胸突き八丁の協議が始まるわけで、引き続き我々はしっかりまなじりを決して、この全ての拉致被害者を取り戻す、このために全力を尽くしていくと、これに尽きると思います。
(問) 1点、別の件で。今日、一部報道で、昨年、複数のルートで特定失踪者の生存者情報が日本側に伝えられていたという報道がありますけれども、これについて事実関係は。
(答) そういった具体的な中身についての言及は控えさせていただきたいと思います。我々はあらゆる情報をあらゆる手段を使って常に入手しているということは、付言をさせていただきたいと思います。
(問) 産経新聞の松岡と申します。
 北朝鮮の過去の調査で、一方的な打切りを表明したりですとか、証拠として提出したものについて疑義があったこともたくさんあったかと思うんですけれども、大臣は今回の再調査に関する北朝鮮の姿勢というのを、過去とどう違って、先ほど調査が始まるということが行動が始まったということだというふうにおっしゃるその背景を、もう少し詳しく伺いたいと思うんですが。
(答) ですから、先ほど申し上げましたように、合意の中身が極めて具体的ですよね。ということは、やっぱり北朝鮮のスタンスの変化であるということですね。じゃあ、本当にその合意をしっかり誠実に向こうが履行していくかどうか、これは極めて大切であります。従って、そのためにも日本の基本スタンスは対話と圧力ですよね。このスタンスも変わらないですね。対話を引き出すために圧力をかけてきたわけでありまして、今後もそのスタンスは変わらない。そして、拉致、核、ミサイルを包括的に解決していく。この考え方に寸分も変わるところはありません。これはよく北朝鮮も認識しているはずであります。
(問) NHK、川田です。
 今日、夕方には御家族の方々に御説明されるということですけれども、どのような御説明をされるかということと、あと、家族からは期待をする半面、これまで前回の2008年でも約束が守られなかったということと、あとは証拠が疑義があるような、そういったこともありまして、今後、調査委員会が立ち上がって、外交でなかなか言えないこともあると思うんですが、御家族にはどのようなケアというか、そういったことをしていくというお考えですか。
(答) これは今日、夕方16時から家族会の皆様にお越しいただいて、この協議、スタートに向かった経緯については丁寧に説明させていただきたいと思っております。もちろん、交渉の具体的中身ですから、なかなか申し上げることができない部分もあろうかと思いますが、長年、家族会あるいは救う会の皆様と我々は信頼関係を持ってお付き合いしてきましたので、私たちのこの決意、覚悟というのは十二分に家族会の皆さんに御理解いただけると思います。総理のこの並々ならぬ解決に向けた決意というのは、昨日の各家族会あるいは関係者のぶら下がり等々の記者会見からもそれを垣間見ることができますね。
(問) 朝日新聞の久木です。
 この再調査、日本も含めた合同調査というわけにはいかないと思うんですけれども、その調査の信用性をどうやって担保されるのかと。それから、調査の進捗に合わせて日本側の関係者が北朝鮮に滞在して関係者と面談することもあるということなんですけれども、これは警察庁の職員なんかも含めてということなんでしょうか。
(答) これは今後の具体的な中身ですから、こういうことがあるとかこういう可能性があるということは、私からお話しするのは控えさせていただきたいと思いますが、しかし、過去のいろいろ経緯がありましたね。こういったものをしっかり踏まえて、この協議は始まっていくということでございますから、そこだけはしっかり我々は押さえて交渉に入っていきたいと思います。
(問) 御家族の関係でもう一つ、すみません。御家族からは、さっき、これで最後のチャンスだとか、御高齢になられている方々もいらっしゃいまして、期待する声もすごい大きいんですが、大臣、改めてその受け止めと御覚悟のほどを。
(答) もう何十年にもわたって御家族の皆さんは一日千秋の思いで、被害者、御家族、息子さん、娘さん、お孫さんが帰ってくるのを待っているんですね。ですから、私たちはそのことを、本当に総理大臣が一番認識してますよ。だから、この我々の交渉はそういう意味で、決意と覚悟の下の交渉だと、この日本のスタンスというのは北朝鮮もよくわかっていると思います。そして、この拉致問題が解決していかなくては、日本が支援をしていくということはないわけでありまして、そのことはよく彼らも認識していると思います。
(問) 毎日新聞の村尾です。
 大臣、以前、制裁については段階的な解除を排除しないとおっしゃっていましたけれども、今回の合意で人的往来とかお金の話とか船の話が出てますけれども、これについても解除する際は段階的にということになるんでしょうか。
(答) これは昨日、官房長官も恐らく会見していたと思いますね。まず具体的に立ち上がって、どこから解除していくかというのは、その状況を見極めた上で解除していくということであります。そのほかにもいろんな制裁がありますので、しっかりそういった我々のカードも見極めつつ、北朝鮮の具体的な行動を見極めながら対応していく、これに尽きると思います。

(以上)