古屋内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年3月28日

(平成26年3月28日(金) 8:41~9:01  於:内閣府本府1階118会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 まず、今日朝、閣議の前に、中央防災会議を開催いたしました。最初に会長である総理から、首都直下地震や南海トラフ地震といった大規模な災害時においても、国民の生命、財産を守るため、緊張感を持って防災対策に万全を期していきたいという趣旨の発言をいただきました。
 議題としては、南海トラフ地震に関わる地域指定の答申、基本計画の決定、首都直下地震に関わる地域指定についての答申が行われ、また、大規模地震防災・減災対策大綱及び平成26年度総合防災訓練大綱について、原案のとおり決定いたしました。また、会長専決事項の処理について報告を行いました。
 このほか民間委員からは、まず、泉田委員ですが、これは新潟県の知事。南海トラフ地震関係での財政上の特例措置に関して、柔軟な運用を求める発言がありました。また、日本消防協会、渡邉委員から、先般成立した消防団を中核とした地域防災力の充実強化法、これは議員立法で、私、消防議員連盟の会長でございますが、消防議員連盟が主体になって作った法案でございますけれども、昨年成立をいたしましたので、これに関する発言がございました。また最後に総理から、更なる防災・減災対策の充実強化に向け、防災担当大臣を中心に、政府横断的に精力的な検討を行って、防災対策を着実に進めるよう御指示がございました。
 また、会議後に行われた閣議においては、首都直下地震緊急対策推進基本計画、政府業務継続計画を決定いたしました。また、私も閣議にて各大臣に万全の対策をお願いさせていただきました。
 防災担当大臣としては、引き続き、全省一丸となった防災対策が実行されるよう全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
 また、閣議の報告で、こういった報告がございました。就業者数、2月ベースで6,283万人で、対前月比プラス41万人で、失業者が238万人でマイナス45万人、失業率が3.6%で6年7カ月ぶりの低水準、こういうことで、先進国の中で一番低い数字になったと、こんなような報告がございました。確実に景気回復の足どりが、こういった数字のファクトベースでも出てきているということかな、と思います。
 明後日30日、静岡県と愛知県を視察させていただきます。南海トラフ地震防災対策の現況の把握と同時に、吉田町で開催されます津波避難タワー完成式典に出席させていただきます。静岡県並びに愛知県の両知事との意見交換や防災拠点も視察させていただきます。今後取りまとめる予定の南海トラフ地震が発生した場合における政府の具体的な災害応急対策活動の参考にしてまいりたいと思います。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)共同通信の江藤です。
 この30日、31日に日朝の政府間協議が開かれます。古屋大臣は先日、北朝鮮制裁に関して、18日の記者会見で、拉致被害者が戻ってこなければ制裁解除はおろか一円の支援もすることはないと、そういうふうにおっしゃいました。福田内閣当時の2008年の協議では、北朝鮮が拉致問題の再調査に応じれば、日本政府は北朝鮮との人的往来の原則見合わせと航空チャーター便の乗り入れ禁止の制裁解除という、そういう方針でした。また、去年9月の第2次小泉訪朝から9年での古屋大臣談話では、「拉致被害者の無事帰国の実現なくしては、更なる人道支援をも行わないことを改めて確認いたします」と、そういうふうに述べられていました。制裁解除に関する政府の対応方針をもう一度教えてください。
(答)日本は現在、北朝鮮に対しての制裁、二つの側面がありますね。一つは国連安保理決議の要請に基づいてやっているもの、それからもう一つは、日本は拉致問題を抱えていますので、これに追加して我が国が独自にやっているもの、この二つがありますけれども、後者については、北朝鮮の不誠実な取組態度というもの、そういう意味合いも含まれておりまして、私のその発言の御指摘の趣旨は、拉致被害者の帰国なくして措置の全てが解除されるということは絶対ない、そういう趣旨で私は申し上げました。
 今指摘があったのは、昨年5月22日だったと思いますけれども、私が日朝首脳会談9周年に関しての拉致担当大臣談話ということで発言させていただいているのは、拉致被害者の無事帰国の実現なくして、いかなる人道支援も行わないという趣旨の発言をさせていただいておりまして、そういうことであります。
 我々としては、今度、日朝協議、今御指摘ありましたように、恐らく拉致の問題も含め議論をされることになると思いますけれども、我々の基本原則は、行動対行動ですので、もし今後、北朝鮮が拉致問題の解決、要するに帰国に向けて誠意ある前向きな取組をするということになってくれば、我が国の独自の措置というのが、それは2008年のときもそういう言及をしていますので、段階的に解除されるということは当然あり得ますよね。これは交渉次第ですけれどね。だから、基本的に考え方は変わっていないと思います。
(問)関連して、段階的な解除というのは、交渉の進展によれば一部解除、全面じゃなくて一部解除もあり得るという。
(答)だから、それはもう交渉の具体的なことですから、私から今言えるのはそこまでです。これは2008年にも人的往来やチャーター便の規制を解除するという趣旨の、たしかあの当時そんなようなことだったですよね。そういった発言を当時の内閣はしておりますので、そういった考えを今私の表現で申し上げたということであります。
(問)今回の協議でも、拉致問題の再調査を求める考えかどうかとか、あるいは、まず解除されるとすれば人的往来の見合わせ、チャーター便の解除ということになるかどうか、その辺については。
(答)これはまだ会議、交渉も行われていませんのでね。今月末ですから、まだスタートもしていませんので、私からコメントはできません。
(問)NHKの村松です。
 中央防災会議関連なんですが、今回、様々な施策が決定されたことを受けて、改めてになりますが、防災担当大臣として今後どのようにこういった施策を使って進めていくかお願いします。
(答)今回は項目でいうと四つのテーマを決めさせていただきましたよね。一つは南海トラフ地震関係、これは特に一番地方公共団体、あるいはその対象地域の皆さんにとって御関心があるのは、津波対策の特別強化地域の指定ですね。これは嵩上げになりますので、こういったものをしっかり捉えていただいて、それぞれの地方公共団体がまずこういった防災対策を徹底していただきたい。
 首都直下関係でも幾つかございましたけど、特に耐震化の推進ということが入っています。また、感震ブレーカーの活用によりまして、相当火災が減少する。初期消火の徹底と感震ブレーカー等々によって火災被害が9割減少するという報告も出ていますので、そういった取組をぜひしていただきたい。
 三つ目が、これまで大綱は五つありましたけど、それぞれ書いていて、これは一覧性というのがなかったものですから、これを統合して一本化したというのは大きいと思います。
 それからもう一つが、防災訓練大綱でありますが、これは9月1日は全国的に防災訓練をしています。それから1月17日は防災ボランティアの日で取組をしていますが、11月5日が津波防災の日なんですけど、これはほとんど知られていないんですね。26年度予算と、25年の補正で、計2億円を計上させていただいて、政府あるいは対象地域で連携をして大規模な訓練を実施すると、津波防災を念頭に。こういった取組をさせていただきますので、ぜひ御協力をいただきたい。
 以上、私からそういった4点について皆様方に改めて発表させていただきたいと思いますし、また、やはり防災というのは常日ごろからの心がけですよ。やはりこれが非常に大切です。ハード、ソフトがしっかり連携してこそ真の防災対策ができますので、ぜひそういった取組をしていただきたいということを改めて防災担当大臣として国民の皆様、そして関係者の皆様にお願いを申し上げたいと思います。
(問)高知新聞の大野と申します。
 先ほどの質問に関連するんですけれども、南海トラフの地域指定を受けて、改めて地方自治体に対してどういった姿勢で対策を進めてもらいたいのかというメッセージを聞かせていただきたいんですが。
(答)今私が申し上げたとおりです。
(問)もう少し詳しく。
(答)どういう趣旨で申し上げればいいの。
(問)国の大枠が今回が一つの区切りだと思うんですけれども、これで一体地方自治体が何をしなければならないのか、何がこれから進むのか。
(答)地方がね。
(問)地方がです。
(答)地方は、まず、私申し上げましたように、やはりハード、ソフト両面の対策ですよね。それから、ハードだけではなくてソフトの部分、例えば避難計画を作るとか、昨年の災害対策基本法改正によって要支援者に対しての対応ができるように情報開示、いわゆる個人情報保護法の壁を乗り越えて対応できるようになっていますね。地方公共団体へは、私も頻繁に行って見ていますし、またお越しになったときに、それぞれの首長さんや知事さんとお話ししていますけど、非常に熱心ですよね。この防災の取組で、ある意味で、いい意味の競い合いですね。これはすごく大切だと思います。隣の県や隣の市がこんな取組をしたと、じゃ、うちらもそれやってみようじゃないかという、そういういい意味での競い合いが、結果として防災対策を徹底していく。そのことが最終的に人の命を守る、被害をできるだけ少なくするということにつながると思っています。ですから、非常に地道にしっかり対応していくということが大切で、それはぜひやっていただきたい。
(問)国として今回、嵩上げも規定されているんですけど、今後の追加の財政の支援についての考え方、進め方を伺います。
(答)追加というのは、その嵩上げ以外。
(問)以外に。
(答)以外にですか。これは今すぐこういうことは考えていませんけれども、災害対策というのは教訓をもとに常にブラッシュアップしていくものなんですね。この間の雪の対策でも、いろいろ私たちに教訓を与えていただきましたよ。もう8項目の検討項目を決めて、早速検討を始めていますので、そういった取組は常にやっていく、不断の見直し、これが大切だと思います。
(問)西日本新聞の田中と申します。
 南海トラフの防災計画の件で、今、国も地方も財政というのは非常に厳しい状況にあるんですが、人的被害を8割減らすという高い目標があるんですけれども、計画どおりこれが進むのかどうかという懸念もあると思うんですが、その辺りについて。
(答)計画どおり進めなくてはなりません。これは国だけでできることではありません。地方公共団体も御協力いただかなければいけませんし、それから住民の皆様、それから民間のセクターの皆さんそれぞれの立場で協力をし合う、自助、共助、公助、このバランスが非常に大切ですね。そういう取組によって必ず私は実現することができると思っています。その皆さんの協力が極めて重要だということですね。
(問)朝日新聞の石川といいますけれども、基本計画が決定しまして、特に南海トラフでは具体的な数値目標が10年計画でかなり事細かに示されているんですけれども、全ての対応を実現するとなると相当な事業予算が必要になると思うんですが、今後何年間でどのくらいの規模というのが大枠として検討して示されたことはないとは思うんですけれども、どういう計画を考えていらっしゃるんでしょうか。
(答)大枠としてそういうことを計算したこともございませんし、よく国土強靱化でも10年で200兆円なんというのがひとり歩きしていましたけれども、一部のメディアが盛んにそういうことを書いていましたけれども、我々はそんなことを決めたことは一切ございませんので、何をしなきゃいけないか、優先順位をつけて、どういう取組をしなきゃいけないかということを精査しながら積み上げて、そして実行していくんですね。数字というのは結果でありますから、そういう取組をしていくということに尽きる。ですから、今から幾らの投資をするということは一切決まっていません。
(問)関連してなんですけれども、国土強靱化については、公共事業の予算が年間を比べてかなり新年度増えているんですけれども、ばらまきではないということは大臣からもおっしゃっていますけれども、強靱化との関連と予算についてどのようにお考えか。
(答)強靱化の取組はもう皆さん御存じのように、リスクに対する脆弱性を評価して、それに対しての対策を優先順位をつけてやっていく。松、竹、梅の松をまず優先してやる。当然、松の項目に該当した当該の事業は、それはプラスになりますよ、当然のことですから。だから、それだけを見てばらまきと言われるのは極めて私としても心外ですよね。ばらまきというのは、私、国会でも何度も答弁していますように、無原則に公園のハトなどに餌をまくこと、あるいはお金を見境なく人に配ることというのが広辞苑等々での定義ですから、我々の国土強靱化はその定義からしたら一切当てはまらないと思います。
(問)朝日新聞の吉田ですが、昨日、静岡地裁が袴田事件で再審の決定をしました。それによって袴田さんは48年ぶりに釈放されたわけですけれども、決定の中では、捜査機関の証拠捏造の疑いということの指摘もありました。今回の決定に対して、国家公安委員長としてどのように受け止めていますか。
(答)お尋ねの件については、今、検察庁で適切に対応されると思いますので、私からコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
(問)重ねてですけど、捜査の部分でどうであったのか検証すべきだという指摘もあるかと思うんですが、その点については。
(答)そういったことも含め、今、検察で適切に対処されると思いますので、私からコメントは差し控えます。
(問)すみません、日朝協議の話にまた戻るんですけれども、先ほど大臣がおっしゃった北朝鮮による誠意ある前向きな取組ということは、拉致問題の再調査の実施も含むというふうに理解してよろしいですか。
(答)だから、そういったことはまだ日朝協議がスタートもしていない段階なんですよ。これからそういった交渉・日朝協議が始まるんですから、今からそういったことは私の口から申し上げるわけにはいきません。先ほど申し上げたとおりです。
(問)これはこれまでも聞いているんですけれども、北朝鮮側の変化というのが出ている中で改めて日朝協議の期待をお願いします。
(答)そういう協議に応じてきているということは、北朝鮮の変化ですよね。客観的な変化だと思います。
(問)期待するということですか。
(答)もちろんです。そういうふうにさせないといけないと言ったほうがいいかな、進展をさせるようなふうにさせないといけない。それを北朝鮮にもしっかり理解をさせるということなんですよ。そうしないと北朝鮮は、あの国は立ち行かなくなりますよ、ということですね。

(以上)